三人寄れば文殊の知恵とは言いますが、女三人寄ればかしましいとも言いまして。
仲が良いのか悪いのか、そんなこんなで今日も一緒の三人組。
まあ、世の中は意外と甘いから。
悩んでいても仕方ない、遊べ若人。

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アオく並ぶは星の夢

 ちーちゃんは友達を選ぶべきだと思う。いや、お姉は良いとして。

 ……うーんでもお姉が「ちーの好きなのはバスケが上手くて背も高くて歳上ワイルド系イケメンで、今海外にいるのよ」とか適当言ってくれたせいで、菖蒲は散々空回りさせられたんだよなぁ。

 まあお姉とちーちゃんが友達じゃなかったら、菖蒲はちーちゃんに会えなかったんだけどさ。

 ちーちゃん基本ほえほえで能天気だから、友達の取捨選択なんか出来ないだろうけど。どっちかって言えば取り合いにされる側だもん、ちーちゃん。

 だから個性的な友達が多いと言うか、管理する気がないと言うか。

 ……根は悪い子じゃ無いけど口と態度が極悪なんだよね、ユメちゃんは。

 

 

 ちーちゃんはいのたが好きらしい、と知ってしまった。知らされてしまった、知らなくても良いのに。

 あんたに教えたら絶対ロクな事しないから言わなかった、ってお姉が白状したけど嘘まで吐く必要ないでしょうに。それに、だ。いのたもいのたで、ちーちゃんが好きっぽい。ひなっちをフッたのも、多分そのせい。そして最悪なことに、お互いがお互いの好きな人を知らない。両片想いってやつだ、どうしようもない。

 じゃあひなっちの気持ちはどうなるのさ、せっかく()()()()()()()()。それを否定されて泣いていたんだ、あんなにも。だけどあの陰湿メガネが言ってた通り、好きになられる側にも気持ちはあるわけで。……菖蒲は優しいから、好きになってくれたならちゃんと努力する。好きになれるように。

 だけどいのたは、そうしなかった。ひなっちを好きになろうとはしなかった。それはちーちゃんが好きだから。

「んー……」

 菖蒲は遊佐くんが好きだけど、でも今他の男子に告白されたら付き合うと思う。もう遊佐くんと付き合ってたら別だけど。

 ()()()()()()? 遊佐くんが他に好きな人がいたとして、そこに菖蒲が告白したら――多分いのたと同じように断るだろうな。そう思ってしまうのは、相手が男の子だからだろうか。男の子は私たちとは全然別の生き物なんだから、噛み合わないのが当然なのかも知れないし。

 それはそれとして、菖蒲これからひなっちにどう接したら良いんだろうか。

 応援するって言ったし、実際支えてあげたい。だけど勝ち目が一切無い状態で背中を押すなんて、処刑と変わらない。

 そんな中で、どうすれば良いか分からなくなっていたひなっちに近付いたのが――ユメちゃんだったんだ。

「いっそ押し倒しちゃえば良いのよ。一回寝ちゃえば責任ってもんが出きるんだから、それで押し切りなさい。恋愛はエゴの押し付けあいよ、人の気持ちなんか考えてたらやってられるもんですか」

 全力の暴論を、ひなっちは目を輝かせて聞いていた。いや、それはそれでおかしい話じゃないかなーって菖蒲は思うんだけど。でもユメちゃんは実際、付き合いの長い彼氏持ちなんだよね。菖蒲だって男切らしたりはしてないけど、特定の相手と長続きしてないしなぁ。そうなると立場上、あんまり強く出られない。

 まあ、何処までが本気なのかは分かんないけど。ひなっちがそんな事出来ないのを知った上でからかっている、って線も捨てがたい。

 どうも露悪趣味っていうか、敢えて人を退かせるような事ばっかり言う人らしいから。でもまあひなっちの事、心配はしてるっぽいんだよね。気落ちしてたのを見かねて声かけてくれたようだし、なんだかタイプ的には菖蒲寄りかも。

 

 

 とりあえず頑張るのを辞めて人生楽しみなさい、と今日もひなっちを遊びに連れ出すユメちゃん。そして菖蒲はそれにくっついていく、というなんだかよく分からない三人組で休日を過ごすのが恒例になって早一ヶ月。こうやってバカやってると分かるけど、ひなっちは本当に真面目すぎたんだな。休まず遊ばず楽しまず、ただひたすら前だけ見て走り抜けていた。いのたの存在がなかったら、とっくに潰れていただろう。

 だからこそ、いのたにフラれた事は余りにも大きすぎた。それをどうにか埋めてあげようと、ユメちゃんも気を使ってくれている。……多分、きっと。

絶対そんな事は言わないけどね、多分。

「っと、お疲れさまぁ~」

 ひなっちがお花摘みに言って二人きりになったタイミングで、缶ジュース渡しながらそんな事を言ってみる。まあユメちゃんだし、マトモに返事返ってきたりしないんだけど。

「あら嬉しい、そんなに疲れて見える? はいはい私なんかもうババァだもんねぇ、目は霞むし足腰は弱るし大変だわよ」 

 ほらやっぱり。とは言え憎まれ口を叩きながらも、ちゃんとジュースは受けとるから嫌ではないようだ。

 二言目にはこうやって刺々しくなるわりに、しっかり楽しんでいるっぽいのも不思議。

「ユメちゃんはさぁ、いっつもそうだったの? ちーちゃん相手でも」

 ちょっとイジワルするつもりで囁いたつもりが、ユメちゃんはゲホゲホと盛大に噎せてしまった。

 あ、地雷だったかな。まあ良いや。

「……あのバカには皮肉も生憎もあったもんじゃないのよ、バカだから。一々考えるのも面倒になってね、適当にやってたわ」

 つまりは本音をさらけ出せてた、と。やっぱり仲は良かったんだな、この二人。

 でもそうなると、今こうやってひなっちに味方してるのはどうなんだろう。ちーちゃんもちーちゃんで、いのたを好きっぽいし。いのたがオトコを見せたら、そこでゲームセットなんだ。ひなっちがどう頑張っても、試合は御仕舞い。それは残酷だけど事実で、今こうして遊んでてもそれは死刑執行への猶予期間でしかない。

 まあ、菖蒲がそう言っても「あれが順分満帆に幸せになるとか嫌だから、邪魔してやりたいだけ」とか言うんだけど。

 ――と。

「ナツみたくアホだったら、あの子も悩まないのにね。フるもフラれるも、所詮一時の事なんだから。いっそ泣いてへこんで、そのまま忘れれば良いのよ。どうせ一人を一生好きでいられるほど、人生は穏やかじゃないわ」

 遠い目をして見てるのは、一体何なんだろう。一つしか違わないのに、まるで修羅場を何度も潜ってきたみたいな雰囲気を醸し出している。

 まったく、まだまだ謎だらけだな。

 まあ、良いけどさ。友達ってそういうものだ、何もかも知り尽くせる物じゃない。だから選んだ方がいいとは思うけど、でもそればかりでも詰まらないか。

 さて、そろそろひなっちも戻ってくる。今日はあと何をしようかな、どうしようかな。

 迷って曲がって、それでも道はあるからなんとかなるさ。きっと、多分。

 

 




この三人が仲良くするシーンは今後あるんでしょうかね?

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