最後の贈り物は幸せなBADENDとしよう   作:勝てなくても努力して勝つのが好き

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教育教育教育教育教育教育教育教育
指導指導指導指導指導指導指導指導
な、回です。


5-4

 アリアからしこたま怒られて一緒にご飯食べて一緒に寝て、アリアの学園への見送りをした後で、今日も今日とて仕事だ。サクヤさんの所から記録媒体をパクるのはディアウス・ピター討伐時でいいけど、ディアウス・ピター討伐にはまず居所を偵察部隊が見つけるところから始まるわけで、それまでの期間は私は予定通りシオの調教をすることにした。

 

 まずは榊博士との調教内容の打ち合わせだ。

 

「ニーナ君としてはどういう教育から始めるつもりかな」

 

「人喰いの禁止は偏食があるので不要と考えると、私の声への反応と、移動禁止区域の設定を徹底させて、この件の露見を防ごうかと。

 

 それが終われば仮に特異点として機能した時の保険として、星を回帰させるときにシオの意思で回帰させる形を反映させるために、星の美しい形の教育ですかね」

 

「初動教育は問題無さそうだ。星の美しい形とは、具体的に言うと?」

 

「紀元前2000~1年辺りがいいんじゃないかと思います。年代的には極東風に言えば縄文~弥生時代辺りですかね。

 もしかしたら人だけを喰わずに星だけを再起させてくれるかもしれませんから。それより前だと植生環境を始めとした人類生存可能性の予測が困難で教育の資料が足りないんじゃないかなと」

 

「たしかにターミナルのデータベースに遺っている物や本部から資料を取り寄せるにしてもその辺りが限界だろうね。下手に近代に戻らせてもオラクル細胞の再誕が早まるかもしれないし、終末捕食のシステム上その程度の回帰では止まることを許されないかもしれない。

 

 うん、星の観察者(スターゲイザー)の私としても、その辺りがいい塩梅だと思うよ」

 

 榊博士から了承も得られたことだし、早速シオに餌を上げながら私からの指示は聞けるようにしなきゃ。

 その前にまずは普通に話せるように言語の習得からだね。

 全身オラクル細胞な時点でここのパートにそこまで時間はかからないと踏んでる。原作でも長くない第一部隊と榊博士との交流だけであれほど流暢に話せるようになるんだから、私がある程度付きっきりで詰め込み続ければより速い習得も見込めるだろう。

 

「それで、シオは今どこに隠してるんですか?」

 

「ああ、こっちだ」

 

 榊博士がタブレットを手元の弄ればいつも座っている場所から右斜め後ろの本棚が動き、その後ろにある隠し扉が姿を現した。

 ……あの扉は原作と同じ場所にあるんだね。よかった。

 

「にしてもこんな大袈裟な工事をいつ?」

 

「こういういざというときの為に、昔から造っていただけさ」

 

「よく隠し通せましたね」

 

「君の様に視えすぎる人が居なかったからね」

 

「うわ、盲人いじりですか? やめてくださいよ」

 

「分かった上での自虐は悪辣だと思うよ」

 

「アハハ、冗談ですよ、冗談」

 

 軽口の応酬をしたところで考えるけど、本棚の後ろにシオの隠し部屋があったのは原作知識でわかっていたけど、何故かユーバーセンスでは本棚の後ろを知覚できなかった。

 加えて言うなら今本棚がどいて、扉は知覚できるようになってるけど部屋の広さとかはまるで分らない。ただの壁として私が知覚してるのは問題かな。

 私のユーバーセンスは風で揺らいでる物や生きている物を強く感じる。壁や小石みたいな無機物は自分の近辺であればわかるけど遠くになればなるほど理解が薄くなる。

 感覚としては前世のMAPアプリを縮小した時のに近いかもしれないね。自分の周囲はズームしてて見えるけど……みたいな。

そんな状態なわけで、今目の前にある扉の向こうが知覚できないなんてのは初めてなんだけど……。

 

 まぁ、他にも隠し部屋があるなら問題だけど、そういうわけじゃないだろうし深堀する理由もないかな。

 食事用のコアを入れたオラクル細胞運搬専用のバケツを手に取り、扉を開ける。

 

「シオ~ゴハンだよ」

「イタダキマス!」

 

 部屋に声をかけながら入るや否や。口端から涎を垂らしながら私に、いや、私の持っているバケツ目掛けて飛び掛かってくるシオの腕を取り、クルリと一回転。部屋の奥の壁に叩きつける様に投げ飛ばす。2日前に餌を食べる時の作法は教えたはずだけど、忘れちゃったかな?

 

「ウゥ~? ゴハン~!!」

 

「ああ、ちょっとお腹が減ってるんだ。健啖家だね」

 

 声量を上げて餌の催促するシオの様子に少しばかり納得する。

 飢餓とまではいわないけど普通に空腹みたいだね。叩きつけれられた壁から、身体のバネを活かして再度飛び掛かってくるシオの頭を掴み今度は床に伏せさせる。

 

「シオ、思い出して。ご飯の時は、お座りといただきますはセットだよ」

「ニーナー! ゴーハーンー!」

 

「お座りだよ、お座り」

 

「……オス、オスワリ?」

 

 手の下で暴れるシオを持ち上げて足を折らせるようにして無理やり座らせる。

 そうすれば大暴れしていたシオは驚くほど大人しくなった。

 飼い犬の躾にはまず舐められないことが大事ってことで厳しめに接しているけど、急にこんなに落ち着くものか? 

 それか、こちらの雰囲気や意図を察する能力まである? あるいはシオが構成しているオラクル細胞がかつて喰らったであろう人の記憶を参照してるのか。疑問が尽きないけど、大人しくなったならいいことだ。

 

「お座りできたね。じゃあご飯どうぞ」

「ゴハン! イタダキマス!」

 

 大人しくなったシオの前にバケツを差し出せば、掌をバシリと合わせていただきますを言うやいなや、バケツの中のコアを手で掴んで齧り付く。

 あまりにも美味しそうに喰べるので、飢餓状態になったら今の私なら喰えるやもと思わないでもない。絶対喰べないけど。

 

「行儀が分かってきたかな? 偉いねシオ」

 

 餌を喰べるシオの頭を喰事の阻害しない程度に撫でる。

 飴と鞭の割合を間違えちゃいけない。出来たら褒めて出来なかったら躾ける。これは基本だね。

 余りにも厳しすぎると人類へのヘイトが溜まる可能性もあるし、ね。

 

「正しく躾、といった様子だね」

 

「当然ですよ榊博士。

 この子は貴方からすれば人類とアラガミ共生の未来ですが、アラガミが人類の味方になることは無いと私は考えていますから。生かしていいアラガミは利用価値のあるモノだけですよ。……これは私たち神機使いを含めてもですけどね」

 

「フェンリルが、というか既存人類はゴッドイーターに依存しているんだ。たとえアラガミの脅威がこの世から無くなったとしても、キミたちを迫害するなどあってはならないことだ」

 

 隠し部屋の扉の向こうから榊博士が話しかけてくるので、少しばかりダークな話で軽く振ってみたけど、相変わらず言うことだけはキレイな人だ。

 

「倫理面で見ればそうですが、神機使いの身体能力、それらが据え置きのままであれば超人ですから特権階級になりえます。それは人類全体からしたら悪い考えが生まれるきっかけになるでしょう。今ですら外部居住区の方たちの中には我々をよく思わない人も居るし、神機使いのなかにも利己的な人や幼稚な人、悪辣な人だっている。

 

 とてもキレイごとの理想論だけでは団結できませんよ。人間の社会性は敵を排することに特化しすぎていますから。だから平和を作るには戯けた事を言う人には力を持たせず、黙殺するだけの力を倫理観がある側の人間が持っておく必要があります。

 

 ……まぁ、アラガミが実際に絶滅させれるわけでもないのなら思考実験の域を出ない話ですけど」

 

 そもそも現行人類が神機使いと戦う場合、神機使い一人殺すのに一般人が何人いようが殺せないだろうし、重火器を持つ軍隊が出張るレベルだけど、ニーズの少なさから既にこの世界に遺されている重火器自体の数が少ないし、それの扱いを多くは知らないだろう。それに仮にそれで神機使いが全員殺せても次はその重火器の奪い合いが始まるだけだろうし、現行人類の皆様は一旦ある程度数を減らさないと再興できないんだろうな。

アーク計画が成功すれば神機使いも一般人に戻るはずだし、精々ソーマくらいじゃないかな。力持ちのまま生きれるのは。

 

 ……シオの喰餌時間が暇すぎて思考にまとまりがないな。

 

「……ニーナ君は、この世界に希望は持てないかい?」

 

「まさか。私にはアリアがいますから。

 あの子が健やかに生きているうちはこの世は希望に満ちています。

あの子が元気に生きるためにアラガミだっていくらでも殺します。

 あの子の未来を護るためならなんだってやれます。

 

 あの子の人生の邪魔をするものは、誰であろうと容赦しません。

 それがたとえフェンリル上層部でも、支部長でも、榊博士でも、アナグラの神機使いでも。……ソーマでも、それは変わりませんから。

 

 だから、榊博士。アリアにだけは手を出しちゃダメですよ?」

 

 グルりと、首を回して榊博士に目を向ける。

 私の眼はもうほとんど見えていないけれど、釘を刺してるんだぞと、それがしっかり分かるように語り掛ければ、一筋の冷や汗が首の裏に流しながら頷いてくれた。

 

「私は非道にストップをかけこそすれ、自ら非道な手を取ったことは無いし、取るつもりもない。上に邪魔されない為に、卑怯な手は使うかもしれないがね? 

 それに私自身アリアくんには期待しているんだ。変な手出しなどするわけもないさ」

 

「なら、いいですけど」

 

 榊博士の言葉を聞いて、シオの方にフイと向き直れば、丁度食べ終わったらしい。

 餌と指示を結び付けてもいいんだけど、そうすると予後が悪そうだし、根気強くお座り・待て・おいで・ダメを覚えさせるところからかな。

 

 部屋の奥の壁際に立ってシオに声をかける。

 

「シオ、おいで」

 

 シオ、というのが自身の名前だとは認識してるんだろう。

 シオの音で私の方を見ているし。……いや私の声、ないしは音に反応してる可能性もあるのか。

 感応現象で言葉を教えるのが一番速いんだろうけど、また死にかけるわけにはいかないしナシかな。

 

 だけど『おいで』には当然反応してくれないからそこはこれからか。

 

「シオ、おいで」

 

「ゴハン?」

 

「違う。おいで」

 

 目の前の床を手でトントンと叩きながらここに来るように示せば、 シオも私の動きを見て自分の目の前の床をバシバシ叩き始めた。

 ……ミラーリング学習のが早そうだね。

 

 シオが叩いてる床まで歩いていき、止まる。

 

「来たよ。私、ニーナが、シオの所に来た。次は、シオが来る番ね?」

 

 身振り手振りを交えながら伝え、また壁際まで歩き、シオを呼ぶ。

 

「シオ、おいで」

 

「ウ~ン……」

 

 シオは少し悩ましげにうなった後、私の前まで来た。

 成功だね。やっぱ学習のさせ方はミラーリング、真似させる方が早いかな。

 

「よく出来ました。シオ、私、ニーナの所に、来たね」

「シオ、ニーナ、キタ!」

 

 はしゃぐシオの頭を撫でる。

 どうやらこの行為に不快感はないようで、目を細めてなされるがままだ。

 人類という自分と似た個体とコミュニケーション経験が少ないから嬉しいのか? 感情を抱ける程に知能が発達してるかはまだ分かんないから要観察か。でもこの行為が報酬になるなら予後もいいっていうか、他の調教の時に悪さしないだろうからこのまま行こうかな。

 

 榊博士は入り口からこちらを観察し、記録を取っている。榊博士が詳細に調べてくれるほど、私たちのアーク計画でシオを使いやすくなるんだし、精々研究してもらおう。

 イケナイな、未来のことに思いを馳せると口角が上がっちゃう。淡々と、アリアの為の世界を創らなきゃ。

 

「シオはすぐに言うことが聞けて偉いね。そこらのモブとは大違い」




5-Xは特異点の調整をしていく編になります。
キミだけの特異点を作ろう!

みんなはハッピーエンド好きですか?

  • ハピエン厨ですけど
  • どっちでも美味しく食べれます
  • いや、バッドエンドの曇り顔が輝くね
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