頼りにされるのは誇らしいけど、大変です。
性分とは言え、色々あるもの。
さあ、どう出ますかメガネくん。
多分。
本当に、不器用だと思う。
あの三人は、揃いも揃って不器用過ぎる。
俺が細かく世話を焼いてやる訳にもいかないけど、放置も出来ない。そんなことすると、絶対三者三様に壮絶な自爆を遂げるだろう。
ああ、面倒な連中だ。
花火大会に誘っておいて「二人で行こう」って言えない雛。
大喜はバカなんだから、そこをまず言わないと絶対気付かないから。
まあ今の今まで親友でいた相手を、いきなり異性として扱えってのが無理なんだろうけど。
仲が良すぎるんだろうな、家族みたいに。近すぎて、改めて向き合えない。
そういう意味では、大喜も同じか。
バカを拗らせて、勝手に引き下がって。千夏先輩しか見えてないから、だからこそ進めない。
雛に好かれてる事もわかってないだろうし、鈍いというかなんと言うか。バカなんだよな、やっぱり。
そして千夏先輩。
地区予選で話した感じや普段の様子を見るに、大喜を憎からず思ってはいる。
でもあの人、居候やってるから。絶対自分からは動かないし、大喜から来たとしても立場上固辞せざるを得ないとか思ってるだろう。俺もああいうのを相手取れるほど、度胸はないけど。
ただガチガチに固めた中で、閉じ籠ってるのが厄介だ。外から調整してやらないと、絶対自滅するタイプ。スゴい面倒くさい。
距離をおいて俯瞰するから見えてくるんだ、厄介な関係性が。
雛と千夏先輩、千夏先輩と大喜、大喜と雛。どの組み合わせも問題が多すぎる。
出来れば波風たてたくないし、平和に過ごさせてほしいんだが。
とりあえず、伊藤は遠ざけておこう。大喜の事だから、ほっとくと絶対連れていく。
なんなら雛に告らせようとしかねん。
適当な理由つけて、当日は他所に行って貰うか。
あと大喜が練習に熱中しすぎてすっぽかすと悪いから、時間が近づいたらリマインダーやっとくかな。
渚先輩から千夏先輩の行状はある程度入ってくるとは言え、あの人に関しては臨機応変に現場対応するしかない。
渚先輩も渚先輩で好い人ではあるんだが、基本賑やかしだからな。深入りされると面倒だから、やっぱり俺が出張らないと。
ああ、俺は何をやっているんだろうな。
年に一度のイベントを、バカどもの世話で潰すのか。
まったく、侘しい限りだ。
――俺だって、あれこれ興味がないわけじゃないから。
いつまでも便利メガネでいる気はないんだ、脇役人生で満足しちゃいない。
ただ、な。あいつらは手がかかるから、俺がついてないと不安だ。
大喜がもうちょっと賢かったら。雛がもうちょっと素直だったら。千夏先輩がもうちょっと緩かったら。
俺なんかいなくても、どうにかうまくいっていただろうか。
……いや、それはそれで厳しいかな。膠着はしないかもしれないが、修羅場りかねん。
なんだかんだで、俺はやっぱり連中の世話を焼く事になるんだろう。
ま、良いけど。
自分の事を後回しにしてでも、人の世話を焼いてしまう。損な性分だとは思う。
でも、俺が根回ししなかったせいで変な事になられても気持ち悪いし。
他はまだしも、大喜は壮絶なバカだからなあ……。目の前で自爆されたら堪ったもんじゃない。
雛にせよ千夏先輩にせよ、最悪俺じゃなくても誰かが世話を焼くだろうが、大喜にそういうのはいないし。
ゆくゆくはどっちかがそういうポジションに入ってくれるんだろうか、そうしたら俺は晴れてお役御免なんだが。
あれこれ悩んでも仕方無いし、やるしかないんだけど。
……しかし仮にあいつらが一人立ちしたとして、だ。俺は一体、どうするんだろうか。
まあ落ち着くのは良いんだけど、割りと暇になるかもな。
バドは弱いし親しい女子もいないし、特に青春を燃やすようなものはない。新しく誰かの世話を焼く事になるんだろうかな。
何より面倒なのは、俺かもしれない。世話焼きが趣味になってどうする。
期待されればついついいつでも世話焼いて、そればっかりで。
ま、良いか。とりあえずあの三バカがなんとかなるまでは、そっちが優先だ。
自分のことは、そのあとでゆっくり考えよう。
さあ、やるとするか。
俺がどうにか、丸く納めてやろう。
力の限り、どうにかしてやるさ。
沈み行く夕陽に照らされながら、そんな事を考えてみる。
行く先は、まだ見えない。見えない未来へと、押し上げてやろう。
手間のかかる不肖の、友人たちを。
初期はメガネも「雛」って呼んでた気がするんですが。