第10代シンデレラガール記念短編です。
高校を卒業し、都内大学の文学部に進学した。雪ノ下も由比ヶ浜も違う大学だが交流は続いている。主に由比ヶ浜主導で。
大学生活に慣れ、講義の合間を過ごすベストプレイスを見つけた。木陰にある木製の四人掛けテーブルとイス。昼飯もそこで食べることが多い。学食もあるのだが、リア充だらけで煩いので即却下になった。
今日の分の講義も終わったんだが、読みかけの本が佳境だった為にベストプレイスで少しだけ読書をする。
キリのいいところまで読み終え軽く伸びをすると、テーブルの向かいに女性が座っていたことに気がついた。彼女もこちらに気がついた。
「…こんにちは」
挨拶をされたので無視するわけにもいかず、挨拶をかえす。
「こ、コンニチハ」
ヤバい。カタコトになってしまった。仕方ないだろ。だって超絶美人だぞ。綺麗な長い髪、前髪から覗く綺麗な瞳、そして豊満なむ…ゲフンゲフン。
「時々…ここで…本を…読んで…いらっしゃいますね」
「え、あ、はい」
ゆっくりとこちらに話かけてくる。
「ここは…良い…場所だと…思います。…2年も…通っていたのに…気がつきませんでした」
1つ先輩か。
「よろしければ、場所をお譲りしますよ。俺は別の場所を探しますから」
「いえ…。貴方が先に見つけたんですから…。私も…時々…お邪魔しても…大丈夫…でしょうか?」
「俺は大丈夫です」
「では…そうさせて…いただきます」
そう言った彼女の笑顔は破壊力抜群だった。
そうして、たまにベストプレイスで一緒に読者をする知り合いが大学で出来た。特に会話はないんだけどね。
数週間して、不意に彼女が俺に話かけてきた。
「私のこと…あまり…詮索…しないんですね」
おかしなことを言うなぁと思った。
「ええ、まあ。貴女の読書の邪魔はしたくないですから」
「そう…なんですね。…よく…男性に…声をかけられたり…色々と…聞かれるので…」
そりゃそうだよな。
「貴女みたいな美人だったら、男はそうしますよ」
「え?あ、美人…なんて…そんな…」
真っ赤になって狼狽している。
「すいません。急にそんなこと言って」
「い、いえ、…大丈夫です。でも…貴方は…どうして…聞いてこないんですか?」
「単純に貴女の時間を邪魔したくないだけですよ。美人過ぎて、躊躇してしまうってのもありますけどね」
「そう…なんですね…」
「はい」
会話が途切れた。俺のコミュ力じゃこんなモンか。
「私は…貴方と…お話し…したい…です」
え?
「お、俺でよければ…」
「ありがとう…ございます…」
彼女は嬉しそうに微笑んだ。
「2年の…鷺沢…文香…です」
「1年の比企谷八幡です、鷺沢先輩」
「あの…『先輩』は…いりません」
「では、鷺沢さんで」
「…はい。比企谷…さん」
それから、鷺沢さんとベストプレイスで本の感想やお互いのオススメなんかの話をするようになった。
しばらくして、鷺沢さんがこんなことを言い出した。
「聞いた話…なのですが…。親しくなると、名前で…呼びあう…そうなのですが…」
「まあ、そうですね」
「私達も…やって…みませんか?」
いやいやいや。こんな美人を名前で呼ぶなんて。
「ダメ…ですか?」
そんな潤んだ瞳で見ないで!!
「わ、わかりました」
「では…呼んでみて…ください」
「ふ、ふ、ふ、…文…香…さん」
「はい…八幡さん」
がフッ!!し、死ぬ、萌え死ぬ。
大学生活も秋に差し掛かる頃、多少は話をする男の知人も出来た。その知人から、こんなことを言われた。
「比企谷、お前アイドルの鷺沢文香と付き合ってるのか?」
アイドル?付き合ってる?
「なんの話だ?」
「よく構内ハズレのテーブルの所で一緒に居るだろ」
「あぁ、一緒に本を読んでるだけだが?しかもアイドルって?」
「お前、テレビ見てないのか?」
「あまり見ないな。ゲームとアニメなら」
「おい、付き合ってないなら、紹介してくれよ」
「自分でやれ。色恋沙汰に首突っ込むのは懲り懲りなんだよ」
「まぁ、いいや」
文香さん、アイドルだったんだな。
そしてその日からベストプレイスに行かなくなった。
ベストプレイスに行かなくなって数日後、文香さんの友人達に捕まった。
「貴方が比企谷君ね」
なんで、この人怒ってるの?
「まあまあ美波ちゃん、落ち着いて」
「愛梨ちゃん、落ち着いてられません」
「すいません、俺が何をしたんですかね?」
「貴方が文香ちゃんを泣かせのよ」
え?なんで文香さんが…。
「文香ちゃん、貴方に嫌われたんじゃないかって」
「そ、そんな…」
「美波ちゃんも、そんなに強く言わないの。どうして、文香ちゃんに会わなくなったの?」
「そ、それは…、アイドルの文香さんの近くに俺みたいなのがいたら迷惑なんじゃないかと…」
「は~」
「は~」
なんかため息つかれた。
「あのね比企谷君。文香ちゃんは貴方の話をする時はとってもいい笑顔なの」
「そうそう。貴方に会えなくなってとても辛そうなの」
「貴方は文香ちゃんに会いたくないの?」
そんなことはない。本の話をするあの笑顔を見ていたい。
「でも、迷惑じゃ…」
「そんなこと言ってるんじゃない。会いたいの?会いたくないの?」
「比企谷君の本心はどうなのかな?」
「…会いたい…です」
「じゃあ、行きなさい」
「いつもの場所に文香ちゃん居るから」
「はい!ありがとうございます!」
二人にお礼を言って、ベストプレイスに向かう。そこには、文香さんが居た。
「八幡さん!」
文香さんが胸に飛び込んできた。
「八幡さん、私…」
「文香さん、ごめん。俺が文香さんの近くに居たら迷惑になるんじゃないかと…」
「そんなこと…ない…です…」
嗚咽まじりに答えてくれた。
「でも、俺は文香さんの近くにいたい」
「はい…」
「好きとか付き合うとかよくわかんないけど…でも…」
「はい…それで…十分です」
「ありがとう…」
「でも、これだけは…言わせてください。八幡さん…お慕いしています」
そう言ってキスをされた。
「まったく、世話がやけるわね」
「本当に…。なんか暑くなってきちゃった。脱いじゃおうかな」
「愛梨ちゃん、ダメ!!」
ゲスト
新田美波
十時愛梨