五等分の料理人   作:マスターM

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新学期

「お世話になりました」

旅館での仕事が終わり旅館の前で五つ子達の祖父に挨拶をする紫水。

 

「うむ。このまま家で働いてほしいが」

「すみません。なにせ自分の店があるもので・・・」

「分かっておる」

「代わりと言っては申し訳ありませんが、晴彦さんに言って頂ければ臨時のヘルプは可能ですので」

「その時は頼りにさせてもらうぞ」

紫水に対して評価が高い祖父は、紫水が返ってしまう事を残念に思っていた。

 

 

「船までまだ時間はある。この島の観光スポットの展望台に行くといい」

「展望台ですか?分かりました行ってみます。三日間お世話になりました」

「何時でも来てもいいからな。従業員としても、客としても」

祖父に展望台に行く事を勧められ、向かう事を決めた紫水はしっかり頭を下げ旅館から去る。その背中に何時でも来ていいと言う祖父。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「此処が展望台か」

祖父に言われた展望台に来た紫水は展望台に設置された鐘を見ていた。

 

「この鐘になにか意味はあるのか?」

紫水が鐘について考えていると、タッタッタッと誰かが駆けてきた。

 

「・・・おおっ!?」

その誰かとカランカランと鐘を鳴らす紫水。

 

「・・・おい」

紫水が唖然としている間にその誰かは走り去ってしまった。

 

「全員が五月の格好かつ、一瞬すぎて誰かわからなかったな」

紫水は誰か考えるのを諦めて鞄から観光パンフレットを取り出した。

 

「『誓いの鐘』この鐘を二人で鳴らすと、その男女は永遠に結ばれる、か」

パンフレットに書かれた事に少し考えこむ紫水。

 

「今考えても仕方ない、今度それとなく聞いてみるか」

そう言い紫水は船着き場に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カレンだーは四月に入り春休みの終わりと共に新年度が近づいてきた。

中野家では・・・

 

「ついに来週から三年生だね」

まだまだ手放せない、というか足放せないこたつに入った三玖が言う。

 

「私達が最上級生ですか」

「進級できて本当によかった」

それぞれ感慨深く言う五月と二乃。

 

「みんな!これからも頑張ろうっ!」

四葉はますます元気いっぱいだ。

そんな妹達を前に、一花がニコニコしながら唐突に宣言した。

 

「うんうん。ところで、来週からお家賃を五等分します」

ぽかーんとしてい三玖と四葉に非情な条件が追加される。

 

「払えなかった人は、前のマンションに強制退去だから。皆で一緒にいられるように頑張ろう!ということで、よろしくね♪」

有無を言わせぬ笑顔で妹達に絶対服従を強いる一花。

そんななか二乃が反撃にでる。

 

「あらだったらアタシが五分の一どころか、半分いえ、8割出そうかしら?」

「え!?いや二乃はもう少し入れる額を減らしてもいいかなーなんて・・・アハハ・・・」

実は二乃は紫水の店に働きに入り初給料で家賃の五分の一以上の金額を一花に渡していたのだ。しかも新学期に入る為二乃の地位は班長補佐になるため、給料も増える為、もらい過ぎは長女の威厳に関わると、家に入れる家賃の減給を頼んだ。

 

「アンタ達2人は早く探さないと、強制退去になるわよ?」

鬱憤が下がった二乃は、三玖、四葉に向かって容赦ない言葉を言った。

 

「シスイに連絡する!」

「私も!」

慌てて紫水に連絡をとる三玖と四葉。

 

 

なお三玖は上杉が働いている、向かいのパン屋でバイトする事になり、四葉は清掃員のバイトを始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

新学期になり紫水は張り出されたクラス一覧を見ていた。

 

「これはこれは中々面白い事になるな」

その紫水の見ているクラス表には・・・

 

3年1組

上杉 風太郎

東雲 紫水

中野 一花

中野 五月

中野 二乃

中野 三玖

中野 四葉

となっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「五人揃うと圧巻だな」

「まさかね全員一緒なんてね」

「ホント驚きよね」

「うん」

「皆一緒でいいじゃん」

「そうですね」

同じ教室に勢揃いの五つ子達と話す紫水。

 

「シスイ君といるから他の子達が近づいてこないね」

「そうね紫水には悪いけど人避けになってもらうわよ」

一花が言う様に五つ子に興味深々なクラスメイト達は五つ子達に話しかけたいが、紫水と話している為遠巻きに見ているだけだ。

 

「うん揉みくちゃにされそう」

「潰されそうになるかも」

「確かにありえますね」

三玖も四葉も五月も紫水に悪いと思いながら言う。

 

 

 

「東雲羨まし・・・」

「東雲死すべし・・・」

「ウホッいい漢」

男子達は紫水に呪詛を唱えていた、一部危険な奴もいたが・・・

 

 

 

因みに席は

       教壇

 

        

    一花  

    上杉 三玖 四葉

    五月 紫水 二乃

 

 

となっている。

 

「はーい席について」

入って来たのは去年紫水と二乃の担任だった木村だった。

 

「今日から貴方達は三年生です。最高学年になった自覚をもって、後輩達に示しのつくような学校生活を送るよう心掛け・・・」

何故か指されてもいない四葉が立ち上がり、ビシッと手を挙げている。

 

「え、ええっと・・・」

「四葉です。うさ耳リボンが特徴です」

「ありがとう東雲君。中野四葉さんなんですか?」

木村が誰かわからないのを察した紫水が言うと、木村は紫水に礼をいい四葉に聞いた。

 

「このクラスの学級長に立候補します!」

教室内に静かなどよめきが走る。しかし四葉はいたって本気の大真面目だ。

 

「ええー・・・まだ誰も聞いてないんだけど・・・」

「そこをなんとか!やらせてください!」

困惑気味の木村に頭を下げて拝み倒す四葉。

 

「反対もしてないんだけど・・・まぁ、他にやりたい人はいないなら」

四葉はしてやったりの顔でニカッと笑い、意気揚々と教壇の先生の隣に立った。

 

「皆さん!困ったら私に何でも言って下さいね!」

「それじゃ男子のほうも決めときましょうか。立候補する人はいますか?」

「いますか?」

木村のあとに続いて、語尾だけ復唱する四葉。

「推薦ですよ」

「いいですよ」

 

(もー四葉ったら・・・恥ずかしい・・・)

一花が苦笑いを浮かべ、赤くなった顔を手でパタパタあおぐ。

 

(今夜おかず抜きね)

二乃は四葉への罰を決めた。

 

(恥ずかしい)

三玖は顔を赤くし縮こまる。

 

(これはお説教ですね)

五月はそう決意した。

 

「男子の学級長なんて決まってんだろ」

「まあ、武田しかいねーよな。期末で一位だったし」

男子の間でそんな意見が出た。

 

「フ・・・全く、やれやれ」

最後列に席に座った男子生徒が、ファサッと前髪をかき上げた。まんざらでもなさそうにキラキラ笑顔を振りまいている。

彼は上杉のせいで万年二位だったが三学期期末試験でついに一位の座を手に入れた秀才である。

 

「でも期末で一位は東雲もだろ?」

「確かに東雲も一位だった」

二年で紫水と同じクラスメイトが言うと、武田の笑顔が固まった。

 

「それを言うと東雲が学級長か?」

「馬鹿!それじゃ東雲の飯が食えなくなる可能性がある!」

「それだけは嫌だ!」

紫水が学級長になることのデメリットを聞き、教室内は先程の静かな雰囲気から一変騒がしくなった。

 

「えー!皆落ち着いて下さい!東雲君は各委員には入れません!!これは学校からの決まりです!!」

騒がしくなったクラスメイト達に言う木村。

 

「そうなんですか?」

「ええ。委員になると私達職員会議の時のおやつがなくなる・・・あ」

本音の理由を思わず言ってしまう木村。

 

「えー!ずる!」

「だから会議前は前まであんなに憂鬱そうだったのに」

「東雲君のおやつがでるようになって」

「会議前はあんなにルンルンになったのか」

木村の本音にクラスメイト達の非難のヤジが飛ぶ。

 

「はいこの話は終わり!!男子の学級長を決めましょう!」

無理矢理話題を変えた木村は流れを変える為チラッと四葉を見た。

 

「先生!私学級長にピッタリな人知っています!」

意図を理解したかどうか分からないが四葉が自信満々でそう言った。

武田は再びキラキラ笑顔で指名を待つ。

しかし、四葉の手先が向いたのはーーー

 

「上杉風太郎さんです!」

「はぁ!?(四葉・・・なんてことを・・・勉強の足枷でしかないだろ)」

上杉はギョッとして勉強の手を止めて立ち上がった。

 

「それじゃ他の係も決めましょう」

「先生!俺はやるとは言ってません!」

猛然と抗議する上杉を武田がキラキラ笑顔で意味あげに見つめていた。




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五月をLe lienで働かせるか

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