52号線を北上し、甲府市を東に進むと甲州市という街に出る。
桃と葡萄の一大産地であるこの街は、今日も太陽の光をたっぷりと浴びた桃の木が、緑の枝葉を瑞々しく輝かせていた。
『へぇ、畑ばっかだ。これ、全部桃とか葡萄なんでしょ?』
最後尾を走る綾乃が周りをキョロキョロと見ながら言う。
『そうだよ。日本に出回ってる桃の6分の1がここで作られてるんだって。すごいよねー』
『そんな作ってるんだ』
『匂い嗅いでみて? ちょっと桃の匂いがするでしょ?』
『いやいやぁ、そんなわけ……ほんとだ!』
「いや、しないって」
あまり接点のない2人だけど、仲良くやれてるみたいだ。
「ちょうど旬の時期だし、帰りに笛吹公園でフルーツパフェとか食べに行ってもいいかもね」
そんな2人にほっとしつつ、思いついたことを言う。
『おっ、いいねー』
『はいはーい! わたし行きたーい!』
「はいはい、じゃあ決まりだね。ちょっと遠回りになっちゃうけど、休みだしいいよね」
『『はーい!』』
3人で楽しく話をしながら、奥多摩へ向けて大菩薩ラインの緩やかな登りを駆けていく。
道のはるか彼方にそびえる、太陽光を存分に浴びた甲州の山々はいつにもまして雄大で、これからあの山脈を走るのかと思うと、ボクの胸は否が応にも高鳴っていくのであった。
ギアを落とし、トルクを稼ぎながら大きく右に曲がっていく峠道を走っていく。
左右に生い茂る青々とした木々と、狂ったようなセミの鳴き声が夏の峠を走っていることを実感させてくれた。
『セミすごいねー ヘルメット被ってるのに全然音小さくならないよ』
「恵那ジェッペルだもんね。フルフェイスだったらもうちょっと静かなんだろうけど」
『わたしも最初はモンキー譲ってもらった人からもらったフルフェイス被ろうとしたんだけど、ちくわがすごい怖がっちゃってさー』
オフロード用のゴテゴテしたやつだったんだけど、と言う恵那。想像するとちょっとシュールな光景だ。
『いつかドッグキャリーとか使って一緒にお散歩とかしたいし、買い直したんだよね』
『ドッグキャリーってリュックみたいに背負えるやつだっけ?』
『そんな感じ。いきなり乗せると怖がっちゃうだろうから、まずは自転車で慣れさせてあげようって思ってる。今度写真送ってあげるよー』
『あは、それ絶対かわいいやつじゃん』
リュックから顔だけちょこんと出したちくわ……絶対かわいいやつだ。リンとかめっちゃ見たがるだろうな。
『でも、まずはわたしがバイクに慣れないとね。双葉、道案内お願いね』
「りょーかーい!」
きつくなってきた坂に合わせてギアをさらに落とす。エンジンがブンブンと唸り、マフラーが白煙をモクモクと吐き出していく。
「よーし、張り切って行こー!」
フルスロットル。エンジンが出せる限界の速度でトロトロと峠を駆け上がっていく。
『げほっ!? ふたばっ! めっちゃ煙かかってる!』
「あっ、ごめん」
スピードを落として最後尾に戻るボク。
『あ、あはは……どんまい双葉』
なんともしまらないボクなのであった。
大菩薩ラインをさらに進んでいくと、山はどんどんと深くなり、道はますます険しくなっていく。
『わわっ』
前を走るモンキーがフラフラしながらコーナーを曲がっていく。
「大丈夫?」
『あはは、まだ峠あまり慣れてなくてさー なんかコツとかってある?』
「バイクの大きさが全然違うから参考になるかわからないけど、上半身に力が入りすぎかも、手はハンドルに添えるくらいでいいんだよ」
『でも、それだと曲がらなくない?』
「バイクってよくできててさ、こっちがなにもしなくてもちゃんと走ってくれるんだよね。ボクたちはただそれに寄り添うだけでいいんだ」
思うに、バイクというのは生き物だ。こっちが怯えているとバイクも怖がってちゃんと走ってくれない。
けど、バイクを信頼して身を委ねればバイクもそれに応えてくれる。どんなカーブだって曲がってくれるし、どんな坂だって登ってくれる。
大型バイクだろうがスクーターだろうが、それは変わらない。
「タンクをしっかり挟んで、視線は前じゃなくて行きたい方向に、あとはスロットルを回していけばバイクが勝手にその方向に曲がって行ってくれる」
曲げるのではなく、曲がる。
セルフステアやコーナリングフォース、バイクの曲がる仕組みはいろいろあるけれど、本質はこの一つしかない。
「最初は怖いかもしれないけど、恵那ならきっと慣れるよ」
『うん、頑張ってみる』
『おー 真面目に先生やってるねー』
「も、もう! 茶化さないでよー」
おそらくニヤニヤ笑っているだろう綾乃の言葉にただでさえ暑いのに、さらに暑くなっていく。
『双葉先生ー! ギアチェンのコツ教えてください!』
「恵那まで乗らないの! 同じホンダなんだから綾乃に聞いてよー」
だいだいビーちゃんロータリーミッションなんだからリターン式のコツなんてわかるわけがない。
『えっ? わ、わたし? え、えっと、パっと握ってサッと緩めてスパッと変える?』
『先生! 擬音だらけでわかりません!』
『ふ、ふたばぁー!』
「はいはい、しょうがないなー」
泣きつく綾乃に笑いながら、3人でバイクの話で盛り上がる。
ミンミンと喧しいセミのオーケストラの中、トコトコと峠を登っていく。ゴールは未だ見えず。旅はまだまだはじまったばかりだ。
『ここで左でいいんだっけ?』
「そだよー」
ボクの言葉に、綾乃のエイプが陸橋の手前にある小道に入っていく。
大菩薩ラインを進むこと20キロ弱。ボクたちは今日のキャプ予定地である一乃瀬高原へと足を踏み入れた。
『うわ、めっちゃ山道じゃん』
鬱蒼とした細長い山道を走っていく。敷かれてからかなりの年月がたっているのか、アスファルトの大半がひび割れ、中には大きくかけているところもある。
舗装こそされているものの、ほぼ林道と言っても差し支えないだろう。
『ぐえっ、めっちゃガタガタするよぉ』
『ほ、ほんとだね。み、道間違ってたりしないよね双葉』
「い、一応合ってるはず……」
『めっちゃ心配になってきた……』
「だ、大丈夫だよ。ちゃんとストリートビューで確認したから……手前まで」
『い、今なんか嫌な言葉聞こえた気がするんだけど!』
「……山奥すぎてストリートビューなかった」
『キャンプ場予約したんだよね? なら大丈夫だよ……きっと』
『ま、まあちょっとした冒険だと思えば──』
綾乃の声が唐突に途切れる。何事かと思いバイクを停めるボクたち。深い山奥に3台のバイクのエンジン音が鳴り響く。
「いきなり聞こえなくなっちゃったね。今朝充電してきたばっかりなんだけど……」
そういいながらスマホを取り出す。原因はすぐにわかった。
「あ、圏外じゃん」
綾乃がつぶやく。画面の左端のアンテナマークに表示される圏外の2文
字。山奥すぎて電波が届かないらしい。さすがにこれは予想外。
「ま、まあ大声で話せば聞こえるよ」
いいわけがましいボクの言葉が山の喧騒に吸い込まれていくであった。
「よっと」
ステップに乗せた足を伸ばし、立ち乗りしながら大きなひび割れを乗りこえていく。
サスペンションが大きく沈み、ハンドル越しに衝撃が伝わってくる。
「あんま無茶して転ぶなよー」
「わかってるわかってるー!」
心配する綾乃に返事をしつつクランクケースにくっつけたくるぶしでバランスを取りながら険しい林道を走っていく。
さっきは予想外の険道にたじろいだボクたちだったけど、いざ走ってみるとそこまでひどい道でもなく拍子抜けした。
オフロードバイクじゃないと走れないような道だったらどうしようかと思っていたけど、これなら大丈夫そうだ。
水溜まりの上を走り抜ける。跳ねた水が少しだけ足元を濡らす。大きな窪みをスラロームのように避けていく。
スピードを出して風のように走っていくのも好きだけど、こうしてゆっくりと地道に険しい道を踏破していくのも、バイクの楽しみの一つだ。
「けっこう涼しいねー!」
前を走る恵那が言う。
「だよね、やっぱ標高高いからかな?」
キャンプ場へと続く林道は夏とは思えないほど涼しく、山の木々に清められた風がここまでの道程で火照っていた身体に当たって気持ちがよかった。
深い森の中、うねる林道を走りどんどんを走っていく。
息を吸えば、むせかえるような山の匂いが胸いっぱいに入りこみ、木漏れ日がヘッドライトのメッキをキラキラと輝かせる。
知らない道、知らない匂い、知らない景色。やっぱバイクはこうでなくちゃ。
「……綺麗だね」
前を走る恵那が言う。その言葉には、いろんな感情が詰まってるように聞こえた。
ボクもはじめてバイクで遠出したときはこんな感じだったな。
楽しくて、ワクワクして、でもちょっと怖くて、この角を曲がればどんな景色が見えるんだろうとか、もうちょっとスピードを出してみようとか、本当にいろいろなことを考えた。
恵那もきっとそんな気持ちなんだろう。
「この先に展望台あったはずだから、そこでちょっと休憩しよっか」
「「はーい」」
2人の元気な掛け声とともにスロットルを回す。流れていく景色。3つのエンジン音が山の緑に吸い込まれていく。
「「「おぉー!」」」
目の前に広がる大自然に、3人で感嘆の声をあげる。
一之瀬高原を登ること約4キロ。ボクたちは山を登りきった先にあった大栗展望台にたどり着いた。
「うわー、山しかないんだけど」
「ほんとだ……わたしたち、こんな山奥まで来てたんだ」
木組の柵の向こう側に広がるのは、どこまでも続く深い山々。標高がたかいからか、雲が山のてっぺんに帽子を被せている。
「リンにも見せてあげたかったなー」
恵那が写真を撮りながらつぶやく。
「ちょうどお昼だしライン送ってみてあげれば?」
「うん、そうだね。電波も繋がるみたいだしちょっと連絡してみるよ」
そう言いながら恵那がスマホをポチポチといじり、少ししてボクのスマホが震え出す。
恵那:一の瀬高原とーちゃーく
リン:めっちゃ山奥
双葉:ボクもいるよー
綾乃:わたしもいるよー
リン:知ってた。恵那1人でこんな山奥くるわけないしな。あんま無茶させんなよ
双葉:大丈夫! 往復たったの200キロちょっとだから
リン:なにも大丈夫じゃねえよ
恵那:そっちはどう? 友だち作れましたか? ご飯は食べれていますか? お母さんは心配です。いつでも帰ってきていいからね。オヨヨ
リン:お母さんやめろ。けっこう楽しいよ。教習おもしろいし
綾乃:今免許合宿行ってるんだっけ?
リン:うん。バイク楽しい
恵那:ファイトだよリン!
リン:ありがと、そろそろお昼終わるから切るね。じゃあまた
恵那:はーい、免許取ったらわたしのこと後ろに乗せてねー
リン:捕まるわ。来年になったらな
恵那:うん! 楽しみにしてるね!
リン:うぃ
スマホをしまう。楽しそうでなによりだ。
「リンちゃんがバイクかー ずっとスクーターだったからあんまイメージわかないね」
「ビーノでどこでも行くもんね」
リンはセンスいいし、きっとすぐ免許取って帰ってくるだろうな。そしたらまた一緒にどこかに行こう。
「4人でツーリングとかできたらいいよね」
「だね」
「うんうん」
夢が広がっていく。きっと、そう遠くないうちにかなうことだろう。いったいどんな旅になるんだろう。
そう思うボクだった。
「ねぇ2人とも、そろそろお昼にしない? わたしお弁当作ってきたんだー」
「えっ、ほんと? やったー! わたしもうお腹ぺこぺこだったんだよねー」
楽しそうに笑い合う恵那と綾乃。やっぱりバイクは人と人を結びつけるなにかがある。
「双葉も食べよ?」
「……うん!」
笑顔でうなずく。ちなみに恵那のお弁当はすごくおいしかった。
それからボクたちは山道をぐるっと回り、目的のキャンプ場へとたどり着いた。
「おぉー」
目の前に広がる手つかずの大自然を前に驚きの声をあげる。
まず目につくのは林の中を流れていく清流。透き通っていて、川底の苔や岩の形が丸見えだ。
そして次に目に入るのはほとんど人の手の入っていない木々。まるで山をそのままキャンプ場にしたようなそんな印象だ。
「なんか、キャンプ場っていうより秘境っぽいね」
「わかる」
綾乃の言葉に静かにうなずく。
さっき受付をしてなかったら、ここがキャンプ場だなんて信じられなかっただろう。
「じゃあ気を取り直して、キャンプはじめよー!」
「「おー」」
こうして、恵那のはじめてのツーリングキャンプがはじまるのであった。
椅子に座りながら、ランタンの灯りをぼんやりと眺める。
空はいつの間にか真っ暗になっていて、木々の隙間から見える漆黒の闇の中に、星が点々と浮かんでいた。
得体の知れない虫の鳴き声や、カサカサとなにかが動く音、風で揺れる枝葉。
夏の山はとにかく生き物の気配で満ち溢れている。最初のころは怖かったけど、今じゃどこか愛おしさすら感じる。
「あ、まだ起きてたんだ」
そんな声がして振り返る。恵那が眠そうな目を擦りながらボクを見ていた。
「どうしたの?」
「鳴き声とかがすごくて起きちゃった。夏の山ってほんとすごいよね」
「わかる。なんていうか、生命が溢れてるって感じだよね」
出しっぱなしにしていた椅子に恵那がちょこんと腰掛け、夜の山に耳を澄ます。
夜の一の瀬高原は8月とは思えないほど涼しく、時折吹く風が枝葉を揺らし、なんとも言えない心地のいい音を奏でる。
「今日はごめんね。いきなりこんな山奥走らせちゃって。もっと調べておけばよかったよ」
「ううん、すっごい楽しかったし、全然気にしてないよ」
「そっか、ならよかった」
「でもお風呂入れなかったのはちょっと気にしてるけどねー」
「うぐっ、明日温泉寄るからそれで許して」
「ふふっ、よかろー」
たじろぐボクに恵那が楽しそうに笑う。
「旅してるとお風呂入れないのとか普通にあるからさ、適当になっちゃうんだよね。リンにも言われたよ」
いきなり首筋に鼻を突っ込まれて臭いと言われたときは、ショックで2日ほどトラウマになった。
「あはは、ダメだよー女の子なんだから」
「うん、最近は気をつけてる」
「そういえば、明日はどうするんだっけ? 奥多摩湖行くんだよね?」
「そうだよ。朝一で麓まで行ってそのまま東に進んで奥多摩湖に行く予定。景色がすごく綺麗なんだ。恵那もきっと気にいるはずだよ」
「うん! 楽しみにしてる。そ、それでね、ちょっと頼みたいことがあるんだけど……」
恵那が頬をかきながら少し恥ずかしそうにボクを見つめる。
「よかったら、明日はわたしが一番前走ってもいいかな?」
「もしかして、ハマっちゃった?」
ボクがニヤリと笑いながら聞くと、恵那が小さくうなずいた。
いつものいたずら好きな恵那とは正反対の姿に思わず笑いが込み上げてくる。
「わ、笑わないでよぉ!」
「ふふっ、ごめん。恵那のそんな顔見るのはじめてだったからさ」
「わたしだって普通の女の子なんだよ?」
「うん、わかってる」
愛犬が好きでちょっといたずら好きな、そんなどこにでもいる女の子。ボクの大事な友だち。それが恵那だ。
「双葉、バイクって楽しいね」
「にひひ、でしょ?」
ボクが笑うと、恵那も笑った。心のそこから楽しそうな笑みだった。また1人、バイク好きが増えた。そういうことでいいんだろうか。
「じゃあわたしもう寝るね」
「うん、おやすみー」
「おやすみー 双葉ももう寝ないとダメだぞー」
「はーい」
自分のテントに戻っていく恵那に手を振って椅子から立ち上がる。ボクもそろそろ寝るとしよう。
足音を立てないようにゆっくりとテントの中に入る。
「おしるこぉ……」
「どんな夢見てるんだ……」
変な寝言を言う綾乃を見つつ、ブランケットを被って自分のマットレスに寝転がる。
「むむむ……ふたばぁ」
「ちょっ」
日焼けした手がにゅっと伸びてきて、ボクの身体をがしりとつかむ。
またか……暑いからやなんだけどなあ。
「綾乃、暑いから離れて」
「すぅ、すぅ……」
「聞いてない……」
一緒に寝るといつもこんな感じだ。そんなに抱き心地いいのかなあ?
「……しょうがないなあ」
頭をぽんぽんと叩き、ランタンの灯りを消す。綾乃はいつも一緒にいられるわけじゃないし、たまにはいいか。
「おやすみ」
目を瞑る。
こうして、ボクたち3人の1日が幕を閉じるのであった。
そして、日は昇り……
「わぁ! 大きいねー!」
ダムの縁に手をかけた恵那が、楽しそうに叫ぶ。
次の日、キャンプ場をたったボクたちは411号線を東に進み、目的地である奥多摩湖へとたどり着いた。
総走行距離124キロの旅。ボクたちにとってはちっぽけな旅だったかもしれないけど、恵那にとっては大冒険だったはず。
「ここもう東京なんだよね? なんか全然そんな感じしないや」
「あはは、それなー」
「バイクってすごいね。こんなところまでこれちゃうんだ」
「まだまだこんなもんじゃないよー! 琵琶湖行ったり、鹿児島行ったり、バイクならどこにだって行けるんだよ! ね、綾乃」
「ねー」
24時間不眠不休で走ったり予定にない豪雨で着替えが全滅したり、バイクの旅は楽しいことがたくさんあるのだ。
たんに苦行とも言う。
「あはは、それはちょっと遠慮しとこうかなー」
ダメかー やっぱリンのようにはいかないなあ。
「そういえば、双葉って夏どこ行くのー?」
綾乃がダムの底を覗き込みながらボクに聞く。見ててヒヤヒヤするからやめてほしい。
「野クルで夏キャンして、あとは最後のほうに鹿児島まで行ってこようかなって思ってる」
「うはー また遠く行くねー」
「せっかくの休みなんだし、うんと遠出しないとね」
「ふーん、じゃあ日程決まったら教えてよ。ついてくから」
「うん! わかった……え?」
あまりにもさらっと言われた言葉に思わずきょとんとするボク。そんなボクを綾乃が不思議そうに見つめる。
「ついてくるの?」
「うん。ていうか前言ったじゃん考えとくって」
考えとく……はじめて綾乃と琵琶湖に行ったときの話だろうか。そんなのよく覚えてたな。もう一年近く前の話なのに。
「めっちゃ遠いよ?」
「今さらでしょ?」
「そっか……」
この様子だと、誘わなくても待ち伏せされて勝手についてきそうな感じだな。
1人で行こうと思っていたけど、まあいいか。
「じゃあ、よろしくね」
「はいよー」
「ふふっ、気をつけてね2人とも」
「「はーい」」
「でも、たまにはわたしもツーリング誘ってねー」
そう言ってにっこりと笑う恵那。
「「うん!」」
そんな恵那に、ボクと綾乃もにっこりと笑い返すのだった。
「じゃ、せっかくついたんだし、3人で写真撮ろっか。すいませーん、写真撮ってもらってもいいですか?」
「ああ、構わんよ」
どこかで見たことのある渋い声のおじさんにスマホを持ってもらい、3人で肩を並べてピースする。
……っていうか、リンのおじいさんじゃん。
なんでこんなところいるんだろ……いや、気にしたら負けか。
「撮るぞ」
「「「ピース」」」
パシャリ。また思い出が一枚。
これにて夏編完結です。ここまで読んでいただきありがとうございました。
一応秋編と冬編の構想もありますが、季節的に取材に行くのが厳しいのとそろそろ新しい作品の執筆に取り掛かりたいので一旦完結とさせていただきます。
番外編はあと1話ほど投稿する予定なのでそちらほうもよかったらどうぞ。
ちなみに、冬の一の瀬高原はマジで冗談抜きでびっくりするくらいガチで死ぬほどやばいので訪れる際は注意するように。間違ってもノーマルタイヤの原付なんかで行かないように。
死にます(一敗)
ではまた。