ようこそ転生者が無双する教室へ   作:ハァート

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どう考えてもおかしいやろこれ!理不尽やろこれ!
どんだけ高評価積み重ねても、少しの人数でもつまんねー判定されたら簡単にひっくり返されるやんけ!納得いかんわ!


不満爆発

「このスポットは俺が占有した!ここを使いたければ俺にポイントを払いやがれ!」

 

ゲスの声がキャンプ内に響く。

 

「な………!?」

「どういうつもりだ!?」

「くっ………! 昨日の取引はこの為か! 外道め!」

「そんなに褒めるな。照れるだろ?」

 

念の為の確認か最後の希望に縋りたいのか。葛城はスポットに向かい、本当にスポットが占有されているか確認する。そこに映し出される『Bクラス占有中』の文字。

 

「………………」

「おめでとう。これで俺がBクラスのリーダーって確定したな。あぁ〜50 cl減らされちゃう〜」

 

煽る煽る。クソ煽る!

 

この煽りは、ただの趣味趣向というだけではない。戦略的意味も一応ある。ペラペラと手口を公開して煽ることで意味のない情報を公開しても、ブラフではなく煽りとして処理されることを期待している。

 

「葛城!お前のせいだぞ! お前があんな契約受け入れるから!」

「何言ってんだ!お前らだって賛成してただろ!」

 

坂柳派の暴論に戸塚が反論する。ここは戸塚の言う事も行動も正しい。あの契約はAクラスの総意として扱われるモノだ。少し口調が強いかもしれないが、こういう場ではむしろ弱気で正論を紡ぐよりプラスになる。

 

「おいおい内輪揉めしてる場合か? 『試験終了後に1人2万ポイント』か、『卒業まで毎月1人3000ポイント』のどちらを俺に払うなら、スポットの更新をしない事を宣言し、占有期間中にAクラスがこのスポットを使用することを許可する。この場を去って追加のテントや水を買うか、このスポットを俺から買うか。さぁ好きな方を選べ。Aクラスのリーダー」

「どうするんですか?! 葛城さん!」

「………少し、考えさせてくれ」

「5分で決めろ」

 

スポット内にいるAクラスの人間が集まり、俺に聞かれないよう方針を決める。一部の人間は警備などでこの場にいない人間を呼びに行くのか忙しなく走っている。

 

さぁ、どう出る?

 

 ——————————————————————

 

Aクラスの人達は1つに集まり、それぞれ意見を重ねていく。

 

「このスポットを手放した時、出る出費はどれくらいだ?」

「まず、井戸がなくなるから水が必要だ。今日は4日目。7日目に水を買わずに耐えると考えても、今日のこれから夜に向けてに1本。5日目、6日目に朝から昼、昼から夜に向けてそれぞれ2本ずつ。合計5本が必要だ。水1本の値段は6ポイントだから、30ポイント必要になる」

「熱中症でリタイアするリスクを考えたら、水は買い渋れないよなぁ」

 

「地味だけど、今日からスポット占有のポイントが入らなくなるからその分も減るよ」

「1日3回、今日の分は終わって、7日目だけは2回しか更新出来ないから………」

「8回、つまり8ポイント。水と合わせると38ポイントだな」

「それ以外買わないとしても、既に『毎月3000ポイント』の方が安く済む計算になってんのか。あの野郎、上手く考えてんな」

 

「一括で払う場合は20000ポイントか。これって安いのか?」

「『毎月3000ポイント』と比べるとその6ヶ月分だから、長期的に見たら2万の方が安く済むことになる」

「俺たちはAクラスでポイントも十分。0 clのDクラスじゃないんだし、20000ポイントくらいは誰でも払えるよな?」

「なら、20000ポイントが1番得か。得ってよりは損がないって方が正しいけど」

 

どう足掻いてもダメージを喰らう。誰もがそう思った時、新たな希望の風が吹いた。

 

「なぁ、俺バカだからよく分からねぇんだけどよ。そもそもずっとスポットを占有されるのか? 」

「「「は?」」」

 

「時間的に考えれば、次の次の更新タイミングは午前8時頃だろ? 点呼のタイミングじゃね?」

「あー!なるほどっ!」

「有りか? 有りだな!有りかもなぁ!」

 

1人の生徒の疑問から生まれた一筋の希望。しかし………

 

「やーでもよ。次の更新タイミングは大体夜中の12時だろ? そこで30分とか1時間くらい更新されず張り付かれたら終わりじゃね?」

 

橋本だ。見えかけた希望の光は一瞬で閉ざされる。

 

「夜中の12時でもこの無人島で活動出来るの?」

「夜でもライトが有れば行動は出来る。勿論危険だから本来はやるべきでは無いが」

「クラス争いやポイントが絡む以上ある程度の危険も飲み込んで行動くらいしてくる可能性は高いよな?」

「だな。少なくとも俺があいつなら多少のリスクは顧みず、スポットを取り続ける」

「ワンチャン、その事に気付いてない可能性は………?」

「いや〜。流石にその賭けは分が悪過ぎるだろ」

「まぁ、そりゃそっか」

 

やはり、契約を結ぶしかないのか。この場がそんな雰囲気で纏まりそうになるが、何とか突破口を見出そうとギリギリまでどうすべきか意見を交えていく。

 

「やっぱり、どう考えても20000ポイントが得だよな?」

「考えられる限りでは」

「値下げ交渉すれば、応じると思うか?」

「いや無理ゲーだろ。あいつとしてもこちらが飲みやすいラインの要求をしてるし、多分下がる気はないと思うぜ」

「だよなぁ」

 

やはり、結論は変わらない。そろそろタイムアップだ。

 

「そろそろ多数決を取ろう。『交渉に応じず、井戸とスポットを放棄する』が良いと思う奴、手を挙げてくれ」

 

誰も手が挙がらない。それを見渡した確認した葛城が次の問いかけに移る。

 

「『服部に毎月3000ポイント支払う』が良いと思う奴、手を挙げてくれ」

 

チラホラ2、3人の手が上がる。瞬間的にでもポイントが出ていくことを嫌う人がいるようだ。

 

「もう必要ないかもしれないが……『服部に20000ポイント支払う』が良いと思う奴、手を挙げてくれ」

 

多くの手が挙がる。一度も手を挙げてない人間が何人かいたが、これは意図的な無効票もしくは手を挙げても挙げなくても意味が無いと考えた結果である。

 

ともあれAクラスは服部と契約を結ぶこととなった。

 

昨日と同様、真嶋先生の下で契約を完了させる。

 

「じゃあなAクラス。お互い試験頑張ろう」

 

キレッキレの皮肉を送り、服部はこの場を去っていった。『坂柳派から葛城派への劣等感』。種は撒き、水も与えた。最後に日光を与えてやれば発芽するだろう。

 

 ——————————————————————

無人島試験4日目 昼

 

Aクラスキャンプ地近くに1人の男がいた。名は森重卓郎。坂柳派の1人。現在彼はAクラスキャンプ地を警備している。

 

森重は焦っていた。初めての特別試験。自分達のリーダーがいない不安。内輪揉め。葛城派の活躍。それなのに自身大した活躍も出来ず、それどころか服部とかいうポッと出のゲス野郎に良い様にされて。

 

プライドが傷付けられ、不安と劣等感で焦っていた。

 

 

そんな彼の警備範囲に迷い込んでしまった男が1人。無人島生活のせいか髪はボサボサ、服にも一部土がついて汚れている。如何にも弱そうな男だ。

 

「おい止まれ」 

「あ………」

「ここで何をしている? ここはAクラスのベースキャンプの近くだ。さっさと去れ」

「で、でも……」

「あ?!何だよ?」

「ス、スポットの権利は占有であって独占じゃないですよね?!」

 

そもそもスポットの範囲内ですらないが、少年の言うことは正論である。

 

「だから何だ?他のクラスだって事実上、独占してるようなもんだろうが。それとも何だ? 俺らAクラスと戦争したいのかお前。てかどこのクラスだよ?」

 

目の前の少年の聞き取りずらい声の小ささ、ハッキリしない喋り方、芯がしっかりしていないナヨナヨした立ち姿に森重は苛立ちが募っていく。

 

「た、ただの落ちこぼれのクラスです」

「フン。Dクラスか」

 

Dクラスと分かった瞬間、森重は少年を嘲笑する。

 

「あ………」

「あ?なんだよ?」

「い、いや何でもないです………」

「チッ。これだからDクラスは」

 

森重がここまでDクラスを見下すのは、彼の性格が理由ではない。いや、正確に言えば性格も一因ではあるだろうが、それが1番の要因ではない。

 

この試験で劣等感を刺激されたのは森重だけではなかった。坂柳派のほとんどが当てはまる。故に彼らは集まった。傷口を、舐め合った。

 

その方法は………………

 

『Dクラスの奴らまじバカだよなぁ。1カ月で1000 clとかどうやったら減らせるんだよwwwそれに比べて俺たちは900 cl 以上残せた!やっぱ俺たちこそが1番なんだよなァ!』

 

底辺のDクラスを馬鹿にすること。

 

傷付いたプライドを回復するために。劣等感を覆い隠すために。ずっとずっと馬鹿にしてきた。

 

散々馬鹿にしてきた相手が目の前にいる。多少、態度が横暴になるのも仕方ない話だった。

 

「とにかくこっちはお前を入れる気はねぇ。さっさと帰れ」

 

困った少年は、ポケットから白い紙を取り出し、ギュッと胸の前で抱きしめる。

 

「ん?何だそれは」

 

森重は一度追い返そうとする態度を止め、白い紙について尋ねる。

 

「え……?あ」

 

もう遅いだろうに紙を隠そうとする少年。自分から取り出した癖に隠そうとするなんて行動がチグハグだ。

 

「おい。何隠そうとしてんだよ。その手に持ってる紙だ。見せてみろ!」

 

だが、隠されたモノを見たくなるのは人間の性。Dクラスと聞いてから苛立ちを隠そうとしなくなった森重は、無理矢理ひったくるように紙を奪う。

 

「この島の地図か。随分と書き込んでやがる………おいおい俺らAクラスの場所も描かれるじゃねえか。分かっててここに乗り込んできたって事だよな? どういうつもりだ」

「ク、クラスのある人に頼まれて………」

「ふぅん。誰だ?」

「い、言えません!」

「ハッ。落ちこぼれのDクラスの中で更に下っ端か。救いようがねぇな」

「う、うぅ………」

 

森重の仕事は警備だ。兵士や消防、警察が仕事していない時が平和なように警備だって何も起こらない方がいい。

 

だが、心の奥底で無意識に何かが起き、その何かで手柄を立てることを期待していた。自分の焦りを、不安を消してくれる何かが起こることを期待していた。

 

さっさと少年を帰そうとしていた森重が、一度追い返そうとする態度をやめて地図を奪ったのもその期待感故である。

 

そしてその地図は当たりだった。期待に沿うものだった。手柄を立てるに十分な情報であった。

 

更に目の前の相手は散々舐め腐ったDクラスの人間。しかも下っ端。

 

確信に森重に向かって風が吹いていた。故に、森重の行動は必然だった。

 

「おい」

「は、はい」

「もうどっか行け。目障りだ」

「で、でも……」

「でもじゃねえ。お前のバックにいる奴には失敗したとでも報告しておけ。それと」

「?」

「この地図は俺がもらう」

「え」

「当たり前だろ? お前みたいな落ちこぼれDクラスの無能が俺らエリートAクラスの陣地に入ってタダで帰れると思ってんのか? それにお前みたいな無能が使うより俺みたいな頭の良い人間に使う方が遥かに有用だ。この地図もそっちの方が嬉しいだろうよ」

「う、うう………」

 

何も言い返さず、トボトボと帰っていく少年。

 

戦利品を手にした森重の高笑いが森の中に響いた。




一部ナレーション風で書いてみました。個人的には楽しかったのでこれからもまた部分的に投入しようと思います。

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