°月¥日
医者からもう日常生活に戻ってもいいというお達しが出たので、早速最近見つけた人目がつかない場所で鍛錬をしていたら、アレクシアに見つかり呆れられた。
だが、ネメシスを討つということを考えれば1日も無駄にしたくない。正直、今の状態で挑んでも良くて勝率は4……いや3割ぐらいだ。少なくとも前世で使っていた身体能力強化の魔術と俺の最大火力技の再現及び質の向上、加えて今より2段階程剣技を高めないと勝率は上げられない。一応ベッドの中でも魔力操作はしていたが、それでも体を実際に動かしながらでやると結構違ったりする。
特に身体能力強化の方は動きながらでないと、ちゃんと出来ているのか分からない。まあ、再現しようとしているものが前世で使っていた上にシドが使っているオーバードライブより強力だから人の目があるところで練習はできないのだが。
だからこそちょっとした穴場でやろうとしていたのだが、まさか見つかるとは思わなかった。まだウォーミングアップの筋トレの段階で良かったわ。
その後は珍しくアレクシアから模擬戦の相手を頼まれ、何試合かしたのだがやはり強くなっている。魔力操作の緻密さやスピード、そして剣の振り方やフェイントが前よりも巧くなった。
個人的にはこういう技術の上達というか飲み込みが早いタイプはかなり手強くなる、と見ている。実際シドなんかはそれを体現しているようなもんだしね。
だが着実に実力を伸ばしている当のアレクシアは、「逆転の一手になりうる一撃必殺の手段が一個しかない」と気にしていた。これに関しては変に気にしなくていいと思う、とは言ったもののそういう必殺技というか切り札が何個かあるのとないのでは安心感が全く違う。まあ、裏を返せばその技が通用しなかったり、破られた時はかなり精神的に来るわけだし、それなら今あるその技を鍛えるべきとかあるが……個人的には、アレクシアのことも期待してるし明後日実家行きの馬車に乗るまでにそれとなくヒントを出すか。
その教えようとしてる技はやる工程だけは単純なのだが、魔力の収束具合や速さ、そして振るう剣のスピードとシンプルな技だからこそ気をつける点が多く、極めようとするとかなり難しい技だ。俺はこの技を自信を持って「切り札の1つ」として完成させるのに5年ほどかかったが、アレクシアなら恐らく遅くて2年ぐらいでモノに出来ると思う。
本当に俺の周りは将来有望な子が多い。だからどのくらい強くなるのか楽しみになっている自分がいるのは否定できない。
師匠も俺を鍛えてる時はこんな
あ、そういえばアイリス様がなんか「ルイスが1番使いやすい剣の形はなんですか?」って聞いてきたな。断っても前世含めてトップクラスの気迫でゴリ押ししてきたから、つい刀って答えちゃったけど……ここからエル=俺ってならないよな?
°月$日
夏休みに入ったため本来なら俺は実家に帰っているのだが、現在王都ミドガルと聖地リンドブルムの間にある宿場町にいる。何故こうなったのかの経緯を簡単にまとめると。
1.朝イチに、アレクシアから実家の帰省期間が減ってしまう代わりに、給与を多めにあげるからリンドブルムの大司教の調査に同行して欲しいと頼まれる。
2.特に断る理由無かったし、アレクシアの鍛錬も見たかったため了承。
3.昼からリンドブルム行きの馬車に乗って移動することを告げられる。
4.急いで父さんに手紙を書き、荷物を纏める。
5.時間の15分前には何とか間に合い馬車に乗る。
6.宿場街に着く。←イマココ
と言った感じだ。
いや、せめて前日に言ってくれと思った。そうすれば慌ただしく動く必要はなかったし……もしかしたら俺が断りにくいようにいきなり言ったのだろうか。そしたら流石というべきだと褒めるべきなのか、いい性格してると嘆くべきなのか分からねえや。
さて現在、今回もアレクシアは部屋にいる。
いやね?普通は王族と一般貴族は分けるべきだと思うんだ。実際王族御用達とそれ以外で宿あったし。
だがこの王女、どんな手段を使ったのか俺を同じ部屋にぶち込みやがった。「護衛も兼ねてるんだから当たり前よね?」じゃねえよ!!普通は護衛でも一緒の部屋で寝ないわ!!部屋の出入口に立って交代で見張るんだよ!!というか不用心すぎるわ!!
もうどうすればええんや、この王女……
°月%日
昨日分の日記が空いてしまったが、特に書くことがなかったので書かなかった。強いて言うなら抱き枕にされたぐらいだ。
何がとは言わんが柔らかかった。でも理性が残ったのはデルタのお陰だろう。ありがとう、デルタ。けど布団に潜り込んできたり、裸で風呂に入ってくるのはやめてくれ。最近慣れてきた自分が怖くなってきたから……
さて、そんなこんなでリンドブルムに着いたわけなのだが念の為ネメシスがいないか魔力探知を行った結果、魔力的にアルファ、ベータ、デルタ、イプシロンとその他構成員、何故かシドもいるのがわかった。
これがわかった時変な声を出さずに冷や汗だけで留めた俺を褒めたい。いや、これ絶対コトを起こすパターンでしょ。七陰のうち4人もいるのはもう「ここでなんかやります」と言っているようなもんだ。
でも俺、報告はおろか相談や連絡も来てないのよね……あれか?敵幹部を何回も逃した無能だから?……書いてる段階で泣きそうになってきた。いや、確かに最初負けたし、2回目は取り逃した上に自分の感情優先してシャドウガーデン1本に絞らなかった……こう書いてるとハブられても仕方ない気がしてき──
先程珍しくアルファが窓から入ってきて、なんで俺に話さなかったのか説明してくれた。
とは言っても、アレクシアが来るなら俺も来るはずだと思っていたから着いてから話そうと思っていたらしい。ちなみに来たのがデルタじゃないのは手紙を書く手間を省くためと言ってたけど……流石にデルタのことをアホの子扱いしすぎではないだろうか。
「あの子に任せたら本来の目的忘れると思うし」とも言ってたし、アルファってたまーに辛辣なこと言うよな……天然だとしたらナチュラル畜生の素質あるぞ。
それは置いといて、アルファから告げられたのは女神の試練の時に仕掛けるという事、ディアボロス教団と英雄たちの真相をあかしに行くこと、俺はアルファたちの護衛と万が一のためのデルタ抑え役として最初から同行して欲しいということだった。
つまり、俺は当日アレクシアの護衛から何とかして外れる必要がある。
という訳でそこからアルファとどうやって護衛から抜け出すか話し合い……にはならなかった。
何故なら教会側の精鋭たちがアレクシアを護衛する+女神の試練に出場確定というふうに決まってしまったからだ。尤もアレクシアは何としても俺を傍に置きたかったみたいで色々意見を出していたが、「私たちのことが信用出来ないのですかな?」と大司教代理のハゲおっさん……略して代理ハゲが切り出したため失敗に終わった挙句、「これはあくまで助言ですが、もう少し強い人間を置いたらどうかな?」と挑発されて乗ってしまった、というわけだ。まあ、向こうからしたらメンツを良くしたい+聖騎士の力を信じてる+ちょっとしたからかい、ってところなんだろうが……もう少しこっちに譲歩する形をとっても良かっただろうに。お陰で俺はとばっちりを食らったよ、ちくしょう。
というか大司教が死んだってのも今日の打ち合わせで初めて聞いた。あの大司教に関しては元々黒い噂が結構あった。だからこそ俺らは調査をしに来たわけだし、場合によってはアイリス様も動くという話もあった。
しかし殺害されたというのなら証拠がなくなる前に捜査する必要がある。そのことをアレクシアと俺はかなり丁寧に説明したものの、当の代理ハゲは「調査は許可を取ってからに~」とお前が犯人だろとしか思えないことを言ってのけた。
確実な証拠がないから捕まえることは出来ないが、もしもアレクシアに危害を加えるようならば先にやるしかないだろう。
そんな訳で明日はごく自然に合流できるだろうし、計画もアルファと話し合って元の計画から変更点が出てしまったが恐らく大丈夫だ。懸念点をあげるとすればシドがやらかす程度だが……まあ、なんやかんやいい方向に向かうだろうし、やばそうになっても俺がカバーすればいい。
とりあえず、今できる準備を軽くしておこう。聖域とかそういうヤバそうなところの内部とかは経験上魔力が使えないだとか、とある条件を満たすまで魔物無限湧きとか面倒な仕掛けがあったことが多かったし。
それはそれとして、アレクシアと俺を別部屋にしてくれた点だけは本当に良くやってくれたと心底思う。ナイス、代理ハゲ。
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「やれやれ……まさかこんなことになるなんて……」
エルは女神の試練が行われている会場の屋根から、本来自分が戦うことになっていただろう『災厄の魔女アウロラ』と、漆黒のスライムスーツを身に纏ったシャドウが激しい戦闘をしているの見ていた。
元々の計画ではルイスが選手として出る前に自分の姿に変装したニューと入れ替わり、エルとして女神の試練に乱入。そのまま魔人ディアボロスを封印した英雄たちのうち1人か、その魔人ディアボロスを倒す、というものだった。しかしその計画から変更せざるおえない状況になってしまった。
というのも──
(シドが女神の試練に出場することになってたのは予想外だった……)
そう、シドが女神の試練に挑む人間の1人にいたからだ。
エルから見ても出場者の相手として出てきた敵はその出場者の実力に見合ったものがほとんどであり、勝てた者もそこまで多くなかった。それを踏まえると、何で判断しているのかは確証こそもてないもののこの仕掛けはその人物の実力をかなりの精度で読み取れるというのはエルもシドも分かった。だからこそ、シドが普通に出てしまえばかなりの実力を持った敵──それこそディアボロスを封印した英雄の誰か──を召喚しかねない。
そうなってしまえばシドの夢は砕け散る。それを察したエルは計画変更の合図、そしてシドならこちらの意図を察してくれるだろうと祈りながら、目に止まらなぬ早業で上空へ打ち上がってから数秒後に破裂する魔力弾を放った。そして魔力弾が破裂したと同時に魔力の色からルイスだということ、意図を瞬時に察したシドはスライムスーツを纏いシャドウとして乱入した。
結果としてそれは正解だった。
今シャドウが対峙しているのは、『厄災の魔女アウロラ』という魔人ディアボロスとの戦いより昔に世界を混乱と破滅にもたらしたとされるかなりの実力を持った女性だ。尤も、その情報はディアボロス教団によって抹消されているため、ルイスたちは知る由もない。だが、見ればかの女性の実力はわかる。事実、彼女の攻撃は自身の血を使って大量の杭を形成しシャドウに放っている。そしてその攻撃はかなり精密な魔力操作によって実現しており、エルは内心でアウロラへ賞賛を送ると同時に全力の状態だったらどれくらいの強さなのか、内心冷や汗を流していた。
(何故かは分からないけれど彼女は本来の実力を出せていない。もし、本当の実力だったら前世の魔王軍の幹部クラス以上は確定だな……下手すると師匠や魔王レベルであることも視野に入れる必要があるな)
また頭を悩ます問題が出てきた、とエルはため息を思わず吐いた。だがすぐさま敵対するということにはならないだろうと判断し、アルファたちと合流するためにその場から離脱した。
──この時エルことルイスはあることを失念していた。そしてそれがどう転ぶかも誰にも分からない。
次回予告「あーあ、出会っちまったか」
そういえば新着感想の通知が来てて、それを見にいったら感想がないっていう事態が何度か起こってるのですが、これなんでしょうかね?調べてもなんかよく分からなかったし……うーん。
キャラ紹介
ルイス:刀剣類であれば基本OKだが、ベストは刀。実はナツメに対抗してなんかやってたアレクシアを見て色々複雑な気分になった。
アレクシア:ルイスが目を逸らしたのを感じ取り、後で問いつめるつもりである。ちなみにエルの魔力の色は覚えている。
デルタ:作戦までルイスと居ようとしたが、ルイス本人から「めっ!」されたため泣く泣く断念。デルタはちゃんと我慢できるのです。
アルファ:デルタを行かせたら100%ルイスと一緒に寝ようとして伝え忘れるだろうと予想していたための行動。実際そうしないとデルタはルイスと一緒に寝るだけ寝て帰ってきていた。
ベータ:なんでエルはアレクシアなんかに仕えることが出来ているのか、本当に不思議に思ってる。
代理ハゲ:ルイスとアレクシアの部屋を分けるというファインプレーしたハゲ。ルイスの経験上「あのハゲは胡散臭いハゲの方」のハゲらしい。
番外編としてバレンタインの話を……
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これもまた愉悦(書く)
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やめろカカシ、それは効く(書かない)
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撃沈もまた愉悦(どっちでもいい)