転生したらネコちゃんだったから自由に生きていきます。 作:田中滅
「ホントにバカなんじゃないの?自分の影響力を自覚してる?暴風竜よ?暴風竜。もしも、ディアブロが肝心な場面でポカをやらかしたら、どうするつもりだったのよ」
リムルからの連絡を受け、執務室に姿を見せた彼女は目の前に正座する金髪の男性を蔑み、冷淡な眼差しと共に長々と説教を行っていた。実にその時間は二時間というかなりの長丁場に及んでおり、言い訳しようものならば、強制的に長引くことは明々白々である
「我は別に悪いことはしておらんだろう!?仲間に「ほーれんそー」しただけだ!」
「ふぅん?そういう口答えするのね。いいわ、おやつを暫く禁止にするわね。これは決定事項だから、覆ったりとかはしないのよ?だから、あたしが撤回しない限りはおやつを食べないようにね」
「そんな!殺生な!!それが親友に対する行いか!?ネコよ!」
「ダメよ、なんと言われようが禁止ったら禁止よ。少しは物事の順序ってのを覚えなさい」
天災と言われる暴風竜を軽く遇らう姿は正に子どもの我儘を突っ撥ねる母の如く。永きに渡る付き合い故に、その扱い方を理解している彼女はため息を吐き、執務室のソファに腰を下ろす
「ネコちゃん。悪いな、ヴェルドラを叱る為だけに呼び出したりして」
「構わないわよ、このバカには良い薬よ。それで?首尾はどうにゃの?ディアブロ」
労いの言葉を掛けてきたリムルに対し、彼女はカップに注がれた紅茶を味わいつつ、魔性の笑みを見せる。その後に背後に控えていたディアブロに声を掛け、彼に任せた一件に関する進捗を問う
「はい、それはもう実に滞りなく進んでおります。これも
「へぇ、なんか助言したのか?ネコちゃん」
「助言?ああうん、したわよ?」
(なんもやってないな……これは…)
深々とした御辞儀と共に感謝の意を示すディアブロ。しかし、当の本人は何の事を言われているのかを理解していなかったらしく、適当に受け答えしてみせる。その様子に長い付き合いのリムルは彼女が何も考えていないことを悟り、呆れた眼差しを向ける
「にゃによ、その目は」
「ナンデモナイヨ」
「ふぅん?その割には棒読みね」
疑いの眼差しを向けるネコリア。魔王に覚醒して以降の彼女は疑り深さに拍車が掛かり、片言気味の答えを返すリムルを見詰め、魔性の笑みを浮かべる
「ネコリア様並びにリムル様。ベニマル様とシュナ様が戻られたようです。御通ししても?」
扉が開き、姿を見せたのは、書記官代理のハルナ。その背後にはクレイマン城に赴いていたシュナ、
「ご苦労さま、ハルナ。通してあげなさい」
「はい」
主人であるネコリアからの指示を受け、律儀に御辞儀してみせるハルナ。姉とは裏腹にかなりの謙虚な姿勢なのは、彼女也の長所である
「ふぅん?二人は自分の持ち場をハクロウとゲルドの二人に押しつけて、自分たちは戻ってきたワケね。らしいと言えば、らしいけど……似てるわよね…アンタたちって…」
「ははっ……そうですかね」
「お兄さまと似てると言われるのは複雑な気持ちです……ですが、他ならないネコリア様からの御言葉ですので、有り難く胸に留めさせていただきます」
乾いた笑みを浮かべるベニマルに対し、兄と似ていると言われたのが不服な様子のシュナは綺麗な笑顔で流してみせる
「褒めたつもりはなかったんだけど…」
「ネコ様。兄者がいない」
「兄者は迷子?ネコちゃん様」
顔を覗かせたのはフウとクウ、兄の行方を探し、街中を駆け回っている内に執務室に辿り着いたようだ。その背後には二人に連れ回されたのか、肩で息をしているソウカの姿も確認出来る
「フウ……クウ…!会議の邪魔をするんじゃない!申し訳ありません!ネコリア様!」
「別に構わないわよ。それで、フウちゃんとクウちゃんはガビルを探してるの?」
妹たちを咎め、代わりに頭を下げるソウカ。その姿勢は姉の鏡と呼ぶに値する。そして、ネコリアは責任感のある彼女の頭を優しく撫で、フウとクウに目線を合わせるようにしゃがみ込む
「そう、探してる」
「兄者と遊ぶ約束あった」
「そうなのね。でも、ガビルはお仕事中みたいなの」
「「残念……」」
兄が仕事故に不在であると聞き、つまらないと言わんばかりに眉を下げる双子。その様子に「仕方がないだろう?」と優しく頭を撫でるソウカ、妹たちにはガビルと同じように僅かばかりに甘いのは兄妹で共通しているようだ
「そう言えば、ディアブロの報告をまだ聞いてなかったわね。和睦協定の進捗を教えてもらえる?」
「勿論です。交渉は予定通りに纏まりました。こちらが和睦協定の証である証書と、此方が賠償金の一部の支払い額の星金貨千五百枚となります」
「流石にファルムスは大国だな、よくぞこれだけの大金をため込んだものだ」
「エドマリスの私的財産ね。ガゼルちゃんが言ってたけど、ひと月に一枚しか製造出来ないらしいから、
「はい、間違いなく。請求額に足りない分は此方からの貸し付けという形で借款させました。新王のエドワルドも我慢出来ずに戦争を仕掛けてくるに違いありません」
「流石は人心掌握が上手いわね。如何されますか?陛下」
筆頭幹部である参謀長としての顔を覗かせ、畏まった呼び方をするネコリア。彼女がこの様に呼称する場合、その判断をリムルに委託し、全ては彼に従うということを意味する。故に、覚悟を決めたリムルはディアブロに視線を向ける
「ディアブロ。此度の件はお前に一任している、民衆に被害を出さずにこの戦争を止めてみせろ。但し、外的要因には気をつけろ」
「心得ております。しかし……外的要因について、一つ気になることがあります」
命を降し、外的要因についての忠告を促すリムル。すると、ディアブロが何かを思い出したように口を開く
「レイヒムが西方聖教会に出頭を命じられた件ね。フウ、クウ……二人はレイヒムの護衛をしなさい、何かがあれば報告を」
「「わかった」」
その発言を先読みしていたネコリアは、レイヒムの安全を保守する為、フウとクウに仕事を与える。尋問中に関わりがあった故、彼女たちの強さはレイヒムも知っており、気の知れた関係でもある。その為、二人は快く承諾した
「さぁて……どう動くかしらね。ヒナタ・サカグチは……」
「ああ、この呼び出しには裏がある。フウ、クウ、何かあれば必ず報告してくれ」
「任せて」
「リムル様の命令がんばる」
誇らしそうに胸を張るフウ、リムルからの期待に応えようと両手をグッと握り締めるクウ。両極端な反応を示しているが熱意があるのは確実、初めての外部の任務に張り切っているようだ
「次はリムちゃんの魔王就任に伴う挨拶関係をどうするかよね……川の向こう側も支配領域に加わるワケだし……」
次に議題に上がったのは、魔王就任に関する挨拶関係。支配領域の拡大に伴い、新たな交友関係が広がる事を考えると、何らかの対応策を用意しなくてはならず、ネコリアは真剣な表情で考え込む
「えっと……川の向こう側ってことはだ……今まで、住んでいた者も対象になるんだよな?」
何を今更…と突っ込みたい気持ちを抑え、ネコリアは年蜜に思考を巡らせ、何か良い案はないかと考える
「勿論です。リムル様が魔王になられ、ネコリア様も名乗ってはおられませんが、魔王に覚醒なさっております。それを知っておきながら、挨拶に来ない者は叛意ありと看做されますから」
「リムル様が支配していた樹妖族の地盤のみでしたが、魔王となられた今は向こう側も支配領域となる。それこそ、古来より住まう者たちには頭の痛い問題でしょうね」
「言っとくけど……挨拶に来ないなら、こっちから出向いたら良いんじゃないか?にゃんて、寝惚けた答えはいらないわよ」
有能な配下たちと相棒からの進言にリムルもまた思考を巡らせていた。そして、何かを思いつき、手を叩く
「祭り……大々的な催しをしよう!各国の主賓や挨拶に来る者たちを此方から招待するんだ。どうだ?ネコちゃん。好きだろ、そういうの」
「もちっ!大好きよ♪せーだいにやりましょ!ネコリア大感謝祭!」
「そう、日々のネコちゃんの働きに感謝するネコリア大感謝………って!ちがーーーうっ!何で毎回毎回、同じことをやりたがるんだよ!?というか、前々から思ってはいたけど!大感謝祭ってなんだよ!?」
「にゃによ、一度くらいはしてくれてもいーじゃない。けちんぼ!」
「だまらっしゃい!」
盛大な祭に向け、準備が始まる魔国連邦。しかし、その裏では西方聖教会が何やら怪しい動きをしており……
NEXTヒント 西方聖教会
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