セブルスに成り代わって平穏に生きてみる   作:dahlia_y2001

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セブルスに成り代わって平穏に生きてみる7-7(完)

 

 

 

セブルスに成り代わって平穏に生きてみる7-7(完)

 

 

 

「貴様か!!貴様だったのか!!」

 

肖像画のダンブルドア校長、その感情のまま吾輩を罵る様はとても大戦の英雄とは思えない。

 

 

ドガガガガガガ!!

 

 

無数の氷槍が一気に肖像画を貫いた。肖像画のダンブルドア校長に悲鳴を上げる暇も与えず、二度、三度と氷の攻撃が続く。これは吾輩の意志ではない。吾輩の精霊が自ら攻撃を放ったのだ。契約精霊は契約者を全力で守る存在なのだから当然である。

珍しく実体化している水の精霊は憎々し気に元・肖像画の辺りを睨みつけている。

 

これは吾輩の失態だ。

 

己の契約精霊に守ってもらうなど、子供でもあるまいし情けない話だ。執拗に攻撃を続ける水の精霊を宥める。

 

「もう良い。吾輩は大丈夫だ」

 

水の精霊は不安そうに不服そうに吾輩を見つめ、ゆるりと姿を消した。

そして、吾輩は自身の背にへばりついているルーナを見下ろす。かすかに吾輩とルーナの周囲に風が舞っているのは―――ルーナがどうにか結界を張っているからだ。ごくごく弱い結界で、役に立っているかというと微妙だけれど。その気持ちは嬉しい。

 

「ミス・ラブグッド。結界を解除したまえ。敵は殲滅した」

 

吾輩越しに元・肖像画の辺りをルーナは確認して一つ溜息を零した。風の結界は解け、かき消える。ようやっと、ルーナは吾輩から離れた。

 

「助かった。感謝する、ミス・ラブグッド」

「いいえ、センセ」

 

ルーナは照れて笑う。役に立てたことが嬉しいらしい。

 

「いやはや、無事かね?」

 

スラグホーンがわたわたと言った。インドア派のスラグホーンは戦闘センスが低いようだ。とはいえ、優れた魔法使いが皆々、優れた戦闘センスを持ちあわせている訳ではない。

スラグホーンは吾輩たちにソファーを勧め、安らぎの水薬を渡した。有難く、それを頂く。水の精霊が即攻撃したので、心臓の痛みは一瞬だった。水薬を飲むまでもないだろうが、スラグホーンとルーナが心配するので大人しく飲むことにしたのだ。

スラグホーンは気を遣ってお茶をご馳走してくれる。スラグホーン自身も気を休めるお茶が必要だったのだろう。

 

「スラグホーン校長、不可抗力とはいえ校長室での攻撃、申し訳ありません」

 

悪いことをしたとは思っているので吾輩は謝る。肖像画はともかく部屋の破壊は謝罪に値する。ちらりと一同は元・肖像画のあたりを見やる。そこはむき出しの壁になっていた。肖像画自体は木っ端みじんだ。焚き付けにも使えない程に壊されている。ついでに水浸しだ。なお、他の肖像画の校長たちは流石、歴代校長だけあってきっちり逃げていた。今は興味深げに、野次馬根性丸出しで元・肖像画のあたりを見物している。呑気なものだ。

 

「仕方あるまいよ。気にすることはない、セブルス。私もあのようなアルバスを見ることになるとは思いもしなかった」

「センセ、ダンブルドア校長のアレはどういうことだったのでしょうか?」

「さあ、吾輩は肖像画の仕組みはよく分からんから何とも言えないが―――」

 

原作ではヴァルブルガ様の肖像画がヒステリックに怒鳴っていたとあった気がするし、一時の感情が乗ってしまうのではなかろうか。だとすると、ダンブルドア校長の肖像画が直前の感情、不死鳥の騎士団再結成頃の感情が一番強かったのでは?不死鳥の騎士団はあの頃、やることなすこと上手くいっていなかったから、その原因が―――吾輩の質問から―――吾輩と思い込んで攻撃してきたのではないか?誤解だけど。吾輩、特に何もしていないのだし。

 

「肖像画は描かれた時の感情をより残していると思われる。あの頃、不死鳥の騎士団は評判が良くなかったから、校長は吾輩の言葉に激高したのだろう」

「そう考えると色々と納得できる。肖像画は描かれた時の感情が乗る―――セブルス、レポートを書いて提出したらどうかね?」

「ただの思いつきですからな。それはそれとして、ここの修繕費はプリンス家から出します。出させて下さい。また、ダンブルドア校長の肖像画は・・・」

 

こちらで用意するのは簡単だが、また襲われてはかなわない。精霊使い憎しで、在校のネビル達精霊使いに危害が加えられる可能性もゼロではない。とはいえ、ダンブルドア校長にはホグワーツに肖像画を残す権利がある。どうしたものか。肖像画、肖像画ね。

 

「ダンブルドア校長の肖像画はこちらで用意させて下さい」

「セブルス、大丈夫かね?」

「ええ、よい方法を思いつきましたので」

 

にっこり笑って吾輩は請け負ったのだが、なぜかスラグホーンとルーナは微妙な顔をしていた。失礼じゃないか?

 

 

 

 

吾輩が教職を辞した後、教え子たちのこと。

 

 

まず、原作主人公ハリー。

ホグワーツ卒業後、ハリーはポッター分家の助力を得て、ポッター本家を継いだ。ただ、養い親シリウスが健在なため、シリウスとポッター分家が対立してしまい間に挟まれたハリーは苦労しているようだ。ここでシリウスが当主教育を受けていれば、ハリーの助けにもなっただろうが、昔、シリウス自身が拒絶していたのだからどうしようもない。シリウスに養い親面されるとか、ポッター分家の皆には同情を禁じ得ない。大体、シリウスは働いているのだろうか?

ハリーが学生の頃ならば、吾輩も助力の一つもせねばならないが、成人したので手を引かせて貰う。厄介ごとは御免だ。ハリーには頑張ってもらおう。

 

同じくマルフォイ家を継ぐドラコ。

ドラコがマルフォイ家を継ぐのは既定路線。とはいえ、ルシウスが現役なのでドラコの負担は少なかろう。ドラコは自身の研究を進めているとか、癒者の素質があったようなのでそちら方面で才能を開花させることだろう。

 

土の精霊使いネビル。

ネビルは薬草学教授になった。やっぱり、スプラウト教授に取られてしまったが、ネビルの素養からみればこれが最善か。しかし、取られた気はするのだよな。

 

精霊学教授ルーナ。

ネビルの件もあって、ルーナに精霊学教授をお願いしていて本当に良かった。素養はともかく制御が甘いことが心配ではあったが、フィルチやネビルがいるから大丈夫だろう。大丈夫だよな?

 

トム・レストレンジ。

原作では大暴れのヴォルデモートもといトム・レストレンジは今、大人しく優等生をやっている。来年卒業したら、マグルの大学に進学するとか。最終的にレストレンジ家を継ぐのかな。ベラ・ロドルフォ夫婦はトムを可愛がっているので、トムが教職に就きたいと言えばそれを喜んで支えると思われる。

トムの人生は希望に満ち、自由だ。とても幸せなことに。

 

 

 

そして、蛇足だが、ダンブルドア校長の肖像画は吾輩がマグル界の画家に頼んで作成。スラグホーンへ渡した。

スラグホーンはマグルの肖像画に目を丸くし、それから大笑いした。

 

「流石だ、セブルス」

 

 

 

こうして、吾輩の平穏なホグワーツ生活は終わった。

今更だが、吾輩も原作知識には振り回されていたのかもしれない。良くも悪くも知識はこちらの行動を左右させる。そういう意味で、これから先の知識がないことは吾輩にとっても自由を意味するのだ。

 

 

 

 

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