...こちらBTL-S8 Kウィング...何だ?
あぁ...この星にはスペースポートが無いのか...
それなら適当な場所に着陸しよう。
早く同胞達の元へ向かわないと...
MANDALOROAN
「あの...ラウルさん?アキさん?」
「前から...というか、初対面の時からずっと言ってるけどさ。
食事の時くらい外したらどう?」
リーネとナルヴィに言われ、2人の男女は被っているヘルメットを
上にずらそうとするのを止める。
ラウルと呼ばれる青年のヘルメットは両端に何かしらのパーツが
取り付けられており、頬部分の窪みが多い。
一方、アキと呼ばれる女性のヘルメットは窪みが少なく美しいまでに
鮮麗された形状をしている。
どちらのヘルメットは顔全体をスッポリと覆う形状なため、彼女らの
言う通り、飲み食いをするのが非常に面倒に思えた。
『い、いやぁ、こればっかりはどうしても無理な相談っすから...』
『教義としてこれを脱いだら、私達は道を外す事になるの。
だから、気遣ってくれて嬉しいけど、見る分には我慢してね』
「そ、そうですか...」
「まぁ、そういう理由なら仕方ないよね。
あの時の一件もあるし...」
いつもの返事を聞いて、2人は納得せざるを得なかった。
以前に悪ふざけで同僚の幾人かがヘルメットを無理矢理脱がせようと
した際、その全員が全治3ヶ月の重傷を負う程の返り討ちに遭わせた
事がある。
アキもやり過ぎたと反省していたが、話し合いの際に次にまた
ヘルメットを脱がせようとした時は容赦しない、と団長であるフィンに
問答無用で、そう答えたそうだ。
2人のヘルメットを脱がそうとするのは絶対に禁止、とファミリアでは
暗黙のルールとなっているのだ。
の、だが。
「ぃよぉおーーしっ!勝負に勝ったらラウアキのヘルメットを脱がす権利を付けたるでぇっ!」
「マジですか!?じゃあ、やってやるぜ!」
「俺もおおお!!」
「私も!」
「オレもだ!今度こそ素顔を拝ませてやる!」
『ちょ、ちょっと勝手に何賭けてるんすか!?』
「あ、じゃあ僕も」
『団長~~!?ホントに勘弁してくださいっすよ~!』
悪酔いしてロキが勝手に賭けるため、暗黙とは言えなくなっている。
慌てるラウルを余所に飲み比べが始り、アキは呆れてジョッキを
手にするとヘルメットを上にずらしてエールを煽った。
「ニャア!お客様1人ご来店ニャ~~!」
アーニャがクルンと軽やかに回転しながら来客を告げる。
それに気付いた数人の先客達が来客者を見て驚き、一緒に飲んでいた
仲間に見るよう促した。
ザワつき始める頃にはアキとラウルもそれに気付き、来客者を見て
動きが止る。
オラリオでは数少ない同胞が現われたからだ。
型が違えど元は同じヘルメットを被っており、小柄ながらも漂わせる
その風格は只者ではないとわからせるほどだった。
飲み比べに夢中になっているロキ・ファミリアの同僚達は気付いて
いないようだが、ラウルとアキだけは警戒している様に見えた。
その同胞はラウルとアキを見つけるや否や、マントを靡かせながら
2人に近付いていく。
そこでようやくリーネとナルヴィも存在に気付き、驚愕していた。
同胞はラウルとアキの目の前に立つと、2人は同時に立ち上がって
対峙した。
『...我らの道』
『『我らの道』』
それが合い言葉なのかわからないが、2人は頷き合って腰に下げている
武器から手を離す。
同胞は座るように手で示し、自身もそばに置いてあった椅子を
引いて座った。
『ラウル・ノールドとアナキティ・オータムですか?』
『そうっす。そちらは?』
『名乗らずに失礼しました、僕はベル・クラネル。
同じ民族の教義に忠誠を誓った者です』
『そうでしょうね。それで...用件は?』
『この度、僕はチェーンコードレコーダーになりました。
なので、2人のチェーンコードを確認させてもらえますか?』
2人は顔を見合わせて、驚いている様に見えた。
それからすぐに左腕の手甲にあるボタンを押すと、靄の様な光が
照射されて文字が浮かび上がる。
それはコイネーでもヒエログリフでもない、未知の文字であると
わかった。
『...確認しました。ありがとうございます』
『レコーダーに選ばれるなんて名誉な事っすね!
本気で尊敬するっすよ』
『でも...その代わりに代償が大き過ぎるわよね。
何か協力してほしい時があれば、いつでも頼って構わないから』
『そうですか、とても助かります。
では、早速ですが...このオラリオに他の同胞は居ますか?』
『この店に居るわ。...ほら、彼女よ。
名前はリュー・リオン。トゥルーだから話しかけて大丈夫よ』
『わかりました。では、失礼します』
『『我らの道』』
『我らの道』
合い言葉らしき言葉を返すとベルはお辞儀をして、その場を去り
リューの元へと近付いていった。
「えっと、アキ?ラウル君?
あの人、同じヘルメット被ってたけど...知り合い?」
『いえ、初対面っすよ。
でも、彼はすごい人って事に間違いはないっす』
『そうね。自分の一生を懸けるんだから...』
「え?そ、それは、どういう事ですか...?」
『彼は記録を更新するために選ばれたのよ。
私達、マンダロリアンの足跡を残すためにね...』
『その...確認していただきたいのは山々なのですが...
...リスト・ガントレットは壊れていまして...』
『...後日、修理してみましょう。何とかなるはずですよ』
『申し訳ございません...』
千年前に惑星マンダロアからの移民がとしてやってきた、小人族よりも少なく繁栄してきたマンダロリアン。
ベルくんは地球に訪れていたマンドーに拾われて入門し、義賊的な賞金稼ぎをやってる。
続きは書きません。