人の未来は光の中に(アムロ ジュドー ロンド・ベルinコズミック・イラ ルナマリアを添えて~   作:アママサ二次創作

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第14話 作戦立案

「えー! ウラキさんたちどっか行っちゃうの!?」

「しょうがないだろ。上から異動だって言われたんだから」

「それにしては早すぎません? まだ一週間経ってないですよ」

 

 ウラキとキースがラー・カイラムに着任してわずか数日後。2人に再び異動の指令が下った。それを受けて、急ではあるがラー・カイラムの健在なMS隊では互いの幸運を祈る食事会が開催されていた。といってもラー・カイラムのパイロットは怪我人やアクシスをめぐる戦闘での戦死者が多く、出動できる状態で残っているのはアムロ、ジュドー、ルナマリアと他に3名ほどしかいない。ここにも近く補充が行われるそうだが、であればなぜ馴染み始めていた2人を異動させるのかというのがジュドーたちの不満な点だった。

 

「上の考えていることは俺たちにはわからないものさ」

「けどきな臭いよなー、俺はともかくこいつの異動、それもどっから来たかわからない謎の艦だぜ?」

「こらキース」

「良いだろコウ。どうせいつかは知れることだって」

 

 キースとウラキの会話に首をかしげるジュドーやルナマリア、他のパイロットに、調子に乗ったキースが事情を説明する。

 

「異動先の艦、なんか得体が知れない艦らしんだよね」

「得体が知れないってどーゆーことよ? 連邦の艦じゃないってこと?」

「いや、連邦の艦らしいんだけどね。連邦の艦なのに、データベースに無いんだと」

「お前……そんな情報どこで拾ってきたんだよ」

「お酒。人の口も軽くなるしね。このあたりだと、ちょうど入渠してる艦整備してる人も来るのよ。それでちょろちょろーっと」

 

 笑いながら言うキースに、コウが静かにため息を吐く。この緩さと言うか軽さはこの友人と付き合い始めてからずっと体験しているものだが、何度経験しても軍人として大丈夫かと思わされずにはいられない。

 

「えーと、つまりお2人はよくわからない艦に異動になる、ってこと?」

「そーゆーこと」

「なんでそれがきな臭いの?」

 

 ルナマリアにそう尋ねられて、キースが待ってましたとばかりに口を開く。

 

「普通、こんな短い期間で異動になるっていうのはめったにないの。それこそ、こんな異常事態でもないとありえないでしょ。それも俺たちはテストパイロットからこの艦に異動になったっていう、既にありえないルートをたどってるわけよ」

「それは、たしかに……?」

「テストが一段落ついたとかテストパイロットが変わったとかじゃなくて、自分達のテストしてる機体を持って来てるからな、俺達は。確かにあんまり無いことだと思うよ」

「そそ。で、それがまた異動、それもよくわからない艦にだよ? 何かがあったか、何かがある、って言ってるのと同じだよね」

 

 そういうキースの言葉にその場はしばらくそれぞれの予想が飛び交い、騒がしい食事の場となった。

 

 

 

******

 

 

 

 ラー・カイラム隊のパイロットたちが食堂で騒いでいる頃、アムロは艦長室にてブライトと話していた。

 

「ブライト、何故2人が異動なんだ? ようやく艦に馴染み始めたところだと言うのに。それもゼネラル・レビルと言えば、未来から来たという艦だろう?」

「そのことについてだが……これを見てくれ」

 

 艦長室に入ってそうそう疑問を述べるアムロに、ブライトは室内のモニターをつけ、データを表示させる。

 

 そこに記されていたのは、とある作戦の概要。

 

 それに軽く目を通したアムロは、疑問の表情を浮かべた。

 

「これは……本当にこの作戦が成功すると思っているのか? というか上はこれを信じたのか?」

 

 そこに記されていたのは、月面に存在する、と地球連合の士官が伝えてきた大量破壊兵器の破壊に関する作戦であった。

 

 レクイエム、と銘打たれたそれは大規模なビーム兵器、それもコロニーレーザーほどの威力ではないにしろ高威力高射程を誇る兵器のようだ。またそれに加えて、ビームを歪曲させることで弾道を曲げることのできるという特性を持っているらしい。

 

「連合側がビデオ映像を持ってきたそうだ。実際に確認されているらしい。俺たちの世界のとあまり変わらん大きさのコロニーを切断しているのが確認できたそうだ」

「コロニーを切断……そんな威力を撃たれたらひとたまりも無いぞ」

「だから撃たれる前に破壊してしまおうという話だ」

 

 そう言ってブライトは、手元の端末をアムロの方に押し出してくる。

 

「確認してくれ。率直なところが聞きたい」

「なぜ俺なんだ? そういうのは参謀連中の仕事だろう?」

 

 アムロがそう答えるとブライトは、端末を操作して画面の一部を表示させる。

 

「この作戦への参加が予定されているのはロンド・ベルと改修が先に完了した方のネェル・アーガマ、それにゼネラル・レビルだけだ。その中でもゼネラル・レビルはその規模から単艦で運用するとして、それ以外をロンド・ベルが指揮することになっている。だから、MS隊の隊長としてのお前の意見を聞きたい、というのが参謀連中の考えだ」

「なるほど……まだ立案段階ということか」

「ああ。それに加えて、いくつか条件が設定されている。そのあたりの確認も含めて、という話だ」

「条件?」

「ああ。俺もまだ詳しくは目を通していないんだが、どうもMS部隊の運用に繊細さが求められることらしい」

 

 一体どういうことかと疑問に思ったアムロは、端末を操作して作戦の内容を読み込んでいく。その中で、作戦の達成目標、つまり変えられない部分の確認も出来た。当初の概要に書かれていた

 

「……上の連中は、本当にこんな博打みたいな作戦をやらせようというのか?」

 

 同じように作戦の内容を細かく読み込んでいるブライトにそう尋ねると、ブライトは視線を端末からあげて答える。

 

「それだけ切羽詰まっているということだ。戦意高揚のために使って構わないと送られてきた映像があるが、見るか?」

「戦意高揚の映像、か? なんだ、誰か演説でもしたのか?」

 

 戦意高揚と聞いてアムロがそうふざけているうちにブライトがモニターを操作し、映像が再生される。

 

 そこに映し出されるのは、今作戦において破壊対象となっている大規模破壊兵器がかつてもたらした被害。複数のコロニーを切断し、出撃した大艦隊を一撃で壊滅させた曲がるビーム砲と。

 

 月面をえぐり飛ばし、大艦隊をまとめて葬り去ったレーザー砲。

 

 戦意高揚などと、言うまでもない。これらがフォン・ブラウンに向けられた場合、全てが終わることを示していた。

 

「これを止めなければならないのか……」

「あくまで、プラントがこちらに服従を要求してきた場合は、という条件付きではあるが……今後のことを考えると、いずれ破壊しておかなければ安心は出来ないだろうな。何より、この世界ではこれらが既に複数度使われている。我々に対してだけためらってくれるなどということは無いだろう」

 

 作戦目標を具体的に確認したアムロは、再度作戦の概要に目を通し、ある一点に目を止めた。

 

「メガラニカ、というのは、あの光の中から出現した巨大要塞だよな? 使えるのか?」

「機能はすべて正常だそうだ。現在我々はこのフォン・ブラウンという都市と基地に閉じ込められているに等しい。それをもう一箇所増やせば作戦が円滑に行えるようになる」

「それこそこのレクイエムで撃ち落とされないか?」

「だからこそ、問答無用で撃たれる前にミノフスキー粒子で撹乱しながら隠しておくらしい。そうだ、言い忘れていた」

「なんだ」

「この世界、つまり、ルナマリアくんの世界には、実用化された核融合炉が存在しないらしい。そのため、ミノフスキー粒子も発見されていないそうだ」

 

 ブライトから突如としてもたらされた新しい情報に、アムロは耳を疑う。

 

「ちょ、っと待て。核融合炉が存在しない? じゃああのMSはなんなんだ? あれも俺たち同様に異世界からの来訪者だとでも言うのか?」

「いや、この世界のMSは基本としてバッテリーを動力源に持っているらしい。ハネツキやピンクなどの特に優れたエースの機体にのみ核分裂型の原子炉が使用されている」

 

 ブライトの説明した内容に、アムロの時はしばらく止まった。ミノフスキー・イヨネスコ型の核融合炉の開発がMSの開発において重要なポイントを占めるというのは、よく知られた話だ。それだけでなく、自らもMSの開発や整備などに携わっているアムロからすれば、このエネルギー喰いのMSを核分裂型の原子炉はおろかバッテリーで動かすというのは、ありえない話であった。

 

「お前が最初にジュドーと一緒に戦闘した2機と、ハネツキ、ピンクは原子炉、他の機体はバッテリーだそうだ。加えて、MSの装甲材も我々のものとは異なるらしい。その資料も後で送るから参考にしてくれとのことだ」

「……そういうのは、先に言ってほしかったな。普通にギラ・ドーガやジェガンクラスで考えてたぞ。ということは、向こうのMSのスペックは割れているということか?」

「おおよそはな。ミノフスキー粒子のこの世界の電子機器に対する影響は今のところ調査が上手くいっていないようだが、アスラン君曰く無線とレーダーは完全に死にロックオンシステムもほとんど機能しなくなるそうだ」

 

 そう言ったブライトが眺めているのは、アスランが提出した報告書だ。ルナマリアの提出したものと合わせて確認がされており、宇宙世紀の初期とも比較して概ね嘘ではないということが判明している。

 

「そうか、それでこの寡兵でこんな作戦を……」

「戦力の評価を実際に戦っているお前に手伝って欲しいという話だ。他にも、ルナマリア君とアスラン君の報告書も添付しておく。明日までに目を通しておいてくれ」

「おい、そんなに切羽詰まってるのか?」

「もういつ向けられてもおかしくない、という話だ。最悪の場合は今この瞬間撃たれる可能性もある。もっともザフトだけでなく通常回線を利用してプラント国内や地球でも受信可能な通信を送信し続けているから無視されることはない、と考えてるそうだ」

 

 脅威であると見なしたものを今すぐ排除するべきか。それともこの世界の人間もまた意思疎通が普通にできるのだからと、交渉を待つのか。

 

 それは答えの出ない問だ。

 

 そしてフォン・ブラウンは後者を選んだ。

 

 その結果がどう転ぶかは、もう少し先の話である。

 




なんとか!! 戦闘をさせつつしっかりと話をまとめられる展開を取り敢えず終戦のあたりまで考えられました。考えたというか偶然思いつきました。いや、ほんとに思いついてよかった。



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