【プロローグ】
文月学園2-Fクラス。
現在試召戦争によってほとんどのクラスメイト達が出払った教室では、五人の女子生徒たちが予備戦力として待機していた。
「あぁ……もう!! なんで私が出ちゃいけないんだよ!!」
紅く長い髪をした江戸っ子のべらんめー口調のガサツな雰囲気を持つ少女。面倒見がよく姉御肌なので一部の人間には慕われているが、若干子供っぽいところもありそこらへんがごく一部からしか尊敬を集められない理由となっている……文月学園「スケバンって言われたら思わず納得しちゃうよね?」ランキング第一位の
「しかたないだろ。マリーさんこの前試召戦争そこのけで、素手で召喚獣なぐっちったんだから。しばらくはいろんな意味で謹慎って学園長からの御達しだ」
怒り狂うマリーをしり目にのんびりとお茶を飲んでいる、眼鏡をかけたセミロングの女子生徒は
「まぁまぁマリーさん。そんなにネガティブに考えないで! こう考えたらいいじゃない。これを機に、マリーさんはそのガサツな態度を直して一層女装男子力に磨きをかけていけるって。秀吉君みたいに」
「それどういういみだよっ!! 私が普段女らしくないって言いたいのかい!! というか、女装男子じゃねぇよ!!」
「わしも女装しておらんぞ!!」
……本来いないはずの人物のツッコミが聞こえた気もしたが今は無視しよう。
怒り狂うマリーを鎮めようとして余計なことを言ったのは、いつもニコニコ笑っているポニーテルの少女。いろいろ悪ふざけが加速しがちなこの五人の緩衝役……
とある事情からステータスに危機回避EXがあるのではないかと噂される危機回避能力が異常に高い少女だ。
「あぁ……外の様子が気になる。相手は各上のCクラスだし。もうだめなんだわ! 私たちはこのまま試召戦争に負けて、今度は校舎の外に放り出されてグラウンドで授業させられることになるのよ!!」
別に外の戦況はそこまで絶望的なものでもないのに、どういうわけか鬱になってしまっている黒髪ロングの陰鬱そうな少女の名前は
取りあえず思いつく限りの不幸体験は一通りしているらしく、現在は複雑な家庭環境に頭を悩ませている……らしい。
「ねぇ……謹慎くらったのマリーさんだけなんだから、私たちはべつに試召戦争に出ていいんじゃない?」
「「「「あ」」」」
そして、ピョコピョコと黄色いアホ毛を揺らしつつ意外と核心をついた質問をしてきたのは
そんな風に5人がいつものように無駄話をしている時だった。
ガラリ。と、教室のドアがあき、
「あ、明久君?」
「おかえり~明久」
「戦況どんな感じだ?」
「早かったね、明久くん!!」
「うふふふふふふ……」
「キグ……とりあえずククルを端に寄せろ」
「了解ですガンキョウ隊長!!」
学園一のバカの地位を守り続ける、いろんな意味での問題児、吉井明久が帰ってきた。どういうわけかその姿はボロボロで、まるで複数の人間にリンチにあったような風体であったが、どうせいつものようにこのクラスの代表坂本雄二の策に巻き込まれてひどい目にあったんだろう。と、察した五人は特に何も言うこともなく明久用の座布団をとってきて、そこに明久を座らせた。
悄然とした顔でそこに座った明久は、しばらく顔を俯けていた後……一言、
「僕の命と試召戦争での勝利と、いったいどっちが大事なんだよっ!!」
と、魂の怒声を前線にいるはずの悪友へと上げた。それを聞いた五人は一斉に目を見合わせた後、するりと視線をマリーへと入れ替え、
「ふぅ……」
その視線に答えたマリーは制服のポケットから扇子を取り出し一言、
「つまんねぇこと聞くなよ!」
「つまんなくないよぉおおおおおおおおおおおおお!!」
【前座・料理事情】
「伝統芸」
「よっ、さすがだね、マリーさん」
「いやいや、そんな褒めんなよ」
「きいてよっ!!」
明久の絶叫はいまいちどうでもよかったのか、むしろいつも以上に切れが良かったマリーの伝統芸の方に話題が移ってしまった。
「まぁ、そんないつもも事はどうでもいいじゃない吉井君。それより君最近元気ないよ? 一人暮らしだって聞いたけどちゃんと、ご飯食べているの?」
「え? 何を言ってるんだよ手寅さん! 僕だってちゃんとした人間なんだから、ご飯ぐらい食べてるよ!!」
手寅の巧みな話題転換に乗せられた明久は、失敬だなと言わんばかりに憤慨して、鼻を鳴らした。
「へ~。明久お兄ちゃん料理で来たんだ。どんな料理?」
そんな明久の様子に、料理は両親に作ってもらっているキグが感心したような声をだした。そんなキグの尊敬のまなざしに鼻高々といった様子の明久は、自信たっぷりといった態度で自分の食事風景を教えてあげる。
「主催は塩で、おかずは水道水だね!!」
「人間としての最低限度の生活すらできていないだろっ!?」
あんまりといえばあんまりな生活にガンキョウは思わずツッコミを入れた……。
「そういうみんなも、キグちゃん以外は一人暮らしだったよね? どんな食事しているのさ?」
「私は料理できないからほとんど出前。うちの両親もそのくらいできる程度の仕送りはしてくれるし」
「あら駄目よ、ガンちゃん。そんなの健康に悪いっていつも言ってるじゃない」
あからさまに呆れたといわんばかりの顔でガンキョウにおせっかいな注意を飛ばす手寅。流石は幼馴染といったところか。
ただ、幼馴染にそんな態度を取られたガンキョウは業腹だったのだろう。
「だったらお前はどうなんだよ手寅? 自給自足できてるのか?」
あからさまに機嫌が悪そうな声色で手寅を詰問した。
もちろん幼馴染の彼女には手寅のだいたいの料理の腕がわかっている。中学時代の調理実習では大した差はなかった。おそらく彼女も自分と同じように自給自足などできていまい。
それが、ガンキョウにこの質問を言わせた自信だったのだが。
「え? うん。大体毎日作ってるわよ?」
「え?」
幼馴染から帰ってきた驚愕の答えに、ガンキョウは思わず氷結した。
「マジですか!?」
「手寅……ほんとに料理なんてできんのか?」
感心したキグにかぶせるようにマリーの質問が飛ぶが、それすら予想していたのか手寅はいつの間にか持ってきていた自分のカバンを掲げた。
「ならばご覧あそばせ~。こちらが今日の私めの昼食にございます~」
どれどれと、氷結したガンキョウ以外のメンバーが、手寅がカバンから取り出した弁当へと群がる。
「お。結構いい出来じゃないか……」
「うわ~。このだしまきふわふわ~」
「この感触出すのけっこう大変なのよね……。ましてや冷えただし巻となると」
「色彩も結構こってるし。意外と料理できたんだね防波亭さん」
「えっへん! 一人暮らしをする際にお母さんから基本的なことは教わったの」
自慢げに胸を張る手寅に対し、ガンキョウはギギギと歯ぎしりをするしかなかった。自分と同じだと思っていた幼馴染にいつの間にか差をつけられていたのだ。彼女の悔しさもひとしおだろう。
だが、彼女の悲劇はまだ終わらない。
「ちなみにマリーさんは……あぁ、どうせカップめんだよね」
「そうそう。カップめんカップめん」
「そっちの方がマリーさんらしいよね」
「むしろそれ以外考えつかない……」
「ちょっとまて! お前ら一体私をなんだと思ってるんだい!!」
答えもきかずに主食がインスタントラーメンにされかけたマリーはあわてて、鞄から弁当を取り出した。
「私だって一応料理ぐらいするんだよ! まぁ、めんどくさいときはやっぱりカップめんになるけどさ……」
「やっぱり~。あれ? でもこれけっこうおいしそう……」
「なにぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!?」
最後のマリーの消えいらんばかりの小さな抗弁に明久はにやりと笑ったが、差し出された弁当を見てその笑顔は引っ込み、純粋な驚きへと変貌した。
当然それに驚いたのはガンキョウだ。まさか、自分以上に自給自足ができてなさそうなマリーが、まさかの料理できる派疑惑。
まさか、スケバン見紛わんばかりのガサツな彼女に女子力で負けるとあっては、いろいろと終っていると思ったからだろう。ガンキョウはまるで猛牛のごとくマリーの弁当へと突進していき、そして、
「…………………………………」
現実の冷たさを思い知った。
「いや~。といっても昨日の残り物なんだけどね?」
「いや……残り物にしてもすごいよこれ。肉じゃがまであるよ?」
「え? あら、ほんと……おいしそう」
「マリーさんが料理できるなんて!?」
「もしかしてこのマリーさん偽物?」
「ククル、キグ……あとで話があるから屋上にきな」
若干険悪な雰囲気になる三人もいたが、今のガンキョウの耳には入ってこない。それ程彼女はダメージを受けてしまっていた。まさか勝てると思っていたマリーにすら負けたとは、手ひどい裏切りである。
だが、この場にはあと二人自分と同じ人種の可能性があるやつらがいる!!
「く、ククル! お、おまえはどうなんだ!? 料理できるのか!?」
「え、わわたし? って、ガンちゃんなんかこわいよ……」
ものすごい勢いで自分に掴みかかってきたガンキョウにやや引きながら、ククルは目を泳がせた後、
「い、一応たしなむ程度には……」
「………………………………………」
ガンキョウの顔が絶望に染まった。
「パンの耳の揚げ物ぐらいしかできないけど……」
「どんだけ極貧生活送ってんだよお前!? 一人暮らしでそれはアウトだろ!?」
そしてツッコミを入れるために復活した。
「だって仕方ないじゃない!! うちのお父さんは明らかにリストラされているし、お母さん何か夜帰り多くなっちゃったし、正体不明の外国人が一緒にすもうって迫ってくるし!! うちの家庭はもう「やったねタエちゃん」状態なの! もうたえられないのぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
そして再び躁鬱になるククルにその場にいる面々が思わず顔を引きつらせる。
「じゃ……じゃぁ、この場で料理できないのはもしかして」
私だけなのか……。ガンキョウが絶望に染まった声色で、そうつぶやきかけたとき、
救いの手が差し伸べられた。
「がんちゃん……」
「……キグ?」
それは、ひどく優しい慈悲の笑みを浮かべたキグ。彼女は、ガンキョウの肩をポンとたたき、慈悲の笑みを浮かべて一言。
「大丈夫。私もお母さんやお父さんにご飯作ってもらっているから、料理はできないよ……」
「キグ……お前……」
あまりの慈悲にガンキョウの絶望が洗い流される。
あぁ、自分はなんて小さなことにこだわっていたんだ。料理ができるできないなんて、そんな小さなこと人の価値には何の影響も与えないというのに……。
キグの笑みに浄化されかけたガンキョウが、やたらすがすがしい笑みで悟りを開きかける。
だが、
「あれ? でもキグちゃん……去年のバレンタインの友チョコ、結構こったもの作ってなかった?」
「何言ってるの? 料理とお菓子作りは別物だよ!」
手寅が言った致命的なひと言で、ガンキョウは再び絶望のどん底にたたき落とされた。
賑々しく談笑を続けるメンバーたちをしり目に、ガンキョウは最後の希望とばかりに明久に視線を移す。
もう、自給自足云々の話は彼女の脳裏からは消えていた。とにかく、自分の女子力がこの中で底辺だということが許されなかった。
まぁ、明久にそれを求める時点で間違っているのだが、現在のガンキョウは絶望のあまり頭がアレな感じなので、そんな小さなことは気にも留めない。
そして、
「明久君は料理できないの? 財政的な原因は省いて」
「え? 一応できるよ? うちの料理は基本的の男勢が作るから。よっぽど難しい注文でもない限りたいていの料理は作れるかな?」
明久のそのセリフを聞いた瞬間、ガンキョウは教室を飛び出した。
「あ、ちょっとガンちゃんどこ行くの!?」と手寅の制止が聞こえたが、今の彼女には届かない。
彼女は召喚獣あふれる廊下を駆け抜けながら、真珠色のしずくを飛び散らせ一言、
「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお! 青春のバカやろォおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
数日後、手寅に泣く泣く料理を教えてもらっているガンキョウの姿が見られたとか見られていないとか……。
【二ツ目・ふれんどりーふぁいあ】
試召戦争中のとある廊下
まるで関節技でも極められたあげく、ボロ雑巾のように捨てられたみたいになって地面に倒れ伏している明久を、キグが片手に持った棒でツンツンとつつく。
「ヘンジガナイ。タダノシカバネノヨウダ」
「ホントにこれ死んでないか、おい」
ガンキョウが片言で言った言葉にマリーは思わず顔を引きつらせる。
「それにしてもまた美波か……今度はいったい何やらかしたんだ、明久」
「む、むねを……」
「あぁ、だいたい分かった。もう何もしゃべるな……」
死に体で明久がポツリとつぶやいた言葉を聞き、だいたいのことは察したガンキョウは明久を安らかに眠らせてやることにする。
「それにしても、このクラス……フレンドリーファイアがおおいよね?」
振り返った教室の中に死屍累々といった体で転がるFクラスの面々を見ながら手寅はそうつぶやく。だが残念なことに彼らは試召戦争で敗れたから倒れているのではない。試召戦争中誰がクラスのアイドル姫路の護衛としてペアになるかでもめて内乱が起こったのだ。
ちなみに明久もそれに参加したのだが、不機嫌そうな島田美波にその戦場から引きずり出されてしばらく行方不明になっていた。そして、30分経っても帰ってこない明久を心配した五人が様子を見に来るとこの惨状になっていたわけだ。
「なんでそこで横文字にするんだよ!! いいだろ普通に同士討ちで!! わかりにくいんだよ!!」
横文字嫌いのマリーがすかさずツッコミを入れる。
「でも確かにフレンドリーファイアってわかりにくい!
「でも、
「いいや、じつはそうでもない」
この英語の若干疑問を覚えたのか、英語が苦手なキグがキレ気味にそう主張するが、英語が得意な手寅はあくまでその言葉を弁護した。
そんな二人の様子を見て、五人のなかで最もうんちくが豊富なガンキョウが眼鏡をきらりと光らせる。
「アメリカではフレンドリーファイアは二種類があって、戦場の混乱中に間違って味方を撃ってしまう過失の場合と、その混乱に乗じて気に入らない兵士を殺してしまう殺人の場合があるらしい。つまり、必ずしも
「あぁ、それはうちのクラスを見ていたらよくわかるわ」
ククルがそう言いつつ死屍累々な教室と、自分たちの友人にグロテスクなオブジェにされてしまった明久に視線を走らせる。
「こわい、フレンドリーファイアこわい! もう試召戦争中はだれも信用できないよ!」
そんなおっかない話を聞いたせいか、怯えて手寅の背中に隠れるキグ。手寅はそんなキグをなだめるように「おぉ、よしよし」と言いながら彼女の頭を撫でつつ、
「まぁ、所詮うちの同士討ち事情は男子限定だから、私たちには関係ないけどね~」
そういいながら、どうやらもよおしたらしい彼女はキグをマリーに預け一人トイレに走って行った。
だが、そんな手寅の発言にガンキョウは思わず異議を唱える。
「そんな簡単な話じゃないぞ。むしろ男子みたいに悪意があった方がまだましだ」
「どういうことだい?」
マリーが不思議そうに首をかしげる中、ガンキョウは小さなため息をつきつつ冷たい事実をマリー、ククル、キグにつきつけた。
「いるだろ……うちには。善意100%のまま、味方を確実に殺す化学兵器を作るやつが……」
「あ、皆さんこんなところにいたんですか!」
その声を聴いた瞬間、その場にいた四人は瞬時に氷結し、ギリギリとした動きで自分たちの腕時計を確認する。
現在の時刻は12時。
お昼時である。
「チョウドヨカッタ。ワタシオベントウツクリスギタノデイッショニタベマセンカ?」
その声の主は、ボリュームたっぷりな桃色の髪と胸を持つ、クラスのアイドル姫路――
それを認識した瞬間、四人は思わず膝をついた。
それから数分後、トイレから戻ってきた手寅が見たのは、
「あら? みんなどうしたの?」
真っ青な顔になって泡をふいて気絶している四人の姿だった。
【真打・ここわらいどころね?】
「は~。この二次もこれで終わりか……」
「いや、そんな懐かしいな、みたいな雰囲気出されても……短すぎるだろどう考えても!!」
畳が引かれた教室で黄昏るマリーに、ガンキョウは思わずツッコミを入れる。
「いいのよがんちゃん。どうせ短編なんだし。こんなマイナーなクロスオーバー誰も読まないって」
「オチなんだからメタなネタやめろよ!?」
のんびりお茶をすすりながらとんでもないことを言う幼馴染に、ガンキョウ思わず大声を上げる。
「って、手寅なんだそれ? ものすごい瘴気放っているぞ……」
その時、ガンキョウは手寅の机の上に置かれた正体不明の物体に気付いた。
取りあえず外見は白い袋なのだが、中のものが液体のなのか若干黒い何かが透けて見える。
液体だというのは分かるのだが、通常の液体では考えられない、何となく触れてはいけないと思わせる、尋常ではない雰囲気がその袋からは流れ出ていた。
「あぁ、これ? みんながあまりにも死にかけるものだから、いったいどんなものが入ってるんだろうと思って、姫路さんに卵焼き作ってもらったの」
「卵焼き作ったはずなのになんで不可思議な液体Xができてんだよ!?」
「調理工程見ていたけどあれ凄いわね……。次々と化学薬品が投与されていて、最終的に王水ができていたわ」
「うちのクラスメイト達よく無事だったな!?」
ちなみにその際にでた廃棄物は姫路が責任を持って、業者の方に持って行ってもらったらしい。
ただ料理しているだけなのに、業者に頼まないと廃棄物を処理できないところで、姫路に自分がしているのは料理ではなく、錬金術に近い何かだと気付いてほしいのだが……この調子では到底そのことは望めそうもなかった。
「大体余計なこと入れすぎなんだよ! なんでわざわざアレンジするんだよ! レシピ通りに作れよっ」
ついさっき姫路の料理の被害にあったところなので、ガンキョウはいつになく饒舌でキレていた。
一口食べただけで、失神してしまうような料理を食わされたのだ。彼女の怒りもひとしおだろう。
だが、
「ふむ……つまりガンちゃんはこういいたいわけね?」
手寅はそんなガンキョウの態度を見て、ニコリと笑った後、
「漫画やアニメはそのまま楽しめ! なんで、二次創作にしてしまうのか!」
「「「「!!」」」」
聞いていた四人の間に戦慄が走る。
「原作が面白いならそれでいいじゃないか! なんでわざわざ無駄な時間を割いてまで、二次創作を作っているのか!! と、ガンちゃんはつまりそういいたいと?」
「あんまりです!! せっかくこれを書いている作者もアニメだけ見たにわか知識で必死にここまで私たちを描いてくれたのに、その努力をすべて叩き潰すなんて!!」
「ちょ、まて!! そんなこといってない!! というか、手寅! それマジでシャレにならないから。この業界一瞬で敵に回すから!!」
ククルの狂気に染まった抗議に、ガンキョウはあわてて訂正を入れ、必死に言い訳をする。
「大体お前らよく考えて見ろ! 姫路のはそれどころじゃないだろ!? 本来人に食べてもらうべきものが、明らかなバイオ兵器になってんだぞ!? ハザード起こしまくってるんだぞ!? そんな安い言葉で片付けていいわけないだろうが!!」
確かに。四人は思わず全会一致で頷く。
もう二度とあんな料理は食べたくないね~。と五人が鳥肌を立てて、ため息をついたときだった。
「ちょ、5人とも……かくまって!!」
何か急いできたように息を切らす、明久が教室に飛び込んできて教室の掃除ロッカーの中へと飛び込んだ。
いったいなんだ? と、五人が首をかしげたとき、
「あぁぁあああああああああああああああああきぃいいいいいいいいいいいいいひぃいいいいいいいいいいいさぁあああああああああああああああああああああああ!!」
とんでもない怒声を上げて、悪鬼もかくやといわんばかりに怒り顔でこのクラスの代表――坂本雄二が教室に入ってきたのは。
「お前っ! 試召戦争での勝利と、俺の将来と……いったいどっちの方が大事なんだ!!」
大方「結婚して」と迫られている(襲われている?)霧島翔子にでも襲われたのだろう。着ていたシャツは無残にも破けちり、ところどころ霧島との激しい戦闘(霧島の一方的な虐殺)が原因と思われるあざが見えた。
そんな風に鼻息荒く教室に舞い戻った代表を見て、五人はヒソヒソと額を突き合わせて相談した後、やはりマリーが立ち上がり、
「つまんねーことききゅ……」
いつもの伝統芸を言おうとして噛んでしまい、周りの人間から白い目で見られた後、
「つまんねーこときくなよっ!!」
顔を真っ赤にしてこの話を締めた。