ダンまち世界のクー・フーリンにFate好きなオリ主が憑依した話。

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ダンジョンにクー・フーリンがいたら。

「どうした、その程度か」

 

目の前の男はハァとため息をつく。

次いで、つまらんーー、そう零した。

 

「興が冷めた……おいフィン、やめだ」

 

手に持った紅い槍を肩に担ぎ、自身に背を向け男は戻ろうとする。

腹が立つーーー。

自身を見ない男に腹が立つ。

こんなものかと上から目線で自分を値踏みしてくる群衆共に腹が立つ。

そして何よりーーーー。

どんなに強がっても実力のない自分に腹が立つ。

 

「……ま……てや……」

 

立つだけで足が震え、倒れそうになるのを抑え込む。

そんな自身の姿を見て男はニィと笑う。

 

「それで、小僧。その身体で一体何が出来る?」

 

トン、と槍で地面を着く音が耳に響く。

 

「うる……せ……ェ」

 

「……あ?」

 

「うるせェって言ってんだ……舐めんじゃねェ……ぞ!!」

 

「ーーーーーク」

 

堪えるような声。

男の顔は心底愉しいと、そう語っていた。

 

「合格だ……ま、今は大人しく寝とけや」

 

首に感じる衝撃と共に意思が遠のく。

ベート・ローガの入団試験で起きたことだ。

 

 

オラリオの街から少し離れたとこにある草原に二人の男が対峙していた。

 

「…………」

 

「おい、ここまで連れて来といて何もナシか?」

 

「……いや、こうして貴様と剣を交えるのを俺も待っていた……」

 

好戦的な笑みを浮かべる男とは真逆。

男は何処までも表情を崩そうとはしない。

 

「そうかい……ならここからは」

 

手に持つ槍を男は構える。

それを確認し、男もまた剣を抜く。

 

「あぁ……ここから先はこれで語る。」

 

「ーーーーー!!!!!」

 

男が言い終わると同時に、駆け出す。

目で追うことすら困難な程の脚。

男、クー・フーリンはオラリオ最速と呼ばれる程の速さを持っていた。

 

「オラァ!!!」

 

最速の突きが襲う。

それを男は、オッタルは最小限の動きで躱し続ける。

 

「どうした!この程度か!?オッタル!!」

 

「…………フ!」

 

オッタルは大剣を地面に叩き付ける。

辺りに煙と衝撃によって地面の破片が飛ばされる。

 

「…………テメェ、何のつもりだ?」

 

10m程先でクー・フーリンはこちらを睨んでいた。

 

「…………」

 

「この戦いに泥を塗るつもりか……オッタル」

 

ギリ、と歯を食いしばり殺気が飛ぶ。

波の人間なら正気を保つことすら困難なほど濃密な殺気。

 

「すまない……鈍ってないか確かめさせてもらった」

 

「……そうかい……ならーーーー。」

 

クー・フーリンは先程まで握っていた黒く染まった槍を地面に置く。

空いた手を空中に翳す。

突如、オラリオの方から紅い軌跡が飛来してくる。

それはそのままクー・フーリンの手に収まる。

 

「ここで死ねや」

 

クー・フーリンを象徴する武器。

ロキ、ゴブニュ、ヘファイストス、そしてクー・フーリン本人の血を混ぜて作られたオラリオ最高の一振り。

三神の血を混ぜ、『神』の血を引くクー・フーリンの血が混ぜられたその槍は自身を真紅に染めあげ、使い手の意思に応える自我を確立した。

 

駆けると言うよりは、跳躍。

ただの1度の踏み込みだけでクー・フーリンは自身の槍が届く間合いにまで入っていた。

 

「オラァ!!!」

 

深層に眠る獣の素材から造られたその槍は、獣と同じ呪いを宿していた。

黒龍にすら届きうる獣、その力は因果逆転の呪い。

穿つは心臓、狙いは必中。

その力を真に解放し、放てばそれは運命すら捻じ曲げ相手を殺す。

 

しかし真に恐ろしいのは槍ではなく使い手。

その事をオラリオに住む誰よりもオッタルは知っていた。

 

「ーーーーー!!」

 

不壊属性が付与された己の大剣ですら、かの槍の一撃で悲鳴を上げた。

卓越された槍裁き、クー・フーリンのファミリアの団長すら超える程の技量。

それを前に、やはり己の敵足り得るのはこの男しかいないとオッタルは思う。

 

都市最速と都市最強。

オラリオにてたった二人しかいないLv.7。

何人も邪魔することは許されない。

 

「ッチ!!テメェ、守るだけなら亀でも出来るぞ」

 

「そう吠えるな、俺自身、この闘いを純粋に愉しんでいる……」

 

「……昔のテメェはもっと威烈だったぞ、あの女のお守りで鈍ったんじゃねぇのか」

 

「……あの御方に対する発言を許容出来るほど俺は甘くはないぞ……」

 

男の言葉は自分のか心に火をつけるには十分だった。

 

「フンッ!!」

 

「ッァ!!……チッ!相変わらずの力押しか!!」

 

オッタルは無理やり大剣を振るい、クーフーリンとの距離を開ける。

 

「あーあ、失敗しちまったかこりゃ」

 

オッタルの纏う空気が変わるのを察し、クー・フーリンは自嘲気味に笑い頭を搔く。

今度はこちらの番だと、オッタルはクー・フーリンに攻撃に転じる隙を与えず大剣を振るう。

その全てが必殺の一撃、それらを全てに対処出来てるのはクー・フーリンが都市最速という異名を持つほどのステイタスを持っているからだろう。

 

「……貴様も相変わらず脚が速い」

 

ごう、と風が唸る。

クー・フーリンが駆けた音だ。

 

「はぁ……参るなこりゃ」

 

槍を構え直し、クー・フーリンは息を吐く。

青と赤、都市最速と都市最強。

奇しくも、二人は对の存在だった。

 

「ーーー!」

 

オッタルが駆け出す。

 

「バカが!!」

 

自ら自分の間合いにはいるオッタルをクー・フーリンは嘲る。

手にするは槍、その長さ凡そ2m。

どう足掻こうともオッタルの剣は届かない。

そのアドバンテージすら、クー・フーリンは捨てる。

普通、長柄の武器は相手を迎え撃つほうが遥かに楽な作業。

しかしクー・フーリンは違った。

オッタルと同じく自ら飛び込み、間合いを詰める。

 

「ぐっ……!!」

 

「たわけ、これが俺の全力と言った覚えはないぞ」

 

突如、オッタルの力が上がる。

全てを粉砕する一撃が、クー・フーリンを叩き潰そうとする一撃が力を増す。

如何に不壊、そして三神の力が宿る槍でも何度も打たれれば隙が生まれる。

その隙をオッタルは見逃さなかった。

 

息をもつかせぬほどの連撃。

二人の実力は拮抗していた。

絶えず動き続け、その必殺の槍を振るい続けるクー・フーリン。

それら全てを持ち前のタフネスと力でねじ伏せるオッタル。

 

英雄譚に語られるような一幕がそこにはあった。

そして、どんな物語にも終わりは来る。

 

「…………もう終わりか」

 

「そのようだな」

 

二人の対決により地形は変わり、草が生い茂っていた草原は荒地へと変わり果てていた。

彼らの視線の先には太陽が登っていた。

 

「チッ……テメェも俺も死合には背負うものが増えすぎたか」

 

構えをときクー・フーリンが目を瞑る。

未だ内で猛るそれを、抑え込むように。

 

「…………あぁ、それに今回、俺はあの御方から死ぬことを許されてはいない」

 

「ハナからテメェは手合わせで終わらせる気だったって訳か……」

 

クー・フーリンはハァと息を吐く。

それに全てを乗せて。

そうして、何分が過ぎただろうか。

クー・フーリンが目を開ける。

そこには先程までの獣の如き粗暴な面は消えていた。

 

「まぁいい、生きてりゃその機会はそのうちできる」

 

二人の英雄の決着はいまだつかずにいた。

 

 

ロキ・ファミリア結成当時ーーー。

 

 

「本当に……いいのかい?」

 

「あ?……あぁ、俺よりテメェの方がむいてんだろ」

 

「それは……どういう?」

 

「俺はどこまで行っても槍兵でしかねぇからな……誰かを率いるなんてのは柄じゃねぇ」

 

「そうかな、案外、君なら上手くやれるとぼくは思うけど」

 

思えば、この時の自分は不安だったのだろう。

目の前の男は見るの全てを魅了してしまう、その生き方は、その闘いは正しく英雄と名に相応しい代物だ。

そんな男と比べたら自分はちっぽけな存在。

そんな自分がファミリアを任される、それが不安で、納得できなかった。

自分よりも目の前の男の方がーーー。

そんな不安があった。

 

「かもしれねぇ、だが少なくとも今の俺よりもお前の方が上に立つのは向いてる」

 

「クー・フーリン、君程の人間がどうして」

 

「…………俺は所詮紛い物だからな」

 

そう語る男の顔は、どこか寂しげでーー。

今にも消えてしまいそうだったのだ。

 

「紛い物?……君は正真正銘の英雄じゃないか」

 

「……そうかい…………なら、こうして生きてるのにも意味があったって訳だーーー。」

 

「クー・フーリン……君は、一体……。」

 

「まぁいい、何方にせよ俺を含め、ガレスとリヴェリアもお前が団長の座に着くのを承諾している、このファミリアの団長はお前だ」

 

「…………」

 

「そう不安そうにするんじゃねぇ、俺は槍兵、前線に立ち迫り来る敵は俺が払う……ま、せいぜい上手く使えや」

 

人には産まれる前から定められた運命があると言う。

ならきっと、僕の名と、クー・フーリンという存在はーーーーー。

 


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