投げ飛ばした神威はどうなっただろうか。多少ダメージが残っていれば幸運なのだけど……。
考え事をしていると、瓦礫が飛んできたので手で弾く。弾いたあとに、目の前を覆い尽くすほどの瓦礫が再び飛んできたので、赫子で防いだ。神威はこれを待っていたのだろうか。赫子を下ろした瞬間、どこかに潜んでいたのだろう、振りかぶった神威がそのまま拳を振り抜く。防御も遅れて、顔にモロに喰らってしまった……。
「なぁなぁ、その触手だよりの防御はナンセンスじゃない?視界も塞がるし、触手による攻撃もすぐに出来ないから、攻撃手段も減るだろうに……」
「やけに饒舌ですね……!」
「それもそうさ、俺が本気を出しても壊れない
「体力切れは望み薄か……?どんだけスタミナあるんだこの怪物……!」
「褒め言葉かな?嬉しいよッ!」
「喜んだなら満足して去ってほしいですけどねッ!」
1度目の神威との邂逅で、ユキムラ第弐は行方知れず。予備のユキムラも銀さんに渡してしまっている。格闘戦だけでは神威に勝つのは難しい……。
「それなら……ッ!」
「へぇ……。そんな事も出来るんだ。便利だね♪その触手」
赫子をユキムラの形にして、分離させる。柄もしっかり滑らないようにして、握る感覚もバッチリだ。数振りして、コレで戦えることを確信。今度はこちらから攻める!!
「この星はイイね。ハイセがいて、夜王に抗うサムライもいる。他にもイイのがいるのかな?」
「宇宙海賊がこの星……。この国に何の用ですか!?」
「あー、お上が考えてることはよくわかってないんだ。俺はただ、この本能の赴くままに闘争を楽しみたい。命懸けの愉しみだよ♪」
「戦闘狂が……!」
「それも褒め言葉♪」
赫子ユキムラと、拳。赫子と蹴りが交差する。現状はまだ渡り合えているが、僕はゆっくりとrc細胞が減っていく中、神威はどんどんとボルテージが高まっているようだ。先ほどに比べて技の冴えや攻撃の威力が高まっている。
こちらもとっておきはあるが、短期決戦用ではあるため、万が一ここで勝ったとしても、銀さんや新八くんや神楽ちゃんの援護に行けなくなるのはマズい。なにより、神威を自由にしてしまうと、皆のもとにこの化物兄貴が向かう可能性が高い。それだけは避けたい。
しかし、このままではジリ貧だ。時間稼ぎをした所で、目の前の相手は更にキレを増していく。それならば……。
僕は覚悟を決めた。目の前の男に勝って、皆のもとへ無事に戻る覚悟を……。僕は一度目を閉じる。そして、もう一度目を空けた時、僕の左眼はさらに赫く輝いた。