かぐや様は運命を信じたい   作:ティッシュの切れ端

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お、お久しぶりです(小声)




難題「桃源郷に棲みたる龍の頸の玉」②

 

「娘はやらんぞ!!」

 

 今にもこちらを斬りつけて来そう。

 

 そんな形相で……いや、刀を抜いてるのだから実際マジでやるつもりかもしれんが……。

 そんな感じで龍珠の父は、それはもう、まさに怒髪天を衝くと言った有様で再度言い放った。

 

「ま、待ってくださいお父さん!!」

 

「ワシはお前の父ではない!!」

 

「そこに今反応します!?」

 

 なんだかよくある昭和ドラマのノリでコントをしている様に見えるが……実際の所は命懸けだ。

 冷静に話を聞いてもらえなければ、東京湾で魚と仲良くダイビングする事になるだろう、永久に。

 

「おい龍珠!?何とかしろよ!?お前のお父さん勘違いしてるぞ!!」

 

「ん〜?あ〜そうだな。庶務がいないとアタシがサボれないからな。助けてやるよ」

 

「なんでそんな上からなんだよ!?ってか仕事はやってくれ!」

 

 親切で仕事を教えてくれているのかと思ったが、単純に龍珠の仕事を押し付けられていただけらしい。道理で会計の仕事ばっかな訳だ。

 

「親父。アタシのダチに手ェ出したら……家出すっからな」

 

「なんと!?も、桃……待ってくれ……ワシが悪かった……。だから……だからまた家出するのだけは……」

 

「あ〜。なんか甘いもんが喰いてぇなぁ……歩いて帰ったから汗かいたし、冷たいもんだとなお良いなぁ。なぁ、白銀?」

 

「えっ!?あ、あぁ、そう……かも?」

 

 まさかの龍珠から飛び出た家出発言がこたえたのか、たじたじになる龍珠父。

 

(これが日本最大級ヤクザのトップ……?)

 

 大人の男という存在は、社会ではそれぞれの立場や役割があるのだろう。しかし、家に戻ればまず父親であり、そして。

 

 父親は娘に弱い。

 古事記にもそう書いてある。

 

(ウチの親父も圭ちゃんにだけは逆らえないもんなぁ……)

 

 もっとも、我が家の場合は父親が職業不定だから故に立場が弱いからなのだろうが。

 

「甘くて冷たいのだな!?よし、アイスを持ってこよう。少し待っておれよ!!」

 

「ハーゲンなダッツな〜」

 

 龍珠が具体的な商品名で要求すると、抜き身の刃を携えたまま、龍珠父は早足で部屋を出て行った。

 

 

 

 ──

 

 

 

「も、桃や……これしかなかったのだが……」

 

 数分で戻ってきた龍珠父は、殿に献上するかの様に恭しく、アイスを差し出した。

 漆のお盆に載せられた、二つのカップと、銀色のスプーン。そのアイスは、日本橋の有名店のものであった。

 

「んだよ、ハーゲンは無かったのか?」

 

「い、いや……桃よ……この店も長い歴史があって……それこそ、海外の企業にも負けないブランド力がだな……」

 

「アタシはダッツのバニラが食べたかったんだが、まあしゃーねぇか。ほら白銀、喰おうぜ」

 

 差し出されたカップとスプーンを受け取ると、恐る恐る蓋を開ける。

 

「い、頂きます……」

 

 赤色のクリームを掬い、口へ運ぶ。

 緊張で手が震えて、零れ落ちそうになるのを、顔を動かして阻止する。

 

(う……うまい、なんだこれ)

 

 舌に乗せた瞬間に伝わる冷たさ、その中には確かなストロベリーの甘さと、そして酸味があり、唾液が舌の裏からジワッと湧き出す。

 形を保っていたのは、ほんの数瞬のみで。柔らかく溶け出し、口内に広がる。暴力的な旨さに敗北した理性は、マナーも忘れて掬い、食べる。そしてまた掬い、口へ運ぶ。

 

 俺が子供の頃。そう、まだ母さんがいた頃。その時は親父も工場経営をしていて、広い一軒家に住んでいて。圭ちゃんと一緒にこんな感じのアイスを食べた事があった。

 母さんは厳しくて、夕方に食べると夜飯が入らなくなるからと許してくれず、風呂上りも寝る前に甘い物はダメと、やはり許してくれなかったが……。

 日差しの照りつける、ある夏の日。

 公園で遊んで帰った俺と圭ちゃんに、優しく微笑んだ母さんが出してくれたのが、丁度こんな感じのアイスだった。

 

「なあ白銀、そういやストロベリーで良かったのか?なんならアタシのバニラと交換するけど?」

 

「これでいい。いや、これがいいんだ……」

 

「うわお前どうした!?めっちゃ泣いてるじゃん!!」

 

 あの時も、バニラとストロベリーの二種類で、圭ちゃんがバニラを食べたいと言ったから……俺も本当はバニラが食べたかったのだけれど、そこはお兄ちゃんとして、譲ってあげたのだ。

 自分の意見が優先されなくて、いつも圭ちゃんばっかり我儘が許されて。母さんも圭ちゃんにばっかり構うから、少しいじける事もあった。

 

(どうせ僕なんて圭ちゃんのオマケでしか無いんだ……)

 

 そう思っていたから、だから。

 

 母さんがアイスを二つ用意してくれた事が、嬉しかった。

 

 例えそれが一つだけだと圭ちゃんが気にするからだったとしても、その時の俺にとっては、何よりも嬉しかったんだ。

 テストで百点をとった時と同じか、もしかしたらそれ以上に。

 

「う……ううっ……母さん……」

 

「し、白銀〜?アタシはお前の母親じゃないぞ〜」

 

「グスっ……母さん……俺……秀知院に入ったよ……それも生徒会長に指名されて……生徒会役員になったんだよ……母さん……どうして俺も連れて行ってくれなかったんだよ……」

 

「あ、あ〜……お前も色々複雑なんだ……な?ほ、ほら、アイス溶けちゃうから早く食べようぜ……?」

 

「うん……」

 

 涙と鼻水が混ざったアイスは、それでも冷たくて、懐かしい味がした。

 

 

 

 ──

 

 

 

「……ご馳走様でした」

 

 ドロドロの液体になってしまったアイスを食べ終えた頃には、相当の時間が経ってしまい、既に龍珠家二人組は湯呑みで茶を飲んでいた。

 

「だーかーらー!彼氏じゃなくて生徒会の友人だっての!」

 

「しかし桃よ……お前が友を家に連れて来たことなど無かったではないか」

 

「いや、それは……ただアタシに友達が少ないからってだけだろ」

 

「桃の健気さが分からんとは!まっったく秀知院の餓鬼どもは!節穴か!!」

 

「あーもー!!親父……うっざい」

 

「カハッ……」

 

(うっわ……圭ちゃんみたいな事言うじゃん。あー、親父さん泣いてるよ……)

 

 何故親は子に干渉したがるのか。

 愛故に、である事は、俺達子供側も分かってはいる。

 しかし、思春期の高校生にとっては、その親の愛が鬱陶しく、恥ずかしく、迷惑に思えてしまう。

 

 大人はいつも、家族の愛がどうとか語るけれど、考えてみてほしい。自分が同じくらいの歳の頃は、やはり親を鬱陶しく思っただろう。それで後悔したからこそ口煩くお節介を言うのかもしれないが……。

 

(失って初めて気づく、か。俺は……どうなんだろうな)

 

 母さんが居なくなり、一家はバラバラになった。圭ちゃんは未だに微妙な距離を感じるし、親父も多くを語らなくなった。

 

 それでは、昔の四人家族だった頃は、そこに愛があったのだろうか。

 どうも俺には、そこに愛を見出す事は出来ない。今も、昔も。

 

 普通の家庭。普通とは何であろうか。

 

 両親がいる事?それとも、家計が苦しくない事?家が裕福なら幸せなのだろうか。両親がいればそれで良いのだろうか。

 

 無いよりあった方が良い?それは本当なのだろうか。前まではそう思っていたが……。どうも、四宮や龍珠を見ていると、分からなくなる。俺から見て恵まれていても、彼女達には彼女達なりの苦労があって。

 結局のところ、今は分からないと言うのが答えなのだろう。人に言われるものではなく、しかし今決めつけるのも早い気がする。

 

 だから、龍珠の家の事に口を出すのは……しない方が良いのだろう。俺だって、自分の家の事について、アレコレと言われたくは無い。

 

 そうして静観を決め込んでいると、龍珠の父から声をかけられる。

 

「それで。白銀君だったな。君は、桃の事をどう思う」

 

「えっ……あー、良き友……ですよ」

 

 龍珠との問答でやつれ気味ではあるが、依然として目は鋭く、威圧感は死んでいない。

 

「そうか……。ではワシらの事はどうだ。怖いか?」

 

「まあ……正直ビビってます……けど。それで龍珠が別人になるわけじゃ無いですから……友であることに変わりはありません」

 

「…………うむ」

 

 目を閉じ、腕を組む。そうして深く考え込んだように見える龍珠の父は、呟いた。

 

「ならば……よかろう。バイトだったか?雇ってやろうじゃないか」

 

「えっと、それだけで決めていいんですか?」

 

「そも高校生に大した技量や知識は求めん。仕事を任せるに値する性格、人柄。それさえあれば構わん」

 

 そう言うと、こちらに書類の入ったファイルを渡してくる。

 

「こっちがマニュアルな。それでこっちは雇用契約書。あとは必要な書類諸々……目を通しておいてくれ。こちらに提出して貰う書類はここに書いてあるから」

 

「はいっ!ありがとうございます!」

 

 渡された大量の書類に一枚一枚目を通していく。

 

 数々のバイトをこなして来たから慣れてはいるが、だからこそこう言った契約時の書類はきちんと確認しないといけない。

 実はこんな規則がありました。書類にサインしたよね?とか言われるブラックバイトも多いから、気を付けないといけない。

 

「うわっ、時給千五百円……!?」

 

「ん?まあ売れる見込みがあるし、人手は沢山欲しいからな。今の時期、そのくらいはどこでも出すぞ」

 

 休日だから八時間勤務で……軽く日給一万を超える。これを二日だ。これだけでも半月分の食費に近いぞ……。

 

「い、良いんですか……?」

 

「こちらとしてはもう少し出してやっても良いんだがな……桃の友人だからと贔屓するのは……」

 

「ああ……。それは、俺としては辞めて欲しいですね」

 

「ほぉ、善哉善哉。これは年寄りからのお節介だがな、プライドってのは、捨てたら終いよ。もう取り戻す事は出来ん。がむしゃらに生きても、それだけは捨てるな。ゆめゆめ忘れるなよ」

 

「……そうですね、ほんと」

 

 龍珠の父は、俺が思っていたよりも、意外と親しみやすく、優しい人であった。

 

 もっとも、彼の職業を鑑みれば、その態度はあくまでも身内向けのものであって、娘の知り合いに対するそれなのだろう。

 人の本質とはある一定の顔だけで定まる訳ではなく。この親しげな、どこにでも居そうなちょい怖親父の風貌だけで良い人だとは決められない。

 しかし、だからと言って、彼がヤクザのトップだからとその人間性まで否定するものでもなく。

 結局のところ、他人の全てを理解した気になって、その有様を語ると言うのは愚かな試みなのだ。

 

 自分自身すら全てを理解するなど不可能なのだから。

 

「では連休中のみではあるが、仕事仲間なんだ。ほれ、一杯どうだ」

 

 そう言って徐に杯を差し出された。

 

「い、いえっ!俺は未成年ですよ!?」

 

「ただの茶よ。なぁに、別に飲んだからって捕まるわけでも無い。ほれ」

 

「じゃ、じゃあ……頂きます」

 

 深緑の液体を口に含むと、相当な苦味が襲う。

 

 だがそれがかえって、アイスを食べた後の甘ったるさを流し、爽快に感じられる。

 

「これでお前さんも盃を交わし合った仲、と言うわけだな」

 

「ぶっっっ!!今なんて……!?」

 

「お前さんもワシの子供っちゅう訳やな。ワハハ」

 

 盃を交わす。それはヤクザのみならず、古来より続く日本の風習。

 お茶ではなくお酒を使うのが普通だが、その内容は契約の意味を強く持つ。

 

 義兄弟の契りとか……婚姻とか。

 

「なぁに、ちょっとしたジョークよ。酒でもなし、そもそれは盃ではなく湯呑みだからな。もっとも、お前さんが望むのなら……そうだな。後四、五年経ったらまた来い」

 

「あはは。ど、どうでしょうね……」

 

「親父ぃ……白銀は外部生なんだからあんまりいじめてやんなよ」

 

「おっと、そうなのか?それはすまんなぁ。なにせ、随分と礼儀作法に詳しいようだから、てっきりどこか良いとこの子息なのかとばっかり」

 

「そんなんじゃないですよ……俺は」

 

 礼儀作法なんて、子供の頃に母さんに厳しく叩き込まれたのをうろ覚えで実践しているだけで。

 

 知識ばかりあっても実践できているかは分からない。

 まあ……だから、そう褒められれば相応に嬉しく、同時に安堵もするが。

 

「わはは!まあまあ。おっそうだ。折角だし晩飯も食って行きなさい。おーい、誰か!桃の友人の分も用意しといてくれ!」

 

 部屋の外に居るのであろう誰かに向かって龍珠の父は手を叩いて叫ぶ。

 

「えっ!?いやいや……そんな、悪いですよ」

 

「なぁに、気にすんな!若いもんは沢山食わなければな!」

 

「白銀、諦めろ。こうなった親父は何を言っても聞かんぞ」

 

 龍珠は早くも達観した様子でゲームをしながらゴロゴロし始めていて、この状況を何とかしてくれる気は無さそうだった。

 

「じゃ、じゃあ……ご馳走になります」

 

「おうよ!」

 

 そうして、何故か俺は龍珠家にて強面のお兄さんたちに囲まれて晩飯をご馳走になったのであった……。

 

 

 

 ──

 

 

 

「おお〜秀知院の特待生ってスゲぇな!」

 

「いやぁ……補欠ですから……あはは」

 

「そう謙遜すんなって!桃の姐御が認めるくらいなんだからよ!もっと胸張ってけ!」

 

「龍珠……あっ、桃さんにも同じ事言われましたよ……あはは」

 

(なんだこの状況……)

 

 龍珠家での夕食。その後の席で俺は何故かヤクザ達に絡まれていた。いや、まあ、ただの談笑ではあるのだが……。

 

「で?生徒会ってのは忙しいのか?どうだ?姐御はどんな感じなんだ!?」

 

(こう話していると普通に龍珠を慕う気のいい兄ちゃん達なんだよなぁ……)

 

「あーっとそうですね……普段はサボ……」

 

「しーろーがーねー?」

 

「い、いやぁ!いつも俺はお世話になりっぱなしで!いやぁ龍珠マジ頼りになるんすよ!!」

 

 ありのままの普段の様子を伝えようとしたが……彼女を慕う彼らに残酷な真実を告げるのも躊躇われた。

 

 決して龍珠に睨まれたからではない。うん。多分。

 

「さっすが姐御っす!」

 

「だろ〜?白銀はいっつもアタシに頼りきりでさぁ〜。少しは男らしいところ見せて欲しいって感じなんだわ」

 

(龍珠のやつ好き放題言いやがって……)

 

 とは思うものの、あながち間違いでも無くて。

 

 確かに仕事は俺に押し付けているのかもしれないが、龍珠には四宮についてだけじゃ無くて、色んなことでお世話になっている。

 それは主に俺が秀知院について詳しくないから。彼女の入れ知恵がなければ……というかそもそも自分を変えようとする、現状の努力のきっかけ自体が龍珠のアドバイスありきで。

 

 だから今は、ほんの少しの見栄っ張りも見逃してやるべきだろう。

 

「でな?コイツったらあの四宮のご令嬢に惚れ込んでてな?アタシにいっつも泣きついてくるんだよ」

 

「オイオイ。四宮財閥の長女狙いとか……パネぇな」

 

「あぁ……死を恐れない男だ……すげぇよ」

 

(おいなんか話の流れがおかしいんだが!?)

 

 流石にこれは訂正せざるを得ない。

 

「待て待て!俺はただ四宮に相応しい男になりたいってだけで。惚れてなんか……」

 

「な?コレはどう見ても惚れてるよな?」

 

「っすね。ベタ惚れっすわ」

 

「男ならビシッと認めんかい!」

 

 いくら否定しようにも多勢に無勢。この場での共通認識は俺が四宮に惚れているという前提で固まってしまったようだ。

 

 これでは否定してもただの照れ隠しにしか思われない。

 

(どーすりゃ良いんだよもぉぉぉ!!)

 

 

 

 ──

 

 

「もう帰るのか?泊まっていっても構わんのじゃが」

 

「いえ、明日も学校ですし……なにより妹が待っていますから」

 

「白銀って相当なシスコ……いや、何でもない」

 

「聞こえてるんだが?」

 

 龍珠家にて夕食をご馳走になり、しばし食後の談笑をした後。

 俺は門まで見送りに来てくれた龍珠と彼女の父へお礼を言う。

 

「いや、ほんと、バイトだけでなく夕食までご馳走になって……本当にありがとうございます」

 

 しかも家で妹がお腹を空かせて待っているからと言った俺のためにお土産まで持たせてくれて、頭が上がらなさすぎて、うっかりここの舎弟もアリ?なんて考えが過るくらいには。

 

「白銀くんや、また来なさい。次はわしと一局打とうじゃないか」

 

「ええ、俺は手を抜くとか出来ませんからね?」

 

「言うじゃないか小僧ォ……」

 

 にやりといくつか欠けた歯を剥き出しにしながら笑う龍珠父は、冗談なのがわかりつつも、舐められたら反射的にこうなってしまう……のだろう。

 

 ちなみに俺はもう泣きそうだ。

 

 龍珠……ちょっと俺にはまだこのレベルの怒気を受けて真顔でいるのは厳しいんだけど……???

 

「じゃーなー白銀〜」

 

「お、おう。龍珠もまた明日な」

 

 呑気に手を振る龍珠には俺がガタガタと膝を震わせているのが見えないのか?それとも、この程度龍珠家では当たり前……とかか?

 

「今日はありがとうございました。バイトの件と合わせて、今後もよろしくお願いします」

 

 

 

 

 

 日が沈み、街灯が働き始める街中で自転車を漕ぐ。

 お土産にもらった圭ちゃんと親父の分の夕食が崩れないよう、カゴに意識を向けながら慎重に。

 

 もうすぐ連休、そしてそれが明ければ高校生活最初の試験だ。

 勉強時間を確保するためにもここでしっかりと稼いでおかなくては。

 

 四宮に並び立つ為に。

 

 俺は学年1位を目指す。

 

 生徒会に加入してからの高校生活は概ね上手く行っている。いや、上手くいきすぎて怖いくらいだ。

 だからなのだろうか。根拠は無いが、やれる。そんな気さえしてくる。

 

 そう思うとやる気も出るというものだ。とにかく何事もやる気が無ければ始まらない。そう言った意味でも、今日は良かったのかもしれない。

 

 日が沈み、街灯と月明かりが照らす帰路。自転車のライトが進むべき道を示してくれる。あとは自分自身が前に向けて漕ぎ出すだけだ。

 

 

 

「俺はやれる……そうだろ?白銀御行」

 

 

 

 

 

 

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