迷える魂は安眠を求める   作:ハリボー

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親の心子知らず

ー奴隷商ー

 

「いらっしゃいませ」

 

「・・・」

 

「当店は初めてかしら?」

 

「・・・ああ」

 

30代後半といったところの女店主。

彼女の着ている服装は決して派手ではない。

しかし、客に不快感を与えないぐらいのスタイリッシュな服ではあるが、ミストガンは看破していた。

 

(着ている服には防刃・防火魔法。右手の指輪は拘束魔法。パッと見では左手に彫られたただのタトゥーだが、手の甲と掌にある形・・・雷系統の魔法か。・・・コイツ、元魔導士か。)

 

「!・・・へぇ〜、お客さん魔導士なのね。それも私じゃ敵わないくらい強いもしかしてS級?」

 

「・・・依頼で来たわけじゃない。」

 

「アハハハ!そんなの知ってるわよ。ウチだってこんな商売してるけど、ちゃんと法に則って合法的な商売してるし、年2回の国からの監査も受けてるのよ。」

 

「ほーん、奴隷って合法なんだ。」

 

「・・・」

 

「あら、喋る鳥?魔獣か何か?珍しいわね。300万Jで買うわよ。」

 

「おい、殺すぞ?」

 

「アハハハ、冗談よ。そんな殺気立たないでくれる。で?貴方は何をお求めなのかしら。そうねぇ〜ウチは奴隷だけじゃないわよ・・・杖に、精霊門の鍵、スクロールでしょ、それから情報。」

 

「!」

 

「フフフ、500万Jでいいわよ?ご新規様価格で。」

 

・・・

・・

 

 

「フーン、この子をねぇ。」

 

「・・・ああ、この印はこの店のものだろう。過去に取引しているのは確かだ。」

 

「確かにね。で?アンタはこの子の買い手を知ってどうするのさ?復讐?」

 

「・・・アンタが知る必要はないはずだ。」

 

「そりゃあね・・・けど、こっちも世間体では最底辺だろうと真っ当な商売してんだよ。その商品で何かあったら、雇ってる奴らの飯代さえ払ってやらないんだ。」

 

「・・・」

 

「・・・」

 

「2000万Jよ。それ以下では喋らない。」

 

「・・・一括で払おう。恩にきる。」

 

「おいおい!500万じゃなかったのかよ!」

 

「黙りな。・・・・・・たかだか、政治家の汚職や裏の組織どもの根城なんかとは訳が違う。」

 

「はぁ?」

 

「・・・それだけ、他者に知られてはまずい事。・・・いや、買い手にとって表沙汰には決して出来ないということか。」

 

「てーと?」

 

「奴隷制度をとっているこの国には、当然それに反対する勢力も存在する。ジン・クラブ知ってるだろう?」

 

「!・・・クラブ財務大臣・・・・・・そうか、そういう事か。」

 

「おいおい、2人で納得してんなよ。俺にも簡単でいいから分かるように言ってくれ。」

 

「・・・クラブ大臣は財務・・・つまりはこの国の予算や税制、国庫に国債を管轄する立場にある。・・・だが、今問題なのはジン・クラブが財務大臣である事ではない。・・・財務大臣になるまでの過・程・だ。」

 

「過程?」

 

「鳥ちゃんは(俺ラウム)ごめんなさい。ここでの過程というのは選挙の事なの。この国では、各役職大臣を立候補制にしていて一つの所に複数の志願者がいた場合は選挙を行うの。」

 

「ほぉ〜」

 

「・・・クラブ財務大臣が就任したのは今から数年前だ。・・・そこからはクラブ財務大臣がずっと椅子に座り続けている。」

 

「選挙で掲げた公約は税金の減税から、子供のいる家庭への給付金、各公共施設の利用料金の無償化とかね・・・・・・中でも力を入れていたのが奴隷制度の撤廃よ。」

 

「フーン・・・え?ハァッ!?」

 

「・・・より厳密にいうなら、奴隷所持の罰則化だ。奴隷は貴族が大幅に客層を占める。・・・クラブ財務大臣は、個人が所有する奴隷1人につき国に収める税を年収の約6割を収めることを掲げたんだ。」

 

「それ只々マイナスになっちまうだけじゃねぇか。」

 

「そうよ。私らは商品として奴隷を所持しているから、一定の税を納めらはそれでいいけれど、購入した人はね。そうなったらどうなるかしら?」

 

「誰も買わなくなっちまうな。」

 

「・・・そうだ。そして最終的に奴隷を手放し、誰も買わなくなり奴隷制度の自然消滅。誰も奴隷を持たないなら、奴隷制度があっても意味をなさないからな。時期を見て制度から消す算段だったんだろう。」

 

「で・・・それを掲げた奴が奴隷を内緒で買っていました。その話が世間に出回ったら?」

 

「終わりじゃんクラブ」

 

「そういうことよ。」

 

「え〜めんどくせぇ〜。」

 

(こうなると厄介だ。財務大臣ともなると簡単には接触するとは出来ないし、そうでなくとも政治家人生を終わらせる爆弾を持っている奴を野放しにはしない。何か・・・何かいい方法は)

 

「まぁでも・・・仕方がないのかもね。」

 

「・・・どういう意味だ?」

 

「いくら親子だろうと、志や考え、趣味趣向、何をやりたいかやりたくないか、数多の違いがあったとしても・・・それを親は守ってやらないといけないってことさ。」

 

(おいおいおい!マジか!・・・厄介どころな話じゃない!)

 

「あん?俺にも分かる様に言ってくれよ。」

 

「はいはい、鳥頭にわかりやすく言うと「リアル怪鳥ですがなにか」奴隷を買ったのはクラブ財務大臣本人ではないの。」

 

(そりゃあ大臣は躍起になって証拠をどんな手を使ってでも揉み消すだろう。クソっ!)

 

「買ったのはクラブ財務大臣の愛娘よ。」

 

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