迷える魂は安眠を求める   作:ハリボー

52 / 52
親の心子知らず

ー奴隷商ー

 

「いらっしゃいませ」

 

「・・・」

 

「当店は初めてかしら?」

 

「・・・ああ」

 

30代後半といったところの女店主。

彼女の着ている服装は決して派手ではない。

しかし、客に不快感を与えないぐらいのスタイリッシュな服ではあるが、ミストガンは看破していた。

 

(着ている服には防刃・防火魔法。右手の指輪は拘束魔法。パッと見では左手に彫られたただのタトゥーだが、手の甲と掌にある形・・・雷系統の魔法か。・・・コイツ、元魔導士か。)

 

「!・・・へぇ〜、お客さん魔導士なのね。それも私じゃ敵わないくらい強いもしかしてS級?」

 

「・・・依頼で来たわけじゃない。」

 

「アハハハ!そんなの知ってるわよ。ウチだってこんな商売してるけど、ちゃんと法に則って合法的な商売してるし、年2回の国からの監査も受けてるのよ。」

 

「ほーん、奴隷って合法なんだ。」

 

「・・・」

 

「あら、喋る鳥?魔獣か何か?珍しいわね。300万Jで買うわよ。」

 

「おい、殺すぞ?」

 

「アハハハ、冗談よ。そんな殺気立たないでくれる。で?貴方は何をお求めなのかしら。そうねぇ〜ウチは奴隷だけじゃないわよ・・・杖に、精霊門の鍵、スクロールでしょ、それから情報。」

 

「!」

 

「フフフ、500万Jでいいわよ?ご新規様価格で。」

 

・・・

・・

 

 

「フーン、この子をねぇ。」

 

「・・・ああ、この印はこの店のものだろう。過去に取引しているのは確かだ。」

 

「確かにね。で?アンタはこの子の買い手を知ってどうするのさ?復讐?」

 

「・・・アンタが知る必要はないはずだ。」

 

「そりゃあね・・・けど、こっちも世間体では最底辺だろうと真っ当な商売してんだよ。その商品で何かあったら、雇ってる奴らの飯代さえ払ってやらないんだ。」

 

「・・・」

 

「・・・」

 

「2000万Jよ。それ以下では喋らない。」

 

「・・・一括で払おう。恩にきる。」

 

「おいおい!500万じゃなかったのかよ!」

 

「黙りな。・・・・・・たかだか、政治家の汚職や裏の組織どもの根城なんかとは訳が違う。」

 

「はぁ?」

 

「・・・それだけ、他者に知られてはまずい事。・・・いや、買い手にとって表沙汰には決して出来ないということか。」

 

「てーと?」

 

「奴隷制度をとっているこの国には、当然それに反対する勢力も存在する。ジン・クラブ知ってるだろう?」

 

「!・・・クラブ財務大臣・・・・・・そうか、そういう事か。」

 

「おいおい、2人で納得してんなよ。俺にも簡単でいいから分かるように言ってくれ。」

 

「・・・クラブ大臣は財務・・・つまりはこの国の予算や税制、国庫に国債を管轄する立場にある。・・・だが、今問題なのはジン・クラブが財務大臣である事ではない。・・・財務大臣になるまでの過・程・だ。」

 

「過程?」

 

「鳥ちゃんは(俺ラウム)ごめんなさい。ここでの過程というのは選挙の事なの。この国では、各役職大臣を立候補制にしていて一つの所に複数の志願者がいた場合は選挙を行うの。」

 

「ほぉ〜」

 

「・・・クラブ財務大臣が就任したのは今から数年前だ。・・・そこからはクラブ財務大臣がずっと椅子に座り続けている。」

 

「選挙で掲げた公約は税金の減税から、子供のいる家庭への給付金、各公共施設の利用料金の無償化とかね・・・・・・中でも力を入れていたのが奴隷制度の撤廃よ。」

 

「フーン・・・え?ハァッ!?」

 

「・・・より厳密にいうなら、奴隷所持の罰則化だ。奴隷は貴族が大幅に客層を占める。・・・クラブ財務大臣は、個人が所有する奴隷1人につき国に収める税を年収の約6割を収めることを掲げたんだ。」

 

「それ只々マイナスになっちまうだけじゃねぇか。」

 

「そうよ。私らは商品として奴隷を所持しているから、一定の税を納めらはそれでいいけれど、購入した人はね。そうなったらどうなるかしら?」

 

「誰も買わなくなっちまうな。」

 

「・・・そうだ。そして最終的に奴隷を手放し、誰も買わなくなり奴隷制度の自然消滅。誰も奴隷を持たないなら、奴隷制度があっても意味をなさないからな。時期を見て制度から消す算段だったんだろう。」

 

「で・・・それを掲げた奴が奴隷を内緒で買っていました。その話が世間に出回ったら?」

 

「終わりじゃんクラブ」

 

「そういうことよ。」

 

「え〜めんどくせぇ〜。」

 

(こうなると厄介だ。財務大臣ともなると簡単には接触するとは出来ないし、そうでなくとも政治家人生を終わらせる爆弾を持っている奴を野放しにはしない。何か・・・何かいい方法は)

 

「まぁでも・・・仕方がないのかもね。」

 

「・・・どういう意味だ?」

 

「いくら親子だろうと、志や考え、趣味趣向、何をやりたいかやりたくないか、数多の違いがあったとしても・・・それを親は守ってやらないといけないってことさ。」

 

(おいおいおい!マジか!・・・厄介どころな話じゃない!)

 

「あん?俺にも分かる様に言ってくれよ。」

 

「はいはい、鳥頭にわかりやすく言うと「リアル怪鳥ですがなにか」奴隷を買ったのはクラブ財務大臣本人ではないの。」

 

(そりゃあ大臣は躍起になって証拠をどんな手を使ってでも揉み消すだろう。クソっ!)

 

「買ったのはクラブ財務大臣の愛娘よ。」

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(必須:30文字~500文字)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

明るい筋肉(作者:込山正義)(原作:ようこそ実力至上主義の教室へ)

気付いたらよう実の葛城康平になっていたので筋トレをすることにした。


総合評価:15596/評価:8.69/連載:41話/更新日時:2020年11月05日(木) 20:00 小説情報

よう実×都市伝説解体センター(作者:Shu@cosmos)(原作:ようこそ実力至上主義の教室へ)

廻屋渉が高度育成高等学校に入学するようです。▼*『都市伝説解体センター』は物語の構成上ネタバレに非常に弱いため、致命的なネタバレ情報を1話の後書きに掲載します。未プレイの方は了解のほどよろしくお願いします。


総合評価:634/評価:8.29/連載:16話/更新日時:2026年07月09日(木) 17:45 小説情報

【急募】見知らぬ世界で生きていく方法(作者:道化所属)(原作:ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか)

▼ 見知らぬ世界に転生させられたイッチが英雄の道を駆け上がる話。


総合評価:41452/評価:8.9/連載:46話/更新日時:2026年05月11日(月) 00:00 小説情報

強欲の旅人は神の恩恵を受けない(作者:ルクエリシオン)(原作:ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか)

キャスとの戦いの最中、混沌の裂け目に呑まれたバンは、神々と迷宮の世界へ辿り着く。▼そこは、神の恩恵によって人が強くなり、ファミリアに属する冒険者たちが魔石を求めて戦う世界だった。▼だが、バンは神の恩恵を受けない。▼ステイタスもない。▼ファミリアにも属さない。▼それでも彼は、飯を食い、酒を飲み、気に入らないものをどかしながら旅をする。▼魔石より肉。▼名誉より酒…


総合評価:921/評価:7.78/連載:38話/更新日時:2026年07月14日(火) 15:23 小説情報

これもきっと妖怪のせいに違いない(願望)(作者:R1zA)(原作:妖怪ウォッチ)

▼リハビリ作。▼最近事故で死にかけた時に見た走馬灯で妖怪ウォッチがやりたくなったので久々にやった結果、『妖怪ウォッチって改めて見るとめっちゃヤンデレ適性高いな?』と思って書いた怪文書です。▼以下あらすじ▼妖怪ウォッチ世界でケータ君に転生した人が無印から3までを死に物狂いで駆け抜けた結果、繋いだ縁でがんじがらめにされる話。▼※匿名解除しました(2025/1/1…


総合評価:9220/評価:8.91/短編:3話/更新日時:2026年06月19日(金) 00:41 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>