蘇りし不屈の天才   作:レイ1020

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激突!誠凛VS海常①

 

 

 

「それではこれより、海常高校と誠凛高校の練習試合を開始します」

 

 

 

両校着替えを終えアップを済ませた後、審判の声掛けでコートの中央へと整列する。両校のスターティングメンバーは・・・・・・

 

 

 

誠凛            海常

 

PG  伊月瞬      PG  笠松幸男       

SG  日向順平     SG  森山由孝

C   水戸部凛太郎    C   小堀浩志

SF   閻橙累      SF  中村真也

PF  火神大我     PF  早川充洋

 

 

 

 

このようになっている。海常は監督が言ったようにエースである黄瀬はベンチに下げており、代わりに攻撃力は劣るものの、ディフェンス力に定評のある中村をスタメンに起用している。

 

 

 

「なんだ?黄瀬が言ってた黒子とか言う奴はスタメンじゃねーのかよ?」

 

 

 

「まぁ、これも作戦ってやつですので、気にしないでください」

 

 

 

海常キャプテンである笠松が黒子の不在に疑問を覚えたのか、目の前に立つ日向に質問していた。それを日向は適当に流したが、作戦という言葉には嘘は無い。なぜなら・・・・・・

 

 

 

「(なるほど。黒子っちの視線誘導(ミスディレクション)は40分間フルで使う事は出来ない。それを考慮した上でのベンチスタートって訳っスね。大方、閻橙っちの入れ知恵だろうけど)」

 

 

 

ベンチに座る黄瀬はこの起用に納得がいっていた。黄瀬が言うように、黒子の視線誘導(ミスディレクション)はフルタイムで使う事は出来ない。視線誘導(ミスディレクション)は確かに強力なスキルではあるものの、その代わりにそれを”使えば使う程に効力が失われていくと言う”デメリットも存在しているのだ。

仮に、黒子を試合の始めから使ったとするならば、第2Qが終了するくらいには、視線誘導(ミスディレクション)の効力は切れてしまうだろう。それを危惧した上で、カントクのリコは黒子をベンチに置くことを決めたのだ。

 

 

もしも、事前に累や美南に視線誘導(ミスディレクション)の情報をリコが聞いていなかったら彼女は彼をスタメンで起用していたことだろう。

 

 

 

「互いに、礼っ!」

 

 

 

「「「「よろしくお願いしますっ!!」」」」

 

 

 

そんなこんなで、整列と挨拶を済ませた選手一同は、それぞれコートへと散らばる。ジャンプボールは誠凛は火神が、海常は小堀が飛ぶことになっている。

 

 

 

「試合開始!」

 

 

 

審判の試合開始の合図とともに、二人の頭上にボールが放られる。二人はほぼ同時にボールに向かってジャンプしたが、先に触ったのは・・・・・・

 

 

 

「笠松っ!」

 

 

 

「ナイス、小堀!」

 

 

 

小堀だった。小堀はボールを笠松に渡すと、笠松はそのままドリブルを開始する。

 

 

 

「まず一本!サクッと決めるぞっ!中村っ!」

 

 

 

笠松は中村へとパスを出す。中村はパスを受けようと笠松に寄っていく・・・・・・だが

 

 

 

「甘いっ!」

 

 

 

「「なっ!?」」

 

 

 

そのパスをカットされる。カットしたのは中村のマークについていた累だった。普段の笠松であれば、こんな簡単にパスカットされることなど無いのだが、相手が誠凛という無名校であるが故の油断と、累の実力を正確に把握しきれていなかった事もあって、こうして最も簡単にパスカットを許してしまったのだろう。

 

 

 

「伊月先輩!」

 

 

 

「ナイスカット閻橙っ!行けっ、火神!!」

 

 

 

累は伊月へとパスを出すと、伊月はすぐさま前を走る火神へとパスを出した。カウンターという事もあり、火神はノーマークでパスを受け取った。

 

 

 

「くらえっ!!」

 

 

 

火神はそのまま豪快にダンクを決めた。決めた事にガッツポーズをした火神だったが、ふと”右手に重みがある事”に違和感を覚えた。・・・・・・嫌な予感がした火神はゆっくりと右手を持ち上げてみると・・・・・・

 

 

 

「あっ、やべ・・・・・・」

 

 

 

「お前、それ弁償じゃね?」

 

 

 

彼の右手には見慣れたバスケットゴールのリングが握りしめられていた。ボルトが錆びていたのもあるが、火神のパワーが想像以上だった事もあり、壊れてしまったのだろう。そんな彼をみて、累は呆れていた。

 

 

 

「すみません、ゴール壊れて使えなくなってしまったので、全面のコートを使わせて貰ってもいいですか?」

 

 

 

「・・・・・・わかった。やむを得んからな」

 

 

 

リコが武内に交渉した事によって、全面のコートが使われることとなった。その時の武内の表情が非常に悔しそうに歪んでいた事もあって、誠凛の皆はそれぞれ胸がスッとしていた。

 

 

 

「黄瀬、中村と交代だ」

 

 

 

「え、今日俺は出番ないって・・・・・・」

 

 

 

「予定変更だ。あの10番はお前でなければ抑えられそうにないからな」

 

 

 

コートを変更し、試合が再度開始される前に黄瀬は武内から試合に出るように指示を受けていた。先ほどのダンクを見て、火神に警戒心を抱いたのだろう。だが、黄瀬としては・・・・・・

 

 

 

「監督。俺としては、10番よりも笠松先輩のパスをカットした12番の方を警戒した方が・・・・・・」

 

 

 

「12番は早川にマークさせる。10番はお前がマークしろ。以上だ、行け!」

 

 

 

「・・・・・・わかったっス」

 

 

 

累の方が脅威だと分かっている黄瀬は、それを武内に伝えたのだが結局彼は火神のマークに入る事となった。それに不満を覚えながら黄瀬は累へと近づいて行った。

 

 

 

「なんだよ、出てきた割に不服そうな顔してんな?」

 

 

 

「だって、監督は火神のマークにつけって言うんスよ〜?俺は閻橙っちとやりたいのに・・・・・・」

 

 

 

「火神を甘く見ない方がいいぜ?あいつの成長速度とポテンシャルはお前や他のキセキの世代とそんなに変わらない。舐めてると痛い目を見るかもしれないぞ?」

 

 

 

「それは俺も何となく分かってるっスけど・・・・・・ハァ〜」

 

 

 

黄瀬は愚痴りながら自分のポジションへとついたが、その様子は非常に落ち込んだ様子だった。

 

 

 

「おう、ようやく出てきやがったな?あん時の借りは倍にして返してやるぜ」

 

 

 

「へぇ〜?それは楽しみっスね?」

 

 

 

相対する黄瀬に対し、火神は闘志を燃やしながら睨みつけそれを見た黄瀬は薄く笑みを浮かべていた。格付けは済んではいるものの、彼自身は火神のポテンシャルの高さは認めているので多少なりではあるが気持ちも昂るのだろう。

 

 

 

「切り替えてまずは一本、行くぞ!」

 

 

 

ゲームが再開され、海常ボールからスタートする。ボールを持った笠松の声が体育館内に響き、海常側の気合の度合いが上がっていく。

 

 

 

「(さっきダンクかましたあの10番が厄介だってことはわかった。だが、俺が気になってんのはさっき俺のボールをカットした・・・・・・)」

 

 

 

笠松はボールをキープしながら閻橙へと視線を向ける。

 

 

 

「(昔、黄瀬を完膚なきまでに叩きのめした選手だってのは知ってるが、あいつがどんなプレーをしてくるのか予想がつかないのが現状だ。とりあえずは・・・・・・)」

 

 

 

 

実力が測れない累の事を危険視した笠松は、黄瀬へとパスを出す。

 

 

 

「さてと、まずはさっきやられた分、返させて貰うっスよ?」

 

 

 

「上等だっ!来やがれっ!!」

 

 

 

パスを受けた黄瀬は、そのままドリブルに入り火神を自慢のスピードで躱しに行く。中にペネトレイトした黄瀬に火神もついて行くが、反応が少し遅れていた。

 

 

 

「らぁっ!!!」

 

 

 

黄瀬の豪快なダンクが決まる。ゴールの揺れ具合から見るにゴールこそ壊れなかったものの、先ほどの火神のダンクよりもパワーは上だと見える。

 

 

 

 

「ちっ!」

 

 

 

「ちゃんとお返しさせて貰ったっスよ。やり返す事は俺の十八番なんでね?」

 

 

 

「そういう割に、オレにはボコボコにやられたまま終わったじゃねぇか」

 

 

 

「だから今日はその時の分もやり返すって言ってるんス!」

 

 

 

悔しがる火神に対して、黄瀬のその言葉に軽口をたたく累。

 

 

 

 

「切り替えろ!すぐに取り返すぞ!」

 

 

 

日向の号令とともに、誠凛は一気に攻撃に打って出る。だが

 

 

 

「こっちも返してやるぜっ!・・・・・・っらぁっ!!」

 

 

 

「甘いっスよ!」

 

 

 

攻撃のかなめである火神は黄瀬に抑え込まれてしまっていた。一対一ではまず勝てなく、抜くとしてもパスを織り交ぜて対応をしないと点が取れないでいた。

 

 

 

とはいえ、火神を抑えられているとは言ってもそれだけで誠凛の攻撃全てを食い止めることができる程、今の誠凛は弱くはない。なぜなら・・・・・・

 

 

 

「・・・・・・ふっ!」

 

 

 

「く、くそっ!」

 

 

 

今の誠凛には火神以外にもう一人、スコアラーがいるからだ。今も相手を高速ドリブルで抜き去り、ゴールを決めて見せた。実力でいえばキセキの世代と遜色ないものを持っている累であるので、早川では荷が重すぎるのが現実である。

 

 

「ちっ!10番だけでも厄介だってのに・・・・・・どうする、笠松?」

 

 

 

「火神は黄瀬以外には止めるのは困難だが、だからといってあの12番をあのままにしとくわけにもいかねぇ。森山、早川とダブルチームで守れ。4番は俺が見る」

 

 

 

「わかった」

 

 

 

笠松も累の実力を認めたのか、早川に加え森山も累のマークにつくよう指示を送った。現状、誠凛の中で一番得点を重ねているのは累だ。それを見越しての指示なのだろう。

 

 

 

「(へぇ?俺にダブルチームねぇ?面白れぇじゃねーか)」

 

 

 

自分に二人のマークが来たことに、内心わくわくしていた累は伊月からパスを受けるとドリブルを開始する。早川も森山もドリブルを警戒しているのか、少し累と距離を取っている。確かに、ドリブラーを得意とする選手に対してのディフェンスの仕方としては間違ってはいない。だが・・・・・・

 

 

 

「「なっ!?」」

 

 

 

それは相手が外からのロングシュートを持っていなければの話である。ドリブルを警戒するにしてもあまり警戒しすぎて距離を取ってしまうと、今回のように3Pシュートを決められてしまうのだ。

 

 

 

「海常高校、タイムアウトです!」

 

 

 

累がシュートを決めるのとほぼ同時に、海常側がタイムアウトとった。

 

 

スコア

誠26‐海14

 

 

まだ第一Qの中盤とはいえ、ここまでリードを許した海常は重苦しい空気のままベンチへと下がっていく。その反面、誠凛は非常に良い空気で足取り軽くベンチへと下がっていった。

 

 

 

試合はまだ序盤。海常高校がどのように動くのか注目である。




次回で累と黄瀬をマッチアップさせようかなと考えています。

いつになるかはわかりませんが、お待ちください。
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