スーパーロボット大戦 とある蛇使い座の日記   作:破戒僧

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1つ前の『最終話』と同時更新しております。

このページにいきなり飛んできて、まだ前の話を読んでない方いましたら、そちらからどうぞ。

本作品最後の投稿になります。では、エピローグ、どうぞ。


エピローグ

 

 

 気が付くと僕は……見覚えのある不思議な空間にいた。

 

 ここに来るのは、今回で三回目だ。

 1度目は、『地球艦隊・天駆』の出向直前……僕の中の力が大きく膨れ上がるきっかけになった、あの時。

 

 2度目は、意識のないままに『至高神Z』復活のためのいけにえにされ、絶体絶命だったと同時に、自分の本当の正体を知ることになった、あの時。

 

 そして、今回は……ああ、なるほど、あなたでしたか。

 

「お久しぶりですね、アドヴェント」

 

「そうだね、星川ミツル。……もう、自分のことについては、思い出して、きちんと認識しているようだが……『至高神ソル』とは呼ばれたがってはいないだろうし、今まで通りでいいかい?」

 

「そうしてください。確かに、色々と知ったり思い出したりはしましたけど……今も昔も、僕は『星川ミツル』のつもりですから」

 

 

 

 数か月ぶりに会った彼……アドヴェントは、変わらず爽やかなイケメンスマイルを浮かべ、僕が無事にアドミラルを倒し、『至高神ソル』としての力を完全に取り戻したことを祝福してくれた。

 まあもっとも、取り戻したはそうだけど、まだまだ使いこなせてるとは言えないけどね。自在に力を使えるようになるには、腰を据えて練習していく必要があるだろう。

 

 ……ぶっちゃけ、今のままでも全然困ることないというか、なんなら過剰なくらいの力はすでに使えてるんだけどね……。

 銀河を飛び越えて移動できる転移能力とか、『ソーラーストレーガー』なしでも事象制御できたりとか……原作でアドヴェントがやってた、生身で機動兵器を撃墜するのとかも多分できると思う。

 

 この上さらに強力な力とか手にしても、使い道が……ぶっちゃけ、思い浮かばん。

 

 そう愚痴っぽいことを話したら、アドヴェントはおかしそうに笑っていた。

 

「君は無欲だね。その上、どこまでも人付き合いにおいて、謙虚で誠実だ。だが、だからこそその力を持つにはふさわしいと言ってもいいだろう」

 

「それはどうも。……さっきからの口ぶりだと……アドヴェントは知ってたんですよね? 僕の正体が、『呪われし放浪者』じゃなくて、『至高神ソル』そのものだって」

 

「それは当然さ。私は御使いとして、一億年以上君と一緒にいたのだから。それで気づかなかったら、むしろそっちの方がおかしいというものさ」

 

「なるほど……でも、逆は無理でしたけどね。記憶がなかったとはいえ……僕はあなたに気づけませんでしたし、思い出すこともできなかったし」

 

「それに関しては無理もないことだ。君はすでに、かつての……『至高神ソル』だった頃とは、全く違う自我を確立していたからね。記憶とのずれもある、認識できなくても仕方がない」

 

「アドミラルは……僕のこの自我は、疑似的なものだって言ってました。至高神ソルが『星川ミツル』の姿をとる際に、人間としてふるまうために必要だから、無意識に作成したものだって」

 

「そうか、彼はそんな風にとらえたのだね。その予測は……当たってもいるし、外れてもいる」

 

「?」

 

「君のその自我、ないし意識は……確かに自然なものとはいいがたい。ただ、疑似的だとか、偽物であるかのような表現をする必要はないものだよ。君は、確かに君でもあるのだから」

 

 ……慰めてくれてるのか。励ましてくれてるのか、どっちかだと思うんだが……いかんせん、表現が遠回りなので、よくわからないんだよなあ。

 

 と、いう感想がおそらく顔に出てしまっていたんだろう。アドヴェントは苦笑しつつ、説明してくれた。

 

 彼曰く、確かに僕のこの人格は、本来の『星川ミツル』のものではないし……はたまた、どこかの世界から転生してきて憑依した、という感じのものでもない。

 いや、そうかもしれないし、そうでないかもしれない。アドヴェントにも、正確というか細かいところまではわからないんだそうだ。

 

 というのも、結論から言えば……僕は、いくつもの魂やら人格が寄り集まって混ざり合った結果として誕生した人格なのだそうだ。

 『至高神ソル』が人間の姿をとって生まれ変わった際に、その材料?として、周囲に漂っていたいくつもの魂を、意識や記憶ごと、次元を超えて観測し、トレースして統合し、その結果生み出された人格。

 恐らくは『星川ミツル』も……僕にとっての『前世』も、そのうちの1つだったんだろう。もちろん……『至高神ソル』自身の意識や記憶も。

 

 そうして人格が作られた後、取り込んだうちの1つである星川ミツルの肉体をトレースし、自分の肉体として形作り……人間の姿になって生まれ変わった、というわけだ。

 

「たしかに、君という存在は、『至高神ソル』の転生と同時にこの世に生を受けた……自然のものとはいいがたいそれだろう。だが、それを恥じることも嘆くこともない。君は君自身が望むように生きていけばいいし、そんな君と一緒に歩んでくれる人たちもいるのだからね」

 

「……そうですね。そうしようと思います」

 

 僕が、元はとはいえ『至高神』という存在であるというのは……なし崩し的にだが、『地球艦隊・天駆』のメンバー皆の知るところとなっている。

 しかし、それで僕に対して接し方を変えてくるような人は、誰一人いなかった。それを知ってなお、今まで通り、星川ミツルという1人の仲間として接してくれている。

 

 ……まあ、一部悪乗りして拝んで来たりする人はいるけど、それはまあいいだろう。

 

 それと……何気に気になっていた、僕の『前世』の記憶について。

 これが本当に『前世』のものなのか、あるいは疑似的に作り出されたものなのか……これも結局わからなかったな。

 

 もしも僕に、前世なんてもんが存在しないのであれば……この記憶は多分、『至高神』由来の多元世界の記憶を保有していることを無理なく受け入れさせるために、自我が形作られる段階で無意識に作り出された、捏造の記憶、ってことだったんだろう。

 経験したこともないような、無駄に壮大な記憶が突然頭の中に現れるよりも、『前世の記憶』なんていう突拍子もない、けど一応きちんと順序だてられていて、フィクションじみているがゆえに理解しやすく受け入れやすい……そんな風な意味で有利だろうし。

 

 まあ、これについては仕方ない。……気にならないって言ったらウソだけど、わからなくても困るようなことじゃないしね。

 今まで通り、僕はこの世界で『星川ミツル』として生きていけばいいだけの話だ。

 

 ……あと、その代わりにってわけじゃないが、アドヴェントはもう1つ……想像もしていなかった、ある1つの事実を教えてくれた。

 

 ほとんど蛇足な情報だけど……僕という存在が、『新西暦世界』で、『星川ミツル』という少年の姿を形どって生まれたことについて。

 これ、実は偶然じゃなかったらしいんだよね。

 

 ただ単に、取り込んでトレースした魂の中からランダムで選ばれたとかじゃなく……この体が彼の姿で形作られたのも、この世界に顕現したのも、きちんと理由があった。

 

 

 

 星川ミツル少年が……この世界における『ジ・エーデル・ベルナル』だったからだ、っていう理由が。

 

 

 

 ……うん、今日イチびっくりさせられた情報だったわ。

 

 かつて、多元世界において『黒の英知』の影響を受け、『天獄』や『御使い』とも浅からぬ関わりがあった彼の魂にひかれて、至高神ソルはこの世界にきて、そして再誕したんだろう……というのが、アドヴェントの見立てである。

 彼はどうやら、『AG』の招集に応じなかった、あるいは気づくこともなかった『ジエーデル』の1人だったようだ。

 

 しかし、『ジエーデル』ってのは世界によって、男だったり女だったり、子供だったり老人だったり……てんで統一性なくて滅茶苦茶だな。

 ほんと、どういう存在なんだか……知識があってもいまだにわかりづらい。

 

 それからもしばらく、アドヴェントとは取り留めもない雑談みたいなことを話した。

 

 そして最後に、アドヴェントは、ふと僕の方に手をかざすように向けたかと思うと……僕の胸のあたりから、光る小さな玉みたいなものがふわりと飛び出してきて……アドヴェントの手に収まった。

 

 直感的に分かる。あれは……『怒りのドクトリン』の因子だ。

 たぶん……最後の最後、アドミラルと至高神Zにとどめを刺して、その力を取り込んだ時に……一緒に取り込んじゃったんだろうな。

 

 かつての同志として、彼の因子は私が持っていく、ってことで、アドヴェントに引き取られた。

 

 そして、最後に、

 

「星川ミツル君……君は、通常のプロセスとは少し違えど……『高次元生命体』の領域に立ち、永遠を生き、後に続く者達を見守り、そして導く立場となった。その意味を、そして責務を、決して忘れてはいけないよ……かつて、先駆者としての本分を無見失い、傲慢に染まってしまった、私達のようになってはいけない」

 

「……!」

 

「きっと、楽しいことばかりではない……つらいこと、悲しいこともあるだろう。それでも、決して……君が最初に信じた正義を、未来を、見失わないようにするんだ。そうすれば……君はきっと、素晴らしい未来をその目で見続け、そして数々の素晴らしい、人々の命の輝きを見届けることができるだろうから。君という神の歴史が、人々の幸せと共につづられていくことを、願っているよ」

 

 ……そんな、含みの大きいセリフを残して、アドヴェントは去り……そして、僕の不思議な夢も、そこで終わった。

 

 

 

 目が覚めると……

 

「あ、ミツルさん起きた」

 

「え、ホント? ちょうどよかった、そろそろ起こそうと思ってたんですよ」

 

 ……なるほど、どうやら職場のデスクで転寝しちゃってたみたいだな。

 横から僕のことをのぞき込んでくるココと、デスクの向こうにいて近づいてくるところだったミランダの2人の姿が目に入った。

 

 それから少し遅れて、自分の事務処理用デスクについて、にっこりと笑い返してくるミレーネルや、PCの画面の中で『やれやれ』って感じの表情になってるネバンリンナも。

 

 皆、今の僕にとって……『星川ミツル』という1人の人間の、豊かで楽しい、満ち足りた人生にとって、なくてはならない大切な人達だ。

 彼女達とも、いずれは別れることになる……それも、ただ単に引っ越すとか退職するとかそういうんじゃなくて……僕が残されて、彼女達が……っていうことを考えると……

 

 ココやミランダは普通の人間だし……ミレーネルも、『ジレル人』は地球人より寿命が長いらしいけど、それでも何千年も生きるわけじゃないだろうしな。

 

 でも、ネバンリンナはAIだし、3000年前のガーディムの滅亡から今まで存在し続けてたわけだから……下手したら普通に1000年でも5000年でも、これからも一緒にいることになるんじゃ?

 今もうすでに、AIとしての演算能力やら機械類への干渉能力、万能工作システムとしての能力を生かして仕事手伝ってもらってるし、これからも……

 

 ……それに、もしかしたらワンチャン、彼女たちも僕と同じ『高次元生命体』に覚醒して、これからもずっと一緒にいられる可能性もなきにしもあらず……いや、コレ案外あるんじゃね?

 『真化融合』でそのとっかかりはつかんだわけだし……さらにココ達は、『御使い』の因子も持ってて、その影響を多少なり受けてもいたわけだし。

 

(……いや、考えても仕方ないんだろうな。こういうのも含めて)

 

 いつか来るその時までに、少しでも悔いなく、少しでも多くの幸せな思い出を作って……笑っては無理でも、胸を張って送ってあげられるように……か。

 

 だったらまずは、この今を、悔いなく、全力で生きていくことが……その一歩だろう。

 

 今ミランダが言ってくれた通り、そろそろ目的地に着くわけだし……寝ぼけ眼のままじゃだめだだめだ。

 ぱしん、と頬を叩いて気合を入れ、衝撃で目を覚ます。よし、おっけい!

 

「じゃ、行きますか! 今日も張り切って、商売、商売!」

 

「何、そのフレーズ? 初めて聞いたわよ」

 

 と、ミレーネルからツッコミ。

 おっと、ついうっかりどこぞの次元商人のフレーズが……夢であんなこと聞いたからかな? ま、いいか。

 

 ……実際に言ってみると、なかなか語感いいなこれ。

 

 ……気を取り直して。

 

 皆を巻き込んで苦笑されたり呆れられたりしつつも、今日も僕は、いつも通り、自分にできることをやっていこう。

 

 地球とガミラスとイスカンダルを秒で行き来できることを利用して、それらの懸け橋……という名の運送屋みたいな立場で、異星間交流の手伝いをするもよし。

 

 資材や食料を運んだり、技術協力を通して、新西暦世界の復興を後押しし、便利で豊かで美しい世界を取り戻す手伝いをするもよし、

 

 宇宙世紀世界で、アースノイドとスペースノイド、両方が幸せに暮らせるように、新たな居住区画の開発や技術の進歩による住環境の改善、地球環境そのものの再生の手伝いをするもよし、

 

 まだまだ伸びしろがあり、またあちこちに戦いの傷も残る西暦世界で、これを機に今までつながっていなかった国や地域を結び付けて、皆で手を取り合って幸せになる手伝いをするもよし

 

 『高次元生命体』だの、『至高神』だのも関係ない。

 自分に……『星川ミツル』にできることをやって、この先の世界を、僕や皆の人生を、もっともっと素晴らしいものにして……皆で、その世界を満喫して生きていくために。

 

 

 

 ☆☆☆

 

 

 

【新西暦世界】

 『宇宙戦艦ヤマト』がイスカンダルから帰還した後、凱旋を祝福するムードもそこそこに、全世界が一丸となって全力で復興に向けて歩みだす。

 『コスモリバース』の力で環境は徐々に復活し始めているため、人の手によって行うべき、社会システムや施設などの復活に特に注力している。それに加えて、同時に明らかになった並行世界の存在や、これから先、良き隣人となるであろうガミラスその他の外宇宙の星々の存在を踏まえ、将来それらと国交を持つことを前提とした社会システムの再構築を進めている。

 他の世界から食料や物資などの支援を受け、『西暦世界』や『宇宙世紀世界』の者達が驚くほどのスピードで復興が進んでいるらしい。

 

【宇宙世紀世界】

 長く続いた地球と宇宙、連邦とネオ・ジオンの戦いが終結し、これからは手を取り合って復興に向けて歩みだしている……という点では『新西暦世界』と似ている。そちらよりも余力は割と残っている方なので、外宇宙に進出するための開拓計画も同時進行で進めていくことに。人類がさらに外側の宇宙へ向けて足を踏み出す日も、そう遠い未来ではないかもしれない。

 地上において起こっていた、『アマルガム』や『Dr.ヘル一味』などの脅威も去ったが、『使徒』や『インベーダー』をはじめとした、まだこれからもやってくるのかもしれない敵対勢力は存在するため、警戒は続けられている。その時は、かつて地球を救った戦士達が再び立ち上がるのだろう。

 

【西暦世界】

 表面上は戦争も終わって穏やかでありながら、『始祖連合国』やら『火星の後継者』やらといった者達があちこちで暴れていた世界だったわけだが、それらも大方収束し、現在はより安定しつつ、より発展した世界の実現に向けて歩みだしている。各地で起こっていたテロや犯罪者の横行などについても、軍や警察の懸命の努力によってほぼ収まったと言っていい状態。

 また『始祖連合国』については、事実上の崩壊となって以降は、地球連邦および各国の大企業の介入によってどうにか社会を再構築。その際、『マナの光』の消失により『普通の人間』と『ノーマ』との違いが消滅したが、国民の大半に選民思想や差別的な考え方が根付いていた上、マナの光に生活機能のほぼ全てを依存していたため、色々な意味で苦労しているらしい。

 

 

 

 

 

【叢雲総司】

 『地球艦隊・天駆』の解散後、再び『新西暦世界』の地球連邦軍の所属として、復興へと進む地球で『ヴァングネクス』を相棒にあちこちに飛び回っている。忙しい日々だが、日に日に地球が活気を取り戻している様子を行った先々で見られるので、充実している様子。

 相変わらず軽い調子で千歳やその他の女性職員などに声をかけてはあしらわれており、その後、ため息交じりのナインの白眼視を向けられて小さくなるまでがワンセットである。

 

【如月千歳】

 地球連邦軍の所属として、新設された戦略研究所に勤めることとなる。こちらは総司とは対照的に、あちこち飛び回るよりも1カ所に腰を据えて様々な業務に従事する、昔と同じような立ち位置に戻った様子である。ただ、『地球艦隊・天駆』時代の経験を活かし、テストパイロットとして仕事を任されるようにもなった。

 なお、服装については、以前までと同様、男性職員達の強い要望によって、既定の制服ではなくいつも通りの服装のままで今も務めている(本人は特に何も気にしていないし、その意図も知らない。動きやすいから都合いいな、程度)。

 

【ナイン】

 総司のパートナーとしてあちこち飛び回りつつ、『文明再建システム』としての能力も生かし、様々な技術開発や復興計画の立案などにも携わっている。

 総司のことを『キャップ』と呼ぶのに加え、千歳のことを『姉さん』と呼び始めた様子。

 戦略研究所では、画期的なアイデアをいくつも提供してくれる即戦力であると同時に、千歳やロッティと並んでアイドル的な立ち位置に置かれているらしい。

 彼女のことをアンドロイド、ないし機械として認識している職員の方がもはや少なく、ぞんざいに扱おうものなら粛清されるともっぱらの評判だったりする。また、上記の通り様々な面で地球復興に貢献してくれているため、役職や階級を与えるべきかどうか割と真剣に検討されている。

 

【ウォルフガング】

 地球に帰還後、逮捕されて罪を償うことに。ただ、刑務所の中でその頭脳を遊ばせておくのはもったいないと考えた地球連邦により、様々な研究開発に協力するような社会奉仕的な形での刑罰になる見込みである。本人は研究ができるならそれでいいらしく、喜んで司法取引に応じた。

 そしていざ開発に着手したところ、関係者全員の感想ないし意見が瞬く間に一致したらしい。『あんたホントまっとうに働けよ』

 

【ソフィア】

 地球に帰還後、サイデリアル製の『義体』がプレゼントされ、念願だった自由に使える肉体をゲット。ミスリルの監視付きという条件下でではあるが、1人の少女として人生をやり直していくこととなる。

 『ウィスパード』としての知識や技術力は健在のため、それらを生かして様々な研究開発に手を貸すこともある。

 かなめやテッサとは変わらず友達関係であり、時々一緒に集まっておしゃべりしたり、遊びに行ったりすることもあるらしい。彼女の第2の人生は、まだまだ始まったばかりだ。

 

【ネバンリンナ】

 最終決戦の際にもともとのボディを失ってしまったものの、そのAIは『次元獣ソーラーストレーガー』に移植されていて無事だったため、地球に帰還後、改めて新しいボディをミツル達からプレゼントされた。

 その後、ガーディム人の遺伝子が今もなお、一部の地球人の中に生きていることをナインから告げられたことで、ガーディムの文明再建が必ずしも自分がやるべきことではないと判断し、文明再建システムとしての仕事は半ば放棄することに。

 現在はミツル達についていく形で『サイデリアル・ホールディングス』に活躍の場所を移し、AIの特性を生かして、時に戦艦や機動兵器を操り、時にパソコンの中から様々な業務を手伝ったりと、そのハイスペックさをいかんなく発揮してミツル達の仕事やら何やらを手伝っている。

 新西暦世界とどちらに拠点を置くか迷ったらしいが、そっちは娘(ナイン)がいるから大丈夫だろうと判断し、多元世界の技術その他に興味があったこともあってミツルについていった。

 

【ミランダ・キャンベル】

 最終決戦後、パラメイル第一中隊を除隊。正式に『サイデリアル・ホールディングス』に就職し、ミツルの直属の部下となる。

 元来面倒見がよく、細かいことによく気が付く性格であるため、事務などの仕事の面でもミツルの助けになっており、ミツルの素性を知る1人ということもあって、様々な場所に護衛を兼ねて同行しており、色々な場面で頼りにされている。

 本人は現状、ミツルのそばにいて役に立てるということで満足しているようだが、『地球艦隊・天駆』時代から胸の奥にくすぶり続けている淡い思いは、今なお消えていない模様。

 実はその真面目さや性格のよさゆえに職場でも人気があり、10代後半になる頃から急激にモテ初めて色々な男性からアプローチをもらうことになるのだが、前述の思いゆえに本人にその気はないようで、言いよる男性達はことごとく玉砕している。

 

【ココ・リーヴ】

 最終決戦後、ミランダ同様にパラメイル第一中隊を除隊し、正式に『サイデリアル・ホールディングス』に就職。ミツルの直属の部下となる。

 好奇心旺盛で積極的、何にでも挑戦してみる性格だが、残念ながらあまり仕事の面では戦力になっていない様子(せいぜいがミランダの手伝い程度らしい)。どちらかというと、機動兵器の操縦の方で大いに力を振るうため、テストパイロットとしてもミツルの護衛としても毎度活躍している。

 最終決戦以後もめきめきと腕を上げており、10代後半になる頃には、地球連邦軍からスカウトが来るほどのエース級の腕を手に入れた天才肌。原作では開花しなかった才能が日の目を見た。

 ミランダの思いには気が付いており、応援しつつあわよくば自分も、とか考えているらしい。ミツルに対しては、男女としてのみならず、家族的な意味や友達的な意味など、色々な『好き』がまじりあっている感じである……と、本人は語っている。

 

【ミレーネル・リンケ】

 最終決戦後も、それまでと変わらず秘書として、交渉事からテロ・暗殺の未然防止、機動兵器のパイロットとしてなど、あらゆる面でミツルを支え続けている。

 社に復帰してからしばらくして、地球と宇宙及び並行世界との交流が盛んになってきたタイミングで、自分が宇宙人であることをカミングアウトしたものの、会社の皆は変わらず受け入れてくれた。その温かさに触れて、改めてここを居場所に選んでよかった、と笑顔を浮かべたという。

 姉と慕っていたセレステラとは、最終決戦の折、結局彼女自身の選択で死別することになったものの、彼女が選んだ道を否定せず見送った。その際に聞かされたセレステラの遺言に従い、彼女の墓はデスラーのそれと並んで建てられるようガミラスに働きかけた。

 宇宙人であることをカミングアウトした前後で変わらず、やり手の美人キャリアウーマンとして社内外で人気であり、ミランダ以上に色々な男性にアタックされているものの、全て断っている。現実問題として、ジレル人は地球人よりもかなり寿命が長い種族であるため、普通の地球人と結婚すればその後の死別は避けられない。それも彼女が特定の異性のパートナーを持たない理由らしく、彼女曰く『私と同じか、私以上に長生きしてくれる人がいい』と言っているらしいが……現状、誰かを指して言っていることなのかは不明である。

 

【星川ミツル】

 最終決戦後、特に何も変わることはなく、元通り『サイデリアル・ホールディングス』の会長として社に戻り、その後は今まで留守にしていた分も会社の仕事に力を注いでいる。

 いちはやく『多次元企業』として3つの世界をまたにかけた事業を展開し、営利目的での事業はもちろん、再現した『多元世界』の技術を生かして、3つの世界の復興や発展を強力に後押ししている。それにより『サイデリアル』はさらに急成長し、『西暦世界』のみならず、『宇宙世紀世界』や『新西暦世界』においても、知らない者はいないレベルの巨大企業にまで上り詰めた。同時に、そのトップである彼の名も3つの世界に知れ渡ることとなる。

 最終決戦で取り戻した『至高神』としての権能については、強力だし便利ではあるが、それに頼りっぱなしになってもよくないとして事実上封印しており、本当に必要があるときにのみ使うようにしている。ただ、使い方を忘れない程度に使うようにはしており、気まぐれでイスカンダルまで散歩に行ったり、生身でアクシズのあたりを宇宙遊泳に行ったり、火星の後継者の残党が出没したあたりにアンゲロイ・アルカを無から創造して1ダースくらい放り込んだりしているらしい。

 高次元生命体にして『至高神』という身の上ゆえに、誰よりも長く生きることとなり、同じ時間を過ごした者達を見送っていく立場となる運命にある。1人残されるその生涯が孤独なものとなるのか、それとも、生命体としての軛を振り切って、傍らで共に歩んでくれる『誰か』が現れることになるのかは……今はまだ、誰も知らない。

 

 

 

 

 

 

 

 スーパーロボット大戦 とある蛇使い座の日記

 

 これにて、完結

 

 




 これにて『スーパーロボット大戦 とある蛇使い座の日記』、終幕となります。
 去年11月から投降始めたわけなので、おおよそ半年ちょっとの間、続けたことになります。

 途中、ちょっとスランプとかいろいろあったり、リアルの仕事が忙しくなって更新途切れそうになって危なかった時期もありましたが、どうにかここまでこれました……。
 最後、若干駆け足になっちゃったかな、という印象もあったのですが、詳しく書こうとしたらそれはそれでまた何話もかかっちゃいそうだったし、その間に息切れしてしまいそうだったので、さくっとまとめた感じになりました。

 ここまでこれたのも全て、感想欄にメッセージに、色々と応援してくださった読者の皆様のおかげだと思っております。
 読んで喜んでくれている人の存在を実感するのって、やっぱり自分が小説を書く大きなモチベーションの一つなんだな、って、毎度実感させられながら読ませていただいてました。
 改めて、本当にありがとうございました。

 書いてみていつも思ってたのは、いろんなキャラが出て来て書いてて退屈しないなあと思う反面、キャラが多すぎてかき分けるのがめっちゃ大変だったな、というところでしょうか……さすがスパロボ、クロスオーバーの金字塔……。
 力不足を痛感しながらも思いっきり動かしてたつもりですが……皆さんの好きなキャラは作中できちんと活躍できてましたでしょうか。

 本作品は一応ここで一区切りとさせていただきますが、今後もしかしたら、本編で書ききれなかった部分とか、番外編や後日談とかで書くかもしれません。
 あるいは、他のスパロボ世界にミツル達が出張したりとか……執筆中にふと思いついたそんなネタに走ったりするかもしれません。
 ただ、今はもうなんか、こう、ガッツリ燃え尽きた感じになってますので……期待しないで頭の片隅にでも置いておいてください。

 またいつか、続編あるいは作者の次回作ができた時あたりにまたお目にかかれるようであれば、これに勝る喜びはございません。

 以上を持ちまして完結の挨拶とさせていただきます。

 皆さま、ここまでご愛読いただきまして、本当にありがとうございました!



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