切嗣は混乱するしかなかった。
とてもよくある設定だった。
異世界からの英霊召喚など、溢れて平行世界に蔓延っている。
それらにはそれらのストーリーがあり、各々に願いがあり、この願望を成就せんがために戦っていた。
「ねぇねぇベル君」
「なんですか神様」
起きると、いつもの光景とは違った。
教会のような場所に気がつくと立っていた。
ただ事ではないと判断したベルは、無意識に腰から抜いたヘスティアナイフを構えて目の前の人物を警戒していた。
そこ居たのは、長く白い髪。そう、ベルと同じ色の髪色の女性。そして黒髪でどこか擦れてしまった雰囲気を放つ男性だった。
「どうやら、聖杯戦争に巻き込まれてしまったみたいだ」
「あのお伽噺の聖杯を巡って争うあれですか?本でしか読んだことがなかったけど、本当にあったんですね」
「むむむ、召喚された時の現代知識がベルくんにはないのかい?」
「現代知識?それってどういう……」
そこまで話したところで、目の前の白髪の女性が口を開いた。
「初めまして。私はアイリスフィール、こちらが衛宮切嗣。早速だけれど真名を教えて頂けないかしら。私たちはこれから戦いを共にし、聖杯戦争に参加するパートナーなのだから」
「そうだね、まずは自己紹介しようか。ヘスティアとベル・クラネル!ちなみにボクは神様さ」
「聖杯に託す願いを言え」
衛宮切嗣と名乗った男性が、ぶっきらぼうに質問を投げかけた。
「いきなりなんだい、その態度は。失礼じゃないか!」
「ちょっと、神様。もっと穏便に話しましょう」
「不自然な点がいくつかある。まず、ベル・クラネルという名を聞いたことがない。虚言の可能性がある。そして、二人組という異例の事態だ。まず間違いなく特殊なサーヴァントだろう。ヘスティア神の名は知っているが、通常の聖杯戦争ならば召喚できない類に該当するのが神だ。半神ならば例はあるが……」
切嗣が静かに捲し立てる。
それを聞いたヘスティアは、あからさまにムッと不機嫌さを顕に返答した。
「ボクたちはオラリオ、異世界から呼び出されたんだ!この世界のヒトが知るもんか」
「あ、そうですね。よく見ればオラリオでは見たことが無いものが沢山ある!流石神様!」
「そしてボクは神だ!疑うならばステータスを見ればいいんじゃないのかい?」
「…………」
「……切嗣?」
黙り込んだ切嗣に、アイリスフィールが違和感を感じた。いつもの彼と何かがおかしい。
ひとまず場所を変えて落ち着いて話をしようとする。
「ここで言い争っていても仕方ないわ。移動して腰を落ち着けてから話さない?」
「話がわかるねアイリスフィールさん!ベル君いくよ!」
「わっ、待ってください神様ぁ」
続かない