仕事上かなり暇になったので筆がそれなりに進みます。
これからもよろしくお願いします。
番外編の方は一端筆休みさせていただきます。
あとようじつ本編に合流するのに次話ぐらいです。
少々お付き合いください。
「……!いや待て………で……しかし…」
「……も………な……それ………夫?」
「……が…………症……無…す……で」
声が聞こえる。
あくまで聞こえるだけ。
内容は分からない。
そのうちの1人はつい最近聞いた声に近い。
他2人の声は知らない。少なくとも聞いたことのない声。
1人は男性の声。低さからして成人はしているだろうか。
もう1人は女性の声。凄く凛とした声の持ち主。恐らく凄い美人だと思う。
「(でも本当に何の内容で話しているんだろ…?)」
意識を3人に傾ける。
盗み聞きしているようでちょっと罪悪感が…。
「…すか…、…女には…して……すれ…ば解決…す」
「…から…そ…は……人道…すぎる…て!」
「…が夫……方あり……ん。…らば……」
駄目だ。まだ聞こえない
「(あともうちょっと…)」
「「それで?何時まで盗み聞きしているつもりだ?」」
「え?盗み聞き…ってああ!佐倉さん目覚めたんだ!」
ビックリした…。本当にビックリした。あと藤丸…君?君だけだと思うの。此処で普通に人の心配をするのは。
「……えと、此処は?」
私の最後の記憶はDクラスの廊下からお姫様抱っこで飛び降りたので終わっている。……って!
「藤丸君!君廊下から外に飛び降りたよね!?大丈夫なの!?」
私のいるDクラスは校舎の4階に位置する。即ち彼はその高さから私を抱えて飛び降りたということになる。普通なら身体にダメージを負ってもおかしくないはずなのに。
彼はキョトンと顔をして、今気づいたかの様に「そういえばそうだったね」と続け顔を綻ばせる。
「大丈夫だよ!これでも鍛えているから!」
「いや…あの鍛えているからって言っても限度があると思うの…」
これは私が変なの?でもこれが一般の反応だと思うのだけど…。でも、綺麗な女性の人は「流石は我が夫。それくらい出来て当然です」って頷いているし、褐色の男性は「…いや彼女の言う通りなのだが…段々とうちのマスターも変わってきてしまっているな……どうしよう」と誇らしげな顔と苦虫を噛み締めた様な顔のミックスで俯いていた。
って今我が夫って言った?藤丸君結婚してるの?というか自分の奥さんを学校に連れてきてるの?
ちょっと馴れ初めとかを質問しようとしたタイミングで、「コホン!」と咳払いをする男性。
「そろそろいいかな?まず君…佐倉…さんと言ったね。君はこの状況を理解していると思っていいのかな?」
その言葉に、気を失う前の記憶が蘇る。
そうだ…授業の間に着物の女性に問い詰められ、黒い服の女性に手と口を塞がれたのだった。
何となく察しがつくのでコクリと頷く。
「結構。では君はこれからどうなるかわかるかい?」
「……口封じ…ですか?」
「……当たらずとも遠からず…と言ったところか。君には私達と契約をしてもらおうと思う」
正確には私達ではなく、此処にいる彼とだが。と男性は続ける。彼というのは藤丸君の事だろうか。
「契約…ですか?」
「ああ…詳しくはコレを確認してくれたまえ」
そうして何処からとも無く取り出した1枚の書類。それにはこの様に記載されていた。
契約書
私、佐倉愛理は貴殿(藤丸立香その関係者含む)に対し、以下の通り誓約いたします。
記
1.彼に関する情報を周囲に知らせるのを禁ず。ただし本人の口から伝えても良いと言われたことはその限りではない。
2.彼の事を嗅ぎ回ることを禁ず。ただし、本人の口から漏れた情報はその限りではない。
3.上記の記載に関連する事象が身に降りかかった場合、個人で抱え込むことを禁ずる。
以上
尚上記の事が守られる限り、藤丸立香(関係者含む)の力を持って貴殿の学生生活を守ることを約束する。尚、この効力は貴殿が卒業までとする。
「……えっと」
「君の言わんとする事はわかる。しかし、我らがマスターがコレで良いと言うのだから仕方あるまい…。」
単純に文面通り考えれば、「周りには内緒にね!」「探らないでね!」「抱え込まないように!」「そのかわり卒業するまで守るよ!」ということになる。
「……………」
契約書を見つめるも、小さな文字で特に変なことが書かれているわけでも無い。あまりの不自然さに裏があるのではないかと逆に怖くなる。
「……あの」
「どうしたの?何か気になることでも?」
「この契約書に私に関わらないっていう文言はつけれませんか?」
「ゴメン。それは無理」
藤丸君から即否定の言葉が耳に伝わる。先程までの顔を綻ばせていた顔とは違い、凄く真剣な眼差しをして私を見つめている。
「申し訳ないんだけど、俺がこの学校にいる限り佐倉さんは何やかんや巻き込まれる可能性が出てくるんだ。だからそのお詫びとして君を卒業まで守るっていう、契約でもあるんだ。」
「まあお詫びとしては少し足りないかもしれないけどね」申し訳なさそうにする藤丸君。……何だそれは。貴方がいる限り私もトラブルに巻き込まれる?冗談じゃない。そんな理不尽あってたまるか。
頭に血が上りひと言文句を言おうとした所で、ある視線が私を貫き一気に落ち着きを取り戻す。
「………………」
先程からずっと無言のこの綺麗な女性。正面にいる藤丸君や褐色の男性とは違い、ずっと私を射殺さんばかりに視線を送っている。言わなくてもわかる。「何に不満があるんだ?早くサインしろ」と伝えてくるのだ。
「……………………っ」
身体が震える。文面通り見るのであれば良い契約なのかもしれない。でも、何故か私には悪魔の契約書に見えてしまう。
「…………それじゃあ!」
少しでも私にメリットを増やすべく、勢いに任せて声を張る。それに「なにかな?」と微笑む藤丸君。
「せめてこれに、私をAクラスで卒業させる!っていう文面を加えて下さい!」
図々しいのかもしれない。。でも、コレぐらいしてもらわないと気が済まない。だってそうでしょう?勝手に拉致られて、勝手に巻き込まて、強制的に契約書にサインをしろというのだから。
だが、彼―藤丸君はキョトンした顔で
「最初からそのつもりだったんだけど……」
「…………………………………ふぇ?」
その一言に変な声が出る。彼はあっけらかんと言わんばかりに、当然のように、極自然に、さもありなん、普通に、私をAクラスで卒業させるつもりだったのだ。
「まあその為に、佐倉さんにはせめて学力向上、身体力向上、とかとか色々と行ってもらいます。その分手厚くサービスするから。勿論俺も一緒にやるし」
「待てマスター。どうやら彼女は少々コミュニケーション能力が不足しているかもしれない。そのへんもカバーしたほうがいいかもしれん」
「そっか……それなら―――」
……何か私をどうにかする話を2人が既に始めている。え?コレって固まってるのって私だけ?イヤイヤ何か変だと思う。何が変かわからないけど取り敢えず変だと思う。
「ほら…早くサインなさい。でないと卒業保証つきませんよ」
「あ…はい」
契約書に自分の名前を書く。って卒業保証って言った?いや確かにそうなんだけど。
「…はい。コレで貴方のAクラス卒業は保証されました。あとは我が夫と一緒に学校生活を楽しみなさい。ただし自ら退学するような事はしないように。あと不安な事、困った事があれば逐次相談する様に」
「あ…はい。あの……」
「なんでしょう?」
「……さっきまでと雰囲気が違うのは何で…ですか?」
「?それはそうでしょうこの契約書は我が夫が貴方を守ると約束したもの。であれば我々もそれ相応の態度になるというものです。先程までの貴女は……あれです。害虫のようなものです」
「害虫……ですか。それじゃあもう一つ聞きたいのですけど――さっきから藤丸君を我が夫って言ってますけど…それは?」
「言葉通りです。彼は我が夫。旦那様。パパ。文脈通りの意味です。他の人が旦那様とか婚約者、彼氏、とかとか言いますが正妻は私です。勘違いした場合お仕置きしますので御覚悟を」
「……………ひゃい」
めっちゃ怖かった。凄みが増した。
「――佐倉さん…大丈夫?モルガン脅したわけじゃないよね?」
「マスターのご友人を脅すわけないじゃないですか。少々お話しただけです。そうですよね?」
私は慌てて首を上下に振る。スッゴイ笑顔だけど視線が「わかっていますね?」と訴えかけてきた。
「それじゃあ色々とこっちの事情説明するからついてきてくれる?」
「あ……はい。というか今更なんだけど此処って」
今更ながら周りを見渡す。ベッド、勉強机、と学校から支給された物はあるが、キッチンとか見当たらない。……何か違和感が。
「うん。察しの通り此処は俺の部屋。まあちょっと狭いから隣に移動しよっか」
「うん………うん?隣?」
基本1人1部屋の筈。だから部屋に隣もクソもないと思うのだけど?
佐倉愛理カルデア式魔改造スタート