貴方の病んだ幻想入り 作:回忌
「久しぶりね、いつぶりかしら?」
神社の中でぬくぬくしていると、横から声がした
目を開けずにそのまま私はこたつに入っていた
誰も、私の妹もいない中でこんな現象は現実なはずがない
が、ここは幻想郷である
不思議なことは当たり前、常識は非常識に、非常識は常識に
全ての認識の境界が曖昧になり、混ざり合っていく
ここの連中はドイツもこいつもイカレ野郎しか居ないのだろうな
後、ついでだが常識もなってない
他人の家に入るならノックか挨拶はしろよ
私は横にいる彼女に目を向け、口を開いた
「…さぁ…長すぎて忘れたよ、それはそうと久しぶりだな、紫」
「あら…悲しいわねぇ、嫁さんとお熱だからかしら」
彼女はみかんを食べながら嬉しそうに言う
そのみかんは確か椛からの差し入れだったはずである
貰ったミカンが多いので分けてくれたのである、嬉しい
やはり持つのは人脈であるか…
まぁ、この時期はコタツに入ってぬくぬくしながらみかんを食うに限る
――尚このコタツについては霊夢が香霖堂から強奪したものだ
︎︎ ︎︎嘘は何もついていない、本当のことである…というか香霖堂か定かでは無いが
…私が外の世界での生活を思い出した時だった
冬の寒さがあまりにも寒く、部屋で霊夢と凍えていたのだ
その時にふと口から漏れてしまったのだ
『クソ…炬燵がありゃ便利なのに』
…今思えば俺が言ったのが悪かったかもしれない
寒いこの季節だからこそ、外の生活を思い出してしまったから
冬にあの魔の道具を使ってしまえば後戻りは出来ないのだから
『こたつ?どんなように便利なの?』
『あぁ、机に布が覆いかぶさってるような見た目をしててな
その中はこのクソ寒い地獄な今の季節なら極楽の空間があってなぁ…』
『…へぇ』
『いや懐かしい、こっちの世界じゃもう入ることは無いだろうがね』
『ちょっと取ってくるわ』
『はい?』
急にスクッと霊夢が立ったかと思えば急にどこかに飛び出した
俺はその背中を追いかけるのは面倒だった(決して寒いからじゃない)ので待つことにした
数分…本当にカップラーメンが作れそうな時間で霊夢が帰ってきた
『ああ帰ってきた…ってコタツ!?アイエエエエエナンデ!?片手で!?兄ちゃん怖い!』
『入りたいんでしょ?ほら』
ぽーいと元々あった卓袱台が蹴っ飛ばされ、ひっくり返る
宙に浮かび上がったみかんが落ちてくる前に霊夢はコタツを置いた
その中に霊夢はずっぷりと入っていく
しかし、直ぐに不満そうな顔をした
『…そんなに変わらないと思うけど』
『そら電気が無かったら動かんわ』
『でしょうね?だからこうしたわ』
パチンも彼女が指パッチンをすると1人の少女が出てくる
赤いショートヘアーは黒く汚れ、元の綺麗さはどこかに飛んで行った
黒い生地の上に赤いチェックが入った上着の上に白いジャケットを羽織っているようだがところどころ破れてしまっている
ちぎれたピンクのネクタイを付け、ところどころ黒い白のラップスカートを穿いている。
本来なら左手に2本のドラムスティックを持ちバスドラムに乗っているらしいが…どちらも無い
本体の和太鼓を捨て、外のドラムを手に入れたという噂通りロックバンドのドラマーのような現代的な格好をしている
…堀川雷鼓
確か和太鼓の付喪神だっけ…?覚えてないな
…が、全て焼け焦げている
いや何かの比喩ではなくマジで全部焼け焦げている
綺麗な豚の丸焼き…いやこの場合雷神の丸焼きか…
というかこれ本当に堀川雷鼓なのか…?
『ら、雷鼓なのか?…ま、まさか』
『えい』
大幣でコツーンと霊夢が雷鼓の頭を叩く
すると雷鼓が頭を叩かれた衝撃で雷を振りまく
どうもちょうどいいレベルの電圧に調整したらしく、少し熱を感じた
…なんか少し感動した
久々に熱に触れられたのもそうだが、電子機器を使えるとは…
…ん?だったら
『霊夢、ちょっと貸してくれ』
『はい』
〇
「あらあら、誰かさんの教育のおかげで野蛮人じゃない」
「知っているか?性格の大半は幼少期の教育によるものらしい」
「…、………あぁ!幼少期って外の世界に居た頃の事ね!
︎︎まさかここに来てからの私の教育と言うんじゃ────」
「それしかないだろ」
「ですわよね」
彼女に真顔でそう言った
霊夢の性格はどうも現実的じゃないって言うか…
普通に育っていたらあんな尖った性格にはならないはずだろう
幼少期は紫に育てられたと聞くからな…
「…ふふ」
「どうした」
紫が口元を抑えて笑う
上品な、見た目相応の笑い方である
俺は急に笑ったのが気になったので聞いてみることにした
思い出し笑いの類か?だとしたらあまり気にしないが
「いえ?彼女は欲しいものを得られたんだと…」
「まぁ…彼女にとってはこれが望みだったんだろうな」
霊夢にとっての幸せ
それは兄である俺とこうして結婚生活をすること…
俺たちは兄妹だ
外の世界で兄妹が結婚するというのは禁忌に当たる
近親相姦という物に含まれてしまうかららしい…
何回も繰り返せば産まれてくる子供は悲惨なことになるんだとか
…んまぁこの世界にそんな"常識"は存在しないのだが
それはそうと
あなたは紫に対して、急に何故そんなことを思ったのか聞いてみることにした
それで笑う意味も分からなかったので、ついでにだ
「いえ、私も欲しかった"者"がありましてね」
彼女がパチンと指パッチンをすると…襖が全て閉じた
ピシャリと全ての襖が同時に閉まり、光が急に入らなくなる
真っ暗だ…何も見えない
あなたは少しの恐怖を覚えながら当たりをキョロキョロ見渡している
パラリ、という音ともにあかりが着いた
紫が扇子を開く音だったようだ…灯りは蝋燭一つだけ
欲しかった"物"は何など聞く
紫はあらあらと悪戯のように笑った
「私が欲しかった者は…えぇ、ある意味では物かもしれませんが…」
彼女は扇子で口元を隠しながら目を細めた
あなたは、その目に無数の感情が沸き渦めいていることに気づいた
…そう、あの時…幽々子の時と同じような─────
「あなたが、あなたが欲しかった」
紫はいつの間にかあなたを押し倒していた
凄まじい妖怪の力で、あなたは身動ぎしか出来ない
目の前に紫の顔がある…光を失った瞳、上気した頬…
魔性とも呼べる美貌がめのまえに存在した
人間としては当たり前に存在しないもの
「人目見た時から…あなたが欲しかった、血肉を貪りたかった、その首元に食らいついて…その体を犯して…」
ふふふふふと彼女が笑う
正しくあなたの目の前にいるのは太古から生きる大妖怪
妖怪としてのあり方を纏めたような…権化
「でもね、気付いたら貴方は手のひらにいなかったの
︎︎いつの間にかあの子が…盗っていっちゃったのよ」
博麗の巫女を何よりも大事にする彼女が…この時ばかりは敵意を向けた
盗っていったという所だけ、明らかに怒意を含んでいた
しかし、その顔は聖母のような…美しい顔になっていた
「しかないけどね…でも…奪うのもまた一興」
彼女はあなたの頬に手を添えた
濡れた瞳があなたを舐めつけるように動く
柔らかそうな唇がすぐ目の前に存在した
霊夢とは違う、また別方向の魔性の美
若い霊夢と違い…育ち切り、尚且つ誰も踏み荒らしたことの無い花畑
太古から生きた大妖怪らしい…いや、大妖怪であるからこその美貌
霊夢より実り、さらに大きな乳房
霊夢より太い、服越しでも分かる太もも
霊夢より─────
「我慢は毒よ…それに霊夢は今日は帰ってこない…」
彼女はたのしそうに言った
今…この瞬間だけはあなたは霊夢のものでは無い
この時だけは…紫の…妖怪の賢者のものである
気付けば、部屋にはびっしりと御札が貼られていた
見たことも無い量だ、隙間がないレベルの密量である
「帰さないわ」
彼女は耳元で囁いた
術か何かを仕込まれたのか体が動く気配がない
全てを彼女に任せることになるだろう
なすがまま…このまま…
笑い声が響く
可愛らしい、その年に相応の…少女の声が
大体終わりか…?
「このキャラやれやカス!」ってのがあれば作るかも、多分