日本の食文化を守るために変態技術を駆使しまくった結果 作:Haganed
ブリタニア皇国内部が騒乱の最中にある中、中華連邦にて広がりを見せているベンチャー企業の存在があった。新進気鋭のITサービスを提供するその会社はインド軍区から進出してきたが、かなり使い勝手が良く不備があった場合でも1時間足らずで問題は解決される。上手く出来すぎているが、5ヶ月もすればただの便利なシステムとして運用される企業が増えてきた。それでも中にはこのシステムの全貌を明らかにしようと躍起になっていた者もいたが、時間が経つにつれて沈静化されていき最後にはそういった音沙汰は無くなっていった。
勿論、未だにこのサービスに疑問を抱く者も居る。その認識は大事にして貰いたい。何せそんなに上手い話がある訳が無いという教訓になるためであるから。
うひー、漸く終わったー。2店舗目の精算云々と、鬼神兵の公開可能情報の調整と、ITサービス用の情報処理作業特化型AIの作成と、クラウドサーバーの設置と監視用AIの設置と……久しぶりに作業やりまくったよ。一段落したから酒飲みに行きたい、風間は何か予定あったりする?
「ええ、まあ。ありますね」
何か歯切れ悪いね。言い難いことなら無理には聞かないけど。
「いえいえ違います。決して何か悪いことが起きた訳ではありませんから……実は、新しくお付き合いしている方にプロポーズをしようと内々に」
えー! ちょちょちょいそれは尽力するべきヤツじゃん! あと何時付き合い始めたのよ!? というかいつの間に……はぁー! え、え、お祝いに何か送った方が良いよね? 何が送られてきたら嬉しい? 夫婦茶碗?
「気が早いです社長。流石に夫婦茶碗……まではまだ、はい」
やー目出度い目出度い! あ、送っても良い関係になったら夫婦茶碗と自分が厳選した海産物10種類でも。
「社長、流石に高すぎるものはちょっと」
こういう事に金かけてこそってモンだよ風間。あーでもどんな使い道にすればいいか悩むものは駄目だな、ふーむ……あ、厳選野菜10種ならどうよ。いいモノ揃えとくからさ!
「ま、まぁ……まだまだ先の事なので」
んもー奥手だねぇ。まま、その時になったら遠慮なく送るから受け取ってよ? その日まで楽しみにしとくからさ。
「そ、それより大将こそどうするんですか? 結婚とかそういうの。ほら、前に京都六家の方々からお見合い写真貰ったじゃないですか」
あー今はそういうの良いや。京都六家の方々にも色々言って、のらりくらりと絶賛躱してる最中でーす。今ぐらいの歳だからこそ跡継ぎは要るだろ、なんて意見もあったけど正味今はやるべき事やるので精一杯だし。嫁さん作ったとしても放ったらかしにしそうだし、そういうの個人的に駄目だって考えの人だもんで。
「あー、成程。までもそういえば、大将は日本食文化が奥さんみたいなアレですしねー。あんまり女性への興味は薄かったり」
無いわけじゃ無いしな。自分だって男だ、そりゃ女性との付き合いだって多少は考えなくもないけども。
「普通にウチのメンバーとも猥談に混ざるぐらいには男の子ですよね、大将。……因みにですけど、大将の性癖ってなんです?」
んお? おー…………んー…………天然褐色パツキン巨乳とか、男勝りなヤツが不意に見せる女らしさとか、酒に酔って私服の隙間から見えるチラリズムとか。思いつく辺りで並べてみるとこんなもんか?
「……大将、今のって」
おーっともうこんな時間か! あ、自分の性癖は秘密にしといてくれよ2人だけの約束ってやつだかんな! じゃ、でかけてくるわ!
「あぁちょ、早っ……さっきの絶対ラクシャータ女史の事じゃないか?」
いつもの地下施設に訪れた青年は現在活動中のルルーシュと、その彼と協同作業中の技術者各位からの報告を受けている最中であった。状況に関しては至って滞りなく、インド軍区との契約による後押しや現在の中華連邦の体制に不満を抱く各国や反体制派組織の人間などを纏めあげ着々と連邦を切り捨てる準備は進みつつある。そういった内容が記された報告書を網膜投影された電子媒体で確認しながら、ルルーシュの話を聞いているとある不安要素が確認されたという。
「マーシャル・システムテック社?」
「ああ。確認してもらえれば分かるが、EUのベラルーシに本社を構えるPMCの存在が示唆されている」
纏められた情報を確認していく。元は様々な最新技術の開発を行う会社であったが、20年程前にPMC産業に参入。自社開発製品のテストを兼ねながら様々な依頼を受け持っている会社であるという。そのPMCが何故に連邦との関わりを持っているのかだが、ルルーシュがある情報を見つけたことで発覚したのである。
「アンタが作り上げた情報処理特化型AI【サラスヴァティー】から流れてくる金の流れに関する情報に違和感を持って調べてみたら、そこに辿り着いた。そのPMCと繋がりのある会社に関しても調べてみればペーパーカンパニーのようだったからな、怪しさ満点といったところだ」
「そのペーパーカンパニーに関して何かある?」
「まだ調査中だ。とはいえブリタニア側が仕向けたものである可能性も有り得る、引き続き調査をしていく」
「んで、このマーシャル・システムテック社に関しては」
「35Pから確認できる」
そのPMCの情報が記載された箇所を網膜に映していくと明らかになるその会社の実態。先の概要に付け加えて、PMC産業では紛争地帯への参加や護衛任務などが目立っているが、所謂裏の仕事に関する依頼も受けているようで。少なくとも暗殺任務とやらは確実にやっているだろうという黒くて面倒な信頼が確認できた。昨今では新たにパワードスーツの開発に着手している噂も……という記述内容を一通り見終えたところで青年は悩む。
「くっそ面倒な事になるかもなぁ」
「同感。寧ろ厄介事が起きない訳が無い、賭けてもいい」
「ほぼ確実なら賭けても意味ないと思うけど……にしてもパワードスーツねぇ、需要はあるだろうし何処かで実演宣伝でもすればKMFに次いで開発生産されるだろうね。ってことはぁ……ウチとは競争会社になるわけだ」
「まず確実に潰しに来る可能性は大だろうな」
ルルーシュはナノマシンのことに関してはある程度知っている。XR:ヒューマノイドの説明の際に鬼神兵団の面々と鬼神兵に使用されていることも伝えられており、ナノマシンとの適合率が高い人間が適合手術を受ければ常人と比べ物にならない身体能力や機体操縦性が手に入る代物であると。とはいえあくまで素体が出来上がっていれば、の話であることが前提らしいが。
しかしマーシャル・システムテック社のパワードスーツが宣伝されれば、恐らく軍事的需要はナノマシン適合手術よりも高まるだろう。体の内側に異物を埋め込むことなく誰もが人間の枠組みから外れることが出来る、日本側からすればこれ以上ない商売敵と認知されても可笑しくないだろう。とはいえ邪魔者たりえる存在は消すに限る。情報を確認し終えた青年は網膜投影を止めて、思考に耽ようとしていた。
「近日中にこのマーシャル・システムテック社の対策会議を行いたいが、何時空いている?」
「んぉ。えーっとちょい待ってよ……6日後なら空いてるね」
「了解した、ならその日に予定を立てておく。アンタは真っ直ぐ行って粉砕する、ぐらいの考えが関の山だろうし此方が考えておこう」
「随分な言い草。までも、よろしく頼むよ。自分も色々用事あるしね」
そうしてルルーシュは部屋を去っていく。結果的に任せる形になったとはいえ、14歳の背中が逞しく見えるも僅かばかりに悲しくなってしまった青年なのであった。