その間もチビチビと書き進めていたのですが、書いていくごとにこの描写も入れたいとなってしまったりで長くなってしまいました。
前書きはここまでにして……お待たせしてすみませんでしたが、最新話、どうぞご覧下さい!
side 第三者視点
紅の塔頂上より少し離れた上空、そこで数万規模で展開されたロボットの軍隊と、それに対峙する1つの機影がある。
軍隊に対峙するその機影は、白と青、そして紅のトリコロールで装甲を彩り、その装甲を沿う様にして紅い魔力が纏う。
機体名、ガンダムアスタロト・リナシメント……この機体が登場する原作では、青と白のみで彩られた装甲だが、この世界でアスタロトを駆る者、アルジ・ミラージはそこに自分の好きな色である紅を取り入れた。
それによって機体性能が向上するかについてははたまた疑問ではあるが、それでも搭乗者としては気分が変わり、戦闘行為にもパフォーマンスの部分で影響する部分はあるだろう。
そのリナシメントを駆るアルジは……バックパックに備え直されたデモリッションナイフを、左前腕部のサブナックルに備えられたマニピュレーターで持ち手を掴み、両手でナイフを構えると同時にナイフを元の形態へと展開する。
そして……
(なっ……何が起こったというのだっ⁉︎)
アルジに対して喧嘩をふっかけた人物、本来この世界には存在しないものの、アルジを嫌う神から彼の抹殺を命じられたウルベ・イシカワは、目の前で起こったことに対して驚愕していた。
それも元の世界でアルジが自分と対峙した際、強大な敵に対しても恐怖せず堂々と大立ち回りをしている様子を見せられた時と同じ驚愕だった。
確かにアルジが今の姿になる前、何千体ものデスアーミーがアルジのナイフによる衝撃波一振りで霧散したことは見て理解していた。
だがそれを元に瞬時に展開しているデスアーミーの軍隊の装甲をDG細胞で強化したのだ。
自分をこの世界に送った、神から与えられた能力の一つに、敵の攻撃を受けた際、それを防ぐことが可能な状況を瞬時に作り出し、また、受けた攻撃よりも何十倍も頑丈な物へと変えることができる、といったものを授かった。
そしてそれは遠隔でも能力の発動は可能であり、今から増殖して作り出される機体のみならず、既存で展開中の機体にも能力の行使が可能という、最早チート以上に厄介な能力だ。
だがそれをものともせず……否、まるでさっきも今もまるで紙切れを斬り裂く程度のことをしている、といった風にアルジはデモリッションナイフで強化済みのデスアーミーを斬り伏せて塵芥へと変えていく。
その光景はウルベの目の前で今も起こっていることであり、アルジがデモリッションナイフを振り払えば、直接当たった機体だけでなく、振り払った際に放たれる衝撃波によっても機体は霧散する。
それに付け加え……
(や、奴の本体がどれか分からんっ‼︎)
とある神から身体能力自体も大幅にパワーアップしてもらったウルベは、本来の攻撃……例えるならこの世界にいる魔剣士でも上位トップ10より下の者達の攻撃であれば止まって見えるほどの動体視力も手に入れていた。
その目でもっても、アルジが分身して攻撃している様に見える。
実際は全て残像であり、ウルベに見えているものは当にアルジが攻撃した後なのだが……
「質量を持った残像か⁉︎」
と、どこかからそんな驚愕が聞こえてくるかの様に……。
そしてそんな戦場の光景を作り出したアルジ本人はというと……デスアーミーの軍隊が展開しているよりさらに上空から、右手にライフルを構え、セミオートで精密射撃をしながら猛スピードで突撃していた。
その速さは、ライフルから放った弾丸よりも速く、それどころか追い越してデスアーミーの軍隊より後方、ウルベが作り出したガンダムタイプの内の一気に肉薄する。
すれ違いざまに左腰に備えたショートナイフを逆手に持って、頭部、頸動脈にあたる箇所、心臓部、その他胴体の複数箇所、両足の太ももを3箇所ずつ、最後に右脇腹から左肩にかけてナイフを深々と突き刺して、まるで紙でも裂くかの様に斬り伏せる。
その間0.01秒……動くだけでも衝撃波が放たれそうな速さにも関わらず、自分が放ったライフルの銃弾の炸裂音に紛れて、いとも簡単にガンダムタイプを一機スクラップにした。
同時に上空で放っていたライフルの銃弾がデスアーミーの軍隊を貫いていく。
破壊されてもウルベの周辺に出来た歪みから次々とデスアーミーは補充されていくが、現時点でいえば破壊される数の方が多かった。
「(ぐぅ……まさかここまでコケにされるとは‼︎ まだ温存しておきたかったがやむを得ん!)出でよ! ガンダムヘッド‼︎」
ウルベがまた何かを召喚する。
空間の歪みがまた現れるが、しかしデスアーミーやガンダムタイプが出てきた歪みよりも更に大きい。
そしてその空間から……巨大な龍が何体も現れた。
姿としては東洋の龍をモデルにしているが、頭部パーツが巨大なガンダム顔で、龍をモチーフにしているためか口のところから強大な牙が生えている。
「デスアーミーを犠牲にしても構わん! とにかくアルジ・ミラージを限りなく消耗させろ‼︎」
命令を下された龍の群れは、巨体からは想像出来ないほどの速さでアルジに突撃していく。
展開していたデスアーミーの軍隊も巻き込みながらも、ただアルジ・ミラージと呼ばれる対象を殲滅するために動き、そして相手の動きを少しで削ぐことができる様にた方向にビームを乱発する。
その光景は正面から見れば、一種の絶望に等しいと思える程に、物量の差が大きすぎた。
こんなものがF.C.の世界で出されていたのならば、いくらシャッフル同盟やガンダム同盟が力の限りを尽くそうとも、負けてしまう確率の方が高いだろう。
しかしそんな絶望の光景、暴力の嵐といっても過言ではないものを己が身一つに向けられているアルジといえば、デモリッションナイフを再度ナックルガードに掴ませては……。
「そんなもので俺を倒すとか……雑にも程がある」
一言ポツリと呟いた瞬間にはその場から掻き消え、いつの間にかウルベの目の前に立っていた。
「……はぁ?」
ウルベも目の前の光景には、最早呆気に取られた表情しか出なかった。
アルジが目の前に立ってはいるが、それでもアルジの後方にはまだデスアーミーの軍隊、ガンダムタイプまで複数体、そして先程召喚したガンダムヘッドもまだ動いており、中にはアルジを見つけたものがこちらに向けて動き出しているのも見える。
だが目の前で余裕ぶっているその顔を見る限り、アルジに焦りはないと見たウルベ。
否、普通の表情過ぎている……。
そうウルベが思った時には……アルジの背後にいたデスアーミーの軍隊、アルジに殺到していたガンダムヘッド、そして精鋭のガンダムタイプが粉微塵にされていた。
中にはアルジに向かっていた機体もいたのに、まるで粉微塵になるまで自分が斬られていた事に気付いていないかの様な……そもそも粉微塵になっても自信が斬られた事に気付かずに塵芥になった、という表現が正しいだろう。
「さて……次はお前だな?」
「ぬぐぅっ……まだだ! 出でよ! シャッフル同盟よ‼︎」
そうして次元の歪みから現れたガンダムタイプ……先程アルジが粉微塵にした中にいたシャッフル同盟の機体が4機、アルジの前に立ち塞がる。
「まずはその邪魔な装甲を剥いでしまえ!」
ウルベがそう命令すれば、4機の内の1機がアルジへと突撃してくる。
機体名はガンダムローズといい、F.C.の世界ではネオフランス代表だ。
そのガンダムローズは左肩のマント状の装甲から小さな何かを複数射出した。
それは薔薇の形をしたローゼス・ビットという遠隔武装で、アルジが操っていたファングと形状は近い。
ローゼス・ビットは薔薇の花びら中央からビームをアルジに撃ち出す。
しかしアルジはそれを簡単に回避してみせた。
そこにガンダムローズが右手に刀身の細いサーベルを持ち、素早い突きをアルジにみまう。
アルジはそれを左腰に備えたショートナイフを右手で握り、ガンダムローズから繰り出される素早い突きを簡単にいなしてみせた。
その間も多方向からのローゼス・ビットによるビーム攻撃がアルジを狙い撃つが、それらもアルジが少し身体を捻ったような動作をする事で簡単に回避され、挙げ句の果てに自分で狙って撃ち出した筈のビームが、アルジのショートナイフの刃の面で反射されて自分に攻撃が当たる始末……。
しかしそこにドラゴンガンダムと呼ばれるネオチャイナ代表のガンダムが、フェンロン・フラッグを振り下ろしながら両者の間に割って入る。
状況的に見てガンダムローズが前に出過ぎたところを、後方へと下がらせる為の援護をした様に見える。
振り下ろしながらも、ガンダムローズが下がった事を確認したドラゴンガンダムは、アルジに反撃される前に素早く後方へと下がり、また下がりつつも複数のフェンロン・フラッグを上空へと射出しては、射出されたそれはアルジの進行を阻害する様に周りの空間に留まらせる。
フラッグに囲まれたアルジの周りを、ガンダムローズのローゼス・ビットが荒れる様に高速回転しながら飛翔した。
するとローゼス・ビットからピンク色をしたエネルギーが生み出され、やがてそれは竜巻となっていく。
ドラゴンガンダムはその竜巻に向けて、腕から火炎放射を放ってピンクの竜巻に纏わせる。
そうしてガンダムローズとドラゴンガンダムの合作で出来た赤とピンクが混じり合った強烈な竜巻……それはアルジに容赦なく牙を剥いた。
「フハハハ、侮ったなアルジ・ミラージ! 確かに先程の精鋭にもガンダムローズとドラゴンガンダムは配置していたし、それらは貴様の攻撃で塵芥となったが、私はその攻撃をこちらで瞬時に計測して、先程よりも強力な機体を生み出せる! その結果貴様はダメージを負い、最後に私がトドメを刺すのだ! フッククククッ……貴様の敗北の瞬間が楽しみだぞ‼︎」
と、アルジに聞こえているかはさておいて、ウルベは既に勝利したかの様に言葉を発していた。
正直この攻撃でアルジがやられていないことは確かだが、だからといってあの強烈なピンクのエネルギーと炎の渦に巻き込まれては、並のものでは耐えるのも難しいだろう。
まぁ……それはアルジが並のものであったとしたらの話だが。
「生温い微風だな」
「なっ、なにぃっ⁉︎」
ピンクの奔流と炎の渦の中心からポツリと聞こえたその台詞とともに、アルジを襲っていた竜巻は彼の振り払う動作で乱れ、霧散していた。
それも……だったの右腕の一振りのみで。
「ふ、フンッ! そんな事は想定済みだぁ‼︎」
そこにすかさずボルトガンダムがショルダータックルをかましてくる。
ネオロシア代表の機体であり、機体の特徴としては外からでもわかる様な重みである。
しかしながら機体が出せる速度は並の機体よりも速いもので、その速度と鈍重さをもってアルジに突撃した。
しかしアルジはどこ吹く風とでも言わんばかりに、ガンダムローズとドラゴンガンダムの混合技を否した際に振り払った右腕のみで、猛牛の如く突進してくるボルトガンダムを受け止める。
その衝撃は辺りに衝撃波を一瞬生み出して空気を震わせる程だったが、受け止めた側のアルジはびくともしておらず、どれだけボルトガンダムがブースターに火を灯して推進力を上げようとも変わらなかった。
だがアルジの動きが止まっているのは事実だったこともあり、アルジによって振り払われたローゼス・ビットが再びアルジの死角を狙って遠距離から攻撃を試みる。
一方のアルジといえば、ボルトガンダムの突進を止めたままの状態だが装甲の一部が動いた。
それは右肩に装着されたシールドアームであり、その一部が補助腕の様な機構になると、後ろ腰にマウントしてあったライフルの持ち手ををマニピュレーターが保持し、そこからローゼス・ビットに向けて弾丸を放つ。
放たれた弾丸はアルジを後方から狙うローゼス・ビットの一部に向けて射出された、それを操るガンダムローズもビットが被弾しない様に攻撃を一時中断して回避行動に移らせた。
だがその回避先がまるで分かっているかの様に、次の弾丸が放たれていて、一部のビットは破壊された。
破壊されなかった一部はなんとかアルジに攻撃するも、それを事前に察知していたかのように、アルジはボルトガンダムを受け止めていた右腕の力を弱めて瞬時にボルトガンダムの後方へ。
急に力の行き場を無くしたボルトガンダムは、アルジか受け止める力を弱めて自身の後方へと移動したと同時に前方へとつんのめり、バランスを崩す。
そこに背中からアルジに蹴りを入れられてしまい、蹴り飛ばされ、飛ばされた方向からはローゼス・ビットのビーム攻撃が幾重にも向かってくる。
当然ボルトガンダムはなんとか両腕でガードを取る体制を取るも、ビットによる攻撃をモロに喰らってしまった。
「な、何をしているのだ‼︎ データ上ではシャッフルの小僧どもが搭乗していた機体よりも能力値は高いのだぞ‼︎ それなのにこうもアッサリと……」
「まぁ扱ってるのがゾンビ兵ならそうもなるのは当然だろ?」
「黙れぇっ‼︎」
ウルベの言う様に、確かにこの場に召喚したシャッフル同盟4機の機体性能は、ウルベが直接手を付けていることもあって元の世界の機体よりも機体性能は遥かに高い。
だがそれに搭乗している者……ここでは人が鎧を纏っている様にガンダムの装甲に身を包んでいるのだが、その装甲を被っているのはDG細胞によりデビルガンダムの私兵となったゾンビ兵である。
確かにこの世界の一般的な魔剣士の強さよりも身体能力は高いが、アルジからして見ればシャッフル同盟の担い手達の方が圧倒的に武の側面、そして連携の面や強固に結ばれた熱い絆の前では、目の前で自分と対峙する紛い物達は遠く及ばない。
そんな感慨に少し耽っていると、ボクサータイプのガンダム、ネオアメリカ代表の機体であるガンダムマックスターが軽快なステップと共に躍り出て、アルジに対して素早いジャブを繰り出す。
しかしアルジはそれに対しても、まるでいつものことだとでも言う様に右腕一本だけで、ガンダムマックスターから放たれるジャブの嵐をいなした。
その背後ではアルジに蹴り飛ばされたボルトガンダムが、左肩の大きな丸いパーツを外した。
それは大きな鉄球であり、そこに雷でできたかの様なムチを連結させて軽々と振り回し、その遠心力が最大限に達すると、アルジの背中に狙いを定めて放つ。
遠心力によって攻撃力が増した鉄球は、音が進む速度と同じ様な速さでアルジ背中に向かっていく。
そして、とうとうアルジに攻撃が当たるかと思われたその直後、アルジは自分に向かって飛んでくる鉄球をノールックで、ガンダムマックスターのジャブをいなしている右腕とは逆の左腕のみで軽々と受け止めた。
受け止められた鉄球は急速にその威力を無くし、限界まで引き延ばされた、ボルトガンダムの手に握られた雷の鎖も、アルジが鉄球を受け止めたことによって弛む。
ボルトガンダムは再度アルジに鉄球による攻撃を繰り出す為に、自らが放った鉄球を元に戻そうとする……が、何故か鉄球は自分の手元に戻らなかった。
それに加えて、何故か自分が“引っ張られている感覚がする”と感じた時には……何もかもが遅かった。
何故ならアルジを攻撃する為に放たれた鉄球側の方で、アルジが雷の鎖を握ってボルトガンダムを引っ張っていたからである。
それも左腕のみの力で……。
ボルトガンダムも負けじと身体全体で、ブースターも蒸しながら鎖を引っ張るも、逆に自分が引っ張られてしまう始末で、遂には力比べに負けてしまったボルトガンダムは、さっき自分がやっていた動作と同じ様に……アルジに振り回される。
その時点で鎖から手を離そうとしたが、そこにアルジの魔力がボルトガンダムの手と鎖を密に繋ぎ止めており……鎖を握る手をパーにして開くことすら出来ない。
結果、ボルトガンダムはアルジの鉄球武器と化してしまい、未だにアルジへとジャブ……というより既に嵐の様なストレートを何発も打ち込むも、それも全て右手で軽くいなされているガンダムマックスターに遠心力を加えられながらぶつけられた。
真横からという予想外な方向から唐突に攻撃を加えられたガンダムマックスターは、ロクな防御姿勢も取ることが出来ずに吹き飛ばされる……かと思えば、ぶつかってきたボルトガンダムと磁石でくっついているかの様になり、結果ボルトガンダムと同じくアルジに振り回される武器と化してしまった。
また、ボルトガンダムにくっついてしまった理由としては、ボルトガンダムが自分が握る鎖から手を離せなくなった事と同じ状況である。
自陣営の機体がアルジによって好き勝手される光景を見たガンダムローズとドラゴンガンダムは、強力な武器を振り回すアルジに対してどう攻撃すればいいか分からず立ち往生してしまう。
「えぇい何をやっているっ⁉︎ さっさとアルジ・ミラージに攻撃せんかっ‼︎」
先程からアルジに好き勝手やられている光景を見たウルベは、攻勢に出れない姿勢の両機に対して苛立ちの声を上げる。
そんな中でもアルジは我関せず、ボルトガンダムとガンダムマックスターを振り回し、そして……
「もうそろそろテメェも参加しろよ」
その呟きと共に鎖付き鉄球の如く振り回していた両機をウルベの方向へと鎖ごと投げ放った。
遠心力を伴う鉄球の代わりと化したボルトガンダムとガンダムマックスターは、その状況下でもどうにか脱出を試みていた。
各所に備え付けられたブースターを、オーバーヒートギリギリの推力を出しながら勢いを殺そうとする。
しかし予想外にアルジの振り回しによる遠心力が強すぎた影響か、勢いを殺すどころか逆に増している様に見える。
「使えないものどもめ‼︎ グランドマスターガンダムよ‼︎」
ウルベが叫ぶと、この世界の出現と共に彼の足場として微動だにしなかった機体、グランドマスターガンダムが動き出す。
その巨大からは計り知れないほどの素早い動きで、こちらに飛んでくるボルトガンダムとガンダムマックスターの追突を阻止する。
機体に備え付けられた鋭いランス状の物が、飛んできた2体のガンダムを突き刺して止める。
それによってボルトガンダムとガンダムマックスターの胴体には深々と丸い穴が空き、外から見れば最早戦闘不能な状態だ。
しかしアルジからの追撃は止まず、残りの2体がウルベの方へと飛んできた。
その2体に対しても、もう一本あるランス状の物で串刺しにして止めた。
アルジからの攻撃で自分としてはダメージを負っていない状況である……が、ウルベの内心としては怒りで満ち溢れていた。
「この……使えない物どもがぁぁぁぁっっっ‼︎」
怒りの方向と共にランス状の物から電撃が生み出され、それは串刺しにしたガンダムを呆気なく破壊し尽くす。
その威力をそのままに、電撃はアルジへと一直線に向かって行った。
雷であれば、幾らアルジであったとしても防ぐ手立ては無い筈……ウルベはそう考えていた。
一方のアルジはというと……
「はぁ……」
右手にライフルを持ち、向かってくる電撃に照準を合わせると……セミオートで無作為に弾をばら撒く様に撃つ。
放たれた弾丸は、ウルベに当たる弾道のものもあれば、全く別の場所に放たれたものもあった。
しかしライフルから放たれた弾丸は……
「なっ、なんだとっ⁉︎」
アルジに直撃させる筈の電撃は、アルジの放った銃弾により誘導されてしまい、アルジに当たる軌道のものは無かった。
逆に弾丸に誘導された電撃は誰も予想が付かない軌道となっていた。
まるで避雷針の役割を持ったかの様な弾丸同士がビリヤードの球同士で弾かれるかの様に軌道を変えては、それに沿って電撃も進行方向を変えていく。
その結果……
「ぐわぁぁぁぁっっっ⁉︎」
弾丸がグランドマスターガンダムに着弾すると同時に、機体のコックピットに搭乗もせずただカッコつけかの様に指示をしていたウルベに電流が流れ、感電する。
それとオマケに何発かウルベの身体にアルジの放った銃弾は命中したらしい。
「オマエ……俺を滅ぼす気満々ですって意気揚々に出てきたと思えばこのザマって……何がしたいんだ?」
と、アルジでさえ目の前で世界の頂点を握らんと考えている悪役の思考と行動原理が分かりかねる現状で、ポツリとそう漏らしてしまう。
「この……小童風情がぁぁぁっ‼︎」
その段階にきて、ようやくウルベはグランドマスターガンダムに搭乗した。
コックピットにはモビルトレースシステムを搭載しており、搭乗者の動き、思考をリンクして機体を動かす機能が備わっている。
それはウルベが元いた世界で開催されたガンダムファイト、それに出場していたファイター達が駆る機体にも同じ物が備わっていた。
そしてDG細胞によって以前よりも格段に強くなった肉体を得たウルベにとっては、このシステムとは非常に動かしやすいもので、この肉体であったなら自分が出た時のガンダムファイトでも優勝は間違いないとも感じていた。
「貴様の快進撃もここまでだ! 私がこの機体に搭乗したからには、貴様の様な小童なd「なら最初から乗ってろよ」なにっ⁉︎」
ウルベはグランドマスターガンダムに搭乗する事で、よりDG細胞が身体によく馴染んでいくことを感じ、同時に高揚感を得る。
それにより過去のたらればを考えつつ、最早アルジに勝つ気満々とでも言いたげに再び勝利宣言をしようとした。
だがそれもアルジからしてみれば滑稽に思えて……
「前の世界に比べて力が高まっていることは分かったが……メンタルはどうしようもない程そのままだな」
「な、なんだとっ⁉︎ 私の内面が、未だ貧弱とでも言うつもりか⁉︎」
「実際にそうだろ? さっきまでわんさかデスアーミーや他の
「な……なっ⁉︎」
そこでウルベはようやく気付いた。
さっきまで無限の如く現れていたデスアーミー、そしてガンダムタイプのMFが1機も空間の歪みから出ていないという事に……。
「テメェのメンタルによって左右される能力……調子が良かったら最強なんだろうが、本人がそんな様子だったらただの宝の持ち腐れだな? 俺を抹殺するためにテメェを選んだ外道な神も、一体何を考えてテメェをここに送り込んだんだろうなぁ〜? テメェがそんなメンタルの持ち主だと分かっていたなら……わざわざその神もテメェを選ばなかっただろうに」
アルジの口から流れる様に出てくる、ウルベを貶す言葉の数々……。
それを聞いたウルベは……
「この……このぉ……図に乗るなよ小童ガァァァァァッッッッッッッ」
激昂し、健康な肌色をしていたウルベの身体は瞬く間にDG細胞に侵食され、身体全体が紫色に染まる。
確かにウルベはDG細胞によく馴染む身体とそれをコントロールする術を身に付けはしたが、だからといってあの世界と同じくDG細胞に侵食される危険性は孕んでいた。
ウルベの身体隅々にまでDG細胞が侵食した事により、グランドマスターガンダムの表面にも紫色の血管の様な脈動が表れる。
「さて……第2ラウンドといこうか」
そんな禍々しい気配がこの空間を支配しようとする中でも、アルジはいつもと同じ調子でそう呟いた。
side クレア
あの子を見送った。
あの子が怪我をしない様にと祈りながら、いつもと変わらない様子で私のところに帰って来てくれることを願って、あの子にこれ以上私の事で心配させない様に笑顔で見送った。
そう願ってはいるけれども、でも私は、例えあの子がどんな姿で帰って来たとしても、あの子の事を愛する姿勢は変わらない。
(だって私は……あの子が頑張っている事を知っているから)
アルジはまだ私に隠している事があるって……何となく分かってる。
シャドウガーデンに所属している事をさっき知って、それに対しても驚いたけれど、でもあの子は人を無闇矢鱈に傷付けることはしない。
あの子はあの子なりに、何かを守る為にいつも行動していたんだと思うと、それが誇らしくもあるし、同時に悲しくもなる。
だって……
(アルジが自分を犠牲にして何かを守っている……)
外から見れば……確かに美徳に思われる行為だって分かってる。
でもその代わりに……あの子の自由が無くなってしまうってこと。
あの子に本来与えられた時間であの子が自由に過ごせた筈のものを……何かを救う為に犠牲にしている。
(そんな状況なのに……私との時間も作ってくれた……)
そんな事を考えてしまったら……こう思わずにはいられない……。
「ホント……バカな子なんだから」
でも……それがアルジなんだと思う。
そんなアルジだから……私はあの子が好きなんだわ。
そんな子が大好きな私は今……目の前であの子が戦っている光景を見ていたの。
私にもっと力があれば、何かアルジの助けになれたかもしれない。
でもそれは浅はかな思いだった。
空一面を覆い尽くす程の敵を前に、引く様子を見せないどころか真正面から見据えるアルジ。
私が見た事ない鎧を纏ったかと思えば、全く目で追い付かないほどの速さで敵を倒していく。
(私の見間違いでないなら……アルジが複数人に見える)
アルジが纏う鎧と同じ物を付けた、アルジと全く同じ背丈の存在がそれぞれ違う動きをしながら敵を攻撃していく。
私はそんな闘い方をアルジが会得している事なんて……全く知らなかった。
(いつも私と剣を交えていた時は……全く本気を出していなかったって、そういう事よね……)
そんな事を考えてしまった私は……
「私は……烏滸がましかったわよね?」
そんな呟きは当然……あの子には届かない。
でも自然と口がそう動いて、その言葉を発していた。
アルジの隣に立ちたいと意気揚々と言っておきながら、私はあの子の実力の1割にも満たない程に……強くない。
(でも……だからこそ私は……いつまでも貴方の側に立ちたい‼︎)
今の私には絶対に追いつけない領域……生涯かけてもあの子のその域には到達出来ないと思う。
それでも私は……我儘だと思っても私は、あの子の側にいつまでもいたいと、一生アルジの側にいたいと思った。
(正直今のあの子の戦いを目では追えないけれど……あの子が戦っている雰囲気だけでもこの肌で感じたい)
アルジがこの塔に張った魔力の防壁は、あの場で生じる衝撃波や諸々の衝撃も遮断して、私たちの方に一切被害が出ないような構造だと思う。
でもあの場で感じる戦いの熱は、不思議と感じられる気がした。
そんな感覚を感じながらあの子の戦いを見ていたら、隣からブツブツと声が聞こえる。
それはこの塔の地下、書庫の部屋で会ったシャドウガーデンに所属しているであろう女で、フードからあの子と同じ銀髪を覗かせていた。
(クッ……あの子と髪の色がお揃いなんて……羨ましすぎるわよ‼︎)
それほどにまでその女の髪色がアルジと似通っていて、それでいてよく手入れされているなと思った。
「あぁ……アルジ様……カッコいいっ‼︎ アルジ様ぁ〜、頑張ってぇ〜‼︎」
それでブツブツと聞こえた声は……猫撫で声でアルジの事を応援する声だった。
手にはメモ帳とペンを走らせているところを見るに、ノールックでアルジの戦いを記しているのね。
(……後で何を書いていたのか見せてもらおうかしら)
多分この女は、アルジとの時間を長く共有していた1人だと思う。
だからこそアルジの動きにもそれなりに見えてて、それをメモに記録しているんだろうし、私がまだ追えていない部分の様子ももしかしたら見れるかもしれない。
と、クレアさんは思っていたのですが、この件が終了して早々にベータさん達は去ってしまうので、その機会は訪れませんでした……。
side out
グランドマスターガンダムにようやく搭乗して自らも戦闘に参加しだしたウルベの相手を……俺は落胆しながらしていた。
確かに奴が言うように、前の世界線よりもだいぶ強くなったんだろう。
それにアイツを拾った神が与えたであろう特典も、確かに奴との相性は合っているし、奴もそれを存分に振るえている……
(まぁ振るえているだけであって使いこなせているわけじゃあねえけどな?)
言うなれば素人に毛が生えた程度の感覚だ。
今力を震えている状態が最高だと奴は感じているだろうが、俺からしてみれば、やはり力に振り回されているの一言しか出ない。
俺がさっき、メンタルが崩れたら空間からMFやデスアーミーの軍隊を出せないと指摘してからは、最初と同じくらいの物量で有象無象を召喚できているのだが……奴は倒してから味方の装甲を強固にするという能力を忘れているのか、ただ物量だけで俺を倒そうとしてくる。
まぁそこに奴自身も攻撃の手を加えてくるものだから、奴の中では別に味方の陣営にバフをかけることはしなくて良いと、そう判断しているんだと思う。
(それで俺を倒せると思っているのなら……舐められたものだな)
現に右肩のシールドアームにライフルを持たせて、右手に対物ライフルを手に取り砲撃をする。
これで中、長距離の敵は俺に近づく事なく、放たれた弾丸で一気に一掃されているし、左上腕のナックルガードに掴ませたバスタード・チョッパーを連結させたデモリッションナイフを敵に近付きながら振り抜けば、それだけで刃に斬り裂かれて鉄屑になり、刃に直接触れてなくても、振り抜かれた真空派で装甲は紙屑の様に簡単に裂かれて、同じく一掃されるって光景が出来上がる。
(それを見ているのに何も改善しようとしないとか……)
奴自身も、自分で召喚したデスアーミーやMFを巻き添えにしながらも、グランドマスターガンダムに備え付けられた羽を飛ばしたり、尻尾の様になっている球体から赤いビームを出して攻撃しているが、それでも俺の振るうデモリッションナイフの一振りであったりライフル弾によって攻撃が逸れるないし消滅していた。
「この生意気なガキがぁぁぁぁっ‼︎」
それで自分から攻めてみても何も変わらない戦場の光景に、ウルベ自身憤怒と焦りが入り混じっている様に見える。
そんな相手が次にすることといえば……
「私のぉ……私の前から消え去れぇぇぇぇっっっ‼︎」
ようやくあの巨体がまともに動き出した。
機体の左右に備えられた巨大なランスに電流を纏わせて、真正面から突進してくる。
それも自分で召喚したデスアーミーやMFを巻き込みながらこちらに向かってくる様子に、なりふり構っていられない様子だな。
(まぁ、おれもそろそろこの茶番じみた戦闘は終わらせたかったからな)
最初からウルベが手を足も出さない様にしてこの世界から退場させる事は……正直に言えば簡単に出来る事だった。
だが問題は奴のDG細胞がどの程度に渡って完成能力があるのかが気がかりで、塔の下で戦っていたゾンビ兵どもは完全に別の時空から輸入してきた奴らだ。
そして奴ら自身は殺めた対象を感染させる程度の能力であり、ゾンビ兵にやられた吸血鬼達が何人かいたな。
(見た限りここの住人が被害にあっていなかったのは幸いだったな)
特にこの都市自身に思い入れがある訳ではないが、無関係な人間が被害を被るというのは寝覚めが悪いし……
(結果的に姉さんを巻き込んでしまったが……)
それが1番悔やまれるが……今はその要因を作ったど阿呆を滅ぼすとしよう。
奴が俺の心臓を目掛けてランスを突き付けて突進してくる。
その速度は、奴が召喚したMFやシャッフル同盟の機体よりも素早く、小回りはきかなそうだが、突進力だけで言えば目を見張るものがあった。
(だがそれだけだな)
ランスがデモリッションナイフの射程圏内に入ったと同時に奴の側面へと回り込んで、片方のランスを真ん中あたりから斬り落とす。
「甘いわ小童ぁっ‼︎」
だが奴はそれを織り込み済みとでも言いたげに、グランドマスターガンダムの尻尾部分が俺に迫る。
迫ると同時にそれは真ん中からパカリと殻を破る様にして本来の姿になる。
そこからは今も召喚されているMFと同じく、V字アンテナを型取った物を額に備え付け、鋭利な牙が並んだ口を大きく開いて俺を食らおうとするガンダム顔が覗く。
グランドマスターガンダムは元々『デビルガンダム四天王』と呼ばれる4機のガンダムで構成されている。
コアとなるマスターガンダムに下半身はグランドガンダム、背中に生えた翼と巨大な爪はガンダムヘブンズトルネード、そして今俺に食らいつこうとしてくるのが尻尾担当のウォルターガンダムだ。
マスターガンダムのコックピットには先程我が物顔で外に出てて、俺の戦いを高みの見物よろしくしていたウルベ・イシカワがいる。
本来ならウルベだけで操作できるが、その他の機体にも見る限りでコックピットがある事は確認済みだ。
だからそれぞれに高性能なゾンビ兵でも搭乗させているんだろう。
(まっ、そんなのは関係なく全て壊すに限るな)
特にウルベ・イシカワは間接的にとはいえ俺の大切な人を傷つけた。
そんな奴はむざむざ楽に退場させるつもりはない。
俺は奴に対する憎悪を込めて、大口を開いて食らいつこうとしてきたウォルターガンダムの口内にデモリッションナイフを突っ込む。
突っ込んだらバスタード・チョッパーとの連結は解除して、それだけを口内に深々と突っ込んだ。
そしてウォルターガンダムのコックピット部分にも、再度バスタード・チョッパーを作成して突き刺しておいた。
「小癪な真似をぉっ‼︎」
思い通りにいかない事にキレているんだろうウルベは、今度は背中から生やしているヘブンズトルネードの翼を大量生産し、そこから羽を飛ばして俺目掛けて無造作に撃ち込んでくる。
ある程度の操作機構を持たせているのか、全方位から俺目掛けて色とりどりの羽が襲いかかってくるが……
(さっきのデスアーミーとMFと同じ構図にしか見えないんだが……)
内心呆れながら全方位から飛んでくる羽をデモリッションナイフで斬り刻み、若しくは粉砕していく。
羽を撃ち落とす事に何の苦労も感じないが、面倒な事には変わらない為さっさとヘブンズトルネードの部分にもバスタード・チョッパーを打ち込む事に決めた。
3本目になるバスタード・チョッパーを作成すると、それをヘブンズトルネードの顔がある辺りに投擲する。
投擲したと同時に投げた方の手で4本目を作成して、グランドマスターガンダムの背後へと一気に近づき、背部パーツのヘブンズトルネードの背中越しにコックピットに狙いを定めて突き刺した。
それと同時に投擲した方は狙った位置に突き刺さった事を確認する。
「ぐぅっ⁉︎ この化け物めがぁーっ‼︎」
自分がまるで弄ばれていると感じたのだろう、更に激怒してそんな言葉を叫んでいたが、俺から言わせれば貴様の方が外見から見ても化け物だ。
まぁ敵から化け物と言われても一切傷つく事などないが。
そんな思考をしつつも5本目のバスタード・チョッパーを作り上げながら奴の正面へと回る。
「クソッ! 何故動かぬ⁉︎」
俺を迎撃しようとしているのかそんな呟きが聞こえるが、グランドマスターガンダムは意味のない動きをしていた。
動作不良のような現象のそれは、多分小回りが効かない状態で接近された際、いつもならウォルターガンダムなりヘブンズトルネードなりの武装で攻撃をしていたものの、俺が2機の頭とコックピットにバスタード・チョッパーを突き刺したのもあり、その2機に対して攻撃命令が上手くいってないんだろうと考える。
奴の機体もDG細胞を取り込んでいるため、損傷があったとしても即座に再生できる機構を持っている。
だが俺が突き刺したバスタード・チョッパーは、そんな生温い攻撃で繰り出してはいない。
(再生阻害とかその他諸々のデバフを盛り込んでるからな)
魔力による応用は本当に便利な物だ。
なんといっても面倒だと思う相手に対しても有効的に効力を発揮している。
(それにコイツに対して時間かけて倒すって思考はないからな)
5本目のバスタード・チョッパーを奴の下半身、グランドガンダム部分に深く抉る様に突き刺す。
コイツの場合図体はデカいが、本来上半身がある部分がマスターガンダムの上半身に置き換わっている。
だから奴の頭やコックピット部分が何処になるのかがはっきりしなかったため、取り敢えずはマスターガンダムとグランドガンダムの接合部少し下辺りに突き刺す。
すると下半身の動きも唐突に無くなった。
「オノレオノレオノレェェェッッッ‼︎ この、せいぜいが四半世紀も生きておらぬ小童の分際デェェェッッッ‼︎」
仕舞いにはヤケになったのかダークネスフィンガーを繰り出そうとしてくる。
だが……
「そもそも俺から見たらテメェの方が小童なんだよ。この癇癪持ちの餓鬼が」
「なっ⁉︎ グァァァァッッッ⁉︎」
これ以上奴の汚い怨嗟の声みたいなものを聞きたくなかったため、デモリッションナイフで奴の両腕を斬り飛ばし、空いた手で6本目のバスタード・チョッパーを作成と同時に頭へと思い切り突き刺す。
そして7本目、デモリッションナイフと連結させてマスターガンダムのコックピット部分、奴が搭乗している部分に深々と突き刺した。
突き刺した時の感触で、ナイフの先端が奴の身体に直接突き刺さっている事も理解する。
「ガ……ァァァァ……」
「取り敢えずお前が消滅しきる前に、テメェがいた世界で散々聞いたルールでも再確認しようか」
「ガンダムファイト国際条約第1条、頭部を破壊された者は失格となる」
「ガンダムファイト国際条約第2条、相手のコックピットを破壊してはならない。だが……」
「ここはテメェがいた世界ではないし、そもそもそんなルールがあったとしても俺はテメェにそんな温情をかけるつもりも毛頭ない」
つまり何が言いたいかと言えば……
「今度は楽に地獄に行けると思うなよ?」
その言葉が引き金となり、グランドマスターガンダムの各所に突き刺さっていたバスタード・チョッパーの鉄杭部分が発射された。
結果、グランドマスターガンダムは機能を停止し、ウルベ・イシカワもかろうじて生きているものの下半身は消し飛ばされた。
「ぐぅ……がぁぁぁ……こ、この生意気なガキ風情がぁぁ……」
「さっきから同じ言葉しか繰り返してねぇが? DG細胞に侵食されて知能指数も落ちたか? まぁ人間として矜持を失ったテメェがどうなろうと知ったことではないが……それよりさっさと出せよ」
「っ⁉︎」
「なに驚いた顔してんだ? 俺がテメェの奥の手に気付かない訳ないだろ? それごとテメェという存在を滅ぼしてやるって言ってんだから……これ以上待たせるなよ」
俺が悪役ムーブよろしくそんな言葉を吐けば、グランドマスターガンダムの更に後方の空間が大きくヒビ割れる。
ヒビ割れの大きさだけでいっても紅の塔の何十倍の大きさもある事が窺える。
「は……ハハァ……私の存在もいずれ朽ちるが……ギザマ"もここで終わりだぁ……」
負け惜しみかの様にそう呟いたウルベは、大破したグランドマスターガンダム共々あのヒビ割れに吸い込まれた。
吸い込まれた瞬間、ヒビ割れから邪悪な脈動が響く。
その音が大きくなる毎に空間のヒビは更に広がって、それに伴って中心部分からパラパラとヒビがこぼれ落ちていく。
こぼれ落ちた景色の先は真っ暗な闇で、明かりがあっても奥まで見通す事ができない空間が広がっていた。
そんな闇の空間から突如として大きな機械質の手が出てきて、真っ暗闇の空間とヒビ割れた景色の境界を掴む。
そして数秒後、闇の空間の真ん中に緑のツインアイが灯った。
ツインアイの大きさは徐々に大きくなっていって……
「ようやくお出ましか……」
ヒビ割れた景色を粉々にして、ソイツは真っ暗な闇の空間から現れた。
ソイツの名称は『デビルコロニー』といって、かつてF.C.の世界線で『ネオ・ジャパン』という名称で宇宙に浮かんでいたコロニーが『デビルガンダム』に侵食され、コロニーの中にあった居住区共々奴に侵食され、結果破壊兵器となった。
そこからは当然さっきまで散々ウルベが使役していたガンダムヘッドがウジャウジャと沸き出ている。
「さて……第3ラウンド、最終決戦といくか」
そんな中でも俺は、自身の中で憎悪の火の勢いはそのままに奴を滅ぼし尽くすべく、しかし冷徹な表情を鎧の裏で浮かべながらそう呟いた。
解説
◾️質量を持った残像か⁉︎
「機動戦士ガンダム F91」にて登場する鉄仮面というキャラクターが放った台詞。
ガンダムF91との戦闘時、ガンダムが残像を繰り出しながら自分に攻撃をしてきたために驚愕し、その台詞を思わず口にしてしまった。
◾️F.C.に登場するガンダム達
F.C.の世界にて開催されるガンダムファイトに参加した機体。
それぞれ特殊な能力持ち。
しかしアルジの纏うアスタロトに悉く一蹴されてしまった。
◾️ガンダムマックスター
『起動武闘伝Gガンダム』にて登場する機体。
ネオアメリカ代表のチボデー・クロケットが駆る機体でボクサータイプの形をしている。
攻撃方法もパンチ技が多いものの、そこから炎の渦を纏ったパンチを放ち、そのまま遠距離攻撃にも転用できる。
◾️ガンダムローズ
『起動武闘伝Gガンダム』にて登場する機体。
ネオフランス代表のジョルジュ・ド・サンドが登場する。
形はフランス騎士を彷彿させ、レイピアから繰り出される速度重視の攻撃が特徴的。
しかしながらF.C.の世界では珍しくガンダム作品に出て来るビットやファンネルの様な遠隔操作可能な武装を使い、オールレンジ攻撃は勿論のこと、ビットをビーム同士で繋いで檻を作って敵を閉じ込めて攻撃したり、ビットがエネルギーを纏って対象物の周りを猛スピードで駆け巡って竜巻を生じさせて攻撃したりする。
◾️ドラゴンガンダム
『起動武闘伝Gガンダム』に登場する機体で、搭乗者はネオチャイナ代表のサイ・サイシー。
少林寺拳法を忠実に再現できる程な柔軟さと俊敏さがうりの機体でおり、搭乗者本人も少林寺拳法の使い手。
格闘戦特化ながらも、腕が龍の様に伸びることと腕からの火炎放射攻撃により中距離での戦闘も可能。
また格闘武装であるフェンロンフラッグ複数展開して敵の行動を制限させるなどのトリッキーな戦法も講じることが可能。
◾️ボルトガンダム
『起動武闘伝Gガンダム』にてネオロシア代表のアルゴ・ガルスキーが駆る機体。
シャッフル同盟の中で最大のパワーと重量を誇る。
機動力は他の機体に比べて性能は低いものの、それを補うほどの頑強さを持つ。
格闘以外では左肩に装着された巨大な鉄球を軽々振り回して攻撃するグラビトンハンマーという武装がある。
今作ではアルジをハンマーの餌食にしようとしたが、逆に利用されて思った活躍は出来なかった。
◾️シャッフル同盟
『起動武闘伝Gガンダム』に登場する主人公とチボデー、サイ、ジョルジュ、アルゴの5人の事を指す。
世界の秩序を守る為に歴史の裏側で活動する「拳の守護者」であり、起動武闘伝Gガンダムの作中でも世界がデビルガンダムの危機に晒されそうになるものの、シャッフル同盟の5人が中心となってその危機を覆した。
今作では起動武闘伝Gガンダムの主人公が駆る機体は出ていないが、理由としてはウルベが特に嫌っているから……という理由があるとかないとか。
◾️グランドマスターガンダム
『デビルガンダム四天王』と称された4機の機体が合体して1つの機体になった姿。
上半身はマスターガンダム、下半身をグランドガンダム、翼と巨大な爪はガンダムヘブンズトルネード、尻尾と触手部分はウォルターガンダムで構成されており、巨体となるため機動力は落ちるものの、それ以上の頑丈さと攻撃力を併せ持つ。
また、機体にDG細胞が定着しているため基本どれだけ攻撃を受けようとも瞬時に再生してしまう。
しかしながらアルジに対しては全く意味をなさなかった。
◾️ガンダムファイト国際条約
『起動武闘伝Gガンダム』で開催されるガンダムファイトのルール。
全部で7ヶ条あるが、そもそもこの世界では全く関係がない。
それでもアルジがこの条約を口にしたのは、単にウルベ・イシカワに対して最大限の屈辱を味合わせた状態で魂が滅んでほしかったから。
簡単ながらですが解説でした。
起動武闘伝Gガンダムについては正直うろ覚えな設定が多々あり、結構AI検索に頼りながら描いてました。
それでも分かりにくい描写が多かったと思うので、そう思われた方は申し訳ありません。
それにしてもこの章も漸く終わりが見えて来ました。
まだがまだかと思われた読者の方が多かったと思いますが、あと少しです!
まぁそれでもまだ2期は終わらないのですが、なんとかアニメ編は終わらせるつもりなので、何卒よろしくお願いします!
それでは次回、またお会いしましょう。