聖闘士星矢:転生者編   作:madamu

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やっとできた。基本さぼってました。


ガイウス・ユリウス・カエサル

聖域のアテナ宮殿の奥の間。

以前にアスガルド調査の勅命を受けた広間の奥にある執務室だ。

 

そこには俺をはじめ、デスマスクの旦那、ムウ、アルデバラン、シャカそして城戸沙織がいる。

さほど広くない部屋の中では今回のアスガルド討伐についての報告と次の戦いへの内々の話が進められている。

部屋の隅には2名の神官が書記役として立っている。

 

「はい、アスガルドの神闘士は半数が異様な小宇宙を発揮しておりました。倒すと一気に肉体が損耗し、戦士としての宿命は絶たれるほど」

アルデバランは少し伏し目がちになる。

同じように神に仕える闘士としての哀れみだろう。

神のために力を使えず、ただの弱き人へと衰えていく。

それが同じ戦士ととして同情してしまったのだろう。

 

俺とジャミアンが命がけで手に入れた情報は、戦局を変えた。

ブルーグラードの地で防衛線をしていた蠍座のミロは早々に神闘士を倒し、その地の平定すると休みもせずに一気にアスガルドへの侵攻した。

そのタイミングに合わせてアルデバラン一行が「積極的な交渉」を行った。

つまりは「二方面攻撃」を行ったのだ。

 

あの報告が示したのは「真の敵がいる」、それはハーデス軍であり、聖域としては数日と言わず早々にアスガルドの状況を抑え込み、次の戦いに備える必要があるということだ。

速攻でアスガルド平定を謳ったアテナの慧眼が証明されたということでもある。

 

そしてアルデバラン一行は「ハーデス軍の監視」や「横やり」が想定される状況ということで、その行動方針を「果断即決」へとし、早々に決着まで状況をもっていった。

 

アニメシリーズのように1対1にこだわらなかった。

もっと言えば、必要があればグレートホーンで出合い頭の一撃。

攻撃の構えを取る前に奇襲気味の光速拳だ。

初速から終速まで光速。

壁のような光速拳が身構える前に飛んでくるのだ。

神闘士がどれほど鍛えていようと重傷は免れない。

 

さらには神闘士のジークフリートの不死身対策だ。

蠍座のミロが、ドSな性格を発揮した。

 

「殺す必要はない」と池田秀一のいい声で言ったらしい。

スカーレットニードルを14発で止めて、激痛で動きを鈍らせ行動不能にしたのだ。

 

ジークフリートの実力がどれほどのものか、相対ししていない俺は偉そうなことは言えないがTVシリーズを覚えている限り、黄金聖闘士と同等以上ということはなかった。

言っちゃ悪いが、セブンセンシズをギリギリ発揮できるかどうかの星矢に10万分の1秒の間で打たれるなら、光速拳を使う黄金聖闘士から見れば「多少早い」程度だろう。

まあ、オーディーンの鎧姿の星矢はかっこよかったので、現地で再現されなかったのは残念でもある。

 

最終的には聖域からのアテナの小宇宙でポラリスのヒルダ(銀髪のおねーさん)の洗脳は解けた。

そして裏では、魔鈴が一人の冥闘士と戦い、黒幕を特定した。

天暴星ベヌウと名乗った人物で、相当の腕前だったらしい。

魔鈴曰く「あんたに匹敵する。いや黄金聖闘士にも届くか」とのことだ。

 

北の街で旦那が戦闘不能になった冥闘士は地下牢で尋問中。

もうすぐ、何かしらの情報が出るだろう。

 

 

「アテナ、必要なのは阿頼耶識です」

「阿頼耶識」

シャカの口から出たキーワードをアテナはオウム返しする。

横顔だけ見ると幼さの残る美少女だな。今14歳くらいか?

 

「セブンセンシズ、その先の段階、エイトセンシズです。セブンセンシズが魂の燃焼であればエイトセンシズは魂の覚醒です。小宇宙を爆発的に高める以上に黄泉の国へさえもたどり着けられる」

 

個人的には三ツ矢雄二の声ってシャカっぽくないというか、まあ個人の趣味としてはなんか違う。

いつもシャカの声を聴くとそう思うが、今は最重要な会話が交わされている。

「無茶を言うな。この聖域でもそこにたどり着いているのはお前だけだろう、最も神に近い男」

デスマスクが横から茶々を入れる。茶々というよりか、嫌味だなこりゃ。

旦那はほかの聖闘士とは相性が悪い。露悪的で現実主義者、そんでもって皮肉屋。

厭世家の多い黄金聖闘士とは、そりが合わない。

皮肉屋のアフロディーテと器の大きいアルデバランくらいが相手になってくれるが、大半の同僚からは嫌われている。

 

「君もだろう。俗にまみれながらも黄泉比良坂と行き来できるのは」

シャカがやり返すが、それでも皮肉としてはジャブ程度だ。

「言うな、言うな、余計な仕事が増えるだけだ」

旦那は顔を軽くしかめて手を振る。

残業を嫌がるサラリーマンのようだ。

 

「デスマスク、女神の御前です」

ムウが二人の無駄話をいさめる。

この人が次期教皇になるんだろうな~。牡羊座による連続政権か~、貴鬼が継げば三代での教皇だ。ないな、(ヾノ・∀・`)ナイナイ。

 

「つまりは私もエイトセンシズに目覚める必要があると」

アテナは黄金聖闘士同士のやり取りを完全に無視して話を続ける。

鋼メンタルだな。マイペースだし、さすが財閥トップ、自分に関係ないことはガン無視だ。

「そうです。ですがそれは肉体的な苦痛ではなく、一瞬の覚悟、死への接近が必要です」

シャカは落ち着いた、しかしはっきりとした声で断言する。

 

原作20巻か21巻で沙織さんがサガに短剣で刺されるのは死ぬためではなく「エイトセンシズ」に目覚めるための儀式のようなものだ。

 

求められるのはエイトセンシズへの覚醒であり、それは死地をぎりぎりで潜り抜ける必要がある。

横目でデスマスクの顔を見るが「簡単にはできないぞ」と目で回答してくれた。

 

「だが、まずはドイツだ」

「だな。アテナ、ドイツにいる冥闘士たちの動向を探る必要があります。まだ完全に封印は解けていません。先制攻撃の機会はこちらにあります」

話を意図的に方向転換させるデスマスク。

俺もそれに乗って、アテナへの行動の方針を求める。

 

話を遮られシャカはこちらを閉じた目で見てくる。阿頼耶識の開眼方法を具体的に提示しないアンタが悪い。

短剣で喉をつけ!とでも言うのか。

 

「ドイツには何かある。二次大戦後にはあの地域には神話の戦士はいない。だからこそ電報の先にはいるはずだ」

旦那はシャカではなく、アテナやムウ相手に視線を投げる。

問いというよりは、推論だ。

「俗世のかかわりは?」

「聖域以外で俗世との強固のな係わりを持つ集団はいないだろう。ポセイドンの件を考えても明白だ」

アルデバランの言葉に旦那は早々に回答する。

 

そうなのだ。現在のドイツ連邦には神代の力を受け継ぐ戦士はいない、はずだ。

シャカは顔を横に向け手近な神官に質問をする。

「ふむ、俗世に疎いのでな。説明を」

この手の歴史の話は聖闘士よりも神官連中の方が詳しい。

実際に十二宮以外の領域の大半は祭儀場か訓練場か、図書館だ。

西暦が定着するはるか前、神話の時代が終わり人間の時代になってからのすべての記録は聖域にあるといってもいい。

ここに匹敵するのはそれこそ歴史のかなたに消えたアレキサンドリアの大図書館だろう。

 

「はい」

神官、ローブ姿ではなく聖職者を示すトーガをまとう時代遅れの姿のおじさんはそそくさと手元の紙束をめくる。

まあ遅からずPCの導入もされるだろう。グラード財団様々だ。

 

シャカの言葉に返事してからおおよそ2分、紙束を読み上げ始める。

「ドイツ連邦。一次大戦後に調査をした際、古代ゲルマン戦士ベオウルフの血脈は存在しておりましたがすでに小宇宙を操る闘法は失伝しておりました。え~、その後過疎地における防衛組織として二次大戦直前まで名前は残っておりましたが、ナチス党の躍進の余波で組織は解体。直系男子は二次大戦で戦死。血は残っておりますが、薄く弱い存在でございます」

「ベオウルフ、たしか闘気に獣性を乗せることができたはずだな」

最初に反応したのはアルデバランだった。

やはり闘技については実践者である聖闘士の方がよく知っている。紙の情報と現場の情報では内容が違う。

ベイオウルフという名前は俺も聞いたことがあるが、現在は戦士として終わったか。

 

「これで明白だな。小宇宙の技法はドイツランドでは途絶えた。だが、電報の先はドイツだ。つまりはドイツには【部外者】が居座っている」

「ハーデスの軍勢」

旦那の言葉に反応したのはムウだった。目を閉じ、一言一句聞き漏らすつもりは無い様だ。

「だろうな」

旦那の薄い笑い。悪事を働く前、何か頭脳労働をするときには旦那はこういった笑いをする。本人曰く癖らしいが、やめた方がいい。悪人面がより悪人面に見える。

 

「恐れながら」

「構いません。なにか」

本当に恐れながら神官が声を上げ、アテナが認める。

聖闘士とは違い、神官連中から見るとアテナは信仰の対象どころではない。まさに人生そのものだ。

俺たち聖闘士は信仰もするし恐れ敬うが、どこか戦いの前線に立つ者としてアテナの存在を身近に感じる。

彼女が戦の女神である証左としておこう。

 

「はい、ドイツには小宇宙の技法はベオウルフに伝承されておりましたが、いくつか聖域に関係した血筋がございます」

極力落ち着いた声で話す神官に茶々を入れるのはご存じ蟹座の男。

「バイエルン」

その言葉で神官は身をすくませ、小さくうなづく。表情も硬い。

 

「はいはい、オペラ好きか」

この言葉はデスマスク。バイエルンって言えばあのオペラマニアの城だよな。

俺もこのあきれた態度には同意する。

都市伝説では聖域とあの城を結びつける言説がたまにある。

あほか、近代建築のオペラ用の城と聖域がどうつながるんだよ。

 

しかし神官は黄金聖闘士の厳し気な態度に声を震わせながら話を続けた。

「はあ、バイエルンとザクセンの州境に古い修道会がございます。そこが前聖戦で残った聖骸布を管理しております。またハインシュタイン、ベルシュタインという貴族も聖域に関わる古物を所有している記録がございます」

 

ドイツの情報かと思えば、なんとも言えない・・・ん?

貴族→ハーデス軍→パンドラ→突き立てられた槍とM脚開脚→青少年の性癖変化。

あ、そうかそうか。

ここの記録とつながるのか。

 

「何かのオークション記録か」

今度はいじめっ子のようにできる限りいじわるに聞く旦那。こういうところは嫌われるよな。

立場の弱い神官じゃ、「よくご存じで、カニカニ」とは言い返せない。

 

「はあ、1920年代のクリスティーズの記録がございますが」

まじかよ、ほんとにオークションで聖域由来の古物を買った記録あるのかよ。

「それみろ」

鬼の首を取ったように鼻を鳴らす旦那。

 

「ですが、ハイシュタイン、ベルシュタインとも家系的には1700年代の前聖戦期にギリシャからオーストリアに移った貴族の流れでして、縁浅からぬ・・・」

「記録は近代オークションで登場ね、前聖戦で何をしていたんだか」

弱々しく食い下がる神官に侮蔑するような視線で言葉を言うと、神官は黙ってしまった。紙束を持ちそそと数歩下がる。

 

「おやめなさい。では、調査はベオウルフの末裔、そのハインシュタイン、ベルシュタインの動向です」

アテナはぴしゃりと言うと、神官に調査対象を指示する。その神官は頭を下げ早速と執務室から出る。

残ったもう一人の神官は会話の筆記を続ける。

 

「アテナ、グラード財団では」

俺が言い終わる前にアテナは意図を理解したのかすぐに回答する。

「好きになさい。後ほど辰巳に、私の執事に言っておいて」

目線もくれない。まあ、前回同様にこの財団を使っての情報収集もアテナの中では既定路線なのだろう。

 

「敵の行動拠点の洗い出しと、聖域の防衛。この二点ですな」

話をもとの路線に戻したのはアルデバランの言葉だった。

行動の中心点を明確にしてくれた。

 

「そうですね。食料などの備蓄品や警戒態勢の見直しをした方がよさそうです」

アテナの言葉に残された一人の神官が執務室のドアを少し開けると、外に待機した別の神官に何やら小声で話す。

備蓄品の確認などの事務仕事は彼ら神官の領分だ。

あとは筆頭の役職持ちの俺が警戒人員の割り振りを考えないとな。

 

「ポセイドンの時とはだいぶ違うな」

落ち着いた声でシャカが呟く。確かにポセイドンとの戦はいかにも神話時代の勇者が突入して倒す、というものだった。

だが今回は事前情報があり、すでに小規模の戦闘もある。

選択肢を出せる程度にカードがそろっている。

 

「そうだな、今度は本当に戦争だ。お前がお嫌いな俗世流でのな」

「俗世とは距離を置いている、好悪の話ではない」

「さいでございました」

シャカの言葉を揶揄する旦那に、金髪の乙女座は閉じた目で視線も投げない。

旦那は舌を出しおどけて返す。

 

「もう少し諍いは控えてもらいたい。シャカ、デスマスク」

ムウが二人に視線を投げる。

「へいへい」「うむ」

同時の回答は言い方は違うがだいたい同じようなものだ。

 

「だが初手は防御すぎないか」

アルデバランの言葉は不安よりも戦略面での疑問といった口ぶりだ。

「無理を言うな。またアテナ自ら敵地に赴いてそれを俺たちが追っていくなんてナンセンスだぞ」

蟹の旦那は嫌味のつもりで言っているが、一切動揺しない城戸沙織はメンタルすげーわ。

「敵には最大限のダメージ、俺達には最小限の損害。来た、見た、勝ったとはいかない。そのためにはどこに攻めるのか、どうやって攻めるのか、どうやったら守れるのかが重要だ」

 

意外だが軍事国家でもあるイタリア。戦争の歴史という話をしたら地中海に面した国々は一家言ある。

残念ながら厭世家気質の乙女座と牡羊座はこの手の話だと一歩踏み込めないし、牡牛座は大局を見る視座がない。

 

「この戦いを聖戦と宣言します」

アテナ、城戸沙織はこの場にいる聖闘士全員の顔を順に観る。

全員、聖戦との言葉に首を垂れ同意する。

 

ついに聖戦だ。だが、最初は調査から行われる。

聖闘士星矢JC第19巻のような、ハーデス軍の聖域侵攻ではない。

なんとも地味で、そして妙な緊張感、戦闘とは違う頭を使うヒリヒリ感がこの執務室に充満した。

 

「蟹座のデスマスク、あなたをこの聖戦における参謀としての任を命じます」

「はぁ?」

素っ頓狂という声はこういうことを言うのだろう。旦那は驚きで口を半開きにする。珍しい顔だ。

「牡羊座のムウ、あなたは私、アテナの代理人として臨時的に教皇と同等の権限を与えます。各地にいる全ての聖闘士を聖域に召集しなさい」

旦那の顔芸を無視してアテナはムウに視線を向けて話を続けた。デスマスクという厭味ったらしいイタリア男にも慣れたのだろう。まあ声が藩恵子さんだしな。

 

「承りました」

ムウはその首を垂れ任務を受けた。

つまりは一時的とはいえ「教皇」と同位に立つことを承知したのだ。

サガも狂わずに残っていれば普通に筆頭黄金聖闘士として教皇代理の立場になれただろう。

 

「役職名はどのように記載しましょう」

神官がおずおずとアテナに聞く、紙束を持って。

記録は彼らの人生だ。この戦いの仔細をすべて記録するつもりなのだろう。次代の聖戦のために。

 

アテナは視線をムウから手元に戻し2秒ほど固まる。

そして神官に役職名を告げる。

「独裁官とでもしましょうか」

 

答えたアテナは神官でもなくムウでもなくデスマスクを見やった。

「来た、見た、勝った・・・ね」

デスマスクは城戸沙織の笑顔に対して正しい言葉を紡ぐ。

そして額に手を当て、牡羊座のムウを見る。

デスマスクの言った意味は理解していない様子だ。

ムウがキョトンとして視線を旦那とアテナに往復する。

 




サブタイトルの意味はwikiで検索するとなんとなくわかるよ。
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