殺人ヒーロー ジャック・ザ・リッパー 作:謎多き殺人鬼
忙しさと内容の都合上、多くの試合を飛ばしますm(__)m
芦戸さんとの試合に勝って、リカバリーガールからの足に後遺症が無いか見る為の経過観察込みの治療と試合に支障をきたさない様に考慮された長いお説教のオマケを受けた私は精神的にクタクタになりながら戻れば殆どの試合が終わってしまっていた。
八百万さんと常闇君、切島君と鉄哲君そして、麗日さんと勝己。
三試合全てを見逃すなんて言う事態に私は少しリカバリーガールを恨みながらも支障も無い状態で送り直してくれた事に感謝して席に戻ったると。
「ジ~ル~!!」
「え?どうしたの芦戸さん?」
戻って来ると芦戸さんが涙目になりながら私に抱きついて来るのに驚いていると砂藤君が呆れた表情を見せてきた。
「お前が酸の中を歩くなんて無茶するからだぞ」
「お前に支障をきたしたらどうしよう。なんて芦戸が騒いで大変だったしね」
砂藤君に続いて耳郎さんにも呆れられると他の皆も一斉に頷くもんだから申し訳が立たない。
「足は大丈夫だよね!?歩けてたから大丈夫だよね!?」
「落ち着いてよ芦戸さん。ご覧の通りで足は大丈夫よ。だから……鼻水をかんでから抱きついて貰えるかしら!?」
私は涙と鼻水を両方流して私に抱きつく芦戸さんに涙は兎も角、鼻水は止めて欲しいから付かない様に離れさせようとするけど意外と力が強くてなかなか離れない。
その様子を皆が笑ってくるけど一人くらい止めに来てくれないかな。
~別視点side~
その頃、麗日と話した後、試合に出る為に歩いていた出久は予想外の"二人"と鉢合わせした。
「ん?」
「どうした?あれ、お前はジルの?」
「エン……!?そ、そそれにジャス……!?」
「いや、落ち着け坊主。エンデヴァーは兎も角、俺とは面識あるだろ?」
鉢合わせしたのはエンデヴァーとジャスティスの二人で何でこんな所を彷徨いているのかと出久は混乱していた。
「なぁ、エンデヴァー。こいつスゲェだろ?指名したらどうだ?」
「確かに見せて貰った。だが、生憎、もう一人を受け入れるつもりはない。それを言うならお前はどうするつもりだ?」
「俺は……年中、治安維持活動しかしてねぇし、芸能活動的な話なんて来た事もねぇしな。つまらねぇだろうから止めとくわ。悪いな」
ジャスティスはそう言って苦笑いしながら出久に謝るとそのまま立ち去ろうとした時。
「ま、待って下さい!」
「ん?何だ?」
「貴方は……平気なんですか?ジルが傷付く姿を見て?」
「ヒーローは何度も怪我をする。市民を助ける為、ヴィランを止める為にな。ある意味、当たり前だろ?……ヒーローって言うのは馬鹿共を止める為、助ける為の存在だ。だから」
「違う!そうじゃないんです……確かにヒーローは戦う中で怪我をしますし、殉職してしまう時がある。でも、僕は試合をしている時のジルがまるで死んでも構わないって言う様な雰囲気で芦戸さんに向かって行くのを見て……それで」
「不安になっちまったのか?」
ジャスティスのその言葉に出久は重く頷いた。
出久もかなりの無茶をしてきたつもりだが、ジルのあの無茶な勝利を見てから大きな不安を抱えていた。
あの時のジルは足元が溶けて煙まで立っていたのに対して平然として芦戸に迫って見せた光景にまるで"自分の事など眼中に無い"様に見えたのだ。
出久も個性を使う度に負傷すると言うハンデを知りながら無茶をしてきたがあくまでも怪我前提で使っている過ぎず、命まで失っても構わないとは思ってはいない。
だが、ジルは自分の身が傷付き、溶かされかねないと分かっていながら酸の溜まりに足を入れて進んだ。
対抗手段があるのかと思いきやそのまま足元を酸に焼かれてしまい、対戦相手の芦戸にもかなり心配をさせていた。
「ジルの人格の問題なのですか?幾らなんでもアレは」
「いや、アーサーはあくまでも見守る立場に立ってやがる。……たまに身体を使ってやがるがな。彼奴の無茶はな……オリヴィア、つまり母親譲りでな。命の事まで考えないで動きやがるんだよ。何度もキツく言っても二人は馬鹿みたいに頑固でやると決めたら止まらない。オリヴィアも"無個性"だって言うのに複数のヴィランを相手に取り残された子供を助けたりしてな」
「え?貴方の奥さんは"無個性"?」
話の中、出久はジャスティスから信じられない事を聞いた。
母のオリヴィアが無個性、ジャスティスは霧の個性。
だったら、ジルは何故、切り裂き魔と呼ばれるナイフ無限出しの個性となったのか?
やはりもう一人の人格、アーサーに関係があるのかと思う中、ジャスティスは笑ってみせた。
「まぁ、気にするな。お前はお前で目の前の事に集中しな」
「え?不安じゃないんですか!?」
出久のその一言にエンデヴァーと一緒に立ち去ろうとしたジャスティスは止まると笑顔ではなく、何処か睨み付ける表情になっていた。
「不安にきまってんだろ?沢山、子供を愛してる親が心配しないなんてあるのか?彼奴の足が溶けそうになったのを見て飛び出しそうになっちまった。だが、踏み止まる事を選んだ。何でか分かるか?」
ジャスティスのその言葉に出久は静かに見つめる中、ジャスティスは睨み付ける表情から一転して笑顔になった。
「信じてるからさ。まぁ、彼奴も流石に要領は弁えてる筈だし、リカバリーガールもいると思えたからこそギリッギリで踏み止まったんだがな。なぁに、心配するな。体育祭が終わったら拳骨一発と説教をかましてやるさ。あまり親や友達を心配させんなってな。だからな緑谷。先ずは勝つ事を意識しろ。コイツのガキは手強いぞ~」
ジャスティスはそう言って高らかに笑いながら今度こそ立ち去って行く様に歩いていき、エンデヴァーは暫く出久を見た後、ジャスティスに着いていった。
出久はそんな二人の背中を見つめた後、自身の試合に望み、進む。
同級生であり、クラス最強であり、エンデヴァーの息子である轟焦凍が待ち構えるステージへと。
~side終了~