幼馴染はどうやら転生しても続くらしい   作:ぶり大根(元・孤高の牛)

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第九十五話『デカい釣り餌』

 はぁ、頭が痛い。

 本来1本のはずの聖樹の苗木が2本、そもそもだがピエールが完全に改心してこちらに着いている事からして異常事態なのにどうしてこうも立て続けに訳の分からないイレギュラーが起きているんだろうか。

 

 ……それにしてもうるさいな。

 

 現在俺達2人は学院応接室に座っていた、大量の共和国教師と対峙しながらである。ちなみに近くにルイーゼもいる、六大貴族のお姫様がこっちに着いてくれているのは助かるのでまあいい。

 さて、この状況では勿論ながら真正面から大量の文句を言われているのでうるさい、あまりにもうるさい、こっちは集中して気を落ち着かせたいのに黙ってくんねえかなあ。

 

「リオン君、アルフォンソ君、お行儀が悪いわよ」

 

「おっとこれは失礼しました。何せこちらは冒険者上がりの野蛮人ですからねえ。苗木の扱いがぞんざいになっても仕方ないですよ」

 

「まあクレマン先生が言うなら従いますよ」

 

 ここで良心になるのは穏健派のナルシス先生とクレマン先生だけだろう、他の教師はダメだね使い物にならない。全員共和国至上主義者っぽくてやってられない、何を言われても雑音にしか聞こえなくて頭がおかしくなりそうだ。

 早く終わってくんねえかなあこれ。

 

「それより早くジャリエール出してくんない?いつまで待たせるつもりなんだよ」

 

「よ、呼び捨てとは何事ですか!彼は六大貴族の、それも次期当主ですよ!ルイーゼ様もそのような人間の肩を持つのはどうかおやめ下さい!」

 

「私が誰の肩を持とうが貴方達には関係無いと思うのだけれど」

 

「そ、それは……」

 

 で、こっちが一言文句言うとこれだもんな。

 ルイーゼがいなかったらもっと態度悪くしてるところだったわ、今めちゃくちゃ機嫌悪いんだからよ。

 

「……来たみたいだよ」

 

 ナルシス先生の言葉が場を遮る、応接室の扉が乱暴に開かれるとそこには案の定ジャリエール。やっと来やがったなコイツ、待たせやがって……こっちはテメェを潰したくて仕方ない気分なんだよ。

 

「へぇ、それ本物?」

 

「おっと触るなよ」

 

 で、こっちには見向きもせず2本の苗木を奪おうとしてくる。やれやれ、手癖の悪さとニヤつきの気持ち悪さは天下一品だな。

 

「は?お前らこの僕様に服従したんじゃない訳?」

 

「服従したくてしたんじゃないんでね。交渉材料が出来たなら反旗を翻させてもらうに決まってるだろ」

 

「悪いがこっちも簡単には引き下がれないものを見つけちゃったから、とことん抵抗させてもらうよ」

 

「貴様ら……ナメてんじゃねえぞ!!僕様を誰だと思ってこんなマネしてるのか分かってんのか!!あぁ!?」

 

 ちっ、気取ってる癖に沸点は低いし言葉遣いも悪くて何もかも支配出来ると思い込んでやがる。オマケに酒臭い。フェーヴェル家嫡男って話だったがこんなのが次期当主じゃ遅かれ早かれ一家は潰れるの確定じゃないか。まあ俺達が潰すんですけど。

 

「やめなさいジャリエール。この場では3対1になるわよ」

 

「なんだと?ルイーゼ、お前ともあろう奴がまさかこの僕様に逆らおうと言うのか?お前は僕様と同じ選ばれた人間のはずだ!それなのに王国民風情を庇うなんて頭がおかしいんじゃないのか?」

 

「ジャリエール、見苦しい真似はしない事だよ」

 

「あぁ?学者モドキのナルシスまで王国民の肩を持つなんて、いよいよ持って六大貴族も頭がバカになったか?今、コイツらは僕様達共和国を愚弄しているんだ、だとしたら肩を持つ道理が無い。そんな中で悔しさの欠片も無いのだとしたら、僕様は本当に軽蔑するよ、キミ達を」

 

 ジャリエールは原作ピエールと違って激高はするがそれはそれとしてピエールよりはうるさくない、その代わり終始ねっとりとしていて絡み付くような言い回しと声色で気色悪い。

 これならまだ原作ピエールを相手にしていた方が幾分かマシだ。

 不快指数が高い、あまりにも。

 

「ギャーギャー騒ぐなようるさい。それよりも、だ。ジャリエールお前に1つ提案がある」

 

「へえ、下賎な王国民が提案?僕様に?」

 

 リオンが目線でこっちに合図を入れる。

 面倒だから喋れってか?ほんっとうにこの人は……

 

「決闘をしないかって事だ。お前らの所有している元リオンの船と、この苗木2本。少なくとも等価以上の価値があると思うが」

 

「この僕様を愚弄してタダで帰れると思うのかよ。この場で殺したって構わないんだぞ?」

 

「やれるものならどうぞ、その代わり俺とリオンを殺した場合この苗木も一緒にお陀仏だけどな」

 

 チッと舌打ちをして閉口するバカを見て少しだけ溜飲が下がる、やっとちゃんと悔しそうな表情が見れたんだここまで耐えてきた甲斐があったってもんだ。

 あと一押し、ここで決闘を取り付けられればあとはこっちのもん……まあ1年生最初の時に俺がしたような大失態はしないように細心の注意は払って慢心は一切しないが。

 

「俺から奪ったアインホルンを賭けに出すなら勝負してやる」

 

「それもリオンとの一戦だけにしてやるよ。2対1じゃ不公平だろうからな。方法は鎧を使用した純粋な決闘、ただし聖樹の力の使用は禁止だ」

 

「え?」

 

「さっきから聞いていればなんで貴様らの決めたルールで戦わないといけないワケ?ふざけるのも大概にしてくれないか?」

 

 ふざけてんのはどっちだよ、この野郎。

 どこからどこまで行っても頭の悪い奴だなあ……まあバカだから決闘に誘導出来てるんだろうけど、話してるとこっちのIQまで下がりそうだわ。

 

 ちなみにリオンが素っ頓狂な声を上げていたが当初戦うのは俺の方が良いんじゃないかという話が上がっていたからだ。

 なので俺が勝手にリオンに放り投げておく、さっき面倒だからって俺に喋らせたのが悪い。あと俺は同じ慢心は繰り返したくないから確実に勝てるリオンにやらせる、俺だと勝率99%だがリオンなら100%だからな。

 

 だから悪いけど押し付けさせてもらうぜ。

 

「ふざけてんのはどっちだよ、不意打ちしてきたお前らが良く言えたもんだ。鏡でも用意してやろうか?」

 

「ちっ」

 

 やっと黙ってくれたか。六大貴族の味方がいて良かった。

 じゃなきゃ今頃乱闘になってるとこだったぞ。

 

「俺達はお前らみたいな卑怯者と違って公平なルールに則って決闘がしたいんだよ。立ち会い人は今ここにいる六大貴族関係者であるルイーゼさん、それとナルシス先生に担当してもらう。――それともなんだ?公平な勝負だとお前に何か不都合な事でもあるのかな?うぷぷ、それともハンデが無いと戦えないのか?」

 

「良いよ、やってあげようじゃないか。僕様は心優しいから下賎な王国民の見え透いた挑発に乗ってあげよう、そして力の差というものを見せつけて二度と逆らえなくしてやるよ」

 

 やっすい挑発に良く乗って来たな。

 こんなの罠に決まってるのに、可哀想に。まあ可哀想なんて微塵も思ってないけどな、徹底的に痛め付けてどっちが上か骨の髄まで染み渡らせてやんよ。

 

 ……俺は決闘しないけどね。その代わりどうせ周りで起きるだろう厄介な事の処理に回って、盤外含め完全勝利に貢献するまでだ。

 

「……んじゃあその聖樹とやらに誓ってやろうじゃないか。俺が賭けるのはこの聖樹の苗木2本、俺がジャリエールに負けたらこれを差し出してやる。勿論両方ともな」

 

「いいねぇ、それじゃあ僕様が億が一にも負けるようなことがあるのだとしたら船は返してやるよ」

 

 少し不満そうにこっちをチラ見して、諦めたリオンはそのまま話を続けている。こうなったら取り下げるなんて真似は出来ないもんな、アンタの方が強いんだから面倒がるなっての。

 

「ダメだ、船の中身も一緒に返してもらう。飛行船だけ返されても中身が空っぽじゃ意味が無い。俺から奪ったものは全て返してもらう。良いな?奪ったもの全てだからな。俺の目の前に、何もかも持ってきてもらう」

 

「貴様が僕様に勝てたら、の話だけどね」

 

「それでは決闘内容の最終確認をさせてもらうよ。立ち会い人は僕とルイーゼが行い、賭けの対象は今言ったものをそのまま一言一句違わずに聖樹に誓ってもらう。日時の確認も問題は無いね?」

 

「もちろんです」

 

 さて、これでようやく確認も終わって下準備は全て終わり。やっと帰って一服出来る――

 

「ちょっと待てよ」

 

 はずは無かった、原作知ってるからね。ジャリエールがピエールの兄弟であるならここでツッコミ入れてくるのは想定済みだよ、はあ面倒で堪らない。俺ここにいる必要あるかなあ……

 

「コイツは鎧を持っているのかい?」

 

「いんや、自力で調達するつもりだ」

 

「自力?ナメられたものだねえ、用意出来るのは精々もう片割れの乗ってる型落ちの機体か、その更に型落ちの量産機くらいだろう?それで良くもまぁ僕様に勝つなんて豪語したものだ」

 

「……だったら私が」

 

「おっとそれはいけないなあルイーゼ」

 

 まあ十中八九鎧の話だよな。

 そんでもってルイーゼはここで声を上げるのはやっぱり客観的に見ても悪手だからここに関してはジャリエールの方に正当性がある。ここに関してだけは、な。

 

「立ち会い人がどちらかに肩入れするなんて、そんなのが不公平な事くらい聡明な?僕様と同じ?六大貴族様なら分かって当然だと思うのだけれど、どうだい?」

 

「ぐっ、それは……」

 

「いいですよ、こっちで調達しますから。それで、用意出来なかった場合はどうする?」

 

「生身で戦え、わざわざ決闘に乗ってやるのだから一度開けた口を閉じる、なんて無様な行為はしないだろ?」

 

「いいよ」

 

「り、リオンくん!?」

 

「構いませんよ、コイツの言う通り一度開けた口を閉じるなんて真似はしたくないんでね。まあ見ててくださいよ」

 

 ふぅ、ようやく終わりそうだな。

 俺ほんとなんでここにいるんだろ、早く帰ってマリーの膝枕と耳かきしてもらいたい、なんでよりにも寄って俺がこんな目に……不幸だ、と心の中で呟くより他なかった。

 

 

 

 

 

 

 

~一方その頃~

 

「ご主人様?料理、作りすぎでは……?」

 

「ごめんカイル、外に出られなくてストレスが発散出来ないのよ。だからせめて料理で発散させてほしいの」

 

「言いたい事は分かるんですが、これ量的に食べられるんですかね……」

 

「アルなら大丈夫よ」

 

「結局アル様頼り……本人がいなくてもラブラブなのが伝わってきて大変喜ばしい限りですよ、全く」

 

「ふふん、もっと褒めても良いのよ?」

 

「褒めてはいませんが」

【調査その3】独自解釈で話を進めていく展開が将来的にあるけど大丈夫そう?

  • 大丈夫だ、問題無い
  • 無理
  • アルマリでイチャイチャしろ
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