ハイスクールD×D 精霊と龍神と   作:きよい

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よし、なんとか更新できてるぞ。復帰後、まだ2話しか更新してないけどな!
今回から種学旅行も話が進んで行く、はず……。
では、どうぞ。


5話

 結局、アザゼルたちと話をした夜は、動くことはなかった。

 明日もあるから、と早々に寝かされたのだが、朝を迎えてみれば、頭が冴えているものだ。

「戦うことがあるのなら、そろそろ元の体に戻りたいところだけど……」

 オーフィスとの一件から、安定しないこの体。

 戻り方も、ロクに制御もできないのでは困ったものだ。まあ、仮に制御できたとしても、入れ替わりを日常的にしたいとも思わないけれど。

 面倒な体質になったものだと、改めて感じる。

「ん〜……カイトさん、髪きれい……」

「……」

 隣で眠るイリナから、寝言らしき言葉が漏れる。うん、彼女はきっとおかしな夢を見ているに違いない。夢でまでこっちの自分が出ているのかと思うと、ちょっと悲しい。

 イッセーたちは朝も修行するとか言ってたから、屋上に行っているだろう。

 別に、そっちに顔を出す必要はないしなぁ。

「カイトさぁん……」

 うん、決まり。

「まずはこの、お寝坊天使を起こそうか」

 幸せそうに緩んだ顔をしているところ申し訳ないけど、これでは朝の点呼に間に合わないかもしれない。

 そう自分に言い聞かせ、私はイリナへと手を伸ばした。

 

 

 

 昨日と変わらないメンバー。隣には、ちょっと残念そうな、でも嬉しそうな表情のイリナ。

 夢の内容までは聞けなかったが、なんだかとても幸せな空間にいたらしい。でも私が起こしてしまったから、もう少し見ていたかったとでも思っているのだろう。

「女の子ってわけわからない」

 小さな声で呟いた声は、誰に聞かれることもなく溶けていった。

 それにしても、みんなのテンションがとても高い。

 修学旅行二日目の今日。

 京都駅前のバス停から清水寺行きのバスに乗っているけれど、前に席に座るイッセーたちのテンションは得に高い。

 アザゼルにも楽しめと言われたんだから、そうあるべきなんだろうけど……京都は来る度に九重と八坂と観光してたから、やはり違和感が拭えない。

 彼女たちと回った観光地もいくつか立ち寄ってはいるのだが、内容がさっぱり入ってこない。

 楽しむって、難しい……。

 それに。

「さっきからよく見るな」

 観光場所を変えてもついてきている狐の妖怪が何体か。

 お茶屋にまで来ているのかと辺りを確認すると、一定の距離を保ったまま、やはりこちらの様子を探っている狐妖怪たちがいた。

「ねえ、イリ――あれ?」

 念のため伝えておこうかと思い、お茶屋の方へ振り返ると、松田、元浜、桐生が眠りこけ、ゼノヴィアが女性店員を睨みつけていた。

 ああ、それは警戒もするよね。

 頭部に獣耳の生えた、尻尾を出した女性。

 遠くからこちらを見ていた狐妖怪たちも寄ってきている。京都中が彼女たちの縄張りとは言え、こうも大きく出るものかな。

 私を除く全員が戦闘態勢をとるが、瞬間。

「待ってください」

 狐妖怪たちに混じって、ロスヴァイセさんがいた。

「ロスヴァイセさん! どうしてここに?」

「ええ、あなたたちを迎えに行くようにアザゼル先生に言われました」

「先生に? 何が起こっているんですか?」

「停戦です。というか、誤解が解けました。九尾んおご息女があなたたちに謝りたいと。特に、カイトさんには」

 イッセーとロスヴァイセさんの会話を聞いていて、よく理解できた。

 そっか、私のことも……よかった。

「なら、当然案内してくれるよね? いつも通り」

 疑問の残るだろうイッセーたちを放置し、一人の獣耳の女性に問いかける。

「もちろんでございます。カイトさまはともかく、他の方々には初めましてになりますね。私は九尾の君に仕える狐の妖でございます。先日は申し訳ありませんでした。我らが姫君もあなた方に謝罪したいと申されておりますので、どうか私たちについてきてください」

 あいさつと返答も込めて、かな。

「あの、どこに?」

 イッセーが頭の上にいくつものはてなマークを浮かべながら訊くと、当然のように答えが返ってくる。

「我ら京都の妖怪が住む――裏の都です。魔王さま、堕天使の総督殿も先にそちらへいらっしゃっております」

 アザゼルたちの仕業だろうか? 九重の誤解まで溶けるなんて、最高の展開だ。

 

 

 

 来るのはライザーとの一戦の少し前が最後だったかな。

 江戸時代の街並みを模したような古い屋敷が立ち並び、扉や窓から多くの妖怪たちがこちらに興味ありげな視線を送ってくる。

「おい、あれはカイトじゃないのか?」

「どうだろうな? まとう雰囲気は似ているが、あれはあんな幼童ではないだろう」

「だろうな。あれはそもそも女子ではない。我らが姫君お気に入りの男なのだからな!」

 来るたびに絡んでくるバカ妖怪たちも、今日は近寄ってはこない。

 これはこれで寂しいものだ。

 もっとも、今日に限っては赤龍帝であるイッセーにも注目がいっているみたいだけど。

 それから少し歩き、巨大な赤い鳥居の先に建つ屋敷へと踏み入る。

 すでに来ていると情報のあったアザゼルと魔王少女さまもいるね。

「来たか」

「やっほー、みんな」

 妖怪の世界だっていうのに、この二人は完全マイペースを貫く所存らしい。

 それと、その二人の間には、金色の髪の少女が一人。

 豪華な着物に身を包んだ、お姫さまのような少女。

「九重さま、みなさまをお連れ致しました」

 報告だけして、女性は炎を出現させて消えてしまった。毎回毎回、素早いものだと感心してしまう。

 でも、いまは彼女に集中しないとね。

 こちらを向き、一歩前に出た九重。

「私は表と裏の京都に住む妖怪たちを束ねる者――八坂の娘、九重と申す」

 自己紹介をし、深く頭を下げる。

「先日は申し訳なかった。事情も知らずに襲ってしまったこと、どうか許して欲しい」

 襲われたのは私とイッセー。

 当然、私が怒るはずもない。

 ならばイッセーはと隣を見るが、心配は必要ないね。

「俺は別に気にしてないし、顔をあげてくれよ」

 困ったように頰をかく彼の、どこを心配しろというのか。

「し、しかし……」

 だが、困ったような顔をしているのは、イッセーだけではなかった。九重も、不安気にこちらを見てくるのだ。

 その姿に思うところがあったのか、九重の側にイッセーが近寄り、彼女の肩に手を置き――。

「ストップ」

 すんでのところで、私はイッセーの手を払いのけた。

「か、カイト!?」

 私の行動に驚いたのか、大きな声を上げてくる。

 だが、それどころではない。

 両手で九重を抱き寄せ、イッセーの視線から、彼女の小さな体を隠す。

「イッセーは危険……未来あるうちのかわいい九重に手を出さないで。八坂にもあわせる顔がないし、九重に悪影響があったら困る。あと、あなたにおとされても困る。だから近づかないで」

 ギュッ、と九重を抱く手に力が入る。

「待った! 俺はそんなこと考えてはないぞ!」

「関係ない。これまでの言動がすべてを物語っている。だからやめて。九重は見逃して。一切あなたの影響を与えたくない」

 イッセーの背後から、アザゼルの手が伸び、イッセーの肩に置かれる。反対側からは、祐斗が。

「諦めろ、イッセー。カイトの言う通り、普段のおまえを知っているやつなら、自分の可愛がってるこどもを近づけたりはしない」

「ごめん、イッセーくん。僕もアザゼル先生の意見と同じだよ」

 二人して私と九重からイッセーを引き離す。ありがとう、二人とも!

 静かになったところで、下から声が聞こえる。

「お主、本当にカイトなのだな……?」

「うん、そうだよ。久しぶり――でもないかな、九重」

「すまぬ、カイトだとはまるで気づかなくて……」

 あー、うん。それは仕方がない。むしろ、初見で私をカイトだとわかる人の方が少ないだろう。

 八坂でも怪しいんじゃないかな。

「いいよ。だって、九重の大事な大事なお母さんのことだもん。よくがんばってくれたね、九重」

「う、うむ。しかし、本当にカイトだと言うのに、その、これは……」

 手をゆっくりと近づけ、目の前にあるふたつの山に触れられる。

「あの、九重?」

「同じ女としてこれは……しかし」

 なぜだろう、鬼気迫るものがある気がしてならない。

「一応、精神的には男のはずだからね? うん、そのはずなんだけどなぁ」

 しばらくは九重の好きにさせておき、肌や髪も触らせた。

 周りからは、

「カイトさん、家族だとああいう反応もするのね」

「正直、意外だな。オカ研にいる間はあんな優しげな表情は見たことがない」

「でも、優しい人ですよ、カイトさんは。普段は気を張りすぎているんじゃないでしょうか」

 好き勝手にいってくれるね、キミたちも。あとでちょっとお話したいな、って私思うの。

 まあ、それはあとでね。

 九重の頭を撫でながら、安心させるように聞かせる。

「でも、もう気を張らなくていい。だって、私が来たんだから」

 決意をひとつ、固めるように。

 九重にも、自分にも聞かせるために。

「九重のお母さんは――八坂は、必ず救ってみせるよ。たとえ、誰が相手になろうともね」

 これ以上、この子の悲痛な声も、涙も見たくはない。

 なにより、私の感情が黒く塗りつぶされる前に解決しないと。このままだと、私、今回の首謀者をどうするか、自制できなくなっちゃうよ……?

 自分の中の魔王の因子が顔を出しつつあるのを自覚しつつ、腕の中でまどむ九重を撫で続けた。

 

 

 

 

 

 

 カイトたちの様子を、遠くから観察する者が一人。

 妖怪の世界にいながら、誰一人たりともその存在を認識できていない。

 大木の枝に座るのは、小柄で華奢な体型の少女。

 乳白色の肌に、長く伸びたストレートの髪は、濡れ羽色とでもいうべきパープルブラックだ。胸部分を覆う黒曜石のアーマーは柔らかそうな丸みを帯び、その下のチュニックと、風をはらんではためくロングスカートは矢車草のような青紫。腰には、黒く細い鞘。

 少女は眩しいほどの笑顔を浮かべると、くりくりとした、アメジストを思わせる輝きを放つ大きな瞳がカイトを捉えた。

「見つけた」

 短くそれだけを口にすると、少女は闇に紛れるように姿を消した。

 消える寸前、その背にはコウモリの翼に似た形状の、特徴的なシルエットの翅が映った。

「やっと見つけたよ、お兄さん。今度、ゆっくり話そうね。ボク、楽しみにしてるんだから」

 あとには、反響する声だけが、長い間残った――。




最後にまたなんか出てきましたとさ。
今回も誰かわかりやすい感じは出しちゃいましたけど、まあいいよね!
書き方もだいぶ変わってきてるので、やはり一話から徐々に見直していこうかなと思います。
うん、徐々にね。
感想ももらえると嬉しいです。
では、また次回!
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