ノーゲーム・ノーライフの空と白の思考力とゲームに関する個性を持った人間が雄英に通う話が書きたくて色々こねた結果の産物。こうすると良いんじゃね、とかもらえるとありがたいです。

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さあ、ゲームをはじめよう

《十の盟約》

 

・一つ。この世界におけるあらゆる殺傷、戦争、略奪、その他直接的に他者を害する行為を禁ずる。

 

・二つ。全てはゲームにおける勝敗によって決定するものとする。

 

・三つ。ゲームに際し、相互が対等と判断したものを賭ける。

 

・四つ。三に反しない限り、ゲーム内容、賭けるものは一切を問わない。

 

・五つ。ゲーム内容は挑まれた方が決定権を有する。

 

・六つ。“盟約に誓って”行われた賭けは、絶対遵守される。

 

・七つ。集団における争いは、全権代理者を立てるものとする。

 

・八つ。ゲーム中の不正発覚は勝負の情勢に関わらず敗北となる。

 

・九つ。以上をもって神の名のもとに絶対不変のルールとする。

 

 

 

 そしてもう一つ神様からのお願い。

 

『みんな仲良くプレイしましょう』

 

 

 

******

 

 

 

 小さい頃、前世を思い出した。断片的な記憶。星の覇権をかけて全ての種族が争った大戦争と。

 

 それを、星の支配権、命令権、絶対唯一の玉座である『星杯(スーニアスター)』を手にした『ゲームの神様』が終わらせたこと。

 

 そして仮初の平和が訪れた世界に降り立った彼らを。

 

 武力を用いた争いが世界のルールによって禁止された世界を、その実力(ゲームの腕前)で塗り替えた少年と少女。我が主で我が国王で、我が共犯者で同意者で救世主で友人でゲーム仲間で────。

 

 最強の『  』(ゲーマー)

 

 幼いながらにも理解した。

 

 『私達』は、彼らが大好きだったのだと。

 

 そしてまた、『  』(かれら)を見つめる私達の記憶だけでなく、『  』(かれら)自身の記憶も見た。

 

 そして『俺』は思った。『  』(かれら)のように遊びたい。

 

 『  』(かれら)に遊ばれた者のように』遊ばれ、憧れさせられたい。

 

 それが、齢3年。空白海(そらしろ うみ)が個性発現と同時に抱いた夢だった。

 

 

******

 

 

 あれから十数年。海が生きているこの世界は、かつて『  』がいたという世界とも。そしてゲームで全てが決まるという彼の世界とも違って、いささか物騒で。そしてとても退屈なようである。

 

 心優しい両親から与えられたパソコンで、まずはプログラミングを学んだ。ゲーム、遊戯。いずれにしろ現代社会でまずそれらが遊べるのはインターネット。誰もが自由にアクセス可能な電子の海だ。

 

 まずはそこに、巨大なゲームのプラットフォームを作ろう。ありとあらゆるゲームが集まるプラットフォーム。そしてそこにたくさんのゲームをおいておく。

 

 そうすれば人が集まって。

 

 きっと『  』(彼ら)のような伝説も現れてくれるだろう。それについていけるように自分もゲームを色々プレイして実力を鍛えなければ。そう、せめて本物の天才(バカ)の凄さがわかる程度の凡人(てんさい)にはなりたい。

 

 そう思ってあれやこれややってみたは良いものの。

 

 この世界のテレビゲームとかテーブルゲームとか(そういうの)。こう言っては何だが、とっても遅れている。

 

 原因はおそらく、『  』(彼ら)の世界になくて俺の世界にあるそれ。『個性』だろう。

 

 こいつのおかげで、一時期社会は大規模な混乱状態に陥ったらしい。科学技術もかなり衰退し、日々必死に生きる人々の中からは娯楽の二文字は消え去った。

 

 更には個性によって、個体の性能差はありつつもある程度の平等性が保たれていた人間の体そのものにも大きな差が生まれてしまった。結果として、『  』(かれら)とは違って俺はゲームの一種類として割と好きな『スポーツ』も大幅に衰退してしまっている。

 

 代わりに人々の娯楽になっているのは、ヒーローとかいう警察機関もどきだ。何故治安維持を担う職種がそこまで人々の娯楽の軸になっているのかは疑問だが、今の社会の人々は、娯楽といえば彼らを追いかけ、後は仕事をするばかりである。

 

 まあつまりは。

 

「ゲームするやつが全然いねえ」

 

 そういうことだ。流石に個性が出現し始めた時期、超常黎明以前から続いているゲーム会社などもあるので多少はそういうのも残っているものの、調べる限りではその流行り具合はかつてとは雲泥の差だ。

 

 そういうわけで。

 

 まずはこの世界にゲームの面白さを流布し。ついでにハードとかソフトとか作る会社や、個性以前のスポーツの改修も行おうと思っていたのだが。

 

「空白くん! ヒーローになってみないかい?」

「全く興味ねえよ」

 

 なぜ俺は、通っている学校の校長に呼び出されてこんな事を言われているのだろうか。

 

 

******

 

 

 勢いの激しい校長の話を要約すると、体育祭で俺が優勝したのがいけなかったらしい。それもこれも個性のおかげという一言に尽きるのだが。

 

 もともとここ、雄英高校の体育祭というのは、学校の中でも優遇されているヒーロー科、つまりは『ヒーローを目指す奴らの通う学科』が、外部に対して自分たちをアピールするような場であるらしかった。全くもって興味がわかないので適当に参加して適当に終わらせようと思っていたのだが、何故か気づいたらあれよあれよと上の方にいってしまっていて。

 

 そのまま騎馬戦トーナメントと優勝してしまったのだ。

 

「けれど君の個性は、とってもヒーロー向けなのさ。多くの人を、守ることが出来る」

 

 俺の個性は、『さあ、ゲームをはじめよう(THIS GAME)』。端的に言ってしまえば、唯一神の作った世界を限定的に展開する、というものである。

 

 つまりはその中では一切の暴力が禁じられ、全てをゲームによって決める世界へと早変わりする、というわけだ。加えて言えば、その中に保護されている限り外からの攻撃でも無効化する。

 

 タイマンにおいては、少なくとも我慢比べには持ち込める個性である。

 

 それを騎馬戦で使ってハチマキをキープし続け、トーナメントでは敵にぶつけることでこちらの舞台に引きずり込んだのである。

 

 だが。

 

「悪いけどヒーローとか興味無いんで。やりてえこともあるし、遠慮するわ」

 

 ああ、それとも、と。

 

 ニヤリ、と悪い笑みを浮かべて校長を見やる。

 

「俺と、『盟約に誓って』ゲームをやるなら、受けてやるぜ?」

 

 俺の個性に関しては詳細に個性届に記載されているし、先だっての体育祭でもプレゼント・マイクが読み上げてくれやがった。校長ならば確実に理解しているだろう。

 

 俺に自分からゲームを仕掛けるということが、一体どういうことなのかを。




力尽きた。


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