今日はIS学園1年生が楽しみにしていた臨海学校の2日目。
昨日は皆で思い思いに海で遊び、英気を養って今日は真面目に課題に取り組む────筈だった。
アポも無く突然現れたのはISの開発者であり、現在世界中の捜索から逃げ切っている天災こと篠ノ之束。
彼女は妹である箒に自身が作成した第四世代のISを渡すために現れたのだ。
箒に合わせてISを調整している間、イギリスの代表候補生であるセシリアが話しかけたが、心底鬱陶しそうに一方的な拒絶を示される。
友好的なのは旧知の間柄である箒と織斑姉弟だけだ。
その様子を我関せずとばかりに遠目から見ているのは2人目の男性操縦者としてIS学園に入学させられた佐藤和真である。
彼はとある理由から中学も長期に休んでおり、受かった高校もサボりまくり、家でゲーム三昧するつもりだったのだが、偶々登校した日にISの適性検査が行われ、運の悪いことにISが動き、強制的に入学させられた。
同じ男子である織斑一夏とは微妙に馬が合わず、付かず離れずの距離感で接しながらも今日まで彼なりに学園生活を送ってきた。
その過程で何故か女子達からクズマだのカスマだの呼ばれる事となったが。
とにかくそんな彼が天災と呼ばれる女と関わりたい訳もなく、精々話しかけられませんようにと祈りながらボーッと空を眺めている。
一夏のISを調べ終えた束がこちらに手招きしてきた。
「おーい! もう1人の男子ー! お前のISも調べたいから、さっさとこっちに来なよ!」
嫌な予感的中。
束が和真に向けてこっちへ来いと指示してくる。
しかし関わる気のない和真は耳を塞いでそんな奴は居ないとばかりに無視を決め込んだ。
その態度に苛ついた様子で束が近づいた。
「おいお前! 無視するなよ! 束さんがお前のISを調べたいって言ってるんだよ!」
無理矢理顔をこっちに向けさせてくる。
(お前だって散々オルコットに暴言吐いてただろうが!)
心の中でそう毒づくと篠ノ之束は心底期待外れだとばかりに息を吐いた。
「まったく。なんでこんなゴミにISが反応したのかな? お前みたいなのは世界の隅っこで誰にも認識されずに消えていくのが相応なのに。もしくはさっさと解剖されたりとか? 生きてるより、そっちの方が社会にとっても有益じゃん。それともここで束さんが解剖してやろうか?」
「おい束」
あまりの暴言に千冬が止めに入るが、当の本人に効果なし。
束の眼を見て思う。
篠ノ之束は佐藤和真を人間と認識していない。
精々、行列を作っている黒い蟻の中に黄色い蟻を見つけたから目に止まったが、気分次第でいつでも踏み潰せるんだぞと。
佐藤和真に対する認識はその程度なのだ。
その態度に和真はカチンときた。
「……おい。IS造って天災とか呼ばれてるからってチョーシ乗んなよ? 俺は真の男女平等を願う者。女相手に平然とドロップキックを喰らわせる男だ。ナメてるとイタイ目見るぞ」
「ハッ。だから? お前みたいなゴミが束さんに何か出来ると思ってるの? ほら、早くIS見せろよ。ゴミと違って束さんは忙しいんだよ」
そうして待機状態のISに触れようとする。
だがその前に和真は自身のISを起動させた。
学園から貸し出されたラファール・リヴァイヴを纏う。
それを見た周りが騒然となるが、束は愚者を見る目で和真を見た。
「お前がISを纏ったくらいで束さんには────」
などと言っていると、和真は手を束へと突き出し、何故か目覚めた単一能力を発動させた。
「スティールッ!」
一瞬ラファールの手の平が光だし、収まるとカズマはISを待機状態に戻して奪った物を両手で広げた。
「お! よっしゃあっ!! 天災のパンツゲットだぜっ!」
束のパンツを掲げて振り回す和真。
事態を理解した束が頬を赤くしてさっきまでの馬鹿にした態度から怒りの表情に変化する。
「お前ふざけるな!何盗ってるんだよ!? 返せ!!」
「断る!! このパンツは後でネットオークションで売り飛ばす! 天災のパンツはいくらで売れるかなぁ?」
「ちーちゃん! こいつ最低だよ!」
半泣きの束は千冬に訴えるが、本人はメンドくさそうに息を吐く。
それを見ていたシャルロットは自分の股間部分を押さえる。
少し前のタッグマッチで一夏&シャルロットVS和真&ラウラのペアで試合が行われた。
その時に当時シャルル君ことシャルロットに単一能力を使った結果、彼女のパンツを盗ってしまい、シャルロットの性別がバレてしまう出来事が起こった。
ちなみに和真の単一能力は、敵ISの後付け装備をランダムで奪い取り自分の物にする能力である。
しかし何故か女子に使うと高確率でパンツが盗れる為、女子への使用は禁止されていた。
ついでに言うと、始めての被害者は山田先生である。
「オラァ! パンツを売られたくなかったら! 生意気な態度を取ってすみませんでしたと謝れ!」
「く、うぅうううう!?」
パンツをヒラヒラさせて束に謝罪を要求する和真。
その様子に周りはドン引きである。
「いい加減にしろ、佐藤!」
「イッテェ!?」
頭を出席簿を喰らわされてパンツを落とす。
それを千冬が拾って半べその束に返却された。
この後に起こるISの暴走事件。
それを停止させる為に佐藤和真も後方支援として参加したが、件のISが何故か和真に攻撃をこれでもかと集中させた。
その理由は誰にも分からない。