原初の竜でも友達が欲しい   作:伊つき

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黒神竜編
Lv.12の軌跡


 

レンは都市に隠れ家を用意していると、ルシアを案内する。

その道中、彼女はレンに質問をぶつけまくった。

 

「あの、本当にLv.12なんですか?」

「Lv.12に到達したことはある。だが、【神殺し】のスキルが発現したその時からステイタスは自動で下がるからな。今はLv.11くらいにはなってるかもな」

「なるほど。黒竜討伐に協力しろとのことですが、見返りにそのLv.11の力を借りて、迷宮攻略攻略に協力してもらうことは可能ですか?」

「ヴィヴィアンにも言ってたやつか。まあ、別にいいが。黒竜が先だ」

「いえ、先にダンジョンを攻略すれば黒竜の目的である迷宮攻略の妨害にもなるので先に攻略すべきかと」

「いや、それだと奴はオラリオに現れない。奴の出現場所を予測できないのは無しだ」

「なるほど。ちなみにダンジョンを攻略できる自信はありますか?」

「少なくとも9割はいけるだろうな」

「わかりました。【神殺し】のスキルはどうして発現したんですか?」

「タレイアがカスだったからだ。アイツへの憎しみで発現した」

「あぁ……」

 

納得するルシア。

その表情を一瞬一瞥するレン。

が、すぐに前を向いた。

 

「……」

「……」

 

暫く無言で歩く2人。

ルシアの質問ラッシュもおさまった。

というか、レンはやたら答えてくれた。

なぜこれほど親切に教えてくれるのだろうか。

ルシアは、レンの背中を見上げる。

 

「あの、もう1つよろしいでしょうか?」

「なんだ」

「どうやってLv.12に到達したんですか?」

「………………それ、言わなきゃダメか?」

 

初めて彼が言い淀んだ。

レンが視線だけルシアに向ける。

それを覗く為にルシアは小走りして少しだけ彼の斜め隣に並んだ。

彼女の瞳は純粋な好奇心……ではなく、情報収集。

そこには小さな体に似合う子供の心ではなく、戦争人間の妖精軍師が宿っていた。

レンにもそれくらいは見抜ける。

ただのチビではない相手に、彼はため息をついて遠くの空を見つめる。

 

「あっ。すみません。話したくないとかであれば大丈夫です」

「いや、抵抗があるわけじゃない。面倒なだけだ。どう省略しても長くなる」

「なるほど。そういう事でしたか」

「あぁ。まあ、今は黒竜討伐のことだけを考えてるからな。先のことだけ考えたいってのもあるが……」

 

ある意味話したくないではあるが、別に嫌な訳ではない。

過去を振り返る必要性もなく、気持ちも向いていないだけだ。

レンは少しだけ考える。

そして、視線を落とす。

 

「話してもいいが、つまらないぞ。俺の【物語(ミィス)】なんて誰も興味ないからな」

「そ、そんなことは。Lv.12の物語なんてみんな気になるのでは」

「Lv.12になったのは運が良かっただけだ。俺自身は空っぽで大したことのない存在。それでもいいなら話すが」

 

レンが少し振り返り、ルシアを見る。

目が合い、真っ直ぐ狼狽えながら見てくるルシアに、レンは仕方なく話すことにする。

 

「できるだけ端的に話す。そうだな……隠れ家に着くまでに終わらせよう」

「そ、そんな内容薄っぺらいんですか?」

「お前、結構言うな」

 

レンは瞠目して彼女を見た。

思ってたより大胆で失礼な女だった。

そして、変わった女だ。

Lv.12という肩書きに誰もが寄せられるのだろうか。

レンにとっては、どうでもいい肩書きだ。

それは今も昔も変わらない。

本当につまらない人生だった。

くだらない人間だ。

 

 

そんな人間の物語に興味を抱くモノ好きなど……精々リヴェリアくらいだろう。

 

 

 

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