古き昔、地上には精霊の他に神に匹敵するほどの力を持つ存在がいた。
しかし、その存在はあまりにも悪しき存在だったため世界の中心たる大穴へと封印された。
これはその細胞を埋め込まれた英雄になるはずだった少年の物語。
※ノリと勢いで書いたので続きません

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ポケモン書いてばっかで仮面ライダー不足につき、栄養補給として。


悪魔宿せし白ウサギ

「……見つけた」

「なんだ、お前は?」

「べ、る……?」

 

 赤髪の女の言葉には答えずにベルは女の腹を蹴り飛ばす。

 

「がっ!」

「フィルヴィスさん、アイズさんの治療を」

「……あぁ」

 

 ベルは自分と一緒に赤髪の女の拳を受け止めた濡羽色の髪のエルフ、『フィルヴィス・シャリア』に向けてそう指示をすると、ゆっくりとした足取りでアイズとフィルヴィスの前に出る。

 ―――その場に、幸か不幸か巨大食人花を仕留めたフィン、リヴェリア、レフィーヤが援軍に駆けつける。

 

「アイズさんッ!と、この間の人族とそれと……誰?」

「【白巫女】……。」

「……お久しぶりです、リヴェリア様」

 

 無事なアイズを見て安堵するのもつかの間、以前会ったベルと謎の同族の存在に疑問符を浮かべるレフィーヤを他所に、フィルヴィスは王族たるリヴェリアに礼を尽くしながらアイズにポーションを飲ませて治療する。

 フィンは二人の前で赤髪の女を睨みつけるベルに視線を向けている、その表情に一切の余裕は見られない。

 

「ベル、彼女の相手はウチでやる。君は上にもどれ」

「冗談やめくださいよ、親の仇が目の前にいておめおめ逃げ帰れって?それじゃあなんのために……こいつと契約したのかわからない」

 

 フィンの制止の言葉をこともなげに受け流しベルはデモンズドライバーを顔の横に構える。

 

「ベイル、契約の続きだ。力を寄越せ」

『……フハハハハ、いいだろう。存分に使え、坊主』

「いい加減坊主はやめろ」

『デモンズドライバー!』

 

 ベルはドライバーから聞こえる謎の声と会話すると、デモンズドライバーを腰に装着し、蜘蛛のレリーフが刻まれたスパイダーバイスタンプを構える。

 それを見たリヴェリア達の表情に焦りが浮かぶ。

 

「ベル、寄せっ!それ以上、その力を使えば本当に……!」

「……とっくに覚悟の上だ」

 

 叫ぶリヴェリアを尻目にベルはバイスタンプのスターターを押す。

 

『スパイダー!』

 

 起動し、怪しく発光するバイスタンプのスタンプ面をデモンズドライバーの承認装置、『デモンズレッドパッド』に押印する。

 

『Deal!』

 

 禍々しい音ともに彼の頭上にどこからともなく現れた蜘蛛の巣とそこから一体の鋼の蜘蛛が糸を垂らしてベルの右肩付近に降りてくる。

 

「変身」

 

 スパイダーバイスタンプを頭上に構えたベルは一気に振り下ろすようにスタンプ面を情報入力装置オーインジェクターに押印する。

 

『Decideup!』

 

 足元とオーインジェクターに現れた点滅が不穏な絵を浮かび上げ、鋼の蜘蛛が糸を吐きながらベルの周りを旋回すると、ベルの体に巻き付いた糸が黒いアンダースーツに変化し鋼の蜘蛛が再び右肩に戻ると、巨大な蜘蛛の巣を展開しながら肩に合体する。

 

『Deep!Drop!Danger!仮面(ライダー)デモンズ!』

 

 展開された蜘蛛の巣が胸部の装甲とマスクの一部に変化すると、マスクに施された蜘蛛のような六つの複眼が怪しく光る。

 

「ハアァァァァァ!!」

「ぐっ……!」

 

 デモンズの一撃を喰らった女は後方に吹き飛ばされる。

 自身の魔法を片手で受け流され、自分より遥かに各上のアイズを追い詰めていたことを知っているレフィーヤはその光景に目を見開く。

 

「うそ……あんなに簡単に……。」

「―――この力、そのベルト、その気配……そうか、お前が奴らのもとから逃げ出した()()()か」

「…………。」

「じっけん、たい?」

「ッ……!」

 

 シュウゥ……と煙をたてる防御に使った自分の両腕を見ながら呟く女の言葉をレフィーヤが反芻する。そして、その意味を知るアイズは苦虫を噛み潰したような表情になる。

 当のデモンズの表情はマスクで隠れてわからない。だが、ただでさえ禍々しいデモンズが放つ気配が不穏さを増す。

 

「……いい土産ができた。アリアだけでなく()()()()()まで連れ帰ればあの宝玉などどうということはない」

『これから死ぬやつが何をほざいている?』

「黙っていろ、ベイル」

「それがお前の悪魔か」

「お前が知る必要は、ないッ!」

「ッ!」

 

 デモンズは一気に駆け出し、女に向かって拳を振るう。女はガードしながらも反撃の攻撃を仕掛けてくる、並の冒険者なら一撃喰らえば簡単に壊れかねない拳を互いに受けながら一向に倒れない二人。

 その姿を例えるなら……そう、【化物】にほかならない。

 

「ッ!」

「ッ……!ガッ!」

「ベルッ!」

 

 数発の打ち合いの末、脇が甘くなったデモンズに死角から鋭い一撃が放たれる。その一撃を喰らい、後ずさるデモンズに回し蹴りが見舞われた。

 咄嗟に腕でガードしたが衝撃を殺しきれず、今度はデモンズが弾かれる。

 アイズはその姿に声を上がるが、デモンズはどこ吹く風と言いたげに腕のしびれを取るように動かす。

 

「バカ力が……なら」

 

『Add!』

 

 デモンズは悪態をつくと、ドライバーの左右にある、操作装置デモンズノックを両手で強く押し込み、バイスタンプホルダーから緑色のモグラバイスタンプを取り出す。

 

『モグラ!』

 

 起動したモグラバイスタンプをさっきと同じようにデモンズレッドパッドに押印して承認させ、オーインジェクターへと押印する。

 

『Dominateup!』『モグラ!』『Genomix!』

 

 デモンズの右腕の筋繊維が不可思議に膨張し、緑色の巨大な槍が形成される。

 

「ハアァァァァァ!!」

 

 高速回転をする槍を振り回しながら女に突撃する、デモンズ。だが、鋭いのは先端のみなため、受け止めようと構える。しかし、その予想と反し槍はドリルのように高速回転を始める。

 

「くっ、なんだと!」

「ふんっ!はぁっ!」

 

 鋭い鋒で斬りつけられ、反撃ができない女の腹部にドリルの先端を突き刺し、そのままドリルを回転させて吹き飛ばす。

 

「ガハッ!」

 

 異常にに硬い女の体から火花がたつほどの回転で吹き飛ばされながらも倒れない女。しかし、悪魔がその歩みを止めることは決してない。

 

「これで終わりだ」

『スパイダー!』『Charge!』

 

 バイスタンプホルダーから取り出したスパイダーバイスタンプをオーインジェクターに押印して、デモンズノックを押し込む。

 

『デモンズフィニッシュ!』

「ハアァァァァァァ!!」

 

 デモンズの右足を振り上げると紅いエネルギーが六本の蜘蛛の足のような形となって赤髪の女を襲った。

 

「グハッ……!」

 

 ボロボロになった女は膝から崩れ落ちる。その姿は満身創痍でこれ以上戦えないことは目に見えている。

 デモンズはそんな女にゆっくりと近づいていく。レフィーヤにはその姿がデモンズの名にふさわしく悪魔のように見えた。

 

「……今楽にしてやる」

 

 デモンズは指先に赤黒いオーラを纏わせ、女に向ける。それが放たれればどうなるか、デモンズの不穏な言葉から事情をあまり知らないレフィーヤですら察するにあまりある。

 

 しかし、彼を制するために一陣の風が駆け寄った。

 

「……駄目。」

「……話してくれ、アイズさん」

「これ以上したら……戻れなくなる」

 

 背中からデモンズ―――ベルを抱きしめたアイズ。

 その突然の行動に、デモンズが指先にためていたオーラが霧散する。

 

『邪魔をするな小娘、これがコイツと私の契約だ』

「黙れといったはずだ、ベイル……!」

「ちっ」

 

 その一瞬のスキをつき、赤髪の女は背後に飛んだ。そのまま岩の群れを飛び越えてどんどん二人から距離を取っていく。

 

『逃げるぞ、追え。小僧』

「………。」

 

 ベルトからの声にベルは答えずにドライバーを外して変身を解除した。

 

『なんのつもりだ?』

「お前の指図は受けない。―――行きましょう、フィルヴィスさん」

「わかった」

「あっ……。」

「―――待て」

 

 アイズを振り払い、その場をさろうとする二人に待ったをかけたのはリヴェリアだった。

 

「リヴェリア様?」

「なぜここに来た?さっきの口ぶり、あの女を追ってきたような口ぶりだったが」

「…………。」

「ちょっと!リヴェリア様が聞いているんですからなにか答えたら……ヒッ!」

 

 王族であり、師でもあるリヴェリアの質問を無視されたレフィーヤが注意をしようと叫ぶが、ベルの目を見た瞬間、後退りして短い悲鳴を漏らす。

 ―――闇。

 その一言がしっくりくるような深い深い深淵をベルの瞳に見たからだ。

 その恐ろしい瞳に全身を震わせるレフィーヤをベルの視線から遮るためにリヴェリアが前に出るのを見て、答えいないベルの代わりにフィルヴィスが質問に答える。

 

「―――それは、私達が神ヘルメスに依頼されたからです」

「神ヘルメスからだと?」

「はい。行方不明になっている団員、ルルネ・ルーイの探索をベルと私に依頼したのです。そして、彼女の足取りを追ってここに来たところ」

「……ベイルが反応を示したのか」

「そうだ、【勇者】」

「他に聞くことがないなら、今度こそ帰らせてもらいます」

「待て。その前に傷の手当てを―――」

「この程度の傷で僕が死ぬわけ無いだろ」

「なら、もう一つだけいいかい?」

 

 リヴェリアの申し出を吐き捨てるように断って今度こそさろうとすると、今度はフィンから待ったがかかった。

 

「なんですか?」

「ベル。うちの派閥に来ないか?」

「えっ……?」

 

 フィンの突然の申し出にレフィーヤは声を漏らした。

 

「気でも狂いましたか?」

「狂ってなきゃ、冒険者なんてやらないさ」

「あぁ……そうでした、そうでしたね。どいつもこいつも!くだらない理由でダンジョンに潜る異常者でしたね」

「相変わらずキレがあるね、君の毒舌は」

「―――後悔でもしましたか?あの日、僕を殺さなかったことを?」

「「ッ!」」

「「「………。」」」

 

 ゴミクズでも見るような目でフィン達を一瞥すると、ベルはフィンたちに向き直る。

 

「殺せたはずだ、あの日の僕なら。なのにあんたらは僕を殺さなかった、同情でもしたか哀れにでも思ったか……この際どうでもいい。ただ言えるのは、殺しておけばお互い幸せだったというだけだ」

「…………。」

「なにが二大派閥だ、くだらない。今更僕を救えるとでも思っているんですか?」

「「…………。」」

「―――二度と僕の前でそんなくだらない話を持ち出すな」

 

 ―――そういって、今度こそベルとフィルヴィスは彼らの前ををあとにした。

 

「り、リヴェリア様、あの人は一体……。」

「―――あの少年は闇派閥に親と人生を奪われたものだ」




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