どうしてこんなよく分からないことしたんですか?(マジレス)



面白い企画を見つけたので便乗して勝手に参加してみました。ちょうどリボーン書きたかったからね。ちな主催者さんとは絡んだことないから震えています。ついでに言うと散る覚悟は出来てます。

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リボーンって女の子の好意の行き先が明確に作られてる…。
書いてもヒロインおらんなコレ…。

せや!!(天才悪魔的発想)←今ここ


意図せず最終ライン(ペド)を超えかけてたヤツ

太陽が輝くある日のことだった。少し離れたここからでも耳を済ませば聞こえる都会ならではの喧騒。きっとナンパにでも勤しんでいるんだろう。男女の笑い声も聞こえる。

 

食欲そそるピッツァの香り、聞こえてくる男女の声、無邪気にはしゃぐ子供たちの喧騒、そして、銃口を向けられる俺。

 

「答えろ、テメェは何者だ」

 

目の前で銃口を向けているのは黒服で黒のソフト帽の女性。鋭い目つきにクルッとした巻毛がとってもチャーミング。だが俺の命を握っている。泣きそうだ。

 

どうしてこうなってしまったのか。俺は現実逃避を開始した。

  

 

 

 

 

人生二十年近く生きてきたけど、今までで一番驚いたのは家が裏の人たちだったことを知った時だった。

めちゃくちゃ焦ったよね。どう見てもガチなチャカ持ってんだもん。当時まだ10にも満たないガキだったけど、本能的にダッシュで母親の下へ向かった俺は賢かったと思う。今でも。

 

それで母親の下へ辿り着いた俺が聞いたのは我が家の歴史だった。ビックリした。まさかマフィアの一員だったなんて。何故か俺まで。なんの相談もなく決まっていた将来を俺は憂いた。

 

幼なじみと遊んで帰ってきたら何故かマフィアの一員だった。こんなの脳がバグるに決まってるよ。

 

ただまぁそこで納得はしたよね。定期的に教えてもらってた幻術とかいう摩訶不思議現象も、きっと裏社会ならではの代物だったんだ。個人的にマジシャンはこういうの必要説を推していたんだけど、どうやら俺の期待は外れていたらしい。

 

とはいえ、それを知ったとて俺の日常に変化はないらしい。いつも通り遊んでたまに不思議現象の練習をすればいいとのこと。

 

そんなこんなで色んなカミングアウトがされても変わらず過ごすこと十年前後、17になったときだ。

 

家を追い出された。

 

要約すると『働け』だった。実践で殺しの練習してこいってコトだった。ありえないくらいヘビーな内容だった。

だいたい殺しって依頼はどこで受注するんですか?って話よ。金も無ければ武器もバタフライナイフ一本。余裕で死ねる。

 

なんて愚痴を延々と溜め込みながらもどうにかその手の取引がされてる場所に到達した俺は遂に仕事をゲット。ココからが俺の天下である。俺は意気揚々とターゲットを始末しに行った。

 

 

返り討ちにされた。もうヤバかった。超強かった。スレンダー美女だったから遠くからちょっと見惚れてたら拳銃で発砲された。視力と腕前どうなってんだアイツ。

その後も未来予知ですか?ってレベルで追撃されて結局幻覚と逃げ足その他諸々をフル活用して逃げ帰ったのが今朝のこと。

 

俺は学んだ。裏世界の人間は人間じゃないって。全員がローマ直系の先祖返りだと思ったほうがいいと。

そこで俺は考えた。全員が古代人の先祖返りの可能性のある奴らに俺がどうすれば対抗できるかって。3日くらい考えた。そして遂に俺のイルカ並みのIQは正解を導き出した。

 

やられる前にやればいいって。

 

正しくそれはもう青天の霹靂。心が晴れ晴れした。どうやってやるの?って疑問はとりあえず置いといた。完全に無理ゲー相手に思考がバグっていた。そして勢いのまま実行した。

 

結論からバッチリ成功した。もう余裕だった。前回を反省して顔バレ対策に幻術で誤魔化してたのが効いたのかも知れない。隣まで歩いていってもまったく違和感を覚えられない。だからそのままサクッといけた。

 

ソコから俺はもう怖いものなしだった。完全に調子にノッた。報酬もたんまり貰えるんだから片っ端から仕事を引き受けた。たまに気持ち悪い指輪を渡されることもあったけど。666って描かれた奴とか、気分でつけたら外せなくなった。指のサイズに合わないのにゴリ押したのが問題だったのかもしれない。

 

そして依頼達成数が50を超えた頃、遂に俺は最初のターゲットの討伐リベンジに繰り出した。

 

ボコボコにされた。前回同様目が合っただけで発砲された。何なんだアイツ。ちゃんと顔変えてっただろ。そして1度目同様音速で無理だと悟った俺は逃走を図った。相手も前回のことは覚えていたようで、俺たちの逃走劇は苛烈を極めた。本気で死ぬかと思ったぜ畜生。

 

なんやかんやあってなんとか2度目も逃げおおせた俺は2度とヤツとは関わるまいと心に誓った。いくら美人さんだからってクレイジーすぎる。目と目が会ったら好きだと気づくことはあれど発砲はしないだろ普通。

 

あとから知ったんだが俺が手に入れた指輪、なんか厄ネタだったようだ。つけてるだけで不幸になるがいつか特大ラッキーになるってモノ。絶対コイツのせいで死にかけたろ俺。

 

ガチクレイジーガールに出くわすこともなくつつがなく依頼を達成していた俺は、遂に我が家へ戻ることを許された。コレで親の脛を齧る生活に戻ることができると狂乱した俺は、最後に適当な依頼をこなして家に帰ろうと決めた。

 

そして絶望の悪魔と遭遇した。どうやらターゲットかぶりらしい。ヤツは俺を視認した瞬間退路を塞ぎ俺を拘束した。何が起きたのかわからなかった。

だがとりあえず、美女に組み伏せられるのは気持ちいいと言っていた親父の言葉は嘘っぱちだということはわかった。冷や汗が止まらねぇ。

 

「答えろ、テメェは何者だ」

 

そして今に至るってわけだ。俺の現実逃避タイムは終わってしまった。今からこの絶望的状況に立ち向かわなければならない。

 

「オイ、ダンマリかよ。別に今すぐ殺してもいいんだぞ?」

 

わーお過激。あんまりな台詞に下着が濡れちゃうとこだったぜ。もちろんチビる的な意味で。

 

「ななな何者だって言われてもねぇ?君と同じ人種だってことは分かってるだろう?」

 

できるだけ平静を装って話す。イタリアの男ならこの程度笑って切り抜けて然るべきだ。

 

「お前とはコレで3回目だ。歩き方や重心から私の経験がそう言ってる。だが五感は騙されたままだ。骨格、匂い、気配、なにからなにまで会うたびに変わってやがる。カオスだな。幻術士は知ってるが気配まで変えられるヤツはいなかった」

 

じゃあ俺めっちゃ練度高いんじゃねーの?やば、ちょっと嬉しいかも。

 

じゃなかった。今はとにかくこの場を切り抜けることを最優先にしなければ。

 

「ソレは君がまだ世界を知らないだけじゃないかい?君は強いが僕のように世界にはもっと優れた人間もいるものさ」 

 

「そうか。これでも世界最強と言われてるんだが、それでも上がいるものなのか。もしかしてお前がその上の人間だったりするのか?」

 

……は?なんて?もしかして自分のこと世界最強って言ったこの娘?

 

「……ヘイお嬢さん。つかぬことを聞きますがお名前は?」

「リボーンだ。聞いたことはあるか?」

 

……。……?……!?

 

「私もお前には興味があるんだ。なんたってこの私相手に2度も逃げ切ったんだからな。色々聞きたいんだが、付き合ってくれるよな?」

 

「……天使のお誘いとあれば喜んで。羽は見当たりませんが」

 

実家のお母さん、お父さん。どうやら帰れそうにないです。

どうやら息子は、世界最強に目をつけられました。生きて帰れるかは分かりません。

 

 

 

 

 

 

アレから2年くらい経った。

結局彼女はお顔変換マジックを含めた俺の生命線であるトリックを全て聞いた後普通に解放してくれた。それからは定期的に俺から情報をぶんどりに来ては帰ってということが定期的に続き、なんやかんやあって結構仲良くなった。もはやマブと言っても過言ではない(過言)

 

幸い彼女も知人にはノリがいいタイプだったから楽だった。あのときの俺の選択は間違ってなかったんだ。

 

「ボンジュール!なぁ、ボンジュールって響き、良くない?ただの挨拶なんだけど」

 

家の中でそんなことを語りかけたら発砲された。死ぬかと思った。

 

「勝手に入ってくんなっつったろバカが。何回言えば分かるんだテメェ」

 

「まーまー落ち着いてってリボーン。怒りっぽいと幸せが逃げちゃうぜ?ほら、美人が台無しだぜ?」

 

「ウゼェ……。つーか前から言ってるけど不法侵入だぞ。何でヒットマンの拠点に軽々しく入ってこれるんだお前」

 

「俺とお前の仲じゃん。そりゃ入ってくでしょ。それにホラ、俺幻術使えるし」

 

関係ねぇだろ……と言ってるリボーンちゃんは無視して勝手にソファでくつろぐことにした。ほらね?こんなに無作法なことしても発砲だけで許してくれる。ツンデレちゃんなんだぜ多分。

 

流れるように発砲された。どうやら思考を読み取れるらしい。術士の俺より術士らしいことしてんなお前。

 

「それで、今回は何しに来たんだテメェ。つまんねーことだったら殺すからな」

 

「殺しのプロが言うとシャレにならないなソレ。まーいいや。そんなことよりコレ!コレ見ろよ!また新しい指輪ゲットした!なんか目玉ついてて不気味なヤツ!今日はこれがどんな効果か知ってるか聞きに来たんだよ!」

 

「お前何個目だよソレ。つーかイタリア人らしい演技剥がれてるぞいいのかソレで」

 

おっといけない。新しいイカれた指輪にウキウキになってしまった。俺は何故か厄ネタと縁があるからな。今までの3つもヤベーのだったしこんなキモイの絶対なにかあるに決まってる。

 

「というかだな、お前が今つけてる3つのリングも本来なら1つだけでも危険な「うおわぁ!?なんか火でた!?」何してんだよお前話聞けよ撃つぞ」

 

ビックリしたぁ……。まさか指輪から火が出るとは。しかも紫色。……紫色?

 

「なぁリボーン。俺分かっちゃったわ」

 

「何がだよ」

 

「今この指輪からは青っぽいの炎が出たな?コレはセシウムの炎色反応と同じ。つまりこの指輪はセシウムだ。セシウムと言えば常温でも発火しやすく、なおかつ水と爆発的に反応する。つまり、この指輪の厄は水に触れた瞬間溶け出して指を侵食することッ!」

 

「んなワケねーだろバカが」

 

一蹴された。ツッコミとかでもなんでもなく、ただただ罵倒された。悲しい。

 

「お前が持ってくるリングはだいたいヤベー奴だ。どうせヘルリングの一種だろまた。悪いがそれ以上は知らないからな」

 

残念だ。一番有名な殺し屋なら情報持ってるかと思ったんだけど。コレはまた自分でつけて感じるしかないな。これで俺の見た目は完全にチャラい奴だ。イタリア紳士の風上にも置けないぜ。

 

「手がかりなしかー。まあ残念だけど仕方ないな。というわけでちょっとお茶でも行かない?」

 

「何がというわけなんだ?私ヒットマンだぞ?なんでそんな簡単に誘えるんだお前」

 

「美人は口説かなきゃいけないだろう。大丈夫、いい女には棘がつきものだから」

 

「お前スゲーな。殺し屋も少しの棘で済ませるのか」

 

ハッハッハ。それじゃちょっと出掛けようか!お姫様のエスコートの時間でしてよ!

 

 

 

 

「ところでお前いいのか?私の顔は知れ渡ってるから二人で歩いてるとお前にも害がでるぞ」

 

「それは大丈夫……ほら、最近お顔マジック完成させてさ、見てこれ、全く特徴ないヤツ。コレだと一度会っても相手に覚えられないんだよ」

 

「暗殺でブッチギリの能力をこんなことに使ってんのかお前」

 

「ハハ、だからといって君は忘れちゃ嫌だぜ?天使に忘れられたとあっちゃ流石の俺も涙が出ちゃう」

 

「うぜぇな……」

 

ナポリの街を二人で歩く。軽口を叩きながら進む道がなんとも楽しい。知ってるか?コイツ殺し屋なんだぜ?

 

「こうして二人で歩いてるとさ、勘違いされそうだよな」

「カップルに?冗談は存在だけにしてくれる?」

「いや、天女とソレに魅入られた愚かな村人」

「お前は口説き文句が本当に下手だな」

 

バカにしたのか?俺を……。この完璧なイタリアのキザ男を。

いくらお前相手でも俺も怒ることはあるぞ。

 

「いいのかそんなこと言って。本気で口説いたらお前でもイチコロだぞ?」

 

「お前が下手な口説きしてる間に私は4人は愛人が作れる」

 

言ったなコイツ!!絶対キュンキュンさせてやるからな!

まずは軽いジャブから。ここで終わらせてやる。

 

「ンンッ!……寒いから……さ、手……繋ごっか?」

「夏の真っ昼間だぞ童貞」

「……」

 

さて、万事休すか。ココからが本番だな。あと童貞って言うな。大事なときまでとっておいてあるだけだ。敢えてね?

 

俺は全力で思考を開始する。咄嗟の起点において他の追随を許さないことで定評がある俺だ。こんなのピンチでもなんでもない。

 

そう言えば、聞いたことがある。古来から人を褒めるときは比較対象を作ると上手くいくって。例えばダイヤとかを使って、それよりも君が美しいよって感じで。

他にも海外では路傍に咲く花を彼女に見立てて一生懸命咲いてるとこが君にそっくりだ、とか言ったりするらしい。

 

よし!ここは俺も先人たちに習っていこう!

 

「見て、あの石ころ。人に見向きもされなくても堂々とする姿、まるで君みたいだ。おっと、でも俺はあんな石ころより君に夢中だよ?」

「舐めてんのかお前。ぶっ殺すぞ」

「……」

 

駄目だったようだ。所詮海外の猿どもの浅知恵だ、信じた俺がバカだったようだ。

 

こうなったら数撃ちゃ当たる理論だ。イタリア人ならユーモアで勝負だ。

 

「あ!リボーン!あそこ見て!滅茶苦茶カワイイ人が「鏡に写った私だった、なんてありきたりなことないよな?」……そんなわけないじゃん。あ、でもごめんな。さっき言ってた天使ちゃん、恥ずかしがりみたいだ。見えなくなっちゃった」

 

「はぁ……。お前は天使って言葉を過信しすぎだ。乱用したらありがたみも減るだろ」

 

確かに!この際どうして口説こうとしてる女に教えてもらってるのかは置いておこう。今は知識を蓄えるべきだ。教えて下さいリボーンちゃん!

 

「だいたいな、お前のソレ全部ナンパ用じゃねーか。私に効くワケねーだろ」

 

ド正論だ。基本ナンパしかしないから気づかなかった。

その後もリボーン先生のダメ出しは続く。どうしよう、心が折れそうだ。俺は既に半ば聞き流しに入った。このままいくと俺のメンタルはバチクソになるに違いないと本能で理解していたから。あ、ひったくりが起きた。すげーや、目の前で起きたのははじめてだ。しかもコッチに走ってきてる。

 

「ほいっと。ちょっと待ってね」

 

一生続くダメ出しにちょっとイライラしていた俺はこの機を逃さなかった。足を引っ掛けて下手人を転がした俺はマウントをとる。いいサンドバックが自分から走ってきたんだ。ボコボコにしてストレス解消してやる。

 

「オラ、起きろや。まずは俺たち二人の時間を台無しにしたことへの謝罪だよな?今こっちは絶賛甘々ハネムーンだったんだが?」

 

「よくそんな嘘つけるなお前。恥ずかしくないのか?」

 

んー?何言ってるのか聞こえないなー?俺の中では既にヌオーヴォ城に囚われてたお前を助けたことになってるから。

 

「オイコラ寝てんじゃねーぞ、盗んだカバン寄越せ。……んだよ大したモンねーじゃん。盗むならもっといいモン盗めよ。とりあえず、この財布は貰ってくから」

 

「なんでひったくりが奪ったカバンからお前が財布盗んでんだよ。流石の私も驚いたぞ。……私は先に行ってるからな」

 

何かを察したのかスタスタと去ってしまったリボーンさん。一体どうしたというのか。とはいえ俺も急がないとこのカバンの持ち主に絡ま「あ、あの!」……遅かったか。

 

「カバン、取り返してくれたんですよね?ありがとうございます」

 

アイツめ。こうなることが分かってて逃げたな?

ここで取り返したには取り返したが財布は貰おうと思ってました、なんて言えないし、ここは適当に相手して財布は諦めるか。

 

そう思って振り返って、俺はこのひったくり犯に感謝した。

 

「いえいえ、私は紳士として当然の行いをしたのみです。礼をされるようなことはしてませんよレディ」

 

滅茶苦茶キレイな人だった。リボーンがクール系ならこの人は包容力半端ない系。ありがとうひったくり犯、君のおかげでキレイな人に出会えたよ!

 

「フフ、それでもですよ。実は私、今日は家族に隠れて一人で遊びに来てたんです。そしたらこんなことになっちゃって、助かっちゃいました」

 

「ソレはいけない。アナタのように美しい女性が一人でいたら悪い虫が寄ってくるのも当然だ。かくいう俺もまんまと釣られちゃったよ。どう?一日だけお茶目な騎士とか欲しくないかい?」

 

俺の軽口(全力ナンパ)にも笑顔が崩れない。うーん、素敵!

 

「お上手ですね。でも、いいんですか?先程まで一緒にいた女の人、待たせてるんじゃないですか?」

 

しまった、リボーンのことをすっかり忘れていた。殺されてしまう。

 

「おっと、申し訳ないね!美人との邂逅に浮かれてしまったよ。また会いましょう!」

 

「おや、こんな偶然の出会いに『また』なんて求めていいんですか?もちろんもし会えたならお礼をさせていただきますが」

 

「ハハッ!昔から運には縁があってね!今日だって最高にツイてるんだぜ?なんたって、こんな美女とお近づきになれたんだからね!」

 

俺は走ってその場を去った。殺されないといいけど。

 

 

あっ……。

 

 

「……えっ?ど、どうされましたか?」

 

走り去ったハズの俺が全力でUターンしてきたのを見て驚いている女性。ごめんね、でも大事なことを忘れてたから。

 

「はァ……はぁ……。そういえば、名前を聞いてなかったことを思い出してね。これじゃイタリア人として失格だろ?」

 

現状非常に緊急だが、名前だけでも聞いておかなければ。さっき運には縁があるといったが、基本俺には悪運しか来ないからな。名前知らなきゃ一生会えない可能性もある。

 

「……フフッ!やっぱりおかしな人ですね」

 

ん?今もしかして笑われた?おかしな人って言われた?

 

「いいですか?私の名前はルーチェ、ルーチェです。もう一度会えるように、忘れないでくださいね?約束です」

 

やばい、お淑やかで落ち着いた大人の女性だと思っていたが、お茶目な一面もあるなんて。本気で惚れそうだ。惜しむらくは家族がいることだろうか、こんないい人なんだ。多分家族とは夫のことだろう。

 

「よし、記憶したよルーチェルーチェ!今度はお茶でも飲みながらゆっくり話そうね!」

 

「待ってください!ルーチェです!ルーチェルーチェじゃなくて!……行っちゃった」

 

結局、ダッシュで向かったがリボーンには半殺しにされた。愛が重いぜまったく……。

 

 

 

 

 

 

そして時は加速した。簡単に言えば指輪が持ってくる不幸の対応のせいで気がつけば数年経っていた。

わかんねーよ。なんで指輪つけてるだけで不幸になるんだよ常識的に考えておかしいだろ。おかしいだろヘルリング。

 

ただ、この数年で本格的に調べて分かったことがある。俺が持ってるいわくつきの指輪、ヘルリングを使うことは契約と同じで使用者は精神を代償とするらしい。

つまり俺は精神がごっそり持っていかれてる。最初に知ったときはシンプルに泣きかけた。

 

現在俺が所有しているいわくつき指輪は4つ。コレら全てがヘルリングという名の通りイカれたモノだった。確認してみたけど全部から炎が出た、青紫っぽいの。いや、1つだけ自分じゃ確認してないけど炎が出てるのは見た。ビックリした。

全部セシウムの可能性も捨てきれないが多分コレも裏世界のあたおか案件だ。そりゃ襲われるのも納得だよ。

 

思えば最初に666の指輪を手に入れてから随分時間が経った。その分不幸もあった。でもブッチギリの幸運がきた記憶がない。いつ来るんだ俺の幸運。もう今までの不幸に見合う幸運なんてそんなないぞ。

 

そして俺は今、久々にリボーンに会いに来ていた。マジで数年ぶりの再開だ。そろそろ俺を恋しく思ってる可能性もある。熱い抱擁を交わしてみてもいいだろう。

 

「へーい!リボーン!!ひっさしぶ……あぇ?」

 

おかしい、発砲がない。というか部屋に痕跡がない。どういうことだ?

 

「おっかしいなー、今日はいる気がしたんだけど。美人がいる日を外すなんてはじめてだぜ。センサー狂ったかな?」

 

とりあえず部屋の中を歩き回ってみる。あれ?カメレオン君もいないな。いつもならココにいるハズなんだが。

 

仕方ない、今日は帰ろう。少し経てば帰ってくるはずだ。

 

そう思って帰ろうとしたときだった。扉の前に気配を感じた。間違いなくリボーンの気配だった。扉が開くと同時にちょっと高めの子供みたいな声が聞こえてきた。

 

「なんだ、お前か。しばらく見ねーから死んだと思ってたぞ」

 

声の主はそう俺に話しかけてきたが肝心の姿が見えない。まさかこれもヘルリングの代償だろうか。

 

「……おいおい、まずは姿を見せてくれよ。だいたいここは世界最強様の砦だぜ?勝手に入って許されると思ってんの?」

 

「そっくりそのまま返してやろうか?勝手に入ってくんじゃねーよ。それと下見ろ下、蹴り殺すぞ」

 

まるでリボーンみたいなことを言う声の主。とりあえず言われた通りに下を見る。

 

「なっ!?」

 

「やっと気づきやがったな。もう少しで撃つとこだったぞ」

 

そこには、リボーンと同じ服を着たリボーンそっくりの赤子がいた。誰なんだこのガキは。

 

ここで俺の天才的頭脳が光った。一瞬にして俺が最も信じたくない結論を弾き出してしまった。

 

「……嘘だろ、流石に冗談がすぎるぜ」

 

「あぁ、私も……おい待て。お前絶対勘違いしてるだろ」

 

「俺が数年目を離したうちに、ガキ作ってるなんて……!」

 

「オイ、話聞けよゴミ。私だ、私がリボーンだよ」

 

「なんてこった。自分がリボーンだと信じ切っちまってる。まだ幼いのにコイツは重症だ、ぜってー将来黒歴史になる」

 

「重症はお前だよ全身黒歴史。だいたいこの年齢でここまで喋れるの普通におかしいだろ」

 

確かに。いくらアイツの息子とはいえ流石にそれは人間の限界を超えてるもんな。

 

……じゃあこのガキ誰だよ。

 

「私もちょうどお前を探してたんだよ。ちょっと付き合え」

「?」

 

ガキに釣れられて部屋の奥へ進む。というかこのクソガキ、様になってるからツッコまなかったけどもっと俺を敬えよ。仮にも20近く離れたお兄さんだぞ。

 

「ここでいいか、まぁ適当に座れ」

「ウス」

 

おかしい、ガキの言葉なのに逆らおうという気が全く起きない。魂レベルで反抗を拒否してるみたいだ。

 

「まず、さっきも言ったが私がリボーンだ。言っておくが冗談でもなんでもねぇからな?だから次その目で見たら眉間撃ち抜く」

 

ムッ、さっきから黙って聞いてればいい気になりやがって。大人を甘くみるんじゃねーってコトを教えてやらないと。俺のセンサーが鳴らしている警鈴は一旦無視だ。

 

「ハッ!最近のガキは威勢がいいなぁ?いいこと教えてやろうかボク?銃ってのは重たいから君には持てませーん!」

 

「レオン」

 

パァン!

 

あぶなぁっ!?ちょっと煽っただけでカメレオンを銃に変えて撃ってきやがった!?てかアレ、形状記憶カメレオンじゃない?アイツが育ててた奴。え?マジで  なの?

 

「お、オイ。お前ホントにリボーンちゃんなのか?」

「だからそう言ってんだろ。ただでさえイラついてるんだから早く納得しやがれ」

 

悲報、狙ってた同僚が突然幼児化した。

……もしかして俺、ペドってことになりますか?

 

 

 

 

イタリア人として以前に人として踏み超えちゃいけないラインを意図せず超えそうになっている事実から必死に目をそらす。情報を、情報を得るべきだ!

 

「お、オーケー、落ち着こうか。わかった、信じよう。だからホラ、続きをどうぞ?」

 

まずは話を聞かなきゃ始まらない。全部聞いてから判断しよう。

 

「まずはこうなった原因からだな。2年前だ。私の拠点にある男がやってきた。それも私に気づかれずに無断でな。名前はわからないが、鉄の帽子を被った特徴的な男だった」

 

「なっ!?お前みたいな美女の家に無断侵入だって!?なんて野郎だ、男の風上にもおけないぜ」

 

「……まあいい。で、鉄帽子は私に透明なおしゃぶりを渡してある場所に来るように伝えて消えたんだ」

 

「オイオイ、いくら何でもいきなり赤ちゃんプレイはハードルが高すぎるだろう」

 

とんでもねー野郎だ、鉄帽子の変態野郎。俺の予想が正しければソイツはドMだ。鉄帽子なんて首痛めるモノつけて赤ちゃんプレイ頼むヤツはドMに決まってる。

 

「……それで言われたとおりの場所まで向かった先には、私と同じ境遇の人間が7人いた。お誂え向きに全員がおしゃぶりを渡されてな」

 

「まさかの初対面の奴集めて8Pかよ。次元超えて変態だな鉄帽子」

 

リボーンがピクついている。おおかた件の男の所業を思い出してるんだろう。コレはブチギレても仕方ない。

 

「……最初のミッションはなんなくクリアしたんだ。ソコからはさらにレベルの高い依頼に変わっていった。それでチームの連携も高まって超難度のミッションをクリアした後、最後のミッションで宝を探しに山へ向かった」

 

「なるほどな。そこで──」

 

「あぁ、山頂付近に辿り着いたとき私たち7人は謎の光を浴びて呪いを受けた。そして気づけばこの姿だ。おしゃぶりも外せなくなっちまった」

 

「んー、わざわざ仲間意識を持たせる辺り悪質だな。要は鉄帽子は手の込んだ幼児趣味だろ?度し難い野郎だぜ」

 

「マジメに聞けカス」

 

ノータイムだった。割と真剣に殺しに来てた。これでも真剣に聞いてたんだけど?

 

とはいえ今の説明だけだとよく分からないな。まず赤子にするという能力が意味わかんねーから。実際に目の前に実例があるから否定できないけど。

 

「それで?君は俺に何を求めてる?」

 

「思ったより話が早いな。お前には鉄帽子の男、そして解呪の手がかりの捜索を依頼したい」

 

わーお、依頼だってよ。今までは全て命令だったからな。依頼という正式な形でのお願いははじめてだぜ。よほど切羽詰まってるのか?

 

「正直、2年も姿が成長しないし私たちの力ではなんの手がかりも見つからなかった。だから半ば諦めてるんだ。だが、お前はそれを認めないだろ?」

 

当たり前だ。誰が好き好んで茨の道(ペド)を進もうとする?しかもお前成長しないらしいじゃん。もう絶望しか残ってねーよ。

 

それに、諦めてるなんて言ってるアンタが個人的に気に入らねぇ。

 

「それに、よく考えればお前は呪いのプロだからな。ヘルリングの呪いを物ともしないお前ならもしかしたら何か分かるかもしれない。私も戻れるなら戻りたいしな」

 

お?コレは褒めてくれてる?いやぁ照れるね。見た目はガキだけど中身はあの美人なわけだし。

でも、一つだけ気になることがあるんだよね。

 

「別に捜索は構わないけどさ、世界最強の7人が見つけられないわけっしょ?超危険な可能性ない?報酬はどうするつもりだよ」

 

リボーンもわざわざ依頼と言ったんだ。間違いなくそれ相応の報酬を用意してるに決まってる。

 

「そうだな……なんだかんだお前とは付き合いも長いからな。もし呪いが解けたら、私がなんでも言うこと聞いてやる。勿論、婚約してもいい…………おい、なんとか言えよ。こっちも最大限譲歩してるんだぞ?お前だから許してるんだからな?」

 

…………脳がフリーズしている。何を言ってるのかよく理解できない。

 

落ち着け。まだできると決まったわけじゃないんだ。クールにいけクールに。イタリア人ならこの程度狼狽えるな。

 

「わわわわかった、引き受けよう。マリッジブルーの対策は整えておくから。安心して?天使をみすみす逃がすなんてヘマはするものか」

 

「落ち着け、気が早すぎるだろ。せめて幸せな家庭環境から想像しろ」

 

若干顔を赤らめたリボーンにそう言われて少し落ち着いた。焦るな俺、というかちょっと顔赤いのなんなの?もしかして照れてるの?ちょっと可愛すぎない反則なのでは?

 

「ンンッ!とりあえずもう一度聞くぞ」

 

改めて仕切り直したリボーン。次のセリフによって依頼は成立する。

 

「この依頼は本当に危険だ。それでも、私のために命を懸ける覚悟はある?」

 

「もちろん、生まれたときから。女のために軽率に命を懸けられるのがイタリア人なのさ」

 

俺のカッコつけた台詞に、リボーンは少しだけ吹き出してこう言った。

 

「そこはせめて『君のためなら』とかにしろよ。だからお前は駄目なんだ。……ただまぁ、ありがとな」

 

こんな時までダメ出しをされるどうしようもなさだが、コレはコレで俺らしいかも知れない。

 

 

「ちなみに本当に結婚でも頼むのか?」

「え?頼むわけないじゃん。だってそんなのなくても俺に惚れてるでしょ君」

「自惚れ過ぎだバーカ」

 

 

 

 

 

 

「あっれー?理論はあってるはずなのになー……」

 

リボーンの依頼を受けてからさらに数年が経過した。既に今年で24になる。リボーンは未だに2歳から姿は変わらないらしい。

そして俺は鉄帽子の男についてまったく手がかりを見つけられていなかった。

 

というのも、最初の半年で捜索に見切りをつけたからだ。よく考えなくても最強の7人とやらが見つけられないものを俺が見つけられるハズがない。

ということで、俺は実家のマフィアが秘密裏に行っていた研究を急ピッチで進めることにしていた。

 

その研究内容とは、タイムジャンプ。簡単に言えばタイムマシンの開発だ。

 

その名も10年バズーカ。対象物を10年後の対象物と入れ替えるというもの。コイツを使えばリボーンたちの10年後が分かる。もし呪いが解けていればそこから技術を持ってこれば解決する。我ながら天才的な発想である。

 

ただ、この10年バズーカだが、5分間という制約がある。

 

これがダメだ。たったの5分では結果は分かっても過程を知ることができない。解呪に必要なのは過程だ。そこで俺は数年かけてこの制約をぶち破るべく研究を続けていた。そして今日、ようやく可能性のある試作品が完成した。

 

ぶっちゃけなんでできたのかよく分かんないけど。今までの10年バズーカと違い精神のみを飛ばすモノだから肉体の転送にかけるリソースが無い分時間の制限も無いということだろうか?

とにかくコレで目的にはだいぶ近づいた。

 

そのハズ、なんだけどなぁ……。

 

どうにも実験では思った通りにならない。確かに俺の幻術パワーとかを使わなきゃできないという不確定な要素ばかりだけど、ここまでおかしなことになる訳がない。まるで世界が無理やり邪魔をしているみたいだ。

 

「時間ねーんだけどなー」

 

そう、時間がない。俺が既に24ということは、もし呪いが解かれてもリボーンとイチャつけるのはそろそろ限界だ。あっちじゃなくてこっちの年齢が手遅れになる。それだけは避けたい。

 

「いっそ試作品のまま俺が試してみるか?本人なら幻術パワーも噛み合う可能性もある」

 

実験のために適当なスペースを探して森の奥を歩きつつそんなことを呟いていたときだった。

 

「いや、ソレは困るね。万が一成功されればアルコバレーノ達の希望がなくなる」

 

背後から急に気配を感じた。振り返って見れば、ソコには鉄帽子の男がいた。

初対面だが間違いない。コイツが例の男だ。ヤバそうな雰囲気が漂っていやがる。

 

「……どういう手品だ?今の今まで気配はなかったが」

 

「答える義理はないね。私の目的はソレではないのだから」

 

コイツはヤバい。洒落にならない実力が分かる。リボーンとデスマッチしてた俺には分かるぞ、コイツ滅茶苦茶強い。

 

「いや、ソレにしても驚いたよ。まさか制限なしの時間跳躍を成功寸前まで進めるなんて」

 

男の話が続く。できる限りここで会話を続けるべきだ。コイツが犯人だとしたら情報をしぼりとる必要がある。

 

「ハハ、誰にも言ってないのになんで知ってるのかはこの際置いとくぜ。それよりアルコバレーノの希望がなくなるってのはどういうことだ?わざわざ顔見せてくれてるんだ、少しくらい詳細を教えてくれてもいいだろう?」

 

「フッ、もしかして会話を長引かせようとしてるのかい?だがそれもいいだろう。特別に教えてあげようじゃないか。君の存在を消すことなんて容易いしね」

 

鉄帽子が悠々と語り始める。俺のことを敵とすら見ていない。隔絶とした差が存在することは事実だがムカつくな。

 

「そうだな、どこから話そうか。まず、君たちと私は種族が違うということを前提に話を聞いてくれるといい」

 

いきなり電波発言されて戸惑ってますよ今。

 

「私の種族は君たちが生まれる前から地球に住んでいたいわば旧人類だ。この奇跡の星地球を守ることが使命だった」

 

ああ、茶々を入れたくてしかたない。こんな面白おじさんだとは思ってもいなかった。でも機嫌を損ねるわけにはいかないからココは我慢だ。

 

「私たちは、地球上の生命力のバランスを補正し正しい進化に向け生命を育むための7つの石である7³に炎を灯し続けていたのだ。もともとは私の種族のみで炎を灯し続けられたんだが、種族の者もこの世を去ってしまってね。石を分割して新人類の君たちの力を借りることにした」

 

なるほど、よくわからん。7つの石ってなんだよ。炎を灯すってなんだよ。何から何まで理解できないんですけど?

 

「炎を常に灯すために脱着不能にしたおしゃぶりを守るための最強の7人の人柱。それがアルコバレーノだ」

 

どうしてそこでおしゃぶりにしたのか、しかも幼児化までさせて。これがわからない。やっぱ幼児趣味だろお前ら。

 

「ついでに言えば残りの石は着脱可能のリングとして作った。もう一人の我が同胞の案でね。それがボンゴレリングとマーレリングだ。コレは蛇足かな?」

 

「いや、蛇足じゃない。炎が出る石をリングにしたって言ったな?要はカルシウム石とかバリウム石とかそういう珍しいモノだろ?じゃあコレはそれ関連か?」

 

俺は指に着けているヘルリングを見せる。今日も不気味さは絶好調だ。

 

「この指輪からもたまにセシウム炎がでる。コイツもその7³の一つと考えてもいいんだろう?」

 

謎が全て解けた。とても清々しい気分だぜ。今の俺はドヤ顔をしているだろう。

 

「いや、違うね」

「……ホントに?」

「うん、全く関係ないね」

 

やばいメッチャ恥ずかしい。死にたくなってきた。何がお前コレも7³の一つだろ?だ。そんなわけ無いだろ死ねよカス。

 

「ハッハッハ!!君は実に面白いね。見ているだけで楽しくなるよ。いいよ、そこらへんも特別に話そうじゃないか」

 

笑うんじゃねぇ!!でも話してくれてありがとなぁ!

 

「まず、変わった色の炎は別に炎色反応じゃないね。それは死ぬ気の炎と言うモノだ。だから我々の使命を炎色反応させること、なんてよく分からないように捉えないでくれたまえ」

 

炎色反応ではないのか。思い当たる節が炎色反応しかなかったから早合点していた。確かに一族で炎色反応を受け継いできたなんて思われるのは嫌か、幼児趣味でも。

 

「死ぬ気の炎とは、今でこそボンゴレに伝わる超圧縮エネルギーだが、もともとは我々がリング継承のときに伝えた力なのだよ。それぞれ大空、嵐、雨、雷、晴、雲、霧の7種類の炎があり、それらは大空の7属性と呼ばれている。それぞれの炎で特徴が違ってね。君のつけてるヘルリングは霧属性のリングだ。もっとも、ソレがなんなのかは私にも分からないけどね」

 

な、なるほど……。つまりこの炎はボンゴレに伝わる秘技ってことで、ヘルリングは7³関係ない霧の炎に順応したヤバい指輪ってコトか。つまり……

 

「俺って、なにからなにまで蚊帳の外って感じ?」

「そういうことになるね」

「うわぁ恥ずかしい!!!」

 

ちくしょう絶対関係あると思ったのに!せっかくカッコつけたのに!

 

「さて、ココから本題だ。何故私がわざわざ君の前に姿を見せたか、だが」

 

ここまでが必要な前知識、というわけか。確かに専門用語が多すぎてこれがなかったらついていけなかっただろう。

 

「先程アルコバレーノは人柱、と言ったね。この言葉に嘘はない。アルコバレーノになった者はもれなく死ぬ」

 

「!?」

 

「おしゃぶりの力に耐えられなくなるのさ。その度に任期交代を行って新たなアルコバレーノを生み出す。その過程でおしゃぶりの力を抜かれた旧アルコバレーノは死ぬ。つまり元の姿に戻ることはない」

 

いきなりとんでもない情報を握ってしまった。重すぎる事実に心が折れそうだ。

 

「もちろんコレは彼らの一人も知らない。じゃあ何故君に話したかって?もし君が実験を成功させれば私の意図を離れてその事実を知ることになる可能性があるからね。そうなればソレを知ったアルコバレーノ達が絶望して反乱を起こす、なんてこともあり得る。それでおしゃぶりが壊されては困る」

 

「はっはーん……。つまりここで俺を止めないと後々面倒になるから死んでくれってことだろ?おっかねーなまったく」

 

「おや、存外話が早いね。その通りさ。今は7³の秩序を守る力で失敗しているようだが、成功するのも時間の問題だ。幻術とはそういうモノだからね」

 

……なるほどな。7³によって世界の秩序が保たれてるから何度試しても成功しなかったのか。時間跳躍なんてあからさまに世界の歪みの原因になるものを許容できるわけないもんな。おそらく10年バズーカが5分という制約もソレの影響だろう。正しく機能するのが5分が限界なのかもしれない。普通なら。

 

でも俺には幻術がある。幻術は世界を騙し幻想を現実に構築する。作成に幻術パワーを必要としたのはそういうことだろう。さらに今聞いた霧の死ぬ気の炎ってヤツを組み込んでやれば多分イケる。根拠はないが出来る確信がある。

 

つまり、ここを切り抜ければ俺なら確実に成功させられる。と言っても、ココからが1番の問題だ。さて俺、覚悟はいいか?今回はリボーンちゃんの時よりも可能性はないとみていいぞ。

 

「さて、そろそろ会話も飽きてきた。名残惜しいがさようならの時間だね」

 

「まったく思ってないクセによく言うよ。コレでも俺はアンタとはまだ話していたいんだぜ?」

 

一瞬でもズレれば全てが崩れる。カウントダウンだ。3、

 

「ハハ、コレでも私は忙しくてね。7³の管理は全て私が行っているのだよ」

 

「へー、そうなのか。ところでさ、最強の7人って俺は入らなかった?コレでも結構俺も凄いんだぜ?」

 

ギリギリまで相手の思考を反らし続けろ。2、

 

「んー、そうだね。君よりも強い術士がいたからね。ほら君、幻術で人を殺せたりはしないだろう?」

 

「なるほどね。そんなコト出来る奴がいるなら確かにソイツは俺よりよっぽど実戦向きだね。羨ましいぜ」

 

鉄帽子の男はコチラにゆっくりと向かってくる。1、

 

「まあ、そこら辺は仕方のないことだ。さ、覚悟は出来たかい?」

 

「ああ、覚悟ね。もちろん出来てるさ、数年前にはとっくに」

 

ゼロだ。ソコは射程範囲内、俺は瞳のヘルリングを使って攻撃を行う。鉄帽子の男に巨大な鉤爪なんかが殺到する。ソレと同時にUターンして全力ダッシュ。

 

「やっぱりか。無駄なことをするね。残念だが、私を倒すなんてコトは考えない方がいい。地力が違いすぎる。その証拠に、君の攻撃に私はキズ一つ負っていない」

 

「最初から勝とうなんて思っていないさ!昔から逃げ足だけが取り柄でねっ!イタリア人らしいだろ!?」

 

大声を出しながら全力で走る。その最中に気配のヘルリングも使うのを忘れない。大量の人の気配を作り出される。その間に俺はお顔マジックで自分を偽装する。

 

「……?高度な幻だな、気配が全て本物だ。そのクセ本人の気配は消えた。コレもヘルリングの力かな?」

 

鉄帽子も流石に一瞬硬直した。よし、一瞬稼げれば十分だ。間髪入れずに次の仕掛け、行ってみよう!

 

「!……へぇ、なるほどね。うん、実に惜しいな。ココまでとは。それに……少し様子見だな」

 

後は森から出ればコッチの勝ちは確定する。ヤツが動けない今のうちに走れ!

 

「だけど、言っただろう?地力が違うって。少々手荒だが致し方ない」

 

瞬間、背後から爆炎と謎の衝撃が俺を襲った。

 

 

 

「イッツぅ……。何しやがったあの男……?」

 

謎の爆炎に飲まれて倒れていた身体を起こす。全身がイタイ。普通に走れそうにない。だがとりあえず状況を把握しなければ。

 

……っ!?

 

「オイオイ……冗談キツイぜホント」

 

「いやいや流石だよ。まんまと踊らされてしまった。ここまで君が優れているとは思わなかったよ」

 

鉄帽子がコチラへ歩いてくる。持ちうる手札はあらかた使った。正真正銘のピンチである。

 

「何してくれたんだよアンタ、今の結構自信作だぜ?」

 

「ああ、誇ってくれて構わないよ。このチェッカーフェイスを欺ける人間なんて、この世界にそうそういない」

 

じゃあもっと悔しがってくれないか?そんな無傷で歩いてこられても達成感なんてなくなっちゃうぜ。

 

「ソレにしてもいい作戦だった。なにか企んでるとは思ってたがここまで凝ったことをしてるとはね。あの急ごしらえで」

 

「お目々も優れてると来た。流石古の地球人様、やってらんないな。参考までにこの状況の作り方、教えてもらっても?」

 

「簡単さ。君が森の中の自然音と代わり映えのない景色を起点にしたようだからね。全て焼き払わせて貰った。死ぬ気の炎にはこんな使い方もある。尤も、ここまでの規模は私しかできないがね」

 

「脳筋ヤローが……。地球守るのが使命なら自然は大切にしろよ」

 

「ハハ!耳が痛いね。だけど星の存続の為には君の対処の方が重要だったのだよ。必要な犠牲というヤツだ」

 

鉄帽子改めチェッカーフェイスさんはとても上機嫌でいらっしゃる。対して俺は絶望である。何重にも張り巡らせたのに全部上からぶっ壊された。

 

「さて、いい加減諦めてくれたかな?君は既にさっきみたいに走れる身体ではない。そもそもさっきの攻防からわかるが戦闘が本職じゃないだろう君。正面から戦うのができないタイプだ」

 

「いーや、それでもまだ諦めるには早いかもね」

 

もう一度瞳のヘルリングで攻撃する。まったく効いてない。泣きそうだ。

 

「……何をするのかと思えば、所詮は悪あがきだな。それにしても……うん、やっぱりそのリングいいね。簡単に気配を消せるのは便利だ。自前で面倒なことしなくて済むしね。頂かせてもらうよ。あとソレは邪魔だね、没収しておこうか」

 

「……ぐぅっ!!」

 

瞳と気配のリングを持っていかれた。そしてそのまま蹴り飛ばされた。数十メートルは転がったな。容赦なさすぎるって。

 

「運が悪かったね、君は。もしココが森じゃなくて人がいる場所なら、君はもっと自分の能力を発揮できただろう。私は強引に焼き払うなんて選択をしなかっただろう。もし爆風で飛んできた木が君に当たらなければ、君は無事逃げられる可能性があっただろう。もしリボーン君に協力しなければ、こんなコトにはならなかっただろう。君を渦巻く様々な要因が不運となって君を今襲っている。流石の私も同情してしまうよ」

 

ベラベラ喋りやがって。あいにくだが不運は666のリングのせいで慣れてるよ。だいたいお前と俺じゃ運に対しての価値観が違うみたいだからな。同情されても困っちゃうぜ。

 

「あのさ……ベラベラ喋ってるけど……結局さ……生きてまた笑えれば不運じゃないって。コレはイタリア人なら常識だぜ?」

 

「……分からないな。どうして諦めない?どうしてそこまで抗おうとする?私が本気を出せばすぐに消されることは理解できるだろう?」

 

今更そんなこと言うのかお前。俺のことを知ってるなら分かるはず……いや、そういうことか。

 

「チェッカーフェイス……だっけ?ひとつ……聞いてもいいか?」

 

チェッカーフェイスさんは何も返答しない。そのかわりに攻撃もしてこない。続けてもいいと捉えてもいいだろう。

 

「アンタさ、実は俺のことよく知らないだろ?」

 

「……」

 

「思えば最初からおかしかったんだ。俺の作ってるモノがやばいなら何故この完成間際まで俺を放置していた?俺のことを知っていたなら何故一度幻術に引っかかった?アンタの規格外の能力に隠されてはいたけど全部知ってるにしてはアンタの行動には粗がありすぎる」

 

「……続けたまえ」

 

否定はない。しかも話を聞いてくれるようだ。コレで俺の予想はほとんど正しいと見てよさそうだ。

 

「予測するにアンタは俺の実験について知らなかった。そのハズだよ、70億人を常に把握するなんて不可能だ。じゃあなんでここに今いるのかと言えば、多分それは本当に偶然だ。さっきの運が悪かったって発言はそういうこと。つまり、ここでの遭遇は仕組まれていたものじゃなくて本当に運だったんだ」

 

「……つまり?」

 

「もう芝居はいいだろ?つまりさ、全知全能の鉄帽子なんて存在しなかったんだ。今ここにいるのはイカれた強さを持つだけの生命。お前は俺の手の内を知らない。それならまだ諦めるには早いってことだ」

 

俺の渾身の推理を聞くチェッカーフェイス。顔は少し俯いているせいでよく見えないが、きっと看破された恥ずかしさで真っ赤に違いない。ざまーないな。

 

「……フハッ」

 

俺たちの間の静寂を破るかのように、チェッカーフェイスは笑いを漏らした。

えぇ……あんな強いのにメンタルゴミカスじゃん。恥ずかしすぎて壊れちゃったみたいだ。

 

「答えは是だ。私は君のことをつい先程まで認知していなかった。もともと7³への微弱な干渉はそれなりにある。そのどれもが結局は大きく影響しないものだから普段は気にもとめない。だから今日君を見つけたのも、君の実験が丁度この辺りを視ているときに起きた歪みだったからだ。いや本当に運が良かった。もし気が付かなければ私は君のことをスルーしていただろう」

 

うわ、急に堂々とするなよ。温度差が分かんなくなっちゃうだろ。イタリア人は気狂いの扱いに慣れてるわけじゃないんだぞ。

 

「しかし、安心するにはまだ早いのではないかね?いくら私が君の手札を知らないからといって、君が絶体絶命の状況にあることに違いはない。私の気分で君の存在が消し飛ぶことがわからない君ではないだろう?」

 

薄笑いを浮かべながら俺を見下ろすチェッカーフェイスさん。その声は期待を含ませたモノだった。間違いなく次の俺の言葉を待っている、そんな声をしていた。

良いだろう、お望みならソレも答えてやろう。そういえばアンタMだもんな。看破されて気持ちよかったのか。キモイなホント。

 

「……さっきからそう言いながらも一向にトドメを刺そうとはしないよな。その気になればすぐに消せるという言葉に嘘はないのに。なら話は簡単だ、理由は分からないけどアンタは俺を生かしておきたいんだ。違うヒェッ!?」

 

ヤツの顔には満面の笑みが浮かんでいた。狂気を感じるような笑みだ。シンプルに怖すぎた。怖すぎて漏れかけた。

 

「フハハハハ!!やはり君は良い!最高だッ!!」

 

いやぁ怖い!?目覚めさせてはいけないドMを目覚めさせてしまった!?新たな扉開いちゃってるよコイツ!!

 

「君の言うとおりさ。私がここまで君の話に付き合っていたのには意味がある。とはいえ、最初の問答の時は本当に気分が乗っていただけだったがね」

 

急に語り始めた。もう分かんないよコイツ怖すぎるって。助けてリボーン、俺には荷が重い変態だよコイツ。

 

「先程君が施した森音を使った4重の幻術、アレを私に気づかせずに実行するのは今代の霧のアルコバレーノでも不可能だ。分かるかい?君は私の想定を遥かに超えたんだ」

 

男の顔には笑みが貼り付いたままだ。あの顔には見覚えがある。リボーンちゃんと俺が3回目に遭遇した時の彼女の顔にそっくりだ。簡単に言えば俺に強い興味を持ってる。

 

「そして君は少ない会話の中で私の思惑に気がついた。私を欺くだけの能力の他にそれなりに優れた頭脳まで持っていた。そして何よりも、いくつものヘルリングを使っても変わらぬその精神だ」

 

ヤバい、なんとなく流れが読めてきた。

 

「一つだけでも精神が崩壊する可能性もあるソレを、あろうことか君は4つつけている。なのにその精神に綻びは見受けられない。リングの呪いに抗い続けた君のその強固な精神はもはや呪いへの耐性に昇華されている」

 

なんてことだ。俺がヘルリングが平気な理由がこんなところで判明してしまった。俺の隠された能力かと思ってたのにただのクソ強メンタルだったなんて。

 

「そう、その耐性こそが私の求める力。君ならばアルコバレーノの呪いに対抗できる。君なら永遠におしゃぶりを守護できる」

 

どうやら俺の力に目をつけたらしい。ハハッ!褒められて悪い気はしないけど嫌な予感しかしないのはなんでなんだろう!?

 

「アルコバレーノはその時代最強の7人ではあるが、もし彼らより強い存在が現れたときおしゃぶりを守り通せるかは未知数だ。もしかしたらあっさりと殺されてしまうかもしれない」

 

「……なにが言いたいのかよく分からないな」

 

「見え透いた嘘はやめたまえ。つまり、君ほどアルコバレーノに適している人間は存在しないということだよ」

 

やっぱりだ。ショタコン野郎に目をつけられてしまった。

 

「君のような存在はこの先現れることもないだろう。ならばここで消してしまうのは非常にもったいない事だ。だからずっと生かした状態で君を測っていたのさ」

 

「へー……、それでどうだったんだ?」

 

「最高さ。100点満点で言えば120点だね」

 

ハハ、超えてやんの。思ったよりヤバい状況すぎて軽口も叩けないし月並みの感想しか出てこねーや。

要はあれだろ?お前は身体が丈夫だから一生おしゃぶり守ってくれってコトだろ?嫌に決まってんだろバカ。

 

「君は優れた人間だ。悠長にしていて何かされる前に君には少し細工をさせてもらおう」

 

「は?……ァぐッ!?……な、に……しやがった……!テメェ……ッ!」

 

「いやなに、もともとそんな予定はなかった故に色々話してしまったからね。記憶領域のプロテクトを施させて貰ったよ」

 

勝手になんてコトするんだコイツ。なに?ここで起きた記憶消したのお前?そんなことも出来るのかよこの人外。つくづくやってらんないな。

 

「ここで失うには君は惜しい人材だ。故に全てを忘れて少し眠っていて貰おうか。安心したまえ、今のアルコバレーノの任期が終わる頃まで肉体の成長は止まるようにしておいた」

 

何でもありかよ旧地球人。規格外すぎだろ。いや確かにおしゃぶりつけて幼児化させられるならありえるか……。

 

というかやばいな。このままだとホントにアイツの駒にされる。それは駄目だ。絶対に。

 

「ァガッッ……!好き勝手やりやがって。何が眠っててくれ、だ。まだ諦めてねーっていっただろうが」

 

「ふむ……。別に足掻くのは構わないが60分も経たずに強制的に君の意識は落ちる。君が倒れれば私はその君を回収するだけだ。無駄だとは思わないかね?」

 

「思わないね。生憎だけど女神に呪いを解くって約束してきたんだ。生きて元に戻すんだ。約束したならイタリア人としてこんなとこじゃ止まってられない」

 

だからテメーみたいなケツ顎サイコの手下やってる暇なんてないんだよバーカ。ボロボロだけどなんとか立ち上がれる。

 

「なるほどね。それが君の抗う理由というわけか。いや、女というものは怖いね。どの時代でも男を狂わせる」

 

「なんだ?意外と話が分かるじゃん。もしかして経験談?やっぱ女に振り回されるのが男の誉れなんだよきっと」

 

「ハハ、君の好きなイタリアには『Chi dice donna dice danno.(女は災い)』なんて言葉があったのではないかね?他にも『Bacco, tabacco e Venere riducono l’uomo in cenere.(酒とタバコと女は男を破滅させる)』なんていうのもある」

 

流石長年生きただけあってそういう知識も豊富じゃないか。だが、小賢しさでは負ける気はないぜ?

 

「よく知ってるじゃん。でも使いどころが違うぜ?こういう時は『友達なしで最高の人生なし』を使うのが俺たちイタリア人さ」

 

今ここで勝利するのは俺だ。なら俺の道は破滅じゃなくてビクトリーロードである。輝かしい道を照らすのは天使のほほえみでQ.E.Dだ。

 

「だからさ、たとえ絶望的でも諦めない。勝ち目が無くても立ち向かうからカッコイイんだ。魂がまだだって叫ぶ限り、俺は折れない。『Finché c' è vita, c' è speranza.(生きてる限り、希望はある)』」

 

俺の最後のリングに炎が宿る。666のリングだ。今の今まで俺に厄しか持ってこなかったカスリングだが、今は付き合ってくれるらしい。

 

「いい決意だ。だが無意味だね。君の炎じゃ私の足元にも及ばない。5秒だって拮抗しないだろう」

 

「だとしてもさ。初めから屈するなんてダサいこと、この俺が認めるわけないだろ?」

 

正真正銘最後のあがきだと思ってるのか付き合ってくれるチェッカーフェイス。お前変なトコで優しいな。

 

「やれやれ、まあ炎のぶつけ合いなら身体の欠損を心配する必要も少ない。受けようか。ただ疑問だよ、なぜ君はそこまで命が張れるのか」

 

「ハッ!女に命懸けれない奴に男を名乗る価値はねー!!」

 

惚れた女(リボーン含めて美人全員)にはそれだけの価値があるッ!!

 

俺の啖呵と同時に炎がぶつかった。互いの炎は拮抗することなく、片方を勢いよく包み込んだ。

 

 

 

 

 

 

「ふむ……少しやりすぎたかもな」

 

炎が消え辺りが見えるようになってきてやっとチェッカーフェイスはそうつぶやいた。

 

「さて、彼はどこに行った?燃え尽きるほどの威力は出していないはずだが……」

 

あの時、自身の炎は間違いなく彼を覆いつくした。アレから逃れるなんて奇跡でもおきないと不可能である。それこそ7³級の代物でなくては……

と、そこまで考えてチェッカーフェイスは彼のつけていたリングについて思い出した。

 

666のヘルリング

666回の不運の先に、それらを帳消しにするほどの幸運がやってくると言われるもの。

 

7³に劣らない奇跡を起こすなら、アレが作動したと考えていいだろう。

 

「フハ、運は彼に味方したか。ならばそれもいいだろう。どの道、私のことを話すことはできず意識を失うこととなることに変わりはない。それに彼なら代理戦争に必ず現れる。それを待てばいい」

 

チェッカーフェイスは上機嫌にそうつぶやくと、自分が起こした惨状を元に戻しその場を立ち去った。

 

 

 

 

 

 

目が覚めると、知らない場所に倒れていた。こんな創作みたいなこと初めてだ。というか、なんでこんなとこにいるんだ俺?

 

「目覚めましたか?」

 

真横から声が聞こえた。声的には女性、どこか聞き覚えのある声。この温かみを感じる声は……

 

「……ルーチェルーチェ……?」

「ルーチェです。ただのルーチェ」

 

しまった。人違いだったらしい。イタリア人として恥ずべき行為だ。

 

「いや、ごめんね見知らぬ女性。昔一度会った女性と声が酷似していたもので……」

「あってます。あってますよその人物で。あなたがずっと間違えて覚えてるんです」

「ハハ、うっそだあ。そんなわけないじゃん」

「アナタその傷のわりに元気ですね?もうすぐ意識が落ちるのでは……?」

 

意識が……?ってそうだ!あのケツ顎サイコドМ目隠し幼児趣味とのバトルの真っ最中にヘルリングが光り輝いて……あれ?なんでルーチェ(仮)が知ってんのそれ?

 

「えっと、ルーチェ?さん。どうして君がそれを──」

 

そういって声のするほうを向くと、そこには謎の服装をした赤子がいた。顔はルーチェそっくりである。

 

「えっと、お嬢さん。ここでお兄さんと話してた人はいなかったかい?」

「私です。アルコバレーノになったルーチェが私です。現実を認めてください」

「嘘だッ!あのルーチェが俺より強いなんて認めたくない!」

「そこ!?もっとあるでしょう何か!私はもともと複雑なんです!強いわけじゃありません!」

 

落ち着いて話を聞く限りルーチェは巫女で未来予知ができるらしい。最強かよ。それでアルコバレーノのボスに選ばれているらしい。最強かよ。なんならその能力俺と出会った日から今日この日が訪れることがわかっていたとか。最強かよ。

 

「じゃあさ、どうやって俺がここに来れたかってわかる?」

 

なんて聞いてみるが、未来予知とはいえそんなことわかるわけないか。だって本人もわかんねーんだもん。

  

「おそらくですが、アナタのつけていたヘルリングの力でしょう。ここにワープしたときに指から離れて消えましたから」

 

えっ、消えたの俺のリング。そういわれて指を確認するが、本当に外れている。どんなときも外れなかったくせに勝手に消えやがってあのカスリング。ただ、最後に俺を守ったなら感謝してやらんこともないな、うん。

 

「それで、ここからが本題です。アナタは直に意識を失い記憶の改変が行われます。だからその前にどうにかしなければなりません」

 

ルーチェが真剣な顔で話を進める。最高にかわいい。

 

「──聞いていますか?アナタの事なんですからね!」

「聞いてるけどさ、どうしようもないってコレ。アイツイカれてるもん」

 

相対してバトってよくわかった。アイツの力はホントに次元が違う。どうにか逃げられたけど既に詰んでる。この時間はチェスで言えばチェックメイトかかってからのタイムと同じくらいどうしようもない時間。

 

「いいえ、大丈夫です。必ずどうにかします。だから私を信じてください」

 

……そんなこと言われたら惚れちゃうじゃん。さすがにいい女すぎるってルーチェさん。

 

「切り札はあなたが持っているそのタイムワープする爆弾。それを使ってアナタは精神を未来へ避難させるのです」

 

滅茶苦茶マジメな顔でそう提案してくるルーチェ。とっても申し訳ないんだが、ちょっとそれは難しいかも。

 

「いや、コレさ。7³の影響で機能しないんだよ。俺も炎とかそんなだせないほど疲労してるし」

 

「わかっています。それも大丈夫です。なぜならあなたの身体は今7³の管理者の干渉を受けていますから。7³の影響は受けにくいと考えていいでしょう」

 

そ、そうなのか。さすが未来予知持ちのアルコバレーノボス。めっちゃ詳しいじゃん。どうやら炎に関してもルーチェの炎は俺の霧の代用となるらしい。便利すぎる。かわいくて優しくて頼りになるとか最強かよ。ファッションセンス異次元だけど。なんだお前その帽子。イタリア紳士の俺でも褒めるか迷ったぞお前。

 

「いいですか?時間もありませんからすぐに始めますよ」

 

「あ、うん。よろしく。それにしても、君の前で言うことじゃないんだけどさ、リボーンも君もアルコバレーノになるなら俺も選ばれたかったよ」

 

「それは──」

 

「分かってるって、好きでなったんじゃないのは。でもさ、せっかく仲良くなれたのに一人だけ歳とるのは辛いから」

 

ペドは嫌だペドは嫌だペドは嫌だペドは嫌だペドは嫌だペドは嫌だペドは嫌だ!!!

 

「ま、任せといてよ。未来でサクッと解決するから。だからちょっとの間だけ身体は頼むよ」

 

「……ごめんなさい。アナタに押し付けてしまって。知っていたのに黙っていて」

 

「ハハ!『Ambasciator non porta pena.(悪い知らせが届いても使者には罪はない)』ってね。どうしてもってなら、もとに戻ったら遊びに行こうよ」

 

バッチリウィンクも決めてやった。これはかっこいい。自分で言うのもなんだが惚れても仕方ないだろう。

 

そんな俺を見て呆けていたルーチェだったが、少しして急に噴き出した。今笑ったか……?俺を……!

 

「フフッ、アナタはいつも笑顔ですね。でも困りました。実は私、コレでも2歳になる娘がいるんです。これでは不倫になってしまいますね」

 

「ハハッ!それは問題だね。……え?娘?2歳の?アルコバレーノって確か4年以上m「なんですか?」なんでもありません」

 

触れてはいけないことだったようだ。それにしても人類の身体は奥が深い。いや赤子だから浅いけど。

 

「さて、コレで本当に最後です。準備はよろしいですか?」

 

「ああ、バッチリだ。いつでも来いって!」

 

俺は持っていた道具を全てルーチェに渡す。なんかすごいことになっちゃったなぁ、これは頑張らなくては。

 

「では、アナタの身体は責任をもって預かります。ソレと最後に一つ謝罪しなければならないことがあります」

 

「ん?まだなんかあんの?」

 

「実は大空のアルコバレーノは短命でして。多分未来には私は生きてません。代わりに私の子孫がアルコバレーノをしているはずです」

 

……え?動かなくなりつつある身体を強引に動かして彼女のほうを向くと、彼女は慈愛に満ちたほほえみを浮かべてこちらを見つめていた。

 

「だから、もし私の子孫に危機があれば守ってあげてください。お願いできますか、私のお茶目な騎士様?」

 

それは、あの時の俺の発言だった。初めて会って、軽率にナンパしたときに吐いたセリフを彼女は覚えていた。

なら俺が答えるべき回答も決まっている。

 

「よろこんで、約束だ」

 

あの時交わしたもう一度会おうという約束も果たせた。リボーンとも呪いを解くと約束した。なら彼女の子孫を守るという約束もいけるだろ多分。

 

薄れゆく視界の中で、漠然とそう思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

数十年後、日本にて

 

「おい少年。たまには女の子と話してくれよ。イタリア人として禁断症状が出そうだ」

「うるさいな!話せたらとっくに話してるから!幽霊のくせに文句言うなよ!」

「あっお前!才能ゼロのゴミッカスのくせに言ってくれたな!そんなんだから童貞なんだよハゲるまでそうだろうぜ!」

「才能ゼロは言いすぎだろ!ソレにまだ分かんないだろお前と違って!」

「テメー俺が童貞前提で話すんじゃねー!!」

 

俺は今、よくわからん少年に憑依していた。自分の肉体には戻れなかったようだ。

 

 

 

最強の赤ん坊との再会まで、もう少し。

 




どうせ短編なら出来るだけ全部打ち込んだれ!!などと供述しており……



文章で作者バレするのか知りたくてやった。

これの続きは短編想定のガバ設定故に基本的にはないと思ってくれて構わないです。好きに補完して?

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