僕は騎士を喪った。
私は母を喪った。
僕は母を殺された彼女に申し訳なく思った。
私は騎士を殺された彼を哀れに思った。
僕は構えた弓を投げ捨てた。
私は命を差し出した彼に寄り添った。
僕達はまだ幼過ぎた。
私達はまだ温もりから離れたくなかった。
僕達は助け合わなければ生きられなかった。
私達はそれぞれでは立ち直れなかった。
そんな生活も月日が経てば気慣れたものになっていった。
ぎこちない日常も季節が巡れば心安らぐものになっていった。
彼女の牙は大きな脅威も恐れ慄くものだった。
彼の弓は気付かれないままに獲物を仕留めてみせた。
何よりも気の知れた仲になった。
寝食を共にするのが当たり前になった。
寒い日に身を寄せ合って眠るのが心地良かった。
暑い日に水を浴びせ合うのは楽しかった。
でも。
けれど。
僕は王子であるという事実からは逃れられなかった。
私は人と共に生きる事への苦難を知らなかった。
※なろうにも投稿してます
私は母を喪った。
僕は母を殺された彼女に申し訳なく思った。
私は騎士を殺された彼を哀れに思った。
僕は構えた弓を投げ捨てた。
私は命を差し出した彼に寄り添った。
僕達はまだ幼過ぎた。
私達はまだ温もりから離れたくなかった。
僕達は助け合わなければ生きられなかった。
私達はそれぞれでは立ち直れなかった。
そんな生活も月日が経てば気慣れたものになっていった。
ぎこちない日常も季節が巡れば心安らぐものになっていった。
彼女の牙は大きな脅威も恐れ慄くものだった。
彼の弓は気付かれないままに獲物を仕留めてみせた。
何よりも気の知れた仲になった。
寝食を共にするのが当たり前になった。
寒い日に身を寄せ合って眠るのが心地良かった。
暑い日に水を浴びせ合うのは楽しかった。
でも。
けれど。
僕は王子であるという事実からは逃れられなかった。
私は人と共に生きる事への苦難を知らなかった。
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霧中 | |
0. 黄昏 | |
1. 月光 | |
2. 朝靄 | |
3. 自惚 | |
4. 気力 | |
5. 意志 | |
6. 夜長 | |
霧塞 | |
0. 喪失 | |
1. 依存 | |
2. 自覚 | |
3. 凋落 | |
4. 無知 | |
5. 初夏 | |
6. 結局 | |
7. 協力 | |
8. 殺意 | |
9. 静穏 | |
霧払 | |
1. 祝福 | |
2. 秋雨 | |
3. 向寒 | |
4. 冬夜 | |
5. 目標 | |
6. 雪解 | |
7. 欲望 | |
霧入 | |
1. 前進 | |
2. 克己 | |
3. 祈願 | |
4. 漸近 | |
5. 覚悟 | |
6. 出発 |