VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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冥響のオルケストラ戦への準備




『戦いは準備の段階で八割が決まるが、戦いには絶対は存在しない』───────そう昔の偉い人は言っていた

オルケストラ攻略戦:第一候補(X1 Day)たる10/21まで後五日。

 

講義とバイトにタイムセール、夕食作りと食事にシャワーを浴びて、トイレ休憩と筋トレの後にシャンフロへログインしてから、ペッパーはインベントリア内に入って契約している征服人形(コンキスタ・ドール)のカルネ=103(ヒトミ)にオルケストラに挑む日時と其の時が来たなら協力を頼むと言った後、アイトゥイル・ディアレ・ノワを拾って一気呵成の如く動き出す。

 

『戦いは準備の段階で八割が決まるが、戦いには絶対は存在しない』……………そんな先人の有り難い金言が在り、残っている時間内にやれる事を全部やり切った状態で、堂々とオルケストラに挑むのだ。

 

「─────という訳なんですがビィラックさん、預けてる皇金世代(ゴールデンエイジ)の甲殻の一部、持って行っても良いですかね?」

「元を辿りゃアレ等はワリャがワチん所に持って来た逸品(モン)じゃ、好きに持って行け」

 

先ずやって来たのは兎御殿内に在るビィラックの鍛冶場、出会って早々に使用用途が見付かるまで彼女に預けている皇金世代の素材達の中で、ダントツの量を誇る皇金世代の皇金殻を何に使うかを説明した上で聞いたが、彼女は至極あっさりと了承してくれた。

 

「にしてもあの蠍の素材で何するんかと思ったが、まさか『其れ』に使うたぁな………」

「他の人からしたら『札束で殴る』ならぬ『札束でブッ刺す』みたいな事してますからね………」

 

ビィラックの手でピッカピカに磨かれた皇金殻達をインベントリアに入れて、ディアレが開いたゲートによるファストトラベルで次に向かったのは、猫妖精(ケット・シー)の国・キャッツェリア。

 

ニャイ十三世から与えられた別荘の窓から外を見渡すと、SF-ZOOのメンバーの一部が国民達と触れ合いながら、台車に荷運びや採掘道具を持って坑道に向かっているのを見つつ、スッと別荘を出立からサササッと移動し、キャッツェリア最高の宝石匠(ジュエラー)・ダルニャータの住まいへ迅速に到着すれば、Animaliaがダルニャータと話していた様だ。

 

「おぉ、ペッパー殿」

「あ、ペッパーさん」

「しー…………今晩は、ダルニャータさんにAnimaliaさん。SF-ZOOの皆さんは猫妖精の皆々様に御迷惑は掛けてないですよね?」

「勿論よ。貴方との約束をした訳だし、ラビッツの二の舞にはなりたくないわ」

「うむ、皆良く働いてくれている。もしやペッパー殿は、何か依頼が有って来たのか?」

「はい。先ずは此方を」

 

インベントリアからラピス謹製のアイテムであり、弓使いが長年抱えていた問題の一つ『高性能な矢が無い』を解決し、金策面で相応の方法・黄金の天秤商会で水晶群蠍(クリスタル·スコーピオン)の素材購入が可能・ラピスと繋がりを持っているの三つの条件を満たしたプレイヤーの流通で、着々と使用者が増加傾向を見せつつ有る『水晶蠍の矢(クリアス・アーテアリ)』を彼の前に置く。

 

「此の輝き…………、もしや水晶群蠍の甲殻を、矢と鏃其の物にした物か…………!?」

「確か水晶蠍の矢よねコレ。さっき新大陸の前線拠点に戻ったラピスさんが作った、弓使い職に知られ始めた新しい矢だった筈………」

「正解です。ラピスさんが宝石匠の技術で作った水晶蠍の矢という、最近の開拓者の間で密かにトレンドとなってるアイテムなんです。ラピスさんに出来るならば、ダルニャータさんにも出来るんじゃないかと考えて、此れを矢にして欲しいと言いますか………物が物なので出来れば内密に宜しく御願い致します」

 

前以て説明し、インベントリアを操作して皇金殻と以前討伐した帝晶双蠍(アレクサンド·スコーピオン)の甲殻たる貴宝殻を取り出して、一人と一匹の前に積み上げる。

 

宝石匠の視点に動物好きな開拓者の視点から見ても、其のアイテムが持っている価値を理解するまでに、そう時間は掛からなかった。

 

「こ、こここっこ、此れは…………!?な、何という………、とんでもない力を感じる…………!いや、何だ此の甲殻は………!?色合いは金晶独蠍(ゴールディ·スコーピオン)だが、そもそもの格が隔絶している………!!?其れに此れはシグモニア前線渓谷(フロントライン)の大王冠の暴君の甲殻…………!」

「噂の金晶独蠍"皇金世代"の甲殻………ッ!?ペッパーさん達が持ってる皇金桶(おうごんとう)カイザーバケットに使われた、トンデモ素材じゃない………!」

「まぁコレ、矢にして弩弓剣(アーチブレイド)で射るんですけどね」

「「!??」」

 

普通に甲殻だけ売っても数百万マーニは下らない其れを、瞬間火力を追求した果てに一回振るうとブッ壊れるピーキー極まった『パスタ武器』の如く一発芸として使い捨てるのか、或いは素材元来の頑丈さを持つからこそ並大抵の装甲を上からブチ抜く手札としているのかは、ダルニャータとAnimaliaには解らず。

 

そして提案者であるペッパーの思考は、対オルケストラへの一発芸として切る手札であり、同時にシャンフロに置ける矢系アイテムの判(・)定(・)を利用した近接戦時の手札としても見ているのだ。

 

「そんな訳なので、皇金殻と貴宝殻を矢にするのに何日掛かりますかね?」

「あ、あぁ…………コホン。此の量だと二日有れば可能だ」

「では宜しく御願い致します」

 

依頼料のマーニをキッチリ支払い、インベントリア内で何れ使うかもと取って置いたまま放置され続けているラピステリア星晶体(五から一等星級各種)で色を付け、ペッパー達は一度ラビッツへと戻った後にヴォーパルバニー達を待機させ、前線拠点へのゲートを開いてファストトラベル。

 

建物の陰に隠れ潜んで装備をアトランティクス・レプノルカより作ったマクティスシリーズ一式、アクセサリーに冥王鯱の護鏡(レプノルカ・ミラー)・女帝鮟鱇の秀玉(スレーギウン・ジュエル)・要塞寄居虫の結剣(アーコリウム・ソード)の深海三強其々に由来する物に切り替えセットから、素早く移動しての海中ダイブと共に深海の底の底を目指して泳ぎ出す。

 

(さぁ行くぞ!迅速に深海の底の底まで到着して、冥府の王水入手と三位一体(トリニティ)の血を!赫蒼海剣(かくそうかいけん)アスカロンに注ぎ込むんだ!)

 

己の死を是としながらもアスカロンが真(神)なる姿へ至らしめる為の最後の鍵として指定した、アトランティクス・レプノルカ"三位一体"の血を剣身に与え、魚人族鍛冶師(マーマーンスミス)のル・ジニシィが何時でも神化を行える状態にするべく、深海環境下で在れば始源存在(レイドモンスター)や七つの最強種(ユニークモンスター)をも駕ぎ得る、文字通りの怪物に三冠を成した勇者は会いに行くのであった………。

 

 

 

 

 






危険度MAXな潜航謁見


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