心を無くした男と、嘘つきな王サマ 作:朝霧=Uroboross
夏イベに翻弄され、推敲に悩み、水着クロエのセリフを聞いて胸をグサグサと刺された今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。
はい、遅れて大変申し訳ない。
UBWとヘブンズフィールを一話一話じっくり見直しながら、FGOの夏イベを周回してたらいつの間にか時間が経っており……ハイ、ズビバゼン。
最初に告げておくと、初夜のバーサーカー戦は残念ながら大幅カットです。ごめんねバーサーカー、君の大事なところはそこじゃないんだ……許して。
教会に入る2つの影。周りには、周囲の警戒するかのように見張る2人。それを見ていたのは、なにも一つだけではない。
やがて、2人が教会から離れたのを見計らい、大木を思わせる巨人を連れた少女が襲撃する。可憐な挨拶とは裏腹に、残酷な戦闘開始の合図を行う。
幾重もの重たい剣戟の音が響く。時おり、何かを破壊するようなものまで混ざり、夜闇の静けさに似合わない圧迫感が流れる。
夜明け頃の霧、眠る墓地。その静けさが、突如として砕かれる。
「くっ──────はぁっ!!」
「■■■■■■■ッ!!」
筋肉質な巨漢と、華奢ながら鎧を着けた少女。見えない剣を振るいながら、柱のような斧剣が振り下ろされる。
あまりの質量に土煙を上げながら、少女は巨人と相対する。周囲の墓石を破壊しながらも、僅かながらに傷をつけていく。
「──いくぞ、ここが貴様の死地だ、
「■■■■■────ッ!!」
と、ここまでが昨夜の話。
結局、あのバーサーカーってやつは倒しきれなかったし、何ならアーチャーのヤツがデカいのお見舞いして、あのまま帰っていった。
オレはと言うと、あの2人が帰ったあとすぐに吐血して気絶しちまったらしく、気付いたら家で遠坂に診てもらってた。ほとんど、何にも出来なかったけどな。
起きた後は、弁当を忘れた藤姉に作って持っていかなくなって、セイバーがあちこち歩き回るせいで、学校中を歩き回る羽目になってしまってと、かなり大変だった。
そんなこんなで夕暮れ時までかかってしまってるし、こりゃ夕飯どうするかも考えないとなぁ…。
「────ってぇ、ちょっと待ったーッ!!サラッと流そうとしてるけど、あの子と同居してるわけ!?」
「わ、私ももうちょっと……って、違う違う。ふ、不純ですよ!!同居なんて許していいんですか、藤村先生!!」
あぁ、こっちもどうにかしないとなぁ…。
その後は、なんだかんだで藤姉たちも一緒に住むと言い始めるわ、起きたら起きたで当の本人はいなくなってるしわで、ほんと参った。
「…………ッ」
「あー、遠坂、おはよう。えっと、顔になんかついてるか?」
なんでさ。朝登校したら、遠坂にはすんごい顔で見られた。なんなんだ?オレの顔に変なものでもついてたか?
その後は普通に授業受けてたわけなんだが…問題は、生徒会室で昼メシを食ってたときに起こった。
「美綴先輩が、行方不明!?」
「あぁ、昨日家に帰っていないらしい。最後に会ったのが間桐慎二なんだが、アイツも行方を知らんと言う」
そうか…。慎二がそう言うってことは、多分そうなんだろう。口は悪いけど、そういうことでウソは吐かないヤツだしな。
その後は、どうしてもその件が頭に引っ掛かって、放課後に色々と聞き込みをしていったら、どうやら美綴は風邪で寝込んでいるってことがわかった。
けど、どうしてなんだろう…どこか引っかかる。何か、大事なことを見損なっているような気がする。
やっぱり違和感がする、学校に引き返そう。そう思って、夕暮れ時だけど中を探索していたら────出会ってしまった。
「呆れた。サーヴァントも連れずに学校に来るなんて、正気?いっそ、休みなさいよ」
「んなこと言ったって、マスターは人目のあるとこじゃ戦わないんだろ?」
「ふぅん…じゃあ聞くけど、ここって人目があるのかしら?」
そう聞かれて、慌てて辺りを見渡す。遠坂は階段の踊り場から見下ろしている。辺りの教室からは人の気配がせず、無人なのがわかる。
嫌な気配を感じた。ふと遠坂の方を振り返ると、魔術刻印を起動させて指先を向けていた。
「ちょろちょろ動き回るんじゃないわ!覚悟しなさい、士郎!」
「ちょっ、まっ────」
指先からガンド────北欧の地味な呪い、のはず────を次々と放ってくる。というか、地味って言ったのだれだよ!殺意しか感じないじゃないか!
慌てて近くの教室に逃げ込んだはいいものの、遠坂に結界を張られてしまう。明らかにヤバい────近くにあるものをかき集めて、咄嗟の盾を作る。次の瞬間、無数のガンドが壁を越えて無数に放たれてくる。
「──
魔弾の群をしのぎ切り、止んで一拍放たれた爆発も既のところでドアを打ち破って回避する。無茶苦茶すぎるだろ、あいつ!
なんとかして遠坂と相対したはいいけど、ここからどうする。魔術師としての腕なら遠坂が上、このままやり合ってもジリ貧だ────
『きゃあぁぁぁぁぁっ!!』
「「────ッ!!」」
瞬間、身体が動いた。特に何か考えたわけじゃない。けど、ここで悲鳴が上がるってことは────!
慌てて外に出てみれば、気を失って倒れている女子生徒。良かった、気絶しているだけで…。
「バカ!そんなわけないでしょ、中身が空っぽなのわからない!?」
「なっ、どうにかならないのか!?」
その人は遠坂のおかげで、なんとか息を吹き返した。中身が空っぽ、生命力────
その時、何かが森の奥から見つめてくるような…
「ッ!遠坂危ない!!」
「えっ────」
咄嗟に前に腕を突き出す。
────痛い。おぼろげだけど、何かが突き刺さっている。鋭くて、これは…杭?これは、攻撃か──!
このままだと、オレも遠坂も、ましてやこの人も危ない。
そう思って、女子生徒を呆けたままの遠坂に任せ、気配の元──―攻撃先の相手を追って森へ入っていく。
奥へ、奥へとかき分けていく。どこから来るから分からない空気に警戒しながら進んでいって──────
「…驚いた、令呪を使わないんですね、アナタ」
次回からはライダー戦1回目です。
話数が経つにつれ、日常はどんとん消えていくので、今のうちに楽しんでくださいね(ハート)。