セッ○スしないと出られない部屋に男女を閉じ込めるのが性癖の魔族に巻き込まれた話   作:柚香町ヒロミ

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ついに最終回となりました


最終話 セッ○スしないと出られない部屋に男女を閉じ込めるのが性癖の魔族に巻き込まれた話

 

 

 

 

 

 世界の至るところでとある噂がまことしやかに囁かれていた。

 

 両片想いの、あと一押しでくっつく男女を拉致しセッ○スしないと出られない部屋に閉じ込め一部始終を眺めるのが性癖の魔族がいる。

 

 そして実際にその部屋に閉じ込められ、なんやかんや心を交わし結ばれた者達がいると。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「髪伸ばそうかな」

 

「いいと思いますけど……どうしたんですか急に」

 

「だって……可愛くないし」

 

「誰ですか、そんな事を言ったのは。魔法で消し炭にしてきます」

 

「ち、違うよ! ただ君と並んだ時にふと思っちゃって。ほら、僕って男っぽいから」

 

「それは単にボーイッシュなだけですよ。あなたがとても可愛らしい女性であることはわたしがよく知ってますから」

 

「わっ……!? 外で抱き締められるのは恥ずかしいよ……」

 

「大丈夫ですよ。誰もいませんから」

 

「で、でも君に抱きしめられると僕……変になっちゃうんだよ……」

 

「──。」

 

「なんかこう、ソワソワするというか……ってアレ? なんで僕お姫様抱っこされてるの? どこ行くの!?」

 

「休憩所です。ご休憩です」

 

「えええええ!?」

 

 

 ──魔法使いと剣士。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねえ。……さっきは言いすぎたわ。ごめんなさい。だから……仲直り、したいんだけど」

 

「……俺もさっきは言いすぎた。こっちこそ悪かった」

 

「「…………」」

 

「ねえ」

 

「なんだ」

 

「言葉だけだとさ、仲直りにはなんか足りない気がしなくもないなと思うのよね。何かが」

 

「……キスしたいならそう言えよ」

 

「ばっ、そそそそんな事言ってないでしょ! べ、別にあたしは……んっ……」

 

「んっ………そうだな。俺がしたいだけだ」

 

「ばっ、ばかっ! いきなりキスしないでよ死ぬかとおもったじゃないっ!」

 

「じゃあやめるか」

 

「え。や、やめちゃヤダ……」

 

 

 

 ──弓兵と拳闘士。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「〜♪」

 

「あらあら。鼻歌でご機嫌ね」

 

「身長をさっき計測したら伸びてたので嬉しいんです」

 

「まあ。よかったわね。……ふふ。もう少ししたらわたしよりも大きくなるかもね」

 

「大きくなってみせますっ。そしたら……あなたにプロポーズしますから!」

 

「……っ……それ、今言ってよかったのかしら……?」

 

「宣言みたいなものなので……決意表明です」

 

「もし途中で成長が止まっちゃったら?」

 

「えっ……その時は……」

 

「その時は?」

 

「……カッコ悪いですけど厚底靴を履いてプロポーズします」

 

「……くすっ。ズルい子。でもそういうところが好きよ。背が伸びても伸びなくても楽しみねぇ……」

 

 

 

 ──吟遊詩人と踊り子。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お嬢様こちらです。お気をつけください」

 

「ええ。……まあ……ここがあの方がくださった鉱山ですのね! すごい大きさですわね……」

 

「しかしお嬢様が直接出向かずともよかったのでは……?」

 

「いいえ。わたくし自ら手に入れたいんですの。あの方はこの鉱山から魔法の触媒であり相棒である水晶玉を創り上げたと雑誌のコラムに書いていました! ならばわたくしも水晶をゲットして家宝にしますわ! わたくし達が結ばれたのはあのお方のおかげですもの!」

 

「だからってヘルメットと作業着とピッケル装備して鉱山に向かう令嬢は世界中探しでも貴女くらいでしょうね……」

 

「あら。お嫌い?」

 

「……いえ。そういう破天荒なところ含めて愛しておりますとも」

 

「ふふ♡」

 

(俺達もいるんだけどナー、二人の世界ダナー)

 

(いいじゃねえか青春ってやつだよ。俺達はモブらしく先に発掘してようぜ)

 

 

 

 ──召使いとお嬢様。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふむ! 我ながら素晴らしい発明だ!」

 

「また何かしょーもないことを思いついたんですか?」

 

「失敬な! 画期的革命的な発明と言いたまえ!」

 

「はいはい。なんですか」

 

「目に直接レンズを入れて視力を補正する発明品だよ。目に直接触れるわけだから衛生面を特に気をつけなくてね」

 

「え」

 

「眼鏡を忘れたり落としたりするうっかりさんや眼鏡を掛ける事自体が苦手な人にオススメだ。これは売れるぞぅ」

 

「……それ売り出したら博士はどうするんです?」

 

「うーん……なんだかんだ眼鏡には愛着あるからなぁ……それに助手君は私の眼鏡掛けている姿に一番興奮するようだからね。試しはするが基本眼鏡のままにしておくよ」

 

「変な言い方しないでくれませんかね」

 

「えー、でも私がこうやって指で眼鏡をクイッてするのメチャクチャ好きだろう?」

 

「ドチャクソに好きですけど」

 

「え」

 

「ドヤ顔でからかっておいて今みたいに照れくさくなってカチャカチャ眼鏡を動かしてしどろもどろにするのに一番興奮しますが」

 

「えっちょっ、待ってまだ研究したいことがっ……あっー!!」

 

 

 

 ──助手と博士。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「エルリーゼの御令嬢と婚約するって本当?」

 

「どこでそれを……まあいい。そうだが?」

 

「アナタ女でしょう。世継ぎのための婚約なのに世継ぎはどうするつもり」

 

「……表向きはエルリーゼ家の御令嬢と婚姻するが御令嬢の弟君と『作る』事になっている。両者ともに了承済みだ。偽りの、女同士の婚姻……辛い思いをさせてしまうだろうが……アルシュタインの者として、夫として出来る限りの事をするつもりだ。もし子が出来たら『病気』で療養する手筈となっているから留守を頼む」

 

「っ……何よそれ。男としても女としても生きるって事?むちゃくちゃじゃない」

 

「……既に決まった事だ」

 

「それでいいの? アナタの気持ちは?」

 

「そんなもの必要ない」

 

「……そう。…………誰のものにもならないなら傍で支えるつもりだったけどアナタがそういう選択をするというのなら考えがあるわ」

 

「副団長……?」

 

「団長。アタシと決闘して。アタシが勝ったら……アタシは団長になるわ。そして武勲を得て爵位を貰う。だからアナタはアルシュタインの子息ではなく令嬢に戻ってアタシのお嫁さんになりなさい」

 

「なっ!?」

 

「決闘を申し込まれたら受け入れるのが我が騎士団でしょう? 剣を取りなさい」

 

「くっ……どうかしているぞお前は!」

 

「アナタほどじゃないわよ!」

 

 

 

 ──副団長と団長。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「呪い、解けませんでしたね……あの魔女さんならと思ったんですが」

 

「そうだな。まあ気長に試すさ」

 

「うーん……どうすれば元の姿に戻れるんでしょうね……くしゅんっ!」

 

「大丈夫か?」

 

「す、すみません……あ……雪降ってきたんですね。だから妙に寒いと…………わっ!?」

 

「これでどうだ? あたたかいか?」

 

「は、はい……あたたかくて……もふもふに包まれてるの安心します……」

 

「君は小さいな。こうして抱きしめているだけですっぽりおさまってしまう」

 

「えへへ……狼になった貴方が大きいのもあると思いますよ。……好きな人と見上げる雪ってこんなに綺麗なんですねぇ……」

 

「そうだな……もう少しこうしてていいか?」

 

「そうですね……ここなら人も来ませんしもう少しこうしていましょうか……」

 

 

 

 ──人狼と治癒師。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え……今日は御主人様が料理を……?」

 

「何を驚くことがある。お前を引き取った最初の頃は私がお前に料理を教えていただろうが」

 

「は、はい。それはそうですが……どうして急に?」

 

「……お前に教えるものがある」

 

「新しい料理、ですか。御主人様直々に教えていただけるなんて一体どのような……」

 

「……私の母が聖夜祭でよく作ってくれたパイがある。それを教えるから覚えろ」

 

「御主人様の御母様が……」

 

「我が家代々伝わってきたものらしい。私の代で途絶えさせるつもりだったが……戯れでにお前に教えることにした。他言はするなよ」

 

「……っ……はい。全身全霊で覚えます」

 

「大袈裟な女だな…………おい、何故泣いている。古傷が痛むのか」

 

「いいえ。ただ嬉しいだけです」

 

「……? おかしなやつだな……」

 

 

 

 ──商人と奴隷。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おらっ悔い改めろー!! ……よし、魔物退治完了っと」

 

「毎度思っていたんですが僕達しかいない時にたまに使うその場違いなハリセンはなんなんです?」

 

「これ? これは私の御先祖様である勇者が魔の物をを殺さない程度に加減してぶっ叩く時に使う聖なるハリセンよ」

 

「勇者ってあの勇者ですよね。え、魔王を倒した伝説の勇者がそんなアホな武器を? 何かの間違いでは?」

 

「本当よ。直接ぶっ叩かれていたサキュミーおば……おねえちゃんが私にプレゼントしてくれたんだから」

 

「ええ……ご存命だったんですか」

 

「……ううん。あのひと、全然精気を吸わなかったから衰弱しててね。旅に出る前に亡くなったわ」

 

「淫魔なのに精気を吸わなかったんですか?」

 

「勇者ちゃん以外からは吸わないんだって口癖みたいに言ってたわ。それで私はシワシワのあのひとしか知らないんだけど……すっごく綺麗なお婆ちゃんだったの。あんな風に幸せそうに笑う素敵な恋がしたいなって思ったんだけど……」

 

「おや可哀相に。悪い男に捕まってしまいましたね」

 

「まあ……そうね。で、でもあのひとは『この人しかいない』って思う人を見つけなさいって言ってたからいいの!」

 

「へえ。僕に『この人しかいない』って思ったんですか?」

 

「あ。……し、知らない」

 

「……おや。そんな反応をされるとどんな手を使ってでも言わせたくなりますね?」

 

「えっ、ちょっと何してっ!?」

 

 

 

 ──暗殺者と聖女。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わー!? 朝っぱらからお前何してんだよ!?」

 

「ゆーひゃひゃんのゆーひゃひゃんをいただいてまふ(勇者ちゃんの勇者ちゃんをいただいてます)」

 

「お前散々昨日絞っただろうが!」

 

「あうっ☆ 勇者ちゃんの愛のハリセンアタック痛いっ! 痛くないけど!」

 

「全く朝から頭ピンクの色情魔が……」

 

「だってサキュバスだもん。勇者ちゃんが精気くれないと私他の人から貰わなきゃいけなくなるんだけど」

 

「それは駄目だ」

 

「……ふぅん。即答なんだ?」

 

「あ。……いや……まあそりゃ……命の危険もあるし俺くらい頑丈なやつじゃないとな」

 

「それだけー?」

 

「し、知らねえ」

 

「もー、誤魔化すのヘタなんだから。あたしの事大好きなんだもんねー?」

 

「……それは………ってどさくさに紛れて服脱がそうとするんじゃねえ! 朝からは絶対おっ始めねえからな!」

 

「イタァイ!! 照れ隠しにハリセンフルスイングしなくてもいいのにー!!」

 

 

 

 ──勇者と淫魔。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うーん……これじゃダメだな……うう……上手く書けない……」

 

「入るよ。おや? 丸めた紙が落ちてる……?」

 

「あー! ちょっ、ちょっと待ってくださいその紙広

げちゃ……!」

 

「『せんせいのことが大好きです』……これって恋文かい?」

 

「わー! 読んじゃ駄目です!」

 

「だって僕宛なんだろう? 気になる」

 

「駄目ですってば! 字もヘタだし文章も全然上手くないんですから!」

 

「そんな事ないのに……どうして急に?」

 

「それは……せんせいが前に作家さん同士で楽しそうに話のネタを出し合ってたじゃないですか。いいなぁって思って小説を書いてみようと思ったんですけど私おバカなので……自分の気持ちを書ける恋文から始めてみようかなと。でもそれすら上手く出来ないんです……」

 

「なるほど。僕のために努力してくれるその気持ちが一番嬉しいよ」

 

「でも……」

 

「じゃあ僕も君への恋文を書くよ。明日書いて渡すから」

 

「へっ!? ひゃ、ひゃい……」

 

 

 

 ──小説家と手紙屋。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それにしても……広い島だね」

 

「そうだな。無人島なんて貰っちまっていいのかね……『悪い連中に狙われるようならここに避難するといいですぞ!』とか手紙にあったが」

 

「いいんじゃない? あの魔族色々土地持ってるみたいだし貰っちゃおうよ。……あの村ものどかで好きだったけど……私みたいな人魚がずっと留まってたら悪い人達に巻き込まれちゃうかもしれない。……君まで村を出ることになってゴメンね」

 

「バカ。謝るなよ。不老不死だなんだいってお前を傷つけようとする奴らがわりぃんだ。それにお前がいるならどこでもおもしれーだろうよ」

 

「……もう。カッコイイなあ。好き」

 

「なんだよ急に。今回は歌わないのか?」

 

「からかわないで。……でもそうだね。歌おうかな。たまには一緒に歌わない?」

 

「まあいいけどよ……俺はそこまで上手くねえぞ」

 

「いいの。こういうのは一緒にするから楽しいんだからっ」

 

「へいへい」

 

 

 

 ──漁師と人魚。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「護衛に行ってくる。近場での仕事だから夜には必ず戻る」

 

「ええ。いってらっしゃい」

 

「……」

 

「……どうしたの?」

 

「いってらっしゃいのキスがしたいんだが」

 

「……もう。それ毎朝するけど飽きないの?」

 

「飽きない。……昔はお前からしてくれたものだったな」

 

「……それ子どもの頃にままごとで新婚ごっこしてた時の話でしょ。何年前だと思ってるのよ。しかもその時はほっぺだったし」

 

「駄目か」

 

「駄目とは言ってないでしょ。ほら、屈んで。アンタデカいから届かないのよ」

 

「分かった。……このくらいか?」

 

「ちゅっ…………はい。いってらっしゃい。これでいい?」

 

「ああ。いってきます」

 

 

 

 ──用心棒と娼婦。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほれ。褒美じゃ。何がしたい?」

 

「御主人様の細くスラリとした脚で自分の顔を踏んでほしいです」

 

「仕方ないのう。このド変態め。こうか? こうされたいのかっ! ほれっ!」

 

「ありがとうございますぅ!! 最高です!!」

 

「……お前本当に欲望を隠さなくなったな」

 

「心の声がバレバレならもういいかなと。足の裏舐めてもよろしいでしょうか」

 

「キメ顔で言うことか。まあどうしてもというのなら……ひゃっ!? ば、ばかもの! 許可をする前に舐めるでないわ!」

 

「ぐおっー! 一蹴りありがとうございます! 次はもっと強めに蹴っていただいても大丈夫です!」

 

「無敵かお前!?」

 

 

 

 ──下僕と吸血鬼。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……だ、大丈夫でしょうか」

 

「ただ実家に帰って妹と会うだけだろ。気負いすぎるなって」

 

「そうなんですけど! 怖いんですよぉ! 妹も蛇神様も!」

 

「堂々としてりゃいいんだよ。スーパーなギャンブラーである俺がついてるんだからな」

 

「……うちの家一応おカタイ家なのでギャンブラーはむしろマイナス要素かと」

 

「なんだとぉ! 占いもギャンブルも大して変わんねえだろうが!」

 

「はぎゃー! それ暴言です! 流石に今の発言はスルー出来ません! 訂正してください!」

 

「お前こそ賭博師を下げただろうが!」

 

「マヒしてるかもしれないですけど賭博なんてふつーの人はしませんからね!? それにアングラな雰囲気がどうしてもありますし! あと貴方口悪いですし!」

 

「お前だってすぐ調子に乗るじゃねえか! そのあとヘラるし!」

 

(あれ、止めなくていいの?)

 

(放っておけ。犬も食わないやつだアレは)

 

(なるほど……仲がいいようで何より。姉さん幸せそうでよかった。……家の前で口喧嘩されるのはシュールだけど)

 

 

 

 ──賭博師と占い師。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ど、どうでしょう」

 

「ふむ……作りは所々荒いが……この出来なら71点ってとこだな」

 

「おお……初めての70点代……!」

 

「最初弟子入りしてきた頃は酷かったからなー。剣を作るのに鉄の塊にしたやつは初めてだったから頭抱えたぜ」

 

「面目ないです……あの時は迷惑をおかけしました」

 

「まあな。だが今ではそれなりにカタチになってやがる。まだまだ荒削りだがそのうち剣を作る仕事任せる事になるかもな」

 

「やった! ……あの師匠」

 

「どうした」

 

「……自作の剣の点数、90点以上採れるようになったら伝えたい事があるんです」

 

「……仕事関連か?」

 

「いえ……どちらかというと家庭関係というか……僕達の今後の話と言いますか」

 

「あん?」

 

「……僕達はその……肉体関係を持ったじゃないですか」

 

「ま、まあな」

 

「……一人前の鍛冶師になったら結婚を申し込みます」

 

「…………お、おう。採点は甘くしねえからな。なるべく早く上達しろよな」

 

「はい」

 

 

 

 ──鍛冶師と小人。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「姉さんの恋人、結構良い人でよかった。最初賭博師と聞いたときはいいように利用されてるんじゃと思って会いたいって手紙送っちゃったけど……久しぶりに姉さんに会えたし勇気を出してよかった」

 

「そうだな。我から見てもあの男は悪い男ではないだろう」

 

「ならよかった。ワイルドでカッコいい人だったね」

 

「……我の方が美しいが?」

 

「貴方とあの人じゃジャンル違うでしょ。どうしたの急に」

 

「お前が我の前で他の男を褒めるからだろう」

 

「えっ。姉さんの彼氏だよ?」

 

「だからなんだ。男だろう」

 

「……貴方って意外とヤキモチ妬くタイプなんだ」

 

「自分の所有物に執着して何が悪い」

 

「ふーん。ふふ、知らなかった。姉さんに手紙書いて本当によかったわ」

 

 

 

 ──蛇神と巫女。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これどういうことよ!」

 

「君をモデルにした彫刻だが」

 

「じゃあこれは!」

 

「君をモデルにした絵を描いた陶芸だが」

 

「じゃあこのバカでかいのは!」

 

「君をモデルにした絵だ。最初は裸婦画にしようと思ったが君の裸体を見るのは俺だけがいいと思って服はちゃんとあとから足したぞ!」

 

「当たり前でしょう! じゃなくて! なんで私がモデルのやつばっか創ってるのよ! お陰様でお熱いですねって冷やかされるんだけど!?」

 

「いやあ……照れるな!」

 

「照れるな! 知名度は上がって仕事は増えたけど……」

 

「そうか! それはいいことだ! 俺は可愛い奥さんを自慢できて君は仕事の依頼が増える! いいことづく目だな!」

 

「いいわけあるかー! 普通に恥ずかしいのよ!」

 

 

 

 ──芸術家と葬儀屋。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『あ』」

 

「『あ』……?」

 

「うん。そう。その発音で合ってるよ」

 

「♪」

 

「次は……『い』」

 

「『い』?」

 

「うんうん。うまいうまい。人間の言葉を覚えるのが早いね」

 

「…『あ』『い』…………」

 

「うん? 何かな?」

 

「『あ』『い』『しぃ』『て』『る』」

 

「……っ……! 驚いたな……僕より愛情を伝えるのがずっと上手いんだね君は。負けていられないな。僕も君の言語で愛してるって言えるようにならないと」

 

「♡」

 

 

 

 ──花屋と魔花。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なあ。悪かったって」

 

「知りませんっ」

 

「ついな、酒を飲むと口が軽くなるんだ。悪気はないんだって」

 

「そういう自覚があるなら外で飲まないでください」

 

「……ごもっとも」

 

「あんな大勢の前であの部屋の事話すなんて何考えてるんですか! 周囲の視線が恥ずかしくて死ぬかと思いました!」

 

「悪かった。だから布団から出てきてくれよ」

 

「……当分酒場での飲酒はナシと約束してくれるなら」

 

「わかった! しばらく酒は家でしか飲まねえ!」

 

「……仕方ないですね…………んっ!? ……ぷはっ、なんで今キスしたんですか!」

 

「……はは。布団から出てきたお前が可愛くてつい」

 

「や、やっぱり布団に篭もります!」 

 

「おい!? 照れんなよもう何度もしてるだろ……って俺の分の布団まで取るなって!」 

 

 

 

 ──冒険家と探検家。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うーん……」

 

「……どうした。 気分でも悪いか? 今日はもう仕事も終わったし酒場には行かずに帰るか?」

 

「ううん。そういうわけじゃないんだけど……なんかムズムズする」

 

「ムズムズ……花粉症か?」

 

「ううん。花粉はへっちゃらなんだけど……君に跨がられると意識するようになっちゃって」

 

「何をだ?」

 

「もしかして騎乗ってえっちなことなのではって……」

 

「なっ!? そ、そんなわけあるか!」

 

「だってお尻や足を密着させて腰をゆらすんだよ。えっちなのでは……?」

 

「やめろ! 私が淫乱な女みたいじゃないか!」

 

「君がいんらんな子…………それはとてもえっちなのでは……!?」

 

「さっきからなんたんだお前は! 思春期か!」

 

「ううん。発情期の方」

 

「……は?」

 

「君とあの部屋から出た時から兆候が見られるようになったんだ。あれ以来仕事忙しくて色々とお預けだし……僕、つらいです」

 

「それは……」

 

「イチャイチャしたいよう……」

 

「……っ……私だってそういう気持ちはあるが……」

 

「あるんだ」

 

「……まあ」

 

「じゃあイチャイチャしよう。家は……家族がいるし……森?」

 

「………………いや外はちょっと。隣町のホテルとか……」

 

「りょーかい!」

 

「わあ!? はやいはやい! 露骨すぎるぞ!?」

 

 

 

 ──竜人と竜騎兵。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うちの使用人に贈り物をしたそうですね」

 

「え? ああ、うん。誕生日だったから」

 

「旦那様。使用人は使用人です。あまり特別扱いするのはよろしくないかと」

 

「でも僕達は彼女達にお世話になって暮らしているわけだし誕生日に祝うくらいいいと思うけど」

 

「むぅ……ですが簪を贈るなんて」

 

「君が今つけてくれている赤い華の簪を凄く綺麗だって褒めてくれたから彼女に似合いのを作っただけで深い意味はないよ」

 

「……旦那様。子どもの時といい少し前から思っていたのですが気を持たせるプロなのですか? 旦那様にその気はなくとも受け取る側は違うのですよ?」

 

「彼女は弁えてるよ。それに僕が愛しているのは君だけだからね」

 

「ミッ」

 

「でも僕の事が大好きすぎて確認に来るくらい不安になっちゃったんだね。ごめんよ。よしよし」

 

「……っ……頭を撫でないでください! わたくしは犬ではありませんよ!」

 

「じゃあハグということで」

 

「ミャー!!」

 

「おや。どうやら君は犬ではなく猫さんだったみたいだ。可愛いねえ。ぎゅー」

 

「……はわわ…………わ、わたくしの方が立場は上なはずなのにぃ………」

 

 

 

 ──細工師と雪女。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「浮気したね」

 

「してないけど!?」

 

「してたよ! さっき他所のスライムの体に指突っ込んでたじゃん! ぼくというものがありながら!」

 

「ええっ……スラちゃんが小さい頃はあんな感じのスライムだったなと思って懐かしくて触っただけだよ?」

 

「スライム的にはあれはアウトですー! あんなんセッ○スみたいなもんだもん!」

 

「えええええー!? ちょっとツンツンしただけなのに」

 

「君はぼくにだけツンツンしたりぎゅうぎゅうしたりちゅっちゅっすればいいのー! もうこれはおしおきするしかないね」

 

「おしおきって……」

 

「あ、ぼく三人まで分裂出来るようになったんだ」

 

「え?」

 

「「「おしおきだー!」」」

 

「ひっ。ちょっと待って二人でもへとへとなのに三人はしんじゃうって……あー!!」

 

 

 

 ──粘液生物と召喚師。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やぁ! どうした我が妻よ! 私はたかが腕一本折れた程度で引かんぞ! 来い!」

 

「よく言ったそれでこそ我が夫だ! だが私が勝つ!」

 

 

 

 

 

「わあー! もっとやれ!」

 

「女王様も王様も頑張れー!」

 

「……おい。これは結婚式の余興なのだろう……? 何故ガチに殺し合っているんだ? そして何故それを国民はノリノリに受け入れているんだ……?」

 

「国民柄としか……アマゾーネは強さこそ正義なので」

 

「……お、おう」

 

 

 

 

 

「愛してるぞ! 我が妻よ! 楽しいなぁ!」

 

「私もだ我が夫! 愛しているぞ! 永遠にこうして切り合っていたいものだ!」

 

 

 

 

 

 

「……アマゾーネへの侵攻計画は白紙にしよう。こんなイカれた化け物どもに喧嘩を売ったらろくな事にならん」

 

「……賢明な判断かと…………」

 

 

 

 ──王子と女王。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「美味しい……」

 

「よかった。今まで作ったことがないレシピだったから不安だったんだけど口に合ったならよかった」

 

「とても美味です。しかしエルフの郷土料理なんてよく見つけましたね」

 

「花屋さんが色んな種族に関する本を沢山くれたんだ。エルフに関するものもあって試しに作ってみようと思ったんだよね」

 

「ふふ。ありがとうございます。森で暮らしていた頃の懐かしい気持ちになりました。ですが……こんなに美味しいと感じるのはやはり貴方が作ってくれたからなんでしょうね」

 

「そ、そうかい? とりあえず喜んでくれて嬉しいよ。他にもレシピあるんだけど何がいいかな」

 

「貴方が作ってくれたなら何でも美味しいし嬉しいですけど……酸っぱいものが食べたいですね。最近酸っぱいものが妙に欲しくなってしまって」

 

「最近暑いもんねえ」

 

「……いえ。そうではなく……」

 

「……えっ!? もしかして!?」

 

「……お医者様が3ヶ月目だと……エルフは出来にくいから驚きました」

 

「そっか……じゃあお祝いしないと! 嬉しいな……」

 

「はい……」

 

 

 

 

 

「ウェイターさんー。このブラックコーヒーに砂糖入れてない? 甘いんだけどー。口の中ジャリジャリするぅ」

 

「入れてないですねぇ……あのイチャイチャバカップル……いえ、イチャイチャバカ夫婦のせいかと」

 

「……そっかー、なら仕方ないな……」

 

 

 

 ──料理人と森人。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねえ」

 

「どうしたの? ご飯美味しくない?」

 

「ううん。今日もとっても美味しいけど……あんたってこうやって普通にご飯とか食べるじゃない? トイレとかいかないけど食べたものどうなってるの?」

 

「神様に一緒にご飯が食べられるようにしてくださいって頼んだらしてくれたから僕もよく分かってないや」

 

「……ねえ。たまに神様のおかげ的なこと言ってるけどもしかして本当に神様がなんかしてくれたの……?」

 

「え? うん。神様が『人形相手にここまで執着してラブなのウケルー、キミも人形師の事大好きなカンジ? マジ? 両想いじゃんー! そんなに好きなら動けるようにしてあげるー! あ、でも大事なトコ出来てないじゃん生やしてアゲルー☆』って色々してくれたんだ」

 

「神様ギャルだこれ!?」

 

『イエーイ』

 

「っ!? なんか脳内に直接話しかけてきたよ!?」

 

「あ、君にも聞こえるようになったんだー。面白いよね」

 

「面白いで済ませていいのこれ!?!?!?」

 

 

 

 

 ──人形と人形師。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「キブリー様。この二人組はどうでしょう。『孤児の子ども達のために悪徳貴族や領主から宝を盗む女盗賊と最初は捕まえるのが目的だったのに盗賊と関わるうちに惹かれてしまった衛兵』です」

 

「ふむふむ……いいですないいですな! 王道だよねそういうの! さっそく拉致りますぞ!」

 

「了解。ふふふ。楽しみですね」

 

「ひゃっほーい!!」

 

 魔族達はこれまでも、そしてこれからも欲望のままに半ば強制的に紡いでいく。

 

 

 

 

 

 ──数多の愛の物語を。

 




最後まで読んでいだきありがとうございました!

これにて本作品は完結となります。10話で一旦一区切りをさせたもののこうして連載を再開して完結まで至ることが出来たのは皆様の応援や感想のおかげです。本当にありがとうございました。

今回最終回ということでよくある今までの登場人物を登場させるという王道のやつにしようと思って書いてみたのですが……いやあ登場人物多いですねこの話。はじめは地の文含め1エピソードがっつり書こうと思ったのですがそうしてしまうといつまで経っても最終回投稿出来ないし自分の指と脳が死ぬと思い会話文のみにしたのですがそれでも1万字近くになってしまいました。少しでも楽しんでいただけたのなら幸いです。



10話で告知したR18版についてなんですが……実はあの時は本当に10話分で終わらせて今回の結末をR18版でする予定だったんですよね。

でも日間ランキングとか載る事が出来たり感想いただいたりお気に入りしてもらえたりしたのが嬉しくてついついカップルを増やしてしまった上に自分的に満足する終わり方をした結果R18版書きたい欲よりも物語を完結出来た達成感が勝ってしまいまして……あと正直26組にまで増えたカップルのR18部分を書き分けられる自信が今の自分にはないです! すみません!

とはいえ今作のカップル達のR18を書きたくないかと言われるとぶっちゃけ書きたいのでそのうち書くと思いますがいつになるかは分かりません。もう少し他の物語を書いて自信がついたら書こうと思いますのでその時はよろしくお願いします。
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