【募】こんな小説を書けこの野郎【リクエスト】   作:hasegawa&friends

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 アハト!(やっつぅ!)



※今回頂いたお題、原文。

 またGガン系の話が見たいですね。
 今度はマスターやシュバルツとかが、どんなイロモノガンダムに乗って出て来るのか、妄想が膨らんで笑いそうです。


◆以前書いた、このシリーズ一覧◆ (hasegawa短編集に収録)

 https://syosetu.org/novel/158871/12.html
 https://syosetu.org/novel/158871/13.html
 https://syosetu.org/novel/158871/39.html





機動武闘伝、寿司ガンダム その4 (お通しラー油さま 原案)

 

 

 

「――――目を覚まして下さい師匠ッ! 貴方はデビルガンダムに操られているんだッ!」

 

 ドモンの悲痛な叫びが、旧東京の廃墟に木霊する。

 濁った空。淀んだ空気、かつて大都市として繁栄していた面影など、もうどこにも無いほど荒廃した、悲しい土地である。

 しかし、こと“ガンダムファイトの舞台”としては、非常に適していると言えよう。皮肉な話ではあるが。

 

「嘘だッ! 師匠が敵になるだなんてッ!

 貴方ほどの御方が、デビルガンダムの手先となってしまうなどッ!」

 

「ふはははは! 現実を受け入れるのだドモンッ!

 ワシはデビルガンダムの強さに魅せられ、忠誠を誓ったのだぁー!」

 

 ガックリと膝を付き、懇願するように弱々しい声のドモン。とても目の前の現実が受け入れられないのだ。

 対してマスター・アジアこと東方不敗……ドモンのかつての師である男は、高笑いを上げている。

 

 ちなみにであるが……あのジョルジュとの死闘を演じた第三話からは、だいぶ時系列が飛んでいる事をご理解頂きたい。

 あれからドモンはアルゴ・ガルスキーを始めとし、世界各国の強敵たちとの幾多の戦いを経てここにいるのだという事を、ご了承頂きたく思う。あしからず。

 

「ドモン、あきらめな? もうアイツは、お前の知ってる男じゃねぇよ」

 

「そうだよ兄貴! 立ちなよっ! オイラたち戦わなきゃ!」

 

 未だ意気消沈し、地面に塞ぎ込むばかりのドモンへ、チボデー&サイサイシーが激励を送る。

 

「許さんぞッ! よくもやってくれたなジジイ!」

 

「マスター・アジア……東方不敗!

 貴方ほど高名な武闘家が、地に落ちたものですッ!」

 

 そして先述のアルゴ・ガルスキーや、ジョルジュも怒りの声を上げる。

 この4人は、ドモンにとって掛け替えのない仲間である。過去に拳を通じて分かり合い、お互いに認め合った者達なのだ。

 

「とは言え……、流石に今お前に戦わせるのは、酷ってモンだぁな」

 

「貴方は観ていて下さい。ここは我々が」

 

「任せておけドモン。お前は少し休むのだ」

 

「そうだよっ! 見ててくれ兄貴! オイラたちの力を!」

 

 優しくドモンを気遣いながらも、しっかりと眼前のマスター・アジアを見つめる。

 倒すべき敵として、瞳に力を込めて睨み付ける。

 その様は正に、祖国の代表たる戦士の姿。ガンダムファイターだ。

 

「えっ!? ……いや止めるんだお前たち! 行くなぁ!」

 

「いーから任せとけ~って♪ そいじゃあ行くぜぇ! お前らぁー!」

 

「「「応ッ!!」」」

 

 なんか突然オロオロしはじめたドモンを振り切り、仲間達が一斉に声を上げ、天に向かって雄々しく〈パチン!〉と指を鳴らす。

 自らの愛機を、この場に呼び出すのだ。

 

「来ぉ~い! ガンダムBBQぅーッ!」

 

来来(ライライ)ッ! ガンダムチンジャオロースー!」

 

「おいでなさい! 我が美しき愛機、生ハムガンダム!」

 

「鎖を解き放てっ! 出番だピロシキガンダム!」

 

「――――無理だお前たち! そのガンダムじゃ勝てんッッ!!!!」

 

 この場に4体ものガンダムが集結するが、対してドモンはものっすごい冷や汗をかいている。有り体に言って、仲間達の身を心配している。怪我でもしないかしらんと。

 

「ひゃっほーい♪ どうだぃドモン、カッコいいだろぅ?

 こいつがネオ・アメリカの新機体、ガンダムBBQだぜぇー!!」

 

「なんだその、バーベキューグリルに手足が生えたような身体はッ!

 それで戦えるのかチボデー?!」

 

「心配すんなってドモンっ! このマシュマロを焼く時の鉄串みてぇなビームソードと、焼いたマシュマロを発射する頭部バルカンがありゃあ、俺ぁご機嫌さぁ~♪」

 

「どうしてアメリカ人はそうなんだッ!!!!

 月に2回も3回も、毎週のようにホームパーティしやがって!

 しかもマシュマロじゃないかお前ッ!? せめて肉を焼けよッ!!」

 

「ぷぷっ♪ 何だあのガンダム、かっこ悪りぃ~!

 オイラなら、絶対そんなのに乗るのは、ゴメンこうむるよぉ~♪」

 

「お前いまチンジャオロースーだろッ!!!!

 まだ前回のパク……オリジナルガンダムの方がマシだったぞ!

 ネオ・チャイナの兵器開発部どうなってるんだサイサイシー!!」

 

 ちなみにドモンはピーマンが食べられないので、実はこのガンダムチンジャオロースーこそが、彼の天敵たるガンダムなのかもしれない。

 今は仲間なんだし、戦うことが無くて本当に良かった。命拾いである。

 

「ふぅ。ドモン・カッシュのいう通りですよ。

 なんと醜いガンダムだ……。優雅さの欠片も無い」

 

「いやジョルジュ? お前いま、生ハムのガンダムだからな……?

 人のこと言えないんだからな?」

 

「何を言うのです。前回のガンダムパリジェンヌに引き続き、これもマリアルイゼ様がデザインして下さったのですよ?

 私は果報者だ。騎士冥利に尽きます……本当に……」

 

「ジョルジュ、目が死んでるぞ? やっぱりお嬢さんを説得出来なかったんだな。

 心中お察しするぞ」

 

「おいドモン、俺のピロシキガンダムは別だよな?

 お前もピロシキ好きだったろ。カッコいいと言え」

 

「いやあの……アルゴ?

 確かにネオ・ロシアに行った時、お前にご馳走して貰ったし、旨かったんだが……。

 まさかそれをガンダムにブッ込んで来るとは……、流石に思ってなくてな?」

 

 巨大なスプーンが主兵装だったガンダムコーンフレークや、機体だけはまともだったパクリガンダム。

 装甲だけはバッチリだったガンダムパリジェンヌ、そして見た目だけはガッチリ目のレンガみたいだった、ロシアのガンダムテトリス。

 

 思えば酷い機体だったし、それ相応の力しか持っていなかったが、でも現在彼らが乗っているBBQガンダムなどの新機体は、なんかそれより劣化しているように見える。

 明らかに前回のってた旧機体より、クォリティが低い気がするのだ。弱そう。

 

「こざかしいわ雑魚共がッ! ぬぅえ~~いッ!」

 

「「「「ぐぅあーーっ!!」」」」

 

 マスター・アジアの操るクーロンガンダムが、なんか布みたいなので〈ぺちっ☆〉とやった途端、仲間達は全員跳ね飛ばされた。

 

「……ブルシット! なんて野郎だッ! 歯が立たねぇぜ!」

 

「ぜんぜん敵わないよぉ兄貴ぃ~! どうしよーっ!?」

 

「なんという力だ……! 流石はマスター・アジアです……!」

 

「ぐぬぬ! こんな強ぇガンダム見たことねぇ!!」

 

「――――いやお前らが弱いんだよ!!!!

 なんだよ焼いたマシュマロって! 生ハムって! アホかぁ!!」

 

 鎧袖一触ッ! まさに蹴散らされた!!

 この科学が急速に進歩し続ける時代……前回大会の優勝機とはいえ、明らかな型落ちであるクーロンガンダムに手も足も出ない。4機がかりで。

 それほどまでに、ドモンの仲間達が乗るガンダムは、弱かった。

 

「卑怯ですよ師匠っ! 自分だけカッコいいガンダム(・・・・・・・・・)に乗るだなんて!

 俺達を見て下さいよ!」

 

「やかましいわ馬鹿者っ! なんでまともなガンダムを作らぬっ?!

 何を考えとるんじゃお主らはッ!!」

 

 ――――無理だ。普通のガンダムに勝てるワケが無い。

 俺達が乗っているのは、もうお偉いさん方が悪ふざけ(・・・・)で作ったようなガンダムなのに。ずるいぞマスター・アジア!

 

「正直な?

 この度ワシは、お前の仲間達を洗脳し、こうして捕らえておったワケなのじゃが……」

 

「はい、そうでしたね師匠」

 

 東方先生が構えを解き、両手をブランと下げたまま、沈痛な面持ちというヤツで、ドモンに胸の内を語る。

 

「でもぶっちゃけ、だいぶ後悔しておる(・・・・・・・・・)

 まさか各国の代表たるガンダムファイターが、これほどまでに弱いとは……。

 洗脳してデビルガンダムの手先にしてやろうと思うとったのに、こんな者達はいらぬぞ……」

 

「……」

 

「「「「…………」」」」

 

 ぐぅの音も出ない。ドモンも仲間達も。

 失礼なことを言われてはいるのだが、なんか東方先生の顔が、本当に悲しそうに見えたから。きっと期待してくれてたんだと思うから。

 策を練り、この者達をおびき出し、洗脳して戦力に加えようと目論んでいたのに……、でも苦労しておびき寄せた者達が、こんなにも弱いだなんて……。

 明らかに苦労と実益の天秤が合っていない。費用対効果が悪すぎたのだ。

 

「分かっとるか……? ワシが乗っとるの、旧型機ぞ?

 もう何年も前の、おんぼろガンダムなのじゃ。

 それに負けたんぞお主ら? 4人がかりで」

 

「……」

 

「「「「…………」」」」

 

 ちなみにであるが、デビルガンダムの先兵たるロボットに、“デスアーミー”というモビルファイターがいる。

 これはファーストガンダムでいう所のザクというか、ガンダムウイングでいう所のリーオーというか……。とにかく数を頼りとして戦う量産型の“雑魚敵”で、もうマスター・アジアであれば素手でも倒せてしまう(・・・・・・・・・・)レベルの、そんな強さでしか無い機体だ。

 

 しかし、先ほどチボデー達のガンダムは――――そのデスアーミーとタイマンで死闘を繰り広げた。

 一機あたり一体のデスアーミーを倒すだけで、もういっぱいいっぱい。なんとかガンダムファイターとしての誇りとか、意地とか、根性とかを総動員して、ようやく一体のデスアーミーに勝つと、そんな有様であったのだ。

 このデスアーミーって、デビルガンダムの身体から無限湧き(・・・・)してくるような、ドラクエでいう所のスライムみたいな存在であるというのに。

 それほどまでに、チボデー達のガンダムは弱かった。本人はともかくとして。

 

「う……嘘です! クーロンガンダムがチートなのですっ!

 我が祖国のガンダムが、そんなヘコいワケが無い!

 だって生ハムですよ!? 高級食材ですよ!?」

 

「そーだよ爺さんっ! 馬鹿にすんなよぉ!

 チンジャオロースーめっちゃ美味しいじゃんか! オイラ作ってやろうか?」

 

「一度ピロシキを食ってみろ! 頬が落ちても知らんぞっ!

 こんな旨いものが、他にあるものかっ!」

 

「マシュマロってのは、火で焼いてナンボなんだよぉーっ!

 アメリカ人の魂を侮辱するってぇのか~ッ!」

 

「――――食い物から離れろ! 今はガンダムの話をしてるんだ!」

 

 こいつらは駄目だ! イカれている!

 デビルガンダムからの洗脳ではなく、その愛国心とか郷土料理への愛着とかで、盲目になっていた。

 

「ゆえに、ドモンがこやつらをぶん殴り、正気に戻してくれて、ホッとしたというか……。

 もうこやつらを引き取って欲しいというか……そんな気持ちでおっての?」

 

「申し訳ありません……。お手数をおかけしました師匠……」

 

 ドモンは普通に頭を下げた。今は袂を分けたとはいえ、師匠にご迷惑をかけちゃった事に。

 

「正直もう、色々とハートブレイクなんだが……やるしか無いか。

 レイン! 俺達もガンダムを出すぞッ!」

 

「おーけードモン! 待ってました♪

 ――――ガンダム塩ちゃんこ、発進☆」

 

「あぁもうッ……! アイツら見た後だから、マシに思えてくる!!」

 

 傍に控えていたレインがポチッと手元のボタンを押し、我らがネオ・ジャパンの機体を呼び寄せる。

 これなるはドモンの新機体――――ガンダム塩ちゃんこ。

 辺り一帯を、美味しそうなおダシの香りが包む。もうすぐお鍋の季節だ。

 

「これぞ! ネオ・ジャパン食べ物シリーズ第七弾! ガンダム塩ちゃんこ!

 頑張ってねドモンっ♪ もちろんビームサーベルは、おネギにしてあるわ♪」

 

「待ってたよチキショウ! おネギ万能だな!

 俺のガンダムファイトは、おネギと共にあるよ!」

 

「白菜が装甲として使われているわっ。

 お鍋なんだし、たっぷり野菜を入れないとね♪」

 

「野菜からダシも出るしな! ……でも装甲としてはどうなんだレイン?!

 なんか動く度に、パリパリいうんだが?!」

 

「味噌ちゃんこも良いかな~と思ったんだけど、前回きりたんぽをやったでしょ?

 だから今回は塩味なの! 手は鍋掴みになってるから安心してね♪」

 

「出来るかっ! 安心する要素が皆無なんだよッ!!

 ガンダムファイトは悪夢でしか無いんだ! この俺にとってッ!」

 

「頭部のバルカンからは、鶏つくねが出るわっ!

 私お鍋といえば鶏つくねなんだけど、ドモンはどう思う?」

 

「旨いよな鶏つくね! ……でもバルカンにするのはどうだろうな?!

 敵に当たっても、ベチャっとするだけだろうが!」

 

 ちなみにであるが、このガンダム塩ちゃんこは“当たりの部類”である。

 流石は力士が食べる料理というか、機体のフォルムがおすもうさんヨロシクのあんこ型(・・・・)であり、とてもドッシリしているのだ。

 ガタイも良いし、パワーも充分。ちょーっとスタミナと機動性に欠けはするものの、瞬発力だって高い。まさに力士の如きガンダムなのである。

 

 チボデー達と同じ、食べ物や料理を元にデザインされてはいるものの……このガンダム塩ちゃんこのスペックは、意外なほど高かった。

 流石は技術立国ニッポン。流石は国技大相撲。

 この機体に乗ったドモンであれば、もうあのデスアーミーだって、二体くらいは倒せる(・・・・・・・・・)

 

「ドモンよ……さっきから思うとったのだが、お主は生身で戦った方が強

 

「――――言わないで下さい師匠ッ!

 レインが頑張って作ったんですよ?! 鬼ですか貴方は!

 ガンダムファイトぉぉぉ~~ッ!!!!」

 

 レディー・ゴー!!

 という事で……ドモンvs東方不敗の戦いの幕が上がった。

 

 

「くそうっ! ぜんぜん歯が立たないっ! 完敗だッ!」

 

「お主、どうやってこれまで戦っておった……?」

 

 

 ――――そして負けたッ! 完膚なきまでに! なにもする事なくッ!!

 師匠あやつるクーロンガンダムによって、ドモンのガンダム塩ちゃんこは、一撃の下に粉砕された。残念だが、なんにも書くべき見どころが無い。

 

「なんて酷い事をするんだっ……! おネギのビームサーベルをへし折るだなんてっ……!

 師匠はおネギ嫌いなんですか!? 貴方だってお鍋を食べるでしょう!」

 

「やかましいわドモンッ!! なにゆえネギ握って戦う!?

 何がお主をそうさせるッ! この馬鹿弟子がぁぁーー!!」

 

「でも師匠……! いつもは俺、豆腐やソーメンに乗って戦ってるんですよ!?

 ――――今日はマシは方なんだッ! 俺今日すごく調子良いです!」

 

「お前をこちら側に引き入れようと思うとったが、もう止めとこうかのぅ……。

 ぜったい役に立たぬわ、こやつ」

 

 あまりの不憫さに、もう東方先生は涙が出そうだ。

 一体ワシの弟子に、何があったと言うのだ。誰がこんな酷いことを(※主にレインです)

 

「くっ……! 恐るべしクーロンガンダム!!

 普通のガンダム(・・・・・・・)ってのは、こんなにも強かったのかっ! 知らなかったぜ!」

 

「ドモン、ワシと一緒に征こう。普通のガンダムに乗せてやるから。

 もう見ておれんよ……」

 

 まさかこの俺を倒すとは!

 そんな風にカッコ良く言っているが、マスター・アジアの愛弟子は、ビックリするくらい弱かった。もう先生は涙がちょちょ切れそうだ。

 この子を助けてあげたいっ……! そんな愛情が胸から溢れ出しそうである。

 

「ドモンっ! ビームライフルからポン酢が出るわっ!

 今こそ味変の時よ~っ!」

 

「了解だレイン! やってみるぞ!」

 

「無理じゃて。そんなんでは勝てぬて。なんじゃポン酢って」

 

 えっ、これガンダムファイトですよね? こんなんだったっけ?

 ワシの知ってるガンダムファイトと違う! と前回大会の優勝者であるマスター・アジアは思う。時代は変わったもんじゃ……。

 

「なんてこった! まさかアイツでも歯が立たねぇなんて! ジーザス!」

 

「兄貴のガンダムを子供扱い!? オイラ信じられないよっ!」

 

「私と互角の勝負をしたドモン・カッシュが……! これは有り得ない事ですっ!」

 

「塩ちゃんこで無理なら、一体どうしろって言うんだッ! もう打つ手が無いぞッ!」

 

「お主ら黙っとれ。帰ってもええから。ほれ」

 

 まるで出来の悪い生徒に嘆息をもらす先生の如く、東方不敗が窘めた。

 

「勝負です師匠っ! 俺はポン酢のビームライフルに、全てを賭けてみたいっ……!

 これが俺のガンダムファイトだ!」

 

「――――目を覚ませドモンッッ!!!!

 帰ろうッ! あの懐かしきギアナ高地へ! ワシと一緒にぃーッ!!」

 

 今はデビルガンダムよりも、馬鹿弟子の事をなんとかせねば。こっちの方がピンチじゃ。

 思わぬ所で、悪の志が揺らいでしまう東方先生であった。

 

 

「 そこまでだマスター・アジア!! ドモンから離れろッ!! 」

 

 

 先生が懐から白いハンカチを出し、グジグジと目元を拭っていた時……この場に強く大きな声が響いた。

 

「待たせたなドモンよっ! もう心配ないぞ! 下がってるんだ!」

 

「おっ……お前はネオドイツの、シュバルツ・ブルーダー!?」

 

「ぐぬぬっ! 貴様はっ!?」

 

 そしてこの場に颯爽と現れる、新たな機体。

 ドイツという事で、とても美味しそうなソーセージ(・・・・・)の形をしたガンダムが、この場に推参した。

 

「――――見よッ!! これぞ我が愛機、ガンダムソーセージ!

 さぁかかってこいマスター・アジア! この身を恐れぬのなら!」

 

「怖くないわー。ぜんぜん怖くないわー。

 何そのノッペリとしたガンダム」

 

 なんか【ガンダムソーセージ】という、Gガン放送当時にはリアルに丸大ハムあたりが発売してそうな名前のガンダムが、ゲルマン忍法らしい〈シャキーン!〉というポーズを決める。

 身体はモロに“手足が生えたソーセージ”その物であるが、本人はいたって真面目にやっているようだ。

 

「ねぇドモン? なんかあのガンダムソーセージ、形が変じゃない?」

 

「うむ。なんか妙に、頭部の所が膨らんでいるというか……。

 有り体に言って、チンコみたいなガンダム(・・・・・・・・・・・)だな」

 

 なんのつもりかは知らない。どのような意図でその形にしたのかは分からない。

 だがシュバルツさんが乗っているのは、まごうことなくチンコであった。

 ソーセージという名のチンコガンダムに乗った、ゲルマン忍法のガンダムファイター。

 

「では征くぞぉ! マスター・アジアぁ!

 それそれそれぇ~~い!!」

 

「ぬわーっ! ワシのクーロンがぁ~!」

 

「「「――――つよッ!? チンコガンダムつよッ!?!?」」」

 

 だが意外にも強ぇ! チンコなのに強ぇ! めっちゃチンコ強い!!!!

 シュバルツがドゴゴゴっと拳を打ち込み、東方不敗を後退させていく。とんでもない強さだ。

 

「ふはははは! 見たかドモンよッ!

 明鏡止水の心さえあれば、どのような機体でも戦えるのだッ!」

 

「――――すごい! 明鏡止水すごいッ!!!!」

 

 ドモンが全然敵わなかったクーロンガンダムを、いまチンコガンダム(ソーセージガンダム)が圧倒している。まさに嵐のような連撃。

 ガンダムのスペックを限界以上に引き出す、素晴らしい腕前! 凄まじい強さ!

 きっと彼が、例えば【ガンダムシュピーゲル】みたいな名前のガンダムに乗っていれば、もっと強かったんだろうな~と思われた。

 

「やっ……やめいシュバルツとやらッ!

 いまドモンを説得中なのだッ!」

 

「知ったことかぁ東方不敗ッ! それそれそれ~い!」ドゴゴゴ!

 

「やめぃ! そんなチンコみたいなガンダムで、まともに戦うな(・・・・・・・)

 そんな姿をドモンに見せるなっ! この子が勘違いしたらどうするのだッ!!」

 

 あ、悪いのは寿司ガンダムとかじゃなくて、俺が未熟だったんだな――――

 頑張れば豆腐でもソーメンでも、強くなれるんだな――――

 そうドモンが思ってしまったらどうする!! 純粋なんだぞあの子は!!

 そんな絶技をもってチンコガンダムを操るんじゃない! 間違った道を示すな! 迷惑なんじゃお主は!!

 

 そう東方先生は冷や汗を流しながら、必死に訴えかける。

 頼むから止めてくれと。チンコで戦わんでくれと。愛するドモンの為に。

 

「やめぇい! チンコで『それそれそれぇ~い!』とか言うでない!

 なんか違う意味(・・・・)に聴こえて来よるわ! 教育に悪いじゃろうが!!」

 

「黙れマスター・アジア! 口を動かす暇があるなら、手を動かせ!

 それそれそれぇ~い!」

 

 うわー、シュバルツさんて強いな。カッコいいな。チンコみてぇだけど。

 そうドモンたち若いファイターは、シュバルツ先輩の雄姿を目に焼き付ける。キラキラと希望に満ちた目で見つめる。

 

「オイラ……今まで自分のガンダムが弱いんだって、そう思ってたんだけど……」

 

「でもそんな事は無かったのですね。我々が未熟だったのだ……」

 

「見事にチンコを操っていやがる……。凄い腕前だ」

 

「あぁ……。俺もガンダムBBQに乗って、いつかアメリカンドリームを」

 

「――――見ろッ! さっそく若人たちが、おかしな事になっておるッ!!

 悪影響なんじゃお主はッッ!!!」

 

 こうなればもう、速攻でシュバルツを打ち負かすしかない。ドモンたち若いガンダムファイターの為にも。

 そう心に決めたマスター・アジアは、この旧型であるクーロンガンダムを放棄。

 即座にコックピットから飛び降り、空に向けて指を鳴らした。

 

 

「いでよッ!! そして刮目せぇい!

 ――――これぞマスター・アジア専用機ッ! ガンダムポリデント(・・・・・・・・・)!!」

 

 

 凄まじい爆風がこの場に吹き荒れ、この場にまた、新たな機体が出現する。

 

「正直、最近クーロンガンダムに乗るの、ちとしんどいな~と思うとったんじゃ!

 このガンダムであれば、ワシの真の力を全て発揮出来るわッ!」

 

 空を仰ぎながら、「がっはっは!」と高笑い。

 今ここに、師匠マスター・アジアの為に作られた、ご老人にも操縦しやすいガンダムが、姿を現したのだ。

 

 その背中や腰など、身体中に貼られた“湿布”のような装甲。

 ちょうど腹部にある、もう見た目がまんま“腹巻”のような装備。

 弾丸では無く、専用の青汁カプセルを発射する、頭部バルカン。

 まるでお爺ちゃんがよく使っている、肩こり改善の低周波治療器のような武装は、ひとたび相手に張り付けば、きっとビリビリと電気攻撃を行うことだろう。

 そしてダークネスフィンガーや、石破天驚拳などの必殺技を使う前には、事前に火が出るような勢いで乾布摩擦を行うことにより、そのパワーを飛躍的にUPさせる事が出来る。

 

 何より、転倒防止のために手すりの設置や、躓かないよう極力段差という物を排除した、コックピット内部の考え尽くされた設計よ!

 これならきっと東方先生のようなご老人にも、安心してご操縦して頂ける事だろう。

 

 まさに今のご時世、強く必要性が訴えられている“バリアフリー”という物を、この上なく体現した機体! デビルガンダムさんのお心遣いがこれでもかと詰まった、マスター・アジア専用機!

 

 ――――その名を【ガンダムポリデント】 今後幾度もドモンの前に立ちはだかる機体。

 ちなみにだが、もちろん頭部の口元にある入れ歯は、取り外し可能で丸洗いが出来る。

 

 

「師匠……なんか俺、安心しました(・・・・・・)

 これなら俺の寿司ガンダムでも、なんとかやっていけそうです……」

 

「うむ。いろいろ言いはしたが……これからも頑張って征けよ?

 今後は、このガンダムポリデントが、お主の相手をするでな……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この世界に、まともなガンダムは居ない――――

 マスター・アジアがクーロンガンダムを捨て去ってしまった今、もうどこにも存在しないのだ。

 

 関係無いが、たとえこのガンダムポリデントを退(しりぞ)けたとて、後のデビルガンダムに勝てるのだろうか?

 塩ちゃんこや、焼いたマシュマロのガンダムでは、大きな不安が残る。

 

 

「あ、今度俺、ギアナ高地で修行して来ますね?

 はやく明鏡止水を会得しないと」

 

「うむ、頑張るのだぞドモン。いや寿司ガンダムのキングオブハートよ……」

 

 

 

 

 

 降りた方が強い。生身で戦ったほうが良い――――

 そんな世論によってガンダムファイトが廃止されるのは、この時代から300年(・・・・)も後の事。

 

 まだまだ人類は、愚かであった。

 

 

 

 







◆スペシャルサンクス◆

 お通しラー油さま♪

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