ドラゴンボールFZ 真・超サイヤ人   作:カンナム

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お待たせしました。

正直、いろいろと書き足りませんが。

いったんは、ここで終了とさせていただきます。

ご愛読、ありがとうございました。


最終話 悟空、すべてに決着(ケリ)をつけようぜ!!

 君の名はシャノア。

 

 シャノア、だ。

 

 そう教えてくれた貴方は、今深い眠りについている。

 

 誰よりも自分自身を嫌い、憎み、自分の存在を変えようとしていたひと。

 

 私のマスター。

 

 コピー体である私を作り出したのは私の声が、自分の好きなキャラクターの声だったのがきっかけだという。

 

 人造人間21号の見た目と声が好きだから、私を作り上げたとマスターは言った。

 

 私は、そこに何の疑問もなかった。

 

 なのにーー彼は、ずっと私を見てーーいつ、自分が嫌われるのだろう、捨てられるのだろう、とずっと不安そうな瞳で見てきた。

 

 若き日のブルマを時の欠片から連れ出したときも、そうだった。

 

 マスターは、いつ自分が嫌われるのか。幻滅されるのか。そう震えていた。

 

 ブルマ自身は、そのようなことはなくマスターの見た目と声が好きだと言ってついてきてくれたというのに。

 

「マスター。私は、貴方が目を覚ますまで傍に居ます」

 

「そうよ! 修二さま、絶対に起きてよね!!」

 

 隣のブルマがそう言って寝ているマスターの顔を覗き込む。

 

「……あなたたちは、本当にこの人が大切なのですね」

 

「……作られたお前は分かるが、若いころのブルマよ。お前はそれでいいのか?」

 

 私のオリジナルである21号と、その相棒である16号の言葉にブルマは胸を張って応える。

 

「若い頃ってなによ! 私は16歳のぴちぴちギャルよ! ちょっと顔が良いからっていい気にならないでよね。私は修二さまと一緒になるって決めたんだから!!」

 

「ーーそうか。何故、そうなったかは分からないが。お前の意思で選んだのであれば、この問いは無意味だ。すまなかった」

 

「フン、分かればいいのよ。分かれば(正直、顔が良いからってだけで何も考えてないんだけどね)」

 

 小声で何かを言っていたように聞こえるが、それも彼女らしいように思える。

 

 不思議だけれど、彼女を見ると納得できる。

 

「……羨ましい。真っ直ぐに生きている貴女が」

 

 私の声は、誰にも聞かれることはなかった。

 

「……う、ううん。シャノア?」

 

 私の膝から聞こえてくる、その声に私は一もニもなく彼を見て抱きしめていた。

 

「修二さま! 修二さまぁあああっ!!」

 

「……シャノア。ごめん、心配かけたね」

 

 真っ直ぐな赤い瞳に私は首を横に振りながら強く強く抱きしめる。

 

 彼は、黙って私の背を撫でてくれた。

 

 何故かーー彼が孫悟空クローンの姿ではなく、黒髪の華奢な少年に一瞬だけ見えた気がした。

 

「ちょっと、シャノア! 独り占めはずるいんじゃない!? ええい、もう!!」

 

 そう言いながらブルマが私ごと修二さまを抱きしめる。

 

 その温かな腕に私は、どこか安心を得ていた。

 

「……良かったですね。貴女にも、大切なひとができて」

 

 私とそっくりのオリジナルが微笑みながら言ってくれた。

 

ーーーーー

 

 戦闘民族サイヤ人ーーカカロット。

 

 誰もが一度は考えたことがあるだろうーー孫悟空が頭を打たずにサイヤ人としての記憶と凶暴さを持ち合わせていれば、どうなったかを。

 

 そのファンアートの二次創作が『ドラゴンボール真』。

 

 サイヤ人の本能を克服できなかった悟空がカカロットに変わっていく話は英雄が悪魔へと変貌していく様をリアルに描いていた。

 

 今まで地球の危機を何度も救った孫悟空が、カカロットという悪魔に変わって滅ぼしていく。

 

 それは、とても恐ろしい漫画だった。

 

 俺がフューを、ブラックがカンバーを退かせたところでーー倒れていたセルとブウが同時に起き上がった。

 

「なるほど。孫悟空のクローンだと侮っていたが、ただの超サイヤ人の状態でこれほどの力を持っているとはな」

 

「たしかにな。超サイヤ人など、もはや何の脅威にもならんはずの私やセルにダメージを与えたことは素直に褒めてやろう。だがーーそれが、どうした?」

 

 俺とブラックがジッと空を見上げるとサイヤ人の尻尾を生やした亀仙流の道着を着た超サイヤ人ーーカカロットが邪悪な笑みを浮かべて見下ろしてくる。

 

 ヤツはセルとブウの二人へと視線を移した後、言った。

 

「完璧な人造人間に、究極の魔人か。どちらもサイヤ人の力が無ければ何もできない雑魚共。偉そうな口を利いてくれるな?」

 

 この発言に俺は疑問に思っていたことを問いかける。

 

 それはドラゴンボール真という作品でも思ったことだ。

 

 コイツは、孫悟空ではないーーのに孫悟空でなければ知らないことを知っている。

 

「お前。孫悟空じゃないのに、孫悟空の記憶はあるのかよ?」

 

「……クク。そうだな、確かに俺は孫悟空の記憶を持ったサイヤ人だ。だがーーそれも貴様らの下らない妄想が生み出したものだろう? 異世界の人間」

 

「妄想? どういうこった?」

 

「それはーー今から分かる」

 

 瞬間、カカロットは黒の煙のようなものを放つ金色のオーラを身に纏うと左右の拳を腰に置いて握った。

 

「かぁああああっ!!」

 

 髪の逆立ち方が更に激しくなり、纏うオーラに青いスパークが走り出す。

 

 これはーー超サイヤ人を超えた超サイヤ人。

 

「そうーー超サイヤ人2だ。貴様らに、この力を止められるか? いくぜ……!!」

 

 言うと同時、その場からカカロットは消える。

 

「何をくだらないことを。私を敵にして、貴様に他を気にする余裕があると思うのか!!」

 

 瞬間、俺の後ろでセルが動いた。

 

 凄まじい音を立てながら、空と地上で激しいぶつかり合いが行われる。

 

 次に現れたとき、互いの拳を交差させて顔の前で止めているカカロットとセルの二人。

 

「……この強さ。貴様、何故心の力を拳に込められる!?」

 

「フン。貴様こそ誰を相手にしていると思っている? 俺は宇宙最強の戦士、孫悟空の記憶と肉体を持った戦闘民族サイヤ人ーーカカロットだ!!」

 

(ーー孫悟空の記憶と肉体を持ったサイヤ人、だと!?)

 

 驚愕に目を見開くセルの前でカカロットは一気に力を引き上げてセルを吹き飛ばす。

 

 右ストレートで吹き飛ばされたセルは、すぐさま空中で姿勢を立て直してカカロットを睨みつける。

 

 そのセルの前にカカロットは更に力を引き上げて現れた。

 

「いくぞーー人造人間!!」

 

「なに!? その姿は……!?」

 

 カカロットの黄金に逆立つ髪が腰まで伸びて眉が縮毛し、眼窩上隆起が起こっている。

 

 アレはーー俺がガキの頃から知ってる最強の超サイヤ人。

 

 超サイヤ人3だ…!!

 

 俺が変身できたのとは全くの別物の力を噴き上がらせて超サイヤ人3となったカカロットはセルを肘で軽く小突いて顎を吹き飛ばし、廻し蹴りを叩き込む。

 

「ーードラゴンンンンフィストォッ!!」

 

 吹き飛ばされたセルを見上げて拳に自分の力を全て溜め込むとカカロットは右ストレートを繰り出しながら突っ込む。

 

 黄金の炎が爆発して龍となり、セルに向かって牙を剥いて襲い掛かった。

 

「一騎打ちならば、確かに貴様の勝ちだな。だが!!」

 

 その龍の前にブウが割り込み、横からカカロットの顔を蹴り飛ばした。

 

「っ!!」

 

 龍は消え、超サイヤ人3が後方に吹き飛ばされる。

 

 その背にセルが現れて手刀を構えている。

 

「づぇええええい!!」

 

 左手刀をカカロットの首に叩き込み、地面へと叩きつける。

 

 ド派手な土煙を上げながら、クレーターを作り上げたセルはブウと共に並ぶと両腕を組んでカカロットを見下ろしていた。

 

 笑みを浮かべることさえせずにジッと爆心地を見る二人の姿に、俺は思わず土煙の中心へと視線を移す。

 

 すると笑みを浮かべて超サイヤ人3は立っていた。

 

「ククク、中々やるな。貴様らの力が、これほどとは思ってなかったぜ」

 

 セルとブウが真剣な表情でカカロットを見下ろす中、俺の横でブラックが静かに言った。

 

「奴め、まだ実力を隠しているようだ」

 

「な、なんだって?」

 

「……」

 

 そんな俺の言葉を黙って遮ると、ブラックは戦いを視ろと目で言ってくる。

 

 ブラックの意思に従って顔をカカロット達に向けるとセルとブウは、背中合わせで同時にかめはめ波を練り上げていた。

 

「さぁ、終わりだ!!」

 

「消え失せろ!!」

 

 鏡合わせのように左右から両手を突き出し、二つの蒼い光を一つにして放つ。

 

 さすがは、ドラゴンボール三大悪役の二人だ。

 

 俺があんなもんまともに喰らったら消し飛んでしまう。

 

 するとーーカカロットは意味ありげに俺をニヤリとして見た。

 

「……10×」

 

「えーー?」

 

 言うと同時、ヤツの左右の掌には赤い光が一つずつ。それを両手を合わせて一つにし、気が爆発的に膨れ上がった。これはーーこの技は、まさか!?

 

「テメエ、その技は!?」

 

「カメハメーー波ァアアアア!!!」

 

 赤い炎のようなオーラが全身から噴き上がり、カカロットの上着を焼き尽くすと同時に薄紅に近い赤い体毛が生える。

 

 伸びた髪は桃色のような赤になり、赤色に黒の瞳孔が浮かんだ瞳に隈取されたように赤い目元へとカカロットは変身してーー両腕を突き出した。

 

「ま、間違いないーー10倍かめはめ波だ!!」

 

 俺が叫ぶと同時、セルとブウの青いかめはめ波とカカロットの赤いかめはめ波が3人の中央でぶつかり合った。

 

「まさかーー!」

 

「本物だと言うのか!?」

 

 セルとブウも気付いたように目を見開く。同時にカカロットは笑みを浮かべて言った。

 

「終わりだ、化け物共っ!!」

 

 拮抗は一瞬、赤い光が全てを打ち貫いてセルとブウを飲み込もうとする。

 

「ちぃ!!」

 

「クッ!!」

 

 自分の額に二本の指を当てるセルとその肩に手を置くブウは同時に光に飲み込まれる前に消える。

 

「それでーー避けたつもりか!!」

 

 左掌を自分の左側に向けて掲げると金色の気弾を放つカカロット。その目の前にセルとブウは瞬間移動で現れた。セルとブウがやられるーーそう思った時に俺の身体は勝手に動いていた。

 

 俺の脳裏にはーー俺ととことんまで殴り合おうとしたセルの言葉が、セルを友と呼ぶブウの姿が思い浮かんでいたのだ。

 

「しまーー!!」

 

「クッ!!」

 

 ーー俺は、奴らの前に立って気弾を左掌で受けると、そのまま脇へと弾き飛ばした。

 

「……フ、そんなところまで孫悟空を真似んで良いものを」

 

 両腕を組んだまま言うブラックの顔と声は、どこかーー温かかった。

 

「何のつもりだ、紅朗!! 私たちはまだーー!!」

 

「そのとおりだ。こんなヤツを相手に助けられるなど侮辱の極み。まして私たちよりもパワーの劣る貴様程度の手助けなど無用だ!!」

 

 相変わらずプライドと意地の塊みたいな奴らだと、俺はどこかでほくそ笑む。

 

 コイツ等は嫌な奴らだが、それでも俺はコイツ等が悟空の偽者に負けるのは見たくねぇ。

 

「下がっていろ。貴様らの出番は終わりだ」

 

 俺の右からブラックが腕を組んだままセルとブウの二人に向かって告げる。

 

 これにセルとブウの二人は納得せずに怒りを露わにした。

 

「なんだと、ブラック?」

 

「私たちが、そこの異世界の人間に劣ると言いたいのか!?」

 

 そんな二人に対してブラックは涼しげな顔で告げる。

 

「少なくとも、先ほど紅朗が割り込まなければ貴様らは相当なダメージを負っていた。その時点で、貴様らは紅朗に借りを作ったのだ。貴様らの言うーーたかが異世界の人間に、な。分かったら大人しく下がれ」

 

 その言葉に忌々しげにしながらブウは黙り、セルは静かに俺を向いてニヤリと笑みを浮かべると腕を組んで譲ってくれた。

 

 サンキューと心の中でブラックに告げて俺は目の前のカカロットに向き合う。

 

 ヤツは赤い猿の上半身をした超サイヤ人4になった姿で邪悪な笑みを浮かべていた。

 

「やっと、俺と闘う気になったか? 孫悟空の魂とリンクするーー異世界の人間よ」

 

「テメェ、俺と戦いたかったのか。何でだ?」

 

「知れたこと。貴様の力は、正に戦闘民族サイヤ人そのもの。その力を手に入れる為に、貴様と魂をリンクしている孫悟空(オリジナル)を倒す必要があるのさ」

 

 俺はーー超サイヤ人2に変身する。

 

 フューの話が本当なら、俺の力は超サイヤ人2でも超サイヤ人4に挑めるはずだ。何故なら俺は格闘ゲームの理屈をこの世界に当てはめて使うことができるのだから。

 

 真・超サイヤ人ならば真っ向勝負でも戦える。

 

 だけどーー真の力を使い切ってしまえば俺は意識を失い、間違いなく殺される。別に殺されても、この肉体が死ぬだけで俺自身は元の世界に戻れるはずーーだ。

 

 こんな超危険な悟空の顔をした悪党を放っておいてベッドの上で起きる? ねえな、それは。

 

 とはいえーーコイツの力がどれだけのものかを理解していなければ、力の出しどころで負ける可能性が高い。超サイヤ人3だって燃費の悪さは同じだ。いや下手をすれば真・超サイヤ人よりもなっていられる時間が少ないかもしれない。

 

 ベジータのように超サイヤ人2を極めて超サイヤ人3に限りなく近い力を引き出せるようになれたり、超サイヤ人神の力を吸収した悟空の超サイヤ人みたいになれば話もまた変わってくるんだがーー。

 

「ーーいくぞ、せいぜい楽しませろ!!」

 

「来やがれーー!!」

 

 俺たちは、同時に駆けだして右ストレートをぶつけ合った。それだけで分かる。折戸の比じゃない。目の前のコイツはフューや本気になったセルやブウよりも強い。

 

 すぐさま、俺は左ストレートを放つもヤツは紙一重で右に見切り、右上段回し蹴りを俺の顔に向けて放ってくる。咄嗟に俺は左腕を無理やり曲げて顔の前で受け止める。

 

「グッ……!」

 

 右ストレートを放つも頭を屈めて紙一重でかいくぐられ、強烈な右ストレートが俺の顎を打ち貫く。顎を跳ね上げられ、後ろに下がると強烈な右廻し蹴りがこめかみを的確に撃ち抜いた。

 

 空中にきりもみ回転しながら浮かぶ俺の脇腹を膝で打ち上げ、足首をつかむとカカロットは自身の背後へと向かって俺を投げつける。

 

 地面をアイススケートのように俺の身体は滑っていく。

 

 そんな俺を見下ろしてカカロットは言った。

 

「どうした、異世界人? そんな程度じゃないだろ? さっき魔界の住人を退けたときは、そんなものではなかったはずだ。さあ、見せてみろ!!」

 

 両腕を組んだまま俺を見下ろして、カカロットは言ってきた。

 

 ならばーー俺は立ち上がろう。確かに痛い、血の味もする、鼻の奥がきな臭い。それでもーー俺は超サイヤ人孫悟空の肉体を持っている。動けないことなどない。俺の意志が途切れない限り、超サイヤ人孫悟空は立ち上がる。この肉体は、立ち上がれる。

 

「さすがに強いじゃないか。悟空の記憶と肉体を持ったサイヤ人ーーカカロットか。俺、お前に聞きたいことあったんだ。教えてくんね? お前が昔読んだ二次創作のカカロットと同じかは知らないがよ。なんでーー悟飯や悟天、ウーブを殺そうとした?」

 

「……」

 

「お前はカカロットだと言った。だけどよ、お前は地球育ちのサイヤ人孫悟空の記憶と肉体を持ってるんだろ? その証拠に悟飯や悟天を覚えていたよな? なんで殺そうとする? サイヤ人は同族意識は高いはずだ。ターレスもバーダックも、サイヤ人の同族には甘かった。ベジータもピッコロも、皆お前の仲間だったはずだ。それをなんで自分で壊そうとした?」

 

「下らない問いかけだな。だが、敢えて言うならばーー俺は孫悟空ではない。孫悟空ではないのに孫悟空の記憶が俺にはある。それが、どれだけ気持ちが悪いかーー貴様にわかるか?」

 

 気持ちが、悪い? 俺たちの英雄のしたことがーー気持ちが悪い、だと?

 

「俺は戦闘民族サイヤ人カカロットだ。俺こそが、全宇宙でナンバーワンだ。破壊神だろうが天使だろうが、全て超えてみせる。飽くなき強さへの渇望ーーそれこそが、サイヤ人だろうが!!」

 

 なるほど。

 

 自分の存在がカカロットだという証明のために、孫悟空を作り上げたすべてを否定しようっていうのか。

 

「……正しいな。サイヤ人として、それは間違ってない」

 

「貴様のような異世界人に言われたくもない……!!」

 

「だろうな。お前らサイヤ人は、プライドの塊だからな。だけどよーー!!」

 

 てめえの存在証明のために、地球をぶち壊すだの。なにもかも消し飛ばそうとする、だの。マジで……。

 

「ふざけんなよ、カカロット……!! てめえみたいな自分しかない奴が、孫悟空に勝てるかよ!!」

 

「違うな。孫悟空は、自分以外のものが居たから俺になれないんだ!!」

 

 言いながら俺は超サイヤ人3に変身して殴りかかる。

 

 向こうは超サイヤ人4。

 

 とはいえ、俺が知っている超サイヤ人4とは違う。

 

 体はマッシブになり、大きくなっているし赤というには少し薄い。

 

 髪も黒髪じゃなくてーー超サイヤ人神みたいな赤みがかったピンク色ってやつだ。

 

「俺の知ってる超サイヤ人4じゃないーー。なら、勝てる!!」

 

「超サイヤ人3のコピー体で、言ってくれるじゃねぇか。異界人!!」

 

 殴り合う。

 

 打たれるーー打つ。

 

 繰り返す。

 

 蹴られたら、蹴り返す。

 

 目の前から消えて後ろに回られたら、同じ動きをやり返す。

 

 とことんまで、俺がてめえの動きすべてをまねてーー凌駕してやる!!!

 

「ーーなぜだ! 超サイヤ人4は、魔人ブウをも上回る敵を想定して作った最強の形態。なのにーー超サイヤ人3にここまで食い下がられるだと!?」

 

「話聞いてねぇのか、てめえ。俺は特殊なんだよ。異界の人間は実際のパワーよりも別の理が働くってフューが言ってたろうが!!」

 

「そんなことで、オレにキサマのようなクズが、食いつけるだと!? ふざけるなぁああああ!!!」

 

「ふざけてんのは、てめえだ。ようやく折戸の馬鹿が改心したんだ。今更、てめえみたいな野郎が出る幕ねぇんだよ!! 失せやがれぇえええ!!!」

 

 がっぷり四つに組みあう。

 

 両手で掴み合い、互いに金色のオーラを身にまとって押し合う。

 

「ふざけやがって! こんなーーこんな紛い物のゴミに、このオレが……!!」

 

「くやしいか? くやしいだろうな? 俺は悟空ですらない。その辺の一般人だからな。だからこそ、言ってやるよ。カカロット、てめえに悟空の相手は無理だ」

 

「なにぃ!!!?」

 

「格が違ぇんだよ、てめえ。悟空とてめえじゃ、勝負にもならねえ。それによーー俺を倒してからにしろや? 孫悟空と戦うってのはよ!!!」

 

 左の回し蹴りで顎を抜いて吹き飛ばす。

 

 後方へ頭から吹き飛ぶカカロットだが、金色のオーラを激しく燃やして宙で止まり、鬼のような顔で怒り狂うと俺に向かって突っ込んでくる。

 

「異界人ぃいいいいいいん!!!」

 

「来いよ、カカロット!! てめえは、ここで終いだ!!」

 

 黄金のオーラを身にまとい、俺は再び真・超サイヤ人へ至る。

 

 真正面から右拳と右拳がぶつかり、俺たちを中心にクレーターが発生しながら、黄金の力場はどんどんと広がっていく。

 

「おのれ……!! この程度の相手に、なぜ手こずる!! このオレが……!!」

 

「……お前が、孫悟空じゃないからーーさ。あばよ、カカロット」

 

 俺は合わせた拳からイメージする。

 

 孫悟空の最強の一撃を。

 

 魔人ヒルデガーンをぶち破り、超一星龍さえも打ち抜いた黄金の龍を放つ一撃を。

 

「……なに!? 拳を合わせた状態からーー!? なんだ、これは!!?」

 

 その一撃は、ピッコロ大魔王を打ち抜いた幼い悟空の一撃と似ている。

 

 だがーー成長した悟空の一撃は、神の龍にさえも届いている……!!

 

「龍ぅうううう拳ぇえええええん!!!」

 

 瞬間、真・超サイヤ人の倍加の力を使って一気に爆発させ、黄金の龍の鋭い顎を前にカカロットはーー突き出した拳を頭上へと打ち返されて飲み込まれて光となって消えていった。

 

「ばぁかぁなぁああああああああっ!!!」

 

 上空に浮かんだ雲さえ丸く削り取って、俺は天に拳を掲げたままニヤリと笑った。

 

「……勝った」

 

 これにブラックがニヤリと笑った後、俺に拍手をしてきた。

 

 セルが、ブウが呆然とした表情で俺を見ている。

 

「…あれほどの化け物を、一方的に倒しただと?」

 

「なんだ、最後の一撃は? 孫悟空め、まだあんな技を……!?」

 

 焦った表情のドラゴンボール三大悪役の二人を見て、俺は真・超サイヤ人を解いて通常の超サイヤ人に戻ると言った。

 

「何を当たり前のことを言ってやがる? 孫悟空は、全宇宙で最強! いつまでも悟空より上の存在で居られるわけないだろ」

 

 そんな俺の横に、壱悟ではない超サイヤ人孫悟空の姿をした男が立っている。

 

「久住さん……」

 

「よぅ、折戸。おはよう」

 

 そう言って顔を俯かせている折戸の肩を叩いてやった後、俺はーーセルとブウを見る。

 

「最後の仕上げだ、折戸。俺たちの力で、あいつらを地球から追い出すぞ!!」

 

「ーー分かりました、久住さん!!」

 

 これにセルとブウがニヤリと笑みを返していった。

 

「ようやくか、紅朗。決着をつけてやるぞ!!」

 

「ふん、折戸とか言ったな? ベジットにならずに、俺に勝てるかな?」

 

 俺と折戸は超サイヤ人のオーラを身にまとい、左右対称に構える。

 

 その時、唐突に俺と折戸に向かって明るい声が届いた。

 

「お、派手にやってんな!!」

 

 そちらを見れば、破壊神に連れられて行った悟空が、ベジータやピッコロ、悟飯たちと共に本物のブルマやヤムチャ、クリリン、天津飯や天津たちと一緒に俺たちを見ている。

 

「久住さん!!」

 

「な、なんで折戸が久住さんと一緒にセルとブウと……」

 

「どうなってるんだ?」

 

 などと焦った表情でつぶやいているが、説明すると長いんでなぁ・・・。

 

 と考えていると悟空が俺に言ってきた。

 

「さあ、見してくれよ!! オメエが、どこまで強くなったんかをよ!! オラ、ワクワクしてんだかんよ!!」

 

 微かに瞳を閉じ、思う。

 

 こいつらは強い、勝てないかもしれない。

 

 でもーー悟空が後ろで見てくれるとーー俺は、負ける気はしない。

 

「久住さん……」

 

「ああ、やろうぜ! これが、この世界で紅朗として生きた俺の、最後の戦いだぁあああああっ!!!」

 

 俺の声が、ドラゴンボール世界に響いた。

 

 忘れない、忘れてくれるな。

 

 俺は、確かにドラゴンボールの世界で居た。

 

 悟空たちと話して、同じ空気を吸った。

 

 この戦いが勝つにせよ、負けるにせよ。

 

 忘れてくれるな…、世界よ。

 

 俺よーーー!

 

 そう思いながら、俺たちはセルとブウを相手にぶつかった。

 

ーーーー

 

 俺の戦いは。

 

 冒険は終わった。

 

 ゆっくりと仰向けから身を起こす。

 

 いつもの部屋だった。

 

「……長い夢だったな」

 

 そう言いながら、俺は寝間着の格好で伸びをする。

 

 つけっぱなしのテレビには、ドラゴンボールのゲームの紹介があった。

 

 まじかよ、スパーキングシリーズってまだ続いてんの?

 

 今日はーーシフトは休みの日か。

 

 何しようかな?

 

 そうぼんやりと考えながら顔を洗い、ぶよぶよの腹を見る。

 

「やっぱり、鍛えた方がいいよな」

 

 などとひとり呟いているとーー。

 

「ーーなるほど。ここが貴様の部屋か」

 

 なぁんて、聞き馴染みがある声がしやがった。

 

 振り返るとーーザマスが立っている。

 

「え? 夢ーーじゃない!!?」

 

「何を今更。貴様だって分かっていただろ? 夢ではないくらい」

 

 言いながらザマスは俺に、銀色にひかるリングを渡してきた。

 

 それは俺がブルマに貰った腕時計ベルトーー。

 

「ーー力を貸せ、久住史郎。私と共にタイムパトローラーとして、歴史を変える悪を討つのだ」

 

「いやいや、俺も俺の仕事がーー!!」

 

「知っている。だから、休みのシフトもしくは仮眠中のときでよい。力を貸せ」

 

「じゃぁ、俺の寝る時間はなくなるだろうが!!」

 

「その辺は、私の回復エネルギーでなんとかしてやる」

 

「いやいや、ちょっと!!」

 

「時の界王神から、お前に前金を渡すように言われていたのだった、そういえば」

 

 と言いながらこれでもか、というほどの万札の入ったアタッシュケースを手渡してきた。

 

 えーー、こわ。

 

 なに、これーー!?

 

「世界を救った礼だそうだ。加えて折戸に栗林、天津などもタイムパトローラーに参加してもらっている。あとはーー貴様だけだ」

 

「……え? ゲームクラブみたいな感じで参加してない? それ」

 

「ごちゃごちゃ言うな、さっさと来い!」

 

「横暴だぁあああ!!」

 

 と言いながら万力のような握力で首根っこをつかまれる。

 

 助けてぇえええ!!

 

「何してんだ、ザマス? 早く史郎を連れてきてくれよ! オラ、戦いたくてワクワクしてんだ!!」

 

「貴様のあこがれも、ああ言っているぞ。さあ、観念しろ」

 

 ふざけんな! 

 

 おれの、おれの人生を、勝手に書き換えるなぁあああああああああああ!!!

 

 そう叫びながら、俺はどこかへと連れていかれるのだった……って、なんでやねええええええん!!!!




ドラゴンボールのファンの皆さん。

大変長らくお待たせいたしました。

本当にありがとうございました。
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