ソードアート・フロンティア~クソゲーマー、神クソゲーに挑まんとす~   作:melk

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あけましておめでとうございます!
今年も投稿していきますのでよろしくお願いします!


この戦いの展開、サンラクのモチベーション、ラフコフメンバー(特にザザ)のキャラ、それらがずっと上手くはまらなくて書けなかった・・・。何なら、ここ4話ほど更新が全然できてなかったのも、ラフコフ戦のせい。少しずつ引き延ばしつつ、自分のアイデアが出やすい展開になるのを待っていた。

ようやく流れが見えてきた・・・気がする!


第五十八層 ラフコフ壊滅戦

「さて、ブラザー。攻略組の奴らはもうすぐ来るらしい、見張りから連絡があった。奴らは可哀そうなことにこのデスゲームの本当の楽しみ方を知らないらしい」

 

 初めてこの男の話し方を見れば胡散臭いと思うだろう。しかし、三回話を聞くといつの間にか信頼できると思わされてしまう。それがこの”笑う棺桶(ラフィン・コフィン)”のリーダー、PoHという男であった。そして当然のようにその性根は邪悪そのもの。その話を聞いているメンバーたちも、心の闇を引き出され利用される悪党たちであった。

 ニヤつくメンバーたち、そして意図的に口角を上げ同じ表情を自分も作ると声量を上げて続ける。

 

「自分たちが正常だと思い込んでいる馬鹿者たちに教えてやれ!好きに生きて、好きに奪って、好きに殺す、それが人間ってもんだ!それが正常だ!そして最後の一瞬まで殺し合いを楽しめ。It's show time!」

 

 歓声とともに全員が物陰に隠れる。ある者は入り口から入る者にとって視覚となる暗がりに、またある者は2階相当の高さの足場に身を潜め隠蔽スキルで反応を消す。誰も彼もが自分たちは狩る側だと疑ってやまない。自分たちよりも上の地位にいるものを引きずり落とす快感に胸を高鳴らせている。そんな興奮状態も相まって気づかない。自分たちの作戦が攻略組の動揺という薄氷の上に成り立っていることも、自分たちを焚きつけた最高指導者のPoHともう一名ががその場からいなくなっていることにも。

 

 そして攻略組の面々が通路を通って大きなホールのようになっている部屋に入ってくる。全員が入ってきたところで四方八方からの襲撃を始める手はずになっている。今か今かと待ち望んでいた時、部屋に声が響いた。

 

「総員突撃!」

 

 響いたのは”笑う棺桶(ラフィン・コフィン)”のメンバーでもなく、ましてやPoHのものでもない。かの有名な血盟騎士団副団長”閃光のアスナ”の声だった。まるで最初から自分たちの隠れている場所を知っているかのように、攻略組は散会し、迷いなく襲撃を仕掛けられた。そこで初めて気づく。狩る側はあっちだったのだと。

 

 

 

 いたるところから甲高い金属同士のぶつかる音やソードスキルの発動音が鳴り響いている中、俺はというとまだ戦いに参加できていない。というのも俺の役割的に相手しなきゃいけない奴がまだ見つかってないからなんだが・・・。奴の戦闘スタイル的には、ラフコフメンバーを圧倒している攻略組の背後辺りからぬっと出てきそうな感じっぽいんだが・・・。

 

「誰を、探して、いる?」

 

 背後から突然現れた細剣、いやエストックといった方がいいか。その先端が一瞬前まで俺の頭のあった場所を貫いた。

 攻撃する瞬間まで俺の索敵に引っかからなかった辺り、かなり高レベルな隠蔽スキルなのだろう。

 

「うおっと!ホラゲーの敵キャラやりたいなら第一声は考えた方がいいぜ?レクチャーしてやろうか?」

「噂通り、ふざけた、奴だ」

 

 そんな問いかけじゃ初心者はビビっても、百戦錬磨の俺(クソゲーマー)はビビらないぜ?意味のない言葉だからこそ思考を停止させ純粋な恐怖を感じさせられる。今度またホラー系のフロアがあったら誰かに試してみよう。圏内でやればノーリスクだ。

 さて、とりあえず目的の人物は自分から来てくれたらしいな。

 

「お前が赤目のザザとかいう奴だな?」

「お前の、相手は、人気、だからな。早いもの、勝ち、だ」

「モテ期ってやつか?ストップウォッチとチャート表の準備は十分か?」

 

 体のラインが隠れるぼろ布のようにも見えるローブ、フードで顔まで隠す徹底ぶり。明らかに他の装備よりもリソースが割かれていそうな雰囲気のエストック、何か能力が付与されてる可能性もあるな。事前情報通りならこいつが赤目のザザ。”笑う棺桶(ラフィン・コフィン)”の幹部三人の中の一人だ。隠密性能と細剣に分類される刺突剣エストックの腕前から、今回の作戦上、神出鬼没でヒット&アウェイを繰り返されたら、攻略組に一番被害を出しかねない相手だった。だから俺の役割はこいつが戦場のどこかに現れた瞬間に足の速さを生かして戦闘をしかけ、可能なら捕獲、最低でも一対一で釘付けにすることだったが、どうやらちょうどよくこいつも俺を狙ってきてくれたらしい。

 両者出方を伺う緊張感が一瞬走る。この均衡を破るのは俺だ。

 

 「ヒュ!!」

 

 口笛を吹くように、すぼめた口から青いライトエフェクトと共に長さ幾寸かの針が一直線に放たれる。大した威力こそないが、人は顔に向かって飛んでくるものがたとえ小さなハエであったとしても無視できない。それが含み針ならなおさらな!大した威力のない猫だましでしかない。しかし、防がれることすら織り込み済みだ。

 奴はエストックで何ともわからなかったであろう物体をはじいた。このタイミングで後ろに回り込めば奴は武器で防げねえ!確実に一撃決めて麻痺の蓄積値を貯められる。・・・はずだった。

 エストックのような刺突武器の性質上、突いたら戻さなきゃいけない。それが明確な隙につながるはずだったが、なぜか奴の腕はすでに引き切られている。それでもなお、もう一度切っ先をこちらに向けるまでは時間がかかるはずだった。だが、カン!という軽い音と共に剣は対象を切りつけることなく跳ね上がることとなった。野郎、エストックの柄で俺の剣を弾きやがった。

 

 「なっ・・・!」

 

 いや、弾かれたことには驚いたがせっかくの奇襲で得たアドバンテージは無駄にしねえ!奴が攻撃態勢を整える前に体術スキル《磊落(らいらく)》によるショルダータックルで弾き飛ばす。

 

 「お前ほど、何をしでかすか、わからない奴も、いまい」

 「一秒先のことは一秒先の俺に聞いてくれ。そいつがきっと上手くやってくれる」

 

 視線は動かさず、指の動きだけでアイテムウィンドウを開く。武器を血を吸ったかのような赤い短剣へ切り替える。両者ともに引かれあうように飛び出すと、リーチの関係で先に仕掛けるのは当然ザザになる。

 

 「鼻先ィイ!」

 

 ギリギリ掠らないくらいの距離間でエストックの刺突をブリッジの体勢で避け、スキルを発動しないバク転キックで逆に顎を掠る程度だがヒットさせた。このゲームは顎を狙ったところで、ダウン判定とかはないが、単純に装甲が薄いため、比較的ダメージは通り安い。

 

 「さすがは、攻略組、いや、”狂戦士”サンラク、か」

 「なんで俺の噂はいつもやばい奴方面なの?」

 「お前ほど、このゲームを、楽しんでいる奴は、いないからだ。そんな奴、デスゲームだと、異常者だろう?お前は、俺たちと、同類だ」

 

 「やはり、お前のいるべき場所は、そっちじゃない。ゲームなんだ、楽しむことを、誰かに遠慮する必要など、ない。何にも、縛られる、必要などない!そうだろう?お前もこっちに、来い」

 「わかってねえな。ゲーマーってのは、必要がありゃ、宇宙の開拓者から流し目ゴリラまで何でもやる人種だ。今の俺はこのアインクラッドを100層まで茅場明彦をぶん殴りにいく”剣士サンラク”を最高に楽しんでんだ。つまり・・・ユニバース が違えんだよ!」

 

 最悪のPKギルド”笑う棺桶(ラフィン・コフィン)”のザザは知らない。目の前にいるサンラクが、いわゆるクソゲーマーと呼ばれるタイプのゲーマーだということを。

 あらゆる理不尽に耐え忍び、難易度調整という名目でクリアさせてたまるかという製作者の悔しさすらにじみ出るほどの縛りを超えて、常人ならば幾度となく心が折れる数々のゲームをクリアしてきたゲーマーであることを。

 どんな状況でも絶えないモチベーションで楽しむということに関しては一級品のゲーマーであることを。

 

 「お前も、リアルに、帰りたいと思う、温い人間か。ならせめて、お前の一番熱い時に、俺が摘み取る!」

 

 先ほどと同じ顔面への刺突を首を動かして回避する。しかし、今度はさっきと違う。薙ぎ払いへと移行、体を逸らしての回避を誘発させられた。まずい、と冷や汗が伝う。手首を柔軟に使って、まるで指揮棒を振るうように返された剣先が無理な体勢で避けた俺を捉えた。

 左肩に深紅のダメージエフェクトが刻まれた。

 

 「もっと、見せてみろ!お前の、熱を!」

 

 奴さん、すっかり熱血モードだ。いいぜ、俺も奥の手を使う用意ができた。

 戦いは熾烈を極める。




ザザ、少し熱血っぽくなってるけど、イメージ的にはディプスロ。リアルを捨てて、ゲームで生きていきたい人。サンラクから一緒にすんなと言われたが、同族意識はある。
もっと言うなら、HUNTER×2のヒ〇カ。そんなにおいしそうに実っていたら我慢できなくなる♠
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