VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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勝ち負けだけが全てに非ず

「あ、ペッパーはん!」

「ペッパーさん、戻って来たか。其の様子だと成果有りと見れるな」

 

アトランティクス・レプノルカ"三位一体(トリニティ)"から血を徴収し、ダイナミックな身震い(シバリング)か何かで粉砕されて兎御殿の休憩室のベットにてリスポーンしたペッパーは、パートナーのヴォーパルバニーのアイトゥイルと其の姉のディアレに出迎えられた。

 

「まぁね。物凄い攻撃食らって死んだんだけど、其処に向かう道程で得た素材やら冥府の王水に、目的の物は手に入ったから戦果は上々って所かな」

『ワン!』

「契約者(マスター)、必要な物はコレだな」

「ありがとう、ヒトミさん」

 

インベントリアからリュカオーンの分け身のノワと、契約した征服人形(コンキスタ・ドール)のカルネ=103(ヒトミ)が、アトランティクス・レプノルカ"三位一体"の血脈を得たアスカロンを持って出て来るや、ペッパーの其の手に得物を渡す。

 

赫と蒼の合間が緑に輝く熱と冷気を帯びていたアスカロン・リバースから、黄金のマグマを加えて赫金と熱が大多数を占める赫煌剣(かくこうけん)アスカロンより、冥府の王水を更に加えて赫金と熱に蒼黒と冷気が美しく在った赫蒼海剣(かくそうかいけん)アスカロンを越えて。

 

赫金と蒼黒に輝きが溶け合い、剣と峰の境界線にグリーンフラッシュの如く翡翠の光が見える其の姿、何処かアスカロン・リバースを思わせども握る手の内に伝わる感触や力は、今迄のアスカロンの比に有らず。

 

早速フレーバーテキスト含めた能力のチェックを行おう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

覇濤海剣(はとうかいけん)アスカロン【英傑武器(グレイトフル)】

 

武器種:片手剣

 

数多の敵を屠り、其の身に力を刻み、最強の冥王の血をも得た魚神の牙にして、嘗ての英傑ル・ゲネテレが振るいし唯一の武器。

 

大地の地脈と大海の血脈を剣に取り込み、赫焔たる炎と冥府たる氷を携え、相反する双つの属性を一つに合わせし剣身は、数多の修繕と強化と変遷を経た果てに、終なる領域に至る器へ到達した。

 

鍛冶師の手により神化を行い成されし時、アスカロンは嘗ての在りし日に戴いた銘(な)と力と輝きを、此処に再び取り戻す。

 

 

此の武器は水圧による耐久値減少が発生せず、水棲系・海洋系のモンスター、並びに始源眷属・始源眷族に対して大幅なダメージ補正を持ち、水棲系及び海洋系モンスターに対するヘイトを装備者に惹き付ける効果を持つ。

 

 

・【赫焔(かくえん)の灼光(しゃっこう)】

 

此の武器を装備中、装備者は言霊もしくは魂を以て此の名を呼ぶ事により、武器に炎熱及び光に関連する事象に強い耐性を付与し、刺突並びに斬撃による攻撃時に炎熱及び灼光属性を付随する。

冥氷の闇淵を発動中、此の効果は起動出来ない。

 

 

・【冥氷(めいひょう)の闇淵(あんえん)】

 

此の武器を装備中、装備者は言霊もしくは魂を以て此の名を呼ぶ事により、武器に氷結及び闇に関連する事象に強い耐性を付与し、刺突並びに斬撃による攻撃時に氷結及び闇淵属性を付随する。

赫焔の灼光を発動中、此の効果は起動出来ない。

 

 

・【焔氷合越(えんひょうごうえつ)】

 

此の武器を装備した状態で戦闘開始から一定時間の経過、並びに赫焔の灼光と冥氷の闇淵を一定時間起動し、装備者の任意で言霊もしくは魂によって此の名を呼ぶ事により、解放条件を満たす。

 

解放後、此の武器による刺突並びに斬撃による攻撃には赫焔の灼光と冥氷の闇淵に付随する効果が掛かり、対象に攻撃がヒットした場合、対象の発生する熱量を吸収・焔氷合越の出力が上昇する。

 

 

・【????】

 

其(そ)は嘗てに振るわれし力。神に至りし鍛冶の手により、神なる領域に至りし時に、其の力は解き放たれり。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何というか凄いという事だけはハッキリと解る、覇濤海剣アスカロンのフレーバーテキストと搭載された能力達を見て、ペッパーはそう思った。

 

深厳戟響脚(アンピィ・トゥルリテ)の様に言霊や魂を以て唱える事により、炎光に氷闇の属性に由来する能力を発揮し、戦闘開始から一定時間経過+二つの効果を一定回数以上使用すれば相反する二つの属性を一つに、攻撃対象の熱を糧とし更なる出力を得ると読める。

 

灼光と闇淵が如何様な効果を相手に齎すかは運用して確認しなくてはならないが、炎と氷の属性武器から黒狼(ヴォルフシュバルツ)のリベリオスが持っているユニークウェポン…………に見せ掛けた生産された魔剣:昏い氷河(コキュートス)と、後々調べたが此方も生産品で魔剣:深い煉獄(インフェルノ)と似た感じでは有る物の、アスカロンは魚人族(マーマーン)の英傑武器(グレイトフル)なのでそもそもの格が違う。

 

『グルルル…………』

「…………ノワが警戒するのも無理は無いか」

 

何せ現在、アクセサリースロットにセットしている混海覇印(アルカ・ク=リンゼン)・極(スペリオル)が大絶賛、頭上で大回転真っ最中(フルスロットル)なのだから。

 

此れはどう考えても『魚神の牙(アスカロン)が大陸滅殺級災害の大津波(クリンゼン)の一部』であり、此迄に得て来た情報から物語が一つ組み上げられる。

 

例えるなら………『不滅のヴァイスアッシュが津波という概念存在(クリンゼン)に概念形成(コトナリ)か何かで実体を与え、調伏(とうばつ)する最中に彼の手によって牙が圧し折れて、深き海の底の底に沈んで長い年月で深淵の鐵(ハガネ)になったのを、在りし日にル・ゲネテレが採って来た』………という物か。

 

そう考えればクリンゼンの血肉である混海覇印が、クリンゼンの牙たるアスカロンに反応する事にも説明が付くと言う物。

 

「…………ヴァッシュ先生ならクリンゼンの事を知ってそうだし、何なら調伏したクリンゼンを武器やら何やらにしてそうだよなぁ…………」

「おぅおぅ………。相変わらず良い読みしてるじゃあねぇかい、おめぇさん」

「あ、ヴァッシュ先生」

 

当たり前の様に其処に居たヴァイスアッシュにヴォーパルバニー達が目を丸くし、ペッパーはヴァイスアッシュが何を求めているかを本能で理解して覇濤海剣アスカロンと共に手渡して。

 

其れを受け取ったヴァイスアッシュはジッ………と、アスカロンの剣身を観ながらに呟く。

 

「良い鍛冶師の手でェ、確りと直されてるわなァ…………。ペッパー、アスカロンを直している今の鍛冶師は誰だい?」

「ル・ジニシィさんという、ビィラックさんと同じくガンスミスライセンスを持った名匠と古匠を持つ、魚人族の鍛冶師です。其れから彼女は覇濤海剣アスカロンの元々の持ち主だった、魚人族の英傑ル・ゲネテレさんの子孫なのです」

 

彼女について特段隠す秘密も無いので、ペッパーはヴァイスアッシュに英傑武器の元々の持ち主だったゲネテレの事も含めて説明する。

 

話しを終えた後、顎に手を当てるヴァイスアッシュが何を思うのかと待っていれば、彼はペッパーにこう言ったのだ。

 

「ペッパーよぅ、其のル・ジニシィってぇ鍛冶師は今何処に居るんだい?」

「新大陸の前線拠点に…………もしや先生、ル・ジニシィさんを此のラビッツに。延(ひ)いては兎御殿に連れて来てくれと、そうおっしゃいたいのでしょうか?」

「くかかか…………よぉく理解(わか)っているじゃあねぇか、ペッパーよぅ」

 

笑みを浮かべたヴァイスアッシュがアスカロンを返し、受け取ったペッパーは冷や汗が溢れて額を伝う。

 

見方を変えればル・ジニシィは魚人族という亜人種であり、そして一号人類としては初めての、兎御殿に足を踏み入れる事になる栄誉を手にするのではと、そう確信を抱いたのだった。

 

 

 






兎御殿への御案内


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