こんな願いの使い方だっていいじゃない。

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私はポケモントレーナー

 旅の始まりは、いつだってちっぽけな町だ。

 原っぱと田んぼ、あとはほんの幾つかの民家しかない程度の集落。

 

 それが、その街に生まれ/引っ越し、そして旅立っていく少年少女の始まりの地。

 旅の舞台となる未知の世界へと飛び出していった彼らは、ときに相棒とともに仲間を集め、ときに立ちはだかるライバルや悪の組織と戦い、やがて栄光のリーグへと挑戦しチャンピオンと戦ってその旅の集大成をぶつけていく――。

 

 新しい街での出会い。新たなる仲間や未知の強敵との遭遇。旅の最中で主人公を待ち受けるギミックの数々。

 それら全てが、少女にとっては興奮だった。

 

「あはははっ、ピカチュウー!」

「ピッカァ!」

 

 広々とした草原で、少女が楽しげにはしゃぐ。その前方では彼女のパートナーである黄色い小さな生き物が、ピョンピョンはねて応えた。自分目掛けて飛びかかってきた小柄な電気ネズミを両手で受け止めた彼女は、勢いのままに青々とした芝の上に仰向けに寝転ぶ。

 空から降り注ぐ陽光が眩しい。見上げた視界一杯に広がる雲一つない青空はどこまでも高く澄み渡り、吹き渡る風は頬に触れるたびに心地よい冷気を伝えてくる。そんな爽やかな空気の中、胸の上で抱きかかえたピカチュウを撫でながら、少女は満面の笑みを浮かべていた。

 

 ――キュィィィィィ…………。

 

 少女と彼女の腕の中のポケモンに影が差し、大きな翼を広げたシルエットが蒼穹を駆け抜けていく。甲高い鳴き声をあげ消えていったその姿を見送って、少女は再び視線を眼下の景色に戻した。

 

 小さな町を見下ろす丘の上。広々とした草原に転がる少女のいる近くにはもこもこの体毛に包まれた羊のようなポケモンがのんびりと日向ぼっこをし、一陣の風が吹けばバサバサと羽ばたいた鳥ポケモンが群を成し飛んでいく。彼女たちの居る丘の奥にある森には多くの個体が縄張りをつくり、町のなかに設置されたフィールドでは力自慢たちが思いのままにぶつかりあっては己を鍛え合っているだろう。

 

「ピカ?」

 

 自身の腕のなかからこちらの顔を見上げてくる大切な仲間の頭を撫でながら、少女は微笑む。

 果てある世界は、しかし広い。目の前に広がる世界には自分の夢見た世界に根付く多くの命が在るのだと、そう思えば少女は高揚する心を隠せなかった。

 

 

 

 

 ――そうだ。

 ――ここが、こここそが、私の――。

 

 

 

 瞼を持ち上げれば、目の前にあったのは自室の天井だった。穏やかな微睡みに溺れたいという欲に抗いながらゆっくりと体を起こし、窓の外を見る。彼女が先ほどまで見上げていた青空とは打って変わっての曇天に、息を吐いた少女は再びベッドのうえに寝転がった。

 

「……もう、こんな時間かあ」

 

 目を覚ました短髪の少女は、枕元に置いてあったスマホを手に取り時刻を確認する。ディスプレイに浮かんだデジタル時計の表示は7時を既に回っていた。いい加減起きないとどやされるだろうなあと憂鬱に目を細めながらもぞもぞと身じろぎをして、数分の葛藤の末にようやく毛布から抜け出した彼女は身支度を整えに行く。

 洗面台に向かい部屋を出る直前。目を擦りながら扉を開いた彼女は、そこで振り返りベッドのうえに置かれたピカチュウのぬいぐるみを見つめ淡く微笑んだ。

 

「それじゃ、また後でね」

 

 ――綾乃雅(あやのみやび)は、なんの変哲もない女子中学生だった。

 黒髪をショートカットにした彼女の容姿は綺麗や可愛いといった評価よりも活発そうなボーイッシュめいた印象の目立つものだ。部活動こそ神浜市大付属の高校ではゲーム同好会に所属するに留まりながらも、運動は得意だし小学校の頃から通うスイミングスクールは今でも続けているし勉強だってまだ周囲に追いつけている範囲内である。

 ……うっかり深夜まで()()()()()()をしてしまった翌日はどうしても授業中に力尽きて爆睡してしまうことがままあり、教職員に睨まれることも少なくないのだが。それでもどうにか授業についていけている辺りは優秀といっても良いのではないだろうかと密かに雅は思う。

 

「言うてみやちゃんこの間のテスト結構ボロボロだったやん。赤点スレスレが2、3あるのはちょっとまずいでしょ~~」

「英語だけだもん。……数学も50点切ってたけど」

「も~、俺だって人のことは言えへんけどさあ。ウチの部活ただでさえ先生方からの覚えが悪いんやから赤点とかは存続に関わるんよ、頼むから目をつけられるようなレベルの爆死は勘弁してもろて」

 

 な? 苦笑してそう言ってみせる友人に、わかっているとばかりに肩をすくめて返す。

 

「今度は気をつけるよ、マジで。……でもな~~~、教科書とか見てるとどうしても眠たくなるんだよな~~~~~」

「辞書みたいな分厚さの攻略本とかは穴が空くくらいマジマジと見とる癖によう言うわ」

「興味のあるなしで全然違うんよ」

「それはわかる」

 

 気の抜けるような穏やかな調子の電子音が響く。

 並べた机に座る2人の手にはこぢんまりとしたコントローラーと、それによって操作されるキャラクターの様子を映したゲーム機がある。後輩たちとともに空き教室で確保したスペースにて誰に憚ることもなくゲームを楽しむ彼女たちは、屋外から響く野球少年たちの掛け声を聞き流しながら好き勝手に遊ぶ。

 雅の手にするゲームの画面で、白い光とともに表示されたポケモンの姿が変化していく。聞き慣れたBGMが響くとうぉーとゲームを握る両腕を掲げた少女は唸り声をあげた。

 

「ありがとー、おかげでポリゴン進化させられたわ。やっぱ持つべきは友だよなあ、おかげで図鑑埋めも欲しいポケモンの通信進化も捗って助かるよ」

「それポケモン目当ての友人関係やない?いやまあ構わへんけども。にしてもみやちゃんがポリゴン2とは珍しいなあ、害悪ポケ育てる気にならないってしょっちゅう言っとったやん」

「……嫌いじゃないヨ。本当だよ、ポケモンみんな大好きだよ。でも……ランクマでじわりじわりとうざったい勝ち方してきたトレーナーと同じ戦法はなんとなく取りたくなくなることって、あるよね……」

「ウケる」

 

 若干遠い目になった雅に、友人の男子生徒はけらけらと笑う。そういうこともあるわなあと同意を返しながら通信を切った彼は、早速「おくすり」の投与で進化させたポケモンの調整をしているらしき雅の画面を覗き込みながらおやと目を見開く。

 

「なんやみやちゃん、ボックスの中身がらんがらんやん。まとめてポケホームにでも投げて整理済ませたん?」

「……気付かなかったんだ、割りと前からこうだよ? 新作も出るって話だったしレイドばっか走ってるとボックスの中身も埋まるからね、小まめにお引越し済ませてるんだよ」

「ほーん、そんなもんか。……俺もそろそろボックス埋まりそうなんよなあ。課金はめんどいんやけど……」

 

 あながち嘘ではないとはいえ、真実でもないことをぬけぬけと語るのは心臓に悪かった。

 あっさりと流しては話題をクラスで起きた珍事に移した彼に内心胸をなでおろした少女は席に背を落ち着け育成案を練る。

 

(――ピカチュウ、ギャラドス(オーガ)バタフリー(ハユナ)はシンプルに強いんだけどねえ、あと何体か耐久寄せも欲しいところ……。じこさいせいも持ってるポリゴン2、キングシールドの頼もしいギルガルド、硬いうえに宿り木の種が強いナットレイ……うーんハピナス(ハッピー)も余裕で強いだけに悩みどころだ。……おっと?)

 

 この部活を設立した先輩方のいる大学部ならともかく、高等部の校舎に通信対戦に都合のいいWi-Fi環境はない。ガラルリーグにてお守りキョダイコバン(進撃の金策1戦99999円)に明け暮れようとした彼女は、そこで届いた()()()()()に動きを止める。

 沈黙し息を吐いた彼女は、やがてゲーム機を閉じると鞄を手に立ち上がった。

「あれ、先輩どうかしたんですか?」

「ごめん、ちょっと急用ができた。先に帰っちゃうわ、戸締り任せても良い?」

「ん、わかった。また明日」

「ばいば~い」

 

 軽く手を振って見送ってくれる友人たちに笑顔を返してから、雅は廊下へと出た。

 廊下を駆けて行った少女は階段へと向かうも、正門に繋がる出入り口には向かわずに逆に階段を駆け上がっていく。

 

 ――2階から屋上までの全力疾走の果て、ぜえぜえと息を荒げながら辿り着いた屋上で肩を上下させる雅は、複数の生徒と教員を含めた集団がふらつきながら屋上のフェンスに近づいていく光景を目にして表情を強張らせた。

 

「自分の学校で集団自殺とか洒落にならないんですけどぉぉ!?」

 

 絶叫し駆け出した彼女はノータイムで()()、神浜市大付属の制服から動きやすいショートパンツとシャツのうえにジャケットを羽織った衣装を纏った彼女は自慢の『赤帽子』をかぶり掌に握ったボールを投擲した。

 

()()()()()()()()()!」

『フィピィィィッ』

 

 開かれたボールから光が解き放たれ、現れたのは()()()()。光沢のある黄緑色の色合いをしたいもむしポケモンは、トレーナーの指示に即座に応えその口から糸を放った。屋上から手すりに手をかけ今にも身を乗り出しては屋上から落ちようとしていた集団の足元に、そして彼らの体を支えるようにねばついた糸を浴びせその身動きを封じる。

 虚ろな目をしながらもがく彼らを封じる粘着質で強靭な糸が破れる様子がないのを確認した彼女は、安堵の息を吐きながらキャタピーをボールに戻し屋上の片隅へと視線を向けた。

 

「キャタピーありがと、助かったよ。……ラルトスにもお礼を言わないとね、呼んでくれてありがとう」

「……///」

 

 少女的な輪郭をもつきもちポケモン──テレポートとテレパシーを駆使し周囲の警戒にあたってくれていたラルトスが照れ照れと小さな手で頭を隠す。そんな愛らしい姿に「ン゛ン゛…………」と漏れかけた気色悪い笑い声を堪えた雅は、ラルトスをモンスターボールに戻すとホルスターから取り出した3つ目のボールを放り新たな手持ちを繰り出した。

 

「行こう、バタフリー(ハユナ)。魔女退治の時間だ」

「フリィィィィィィィ!」

 

 雅の声に応え、光とともに飛び出したバタフリーが、夕日にその翅を煌めかせながら彼女の周りを旋回する。ラルトスの発見してくれていた魔女結界へ向け歩を進めた魔法少女(ポケモントレーナー)は、ハユナと名付けたちょうちょポケモンとともに結界へと飛びこんだ。

 

 

 

 

『キミの願い事をなんでもひとつ叶えてあげる。どんな奇跡だって起こしてあげられるよ』

『綾乃雅。キミは一体、どんな願いを叶えたいんだい?』

 

 

 

 飛び込んだ結界のなかに広がっていたのは、淀んだ色合いの空が広がる荒野のような場所だった。

 ズラリと並び侵入者を探しまわるのは魔女に付き従う単眼の使い魔たち。各々が小柄ながらも逞しい体躯と頑丈そうな刃物や鈍器を携えた異形たちが殺気だって周囲を見回すのに、物陰に隠れ様子を伺った雅はにやりと笑った。

 

「これならイケるな……。ハユナ、1回舞ったら眠り粉。武器を投げてくるのには気をつけてね」

「フリィー」

 

 力強く頷いたバタフリーが物陰を飛び出し蝶の舞を披露しながら宙へと舞い上がる。ひらひらと舞う羽がキラキラとした鱗粉を撒くと、たちまちのうちに周囲に漂う空気が重くなり、同時に使い魔たちの体がグラリと傾いだ。

 

「よし、眠った。暴風である程度削ってから魔女のところに向かおうか」

「フリッ」

 

 各々のもっていた凶器も手放して昏倒した使い魔たちが激しい風に吹き飛ばされていく。同時舞い上がった鱗粉をうっかり吸い込まないようにと袖で口元を隠しながら進む雅は、嫌な音をたてて地面に叩きつけられた使い魔たちが徐々に形を喪い虚空へと消えていくのを尻目に進み続けた。

 大きな蝶の翅をもつバタフリーが綺麗な鱗粉をまきながら進んでいく様子は魔女結界のどんよりとした風景のなかで一層映える。使い魔たちも巻き起こされた暴風と宙を舞うポケモン、ついてきている魔法少女に気づいては勢いよく走り近付くが――集まれば集まるだけ好都合、バタフリーのまく眠り粉に侵され、為す術なく意識を失っては暴風に呑まれていった。

 

「魔法少女を巻き込みかねないからなかなかこんな戦い方できないんだけどね。私たちが一番乗りみたいでよかった――でたね」

『Lo 児ッ。Aaaアra』

「でっか……、――あ、これやばいな?」

 

 たどり着いた最奥に居座る巨大な影を見つけ呟く雅の前に、巨大な鋏を振り上げたカニ型の魔女が立ち塞がった。

 その甲殻は金属のようなぬめりとした光沢を放ち、脚の一本ですら成人男性の胴体ほどもある。そんな化け物が振り下ろした大鋏を回避したバタフリーが、しかし振り抜かれた鋏の起こした風に舞い上げられ動きを崩したのに慌てて駆け出した雅は素早くモンスターボールから閃光を放ってポケモンをボールへと収納した。

 

「フリッ」

「お疲れ、ハユナ! ――おいで、ルカリオ!」

『ブルァァッ!』

「剣の舞! ヒットアンドアウェイで攪乱してっ。鋏もそうだけど単純に相手がでかいから動きに巻き込まれないように注意してね!」

 

 力強く頷いたルカリオが波動を拳に纏い駆け出していくのを見送った雅もまた、腰に巻くトレーナーの必需品のひとつであるモンスターボールを収めたホルスターと、そこにボールと並んで煌めく宝石の様子を確認しながら走り出した。

 移動しながらの剣舞で攻撃力を底上げしたルカリオの攻撃で甲殻を罅割れさせ悲鳴をあげた魔女が揺らぐのを観測する少女は、自身のポケモンの邪魔にならない立ち位置を心掛け荒野を走り新たなボールを取り出す。

 

「――ピッカァ!」

「ピカチュウ、充電(じゅうでん)! ――ルカリオと合わせて、魔女の守りをあの子が砕いたら決めるよ!」

「ピカァ!」

 

 任せておけと言わんばかりに闘志を燃やし頬の電気袋をバチバチと言わせるピカチュウの姿が頼もしかった。バチバチと帯電しだして力を溜める相棒の姿を未だに薄れぬ感動とともに見つめる雅は壮絶な破砕音とともに魔女が脚を折って倒れ伏すのを見て表情を引き締める。

 

「今だ、ピカチュウ!」

「ピッカァ!!」

『Ze ェ……!』

 

 走り出したピカチュウの首元で、キラリとネックレスのようにしてかけられた電気珠(でんきだま)が輝いた。

 鋏を力任せに振り回した魔女が塞いだ進路を、波動を滾らせるルカリオの掌底が吹き飛ばして確保する。魔女の脚のうえを駆け助走を取るピカチュウは、跳躍と同時に全身を放電させた。

 

 (はや)く。(はや)く。――更に、(はや)く。

 全身に電流を纏い加速を続けたそのポケモンは、小さな体をやがて稲妻と化した。

 

「ピカチュウ、ボルテッカー!」

「ピカピカピカピカ……ピカピッカァ!!」

 

 閃光が、奔った。

 電撃の奔流が魔女の巨体を貫いていく。その威力は凄まじく、砕かれた甲殻のうえから突撃によって貫かれた魔女の巨体は内側からの雷撃によって爆散するようにバラバラとなった。

 

 

 

 

 

『綾乃雅。キミは一体、どんな願いを叶えたいんだい?』

 

 

 

 

 綾乃雅は、何の変哲もない女子高生()()()

 ゲームが好きで、運動が好きで、アニメが好きで、強いて言えばポケモンが一番大好きだった女の子。

 

 そんな彼女の前に現れた謎の白い獣が囁きかけた『なんでも願いを叶えられる』という誘い文句に躊躇なく乗った彼女は、己の願いを口にする。

 物心ついたときには見ていたアニメをきっかけにゲームに触れてハマり、シリーズを追うにつれどんどん好きになり、たまに離れて、それでも結局一番好きだった世界を見れるのならばと、駄目元で契約者へとぶつけた。

 

「キュゥべえ、私ポケモントレーナーになりたい!」

 

「……? ポケモントレーナーとはなんだい?」

「えっ」

 

 斯くして少女の願望は危うく頓挫しかけ、しかしめげることなく10日をかけてキュゥべえにポケットモンスターを布教し、3日かけて自身の魔法少女としての願いの中身をキュゥべえと擦り合わせた雅は2週間後無事に願いを叶えポケモントレーナーとして新生した。

 

「ヴルル……」

「ピッカァ!」

「うわわっ、はは……! ピカチュウ、ルカリオ、お疲れ! ありがとう、いい活躍だったよ!」

 

 ――電気タイプ最強の大技で魔女を打倒し、突撃の勢いあまって放り出されたピカチュウ。

 反動で動けなくなっていたところを回収してきたルカリオの腕から飛び出してきた相棒を受け止めた雅は勢いよく飛んできた6キロに倒れそうになりながらもぎゅうと抱きしめては満面の笑顔を返す。そうやってじゃれついていた雅が頭にピカチュウを乗せながらルカリオもありがとうとねぎらえば、ルカリオもまた黙りこくって目を閉じながら頭を撫でる手を受け入れた。

 結界もまた主を喪ったことで徐々に崩壊を始めだす。ルカリオに回収して貰っていたグリーフシードを受け取った雅は、ポケモンたちを伴って結界を抜けると丁度屋上に駆けつけたひとりの少女と遭遇した。

 

「魔女! ……あっ、あれ。もう倒しちゃったかんじ?」

「あっ、ももこ。そうだね、私が一番乗りだったからさくーっと倒しちゃった。まあ倒したのうちのピカチュウたちだけど――」

 

 自らと同じく神浜市を縄張りとする顔見知りの魔法少女と遭遇し笑顔で自分のポケモンたちの活躍を自慢しようとした雅は、金髪の少女がじいと自身の背後を見つめるのにきょとんと首を傾げた。

 

「……どうかした?」

「え、いや。……そこのひとたち、どうしたの? やたらぶあっつい糸で雁字搦めにされてるけど」

「…………あっ。――やっば忘れてたぁ!」

 

 初手で放ったキャタピーの糸で動きを止めた魔女に呪われた面々のことを思い出した雅は、慌てて彼らの助けに向かう。

 拘束力を重視しキャタピーの放った糸は下手に触ろうとすれば触った手にすらべったりと張り付く。呆れ顔の友人も協力しての救出作業は夕日が沈むまで続いた。

 

 

 






 固有魔法『ポケモントレーナー』

・夢の中で繋げられる異界にて自身がこれまで捕まえてきたポケモンを再現できる
・夢の中から現実に手持ちとして繰り出せるのは6体まで
・保有する全ポケモンには『種族値』『体格』『特性』『使用技』『もちもの』を参照して割り出された数値によって当て嵌められており、それによって繰り出し活動させるにあたっての消費魔力が決められている。
・ありていにいえば小さくて弱いほど消費魔力が少なく大きくて強いほど消費はでかい。
・魔法少女としてのリソースのほとんどをポケモンの再現に費やしたため当人の戦闘力は魔法少女としては皆無に等しい。
・何の対策もなく伝説のポケモンを繰り出し戦闘すれば雅は魔女化するとキュゥべえは推測している。


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