プロレスこそが最強の格闘技?   作:ネコガミ

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最終話『プロレスは最高の格闘技です』

 範馬家の親子喧嘩、そして勇次郎さんと喧嘩をしたあの日からおよそ3年の月日が流れた。

 

 刃牙君とジャックは克巳君やJr.と同様に地下闘技場のファイターとなって日々研鑽を積んでいる。今では4人共にAランクのファイターとなり鎬を削り、入れ替わる様にしてチャンピオンの俺に挑戦をしてくる。

 

 刃牙君も成長しているけど、それ以上に成長したのはジャックだ。なんとジャックの背中にも勇次郎さんと同様に鬼の貌が現れる様になった。もっとも、ジャックは勇次郎さんの様に自分の意思でその状態になれないので、今はそうなれる様に日々奮闘している。もちろん刃牙君も負けじとね。

 

 なんとなくだけど刃牙君もそう遠くないうちに、背中に鬼の貌が現れる気がするんだよなぁ。

 

 楊さんはうちの団体からプロレスラーとしてデビューし、その打たれ強さを全面に出してファンの人達を楽しませている。ちなみに彼のプロレスラーとしての得意技は延髄斬りとシャイニングウィザードだ。

 

 師父と永周さんとは以前と変わらず年に2回の交流を続けていたんだけど、去年から2人共日本に拠点を持ってそこで暮らし始めた。理由は地下闘技場に興味を持ったから。2人の満面の笑みが印象深かった。

 

 独歩さんは例の菩薩の拳を完成させると勇次郎さんと喧嘩をした。結果は勇次郎さんの勝ち。独歩さんは負けはしたけど特に後遺症もなく、また修行をし直して挑むそうだ。

 

 勇次郎さんは新たな家族……息子さんや娘さん達に一見すると分かりにくいんだけど相好を崩している。ただ育児のストレスってわけじゃないけど、万が一にも力加減を間違えない様にと年に2回俺と喧嘩をしているのが現状だ。なんとなくだけど、刃牙君とジャックが勇次郎さんの喧嘩相手を十全に務められる様になってもこの関係は続くと思っている。家族との触れ合いと友人との喧嘩は別腹って感じでね。

 

 そして俺だけど高校卒業と同時に翔子ちゃんと結婚。既に娘が1人いるし、更に今翔子ちゃんのお腹の中にもう1人いるから2児の父になろうとしているところだ。

 

 他には高校卒業してからも20歳まで身長が伸び続け今では身長227cmとなり、体重は200kgを超えた。その結果、本業のプロレスの方でマッチメイクが大変だと猪狩さんがよくぼやいている。だからといってエキジビションの相手に自分を捩じ込むのはどうなんだろうか?まぁ、プロレスファンの人達は猪狩さんがリングに上がることに大喜びしてるけどね。

 

「地上最強トーナメント~?」

「うむ、そうじゃ」

 

 そんなこんなである日、不意に徳川の爺さんに呼び出されるとそう告げられた。

 

「儂が目を付けた猛者達を流派や競技の枠を越え集め雌雄を決する一大トーナメントよ。良意、お主も参加せい」

「ふ~ん、いいよ。出すもの出してくれれば」

「よし、言質は取ったぞ」

 

 正直に言うと朱沢グループが俺の個人スポンサーになってくれてるから、出すもの出してくれなくてもいいんだけど、こう言っておかないとこの爺さんは際限なく好き勝手に振り回してくるんだよね。まぁ、出すもの出させても大して変わらないけど、タダ働きをするよりはマシだよね。家庭の事を考えればお金は幾らあっても困らないしさ。

 

 そう考えていると徳川の爺さんは部下の人にあれこれ指示をし始めた。どうやら本気でさっき言ったトーナメントを開催するつもりらしい。生まれながらの金持ちの行動力は凄いねぇ。

 

「ところで良意、1つ聞きたいことがある」

「なに?」

「御主にとってプロレスとは何じゃ?」

 

 首を傾げると徳川の爺さんが話を続ける。

 

「世の中には空手や柔道といった具合に様々な武道や格闘技がある。そんな中で御主はプロレスをやっておるわけじゃが……御主にとってプロレスとは何じゃ?」

 

 顎に手を当て考えるが、俺にとってプロレスとは何かの答えは1つしか浮かばなかった。

 

「徳川の爺さん、俺にとってプロレスは『最高』の格闘技だよ」

「最高?最強ではなくか?」

 

 徳川の爺さんのそんな疑問に頷いて肯定する。

 

「打撃、投げ、関節技に締め技、果てには凶器を使った攻撃まで受けて魅せる。こんな格闘技は他にはないよ」

「ふむ、確かに……ではプロレスを最強ではなく最高と言った御主にとって最高のプロレスラーとは?」

「あいにく、それはまだ探している最中だよ」

 

 猪狩さんや斗羽さんといった偉大なプロレスラーだけでなく、まだ練習生のプロレスラーの卵達にだってそれぞれの最高のプロレスラー像がある。もしかしたら猪狩さんや斗羽さんもまだ見つけていないかもしれない。

 

 でも、だからこそ面白い。

 

 魅せつける。自分の凄さを。相手の凄さを。

 

 こんな格闘技は他には無い。

 

 こんな面白い格闘技は他には無い。

 

「それじゃ、そろそろ帰るよ」

「飯を食っていかんのか?」

「家族と食う飯以上に美味い飯はないからね」

 

 最初は腹一杯飯を食うために始めたプロレスだけど、今ではドハマリしてしまった。

 

 仕方ないよな。こんなに面白いんだから。

 

「さぁ、帰って飯を食おう」

 

 俺は胸を張って歩いていく。プロレスラーとして鍛え上げた胸を張って。

 

「ただいま~」

「おかえり、貴方」




これにて拙作は完結です。読了ありがとうございました。
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