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最近は色々と落ち着きましたがこんなのに長くランキングに載ったのは初なのでビビり散らかしております。
それにしても皆さん娘からの口撃()に弱い総裁が好きですね…
ええ、僕も書いてて楽しいです()
既にベネリット社フロントの審議室には各企業のCEOが集まっていた。錚々たる顔触れの中には見知った顔…正装のシャディクもいたが、先に審議室の最上段にデリングと共に上がっていたミオリネに気づき、幾らか驚いているようだった。
「…記録は別にも取るが、お前は書記をしろ」
「分かったわ」
デリングの意図としては、この査問会でGUND-ARMに対する各企業のスタンスを見せるつもりのようだ。すぐに察したミオリネは音声記録用のアプリと耳に付けた収音機器を起動する。自分のすぐ横には先程合流したアムロも控えている。名目上はミオリネとデリングの護衛だ。
「これより査問会を始めます」
デリングの宣言から査問会が始まる。
今回査問されるのは仮面を付けたシン・セーの代表にして、スレッタの母親であるプロスペラ・マーキュリーだ。
謎の仮面を付けたプロスペラは薄らと笑みを浮かべていたが、ミオリネからすればどう言い張ってあのエアリアルというGUND-ARMを残すつもりなのか、ある意味見ものだった。
「シン・セー開発公社代表、レディ・プロスペラに問う。お前は魔女か?」
各社のCEOがざわめく。
注目されたプロスペラは落ち着いた様子で答えた。
「いいえ」
「ヴァナディース機関との繋がりはあるか?」
「いいえ」
「ではどうやってGUND-ARMを作った」
問い詰めるデリングの声は威圧的だが、ミオリネ(と、恐らくアムロ)には淡々としているように聞こえた。既にデリングの中では結論が出ているのを知っているからだろうか。
問われたプロスペラは不気味に微笑む。
「エアリアルはGUND-ARMではありません。我が社で開発した新型ドローン技術です」
「ドローンだと?」
大声で反応したのはヴィムだ。現在、ジェターク社で開発されているダリルバルデにも新型のドローン兵器であるイーシュヴァラが搭載されているが、とても同じモノには見えなかったのだ。仮にグエルがこの場に居たら同じ反応を返しただろう。
「シャディク」
「はい、義父さん」
シャディクにより各自の手元のモニターに画像が表示される。
片方はエアリアルで、もう片方は…
(これはGUND-ARMの、か。少なくとも波形はそっくりね)
「先の決闘であの機体はパーメット流入値の基準を超えていました。これはGUND-ARMの特徴…基幹システムであるGUNDフォーマットの特徴を表しています」
シャディクはしたり顔だが、プロスペラは想定内なのか諭すように返す。
「仮にアレにGUNDフォーマットが搭載されているとするなら…データストームが検出される筈。いかがです?」
「検出はされていません」
データストーム…読んで字の如く情報の嵐だ。本来人体の代わりとして使われるGUNDを巨大なMSに半ば強引に利用した為に発生した重い代償だ。
「従来のパーメットリンクを基にした操作技術です。グループの条項に沿ったものと自負しています」
胸を張るプロスペラにニューゲンが反論する。
「それだけでGUND-ARMではないとは言い切れないのではなくて?」
「ですが断言は出来ないでしょう?」
「レディ・プロスペラ。言い訳を続けたとて白は黒にはならないぞ」
「我々は末席ですがこのグループの一員です。ご信用いただきたい」
「…その風体で信じろとでも?」
ヴィムは言いがかりをつけたが、プロスペラは肩を竦めたと思えば、徐にジャケットをめくって肩を出した。
一体何のつもりなのか。困惑の視線がプロスペラに刺さるが、右袖の下の右腕にあるスイッチを押すと義手が外れた。
周囲がどよめく。と、同時に徐にその義手を放り投げた。
「うおっ⁉︎」
投げつけられたのはヴィムだった。驚きこそすれしっかりと受け止めたようだ。なんのつもりだ、と言いたげな視線を向けている。
「この腕も仮面の下の顔も、水星の磁場に持っていかれました」
右腕の断面を見せながらプロスペラはデリングを見上げる。
デリングも周囲のCEOも黙ったままだ。
「過酷な水星の環境で我々のドローン技術を応用できれば、危険に身を晒す事なく安全にパーメット採掘が可能になります。私のような人間もいなくなります。どうかエアリアルの開発を認めてください。我々にはグループの支援が必要なのです」
プロスペラの迫力に静まり返る審議室。この要求がどう判断されるのか各社のCEOが見守る中、デリングが口を開く。
「…確かに」
まさかの認めるような発言にCEO達が驚きの色を浮かべる、がそれは一瞬だった。
「確かにその技術があれば、水星のパーメット採掘は安全に進むのだろう」
「ええ、では」
「だがそれ故に認める事は出来ない」
「…何故でしょう?」
「過酷な水星ですら運用出来る程のドローン技術はいずれ必ずかつてのドローン戦争と同じ悲劇が起こるだろう。それに…」
「………」
「その技術は既存のそれを覆し得るものではない。現にジェターク社のMSに敗北しただろう」
デリングの言葉はあくまで事実に基づいた正論だった。それ故か、プロスペラの顔に焦りの色が浮かんだように、ミオリネには見えた。それと同時に周囲の多くのCEOがそこまで攻撃的な視線を向けていない事に疑問符がつく。
(今、地球では)
控えていたアムロが独り言とも言えない小さい声を出す。収音機器を付けているミオリネにだけ聞こえるような声だ。
(現在、地球ではデリングの強権によってMSの開発が解禁された。デリング一人の手で、な。そして新型であるジェガンのデータ、地球で有力な企業が連結、その結果生産されたガイアスは地球上で猛威を振るっている。御三家は兎も角他の企業には笑えない程度に損失が出ているんだ)
(それって…まさか)
(これにより戦争シェアリングは徐々に崩壊を始めている。どうやらガイアスをデチューンして更に生産性を上げた機体もいるらしい。そして地球企業の支援を受けた勢力の勝利が続けば自社の製品にケチがつく上に、ガイア・ギアの支援を第一に行なったデリングの意向に反しているとも言える)
つまり、徐々に地球側勢力に押されている現状の打開に繋がるのではないか、と各社のCEOは考えているのだ。正直ミオリネからすればその為だけにそんな危険なモノに手を出そうと考えるその精神が理解出来ないが、そういうものなのだと思うしかない。
「この前提の上であのMSを残す理由があるか?」
「…では、決闘は如何でしょうか」
「…何?」
「エアリアルを下したそのパイロットはジェターク社の御子息でしたよね?ならば御子息の乗ったジェターク社の新型と戦い、勝利すればその価値を認めていただけるでしょう」
「何⁉︎お前何を」
「ヴィム」
いきなり自分の息子をGUND-ARMと戦わせようと提案してきたプロスペラに声を荒げるヴィムだが、デリングに黙らされる。そこにニューゲンが尋ねる。
「一理あるのでは?それに、勝利した暁には機体の技術提供はしてくださるのでしょう?」
「ええ、勿論です」
その言葉にペイル社CEO達は満足げだが、サリウスが反論する。
「何を勝手に!協約を破る気か⁉︎」
「だがその技術があれば…」「アーシアン共に…」「危険すぎる」
サリウスの反論から無秩序に各社CEOが騒ぎ出す。こうなった以上、結論を出さねば終わらない。
「あの機体の修復には何日かかる」
「…2日ほどいただければ」
「では2日後、機体の修復後に決闘を行い、その結果で処遇を決定する」
デリングの宣言により査問会が終わる。
決闘は、金曜日だ。
全く、グエルが勝ったのは良かったが、まさかまた戦えとは!
それにダリルバルデの事を何処で掴んだ…不愉快だ。
ジェターク社として、GUND-ARMなぞ叩きのめしてやる!
次回、『スタンバイ・フェイズ』
…しかし搭乗者には何も言わなかったな。
まさかあのデリングが温情を…?
次回予告は
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いる
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いらない