神医と呼ばれた男(中身アホ気味転生者)   作:アルマリ

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協力要請

男はテーブルを挟んで4日に一回は男の休憩時間に珈琲を持参して飲みに来るウマ娘と話し合っていた。

 

 

 

「スズカ君の欲求はウマソウルによって増幅されている状態だ。だから君達に頼みたい」

 

(まぁ足し算じゃなく掛け算だから絶対に先頭の景色譲らねぇマシーンになったんだよね)

 

 

病院の一室、サイレンススズカが4回目の複雑骨折を経験した翌日の昼である。

 

 

 

先生と呼ばれる男は一人のウマ娘といつものお茶会もどきでは食べないお高い料理を出し、食べ終わった後に珈琲を片手に真剣な表情で依頼する。

 

 

 

「……よほどの例外を除けばウマソウルはウマソウルでしか干渉出来ない……そこで私ですか?」

 

 

 

珈琲を飲みながら男に問いかけるのはマンハッタンカフェ。呼び出したお詫び代わりの料理は美味しく食べたが、サイレンススズカの話題と知ると真剣ながら悩ましい表情にならざるをえない。

 

 

何せサイレンススズカは現在こそ元気いっぱいの健康体だが、骨折を経験していない骨の方が少ないという異常な状態だからだ。

 

 

「今回は頭蓋骨含め多数の骨折に腱や筋肉の断裂など……幸い脳に異常はなかったが俺でなければ二度と健常には出来ない怪我だった。怪我の際の記憶を消さなければ走るとは言わなくなるだろうが」

 

 

 

「……先生の信条から……それはできないと?」

 

 

 

「ああ、だから君のお友だちの力を借りたい。俺では最悪ウマソウルの継承部分を丸ごと消してしまう」

 

 

「……先生には減量失敗の際や体調不良にお友だちの件でもお世話になっております……お断りする理由はありません」

 

 

 

笑顔で頼みを引き受けるマンハッタンカフェに申し訳なさそうにもう一度頭を下げる男の頭を何故か撫でたくなり、正気に戻り手を引っ込めて何食わぬ顔で珈琲を飲むカフェの頬をお友だちが突っついて睨まれる。

 

 

お友だちが悪戯してカフェが不機嫌になる。いつもの光景を当たり前のように視認しながら男はお友だちにも確認をとる。

 

 

 

「ウマソウルの鎮静は俺の力を分け与えた君に任せる。前みたいにポルターガイストで部屋を潰さないように」

 

 

(力渡すとハイになるんだよなぁお友だち、最悪の心霊スポットのブロリーみたいな強さになってた悪霊空中オラオララッシュで倒してたし)

 

 

 

ここにサイレンススズカのウマソウルの鎮静化は確定した。

 

悪霊ではない上にサイレンススズカの魂は幼い、大人になる前に亡くなった馬の魂は同族の格上に説得と説教をしてもらうのが最も効率的なのだ。

 

男の場合は対象を選択できるだけで、有り余る力で蒸発させることしかできない。

 

蒸発した場合はウマ娘としての力が落ち、領域は二度と発現しないのでカフェとお友だちを頼るのが最適解となっている。

 

 

 

「ふぅン……また珈琲かい?先生も好きだから否定こそしないが紅茶を飲みたまえよ紅茶を」

 

 

「何処から出てきた?飲んでもいいがそれ以上砂糖を入れるなタキオン、医者の不養生なんて笑えないだろう」

 

 

(あ~た~ま!の!上に!胸が乗ってるぅ!!お前お前お前ぇ!俺が気持ち悪い童貞のリアクションしてもいいってのかぁ!耐えろ耐えろ耐えろぉ!!)

 

 

 

脳内で大混乱しながら20年以上鍛え上げた鋼の意志で平静を装っている男に更なる試練が訪れる。

 

 

「………え?」

 

 

お友だちがカフェを抱き抱え男の膝に乗せ、タキオンを部屋の隅に移動させて上に座る事で行動不能にした。各人が持っていた飲み物は一滴も溢さずにテーブルに置いた上での恐るべき早業である。

 

 

タキオンの口は押さえられカフェと対面から至近距離で見つめ合う。二人が横目でお友だちを見ると空いた手で親指を立てている。

 

 

 

お友だちとしても自身が理由で法螺吹き扱いされていたカフェを守る為に徹底的に実在証明し、エアシャカール他科学の信徒にすら納得させカフェの心を救った男ならくっついてもOKということなのだろう。

 

カフェからしてみれば幼い頃の見える者を信じて貰えないトラウマを完全に払拭してくれたお友だちと同等の恩人なのである。今では稀にいる害のある霊の退治で感謝の言葉を貰えている。カフェは救いをもたらしてくれた恩人にして想い人を至近距離で見つめて首まで真っ赤だ。

 

 

 

 

 

「…………………………」

 

(タキオンに見られながらとか病院でとか色々あるけど……雰囲気とかさぁ?あるじゃんそういうの。そもそも学生とおっさんとかアウトオブアウトだし)

 

 

ヘタレはカフェを優しく抱き上げて元の席にゆっくりと座らせた。

 

 

タキオンの安堵のため息とお友だちのブーイングが聞こえた気がした。

 

 

 

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