もしもコナン世界で狛枝凪斗の見た目に転生してしまったら 作:山吹乙女
原作:名探偵コナン
タグ:R-15 オリ主 残酷な描写 アンチ・ヘイト 転生 クロスオーバー 狛枝凪斗 アンチ・ヘイトは念のため ミステリー ご都合主義 ダンガンロンパ
何番煎じかもわからない声優ネタの一発芸です。ちょうどよく思いついたので書いてみました。
日本の法律に殺人幇助罪というものが存在する。コレは殺人を犯す者の手助けをした場合に科される罪状であり、無論重罪に当たる
しかし極端な話ではあるが例えば自分が持っていた包丁を目の前の人物に奪われ、目の前の人物に包丁を刺されそうになったところを避けて、結果として別の誰かが刺されて死んでしまった場合、殺人幇助罪は適用されるかと言われたらそうではない、死んでしまった遺族の方から責められたりするかもしれないが罪に問われるかと言うと怪しいだろう。勿論さまざまなシチュエーションがあって、万が一にでも殺人幇助が適用される可能性もゼロとは言えないがまず無いと思っても大丈夫だろう。
つまり上記の例で考えた場合、それは悪意の有無であると考える。仮に目の前の人物に自ら包丁を渡し、その結果別の誰かが死んでしまった場合、状況証拠などで殺人幇助罪に問われるだろう。罪の有無が感情によって左右されるのだから法は完全でないと思い知らされるね。
ただ、どうして僕がここまで長々と殺人幇助罪に対して話しているのかというと、やってしまったんだよね…しかも故意に
いや、やってしまったという表現も正確ではないね、「やってみたら出来てしまった」が正解だろう。自分でも半信半疑だったけど、案外上手く行くものらしい
妙な言い回しをするだろう?しかしコレには理由がある。
突然だが僕の名前は狛枝凪斗、ご存知の通り『スーパーダンガンロンパ2』に登場するキャラクターであり、架空の人物である
でも僕はいわゆる転生と言われる物を経験して、狛枝凪斗の見た目と若干の性格補正と彼を彼たらしめる『超高校級の幸運』を持って名探偵コナンの世界に生まれ変わってしまって、彼の性格を少なからず受け継いでいる。
そうと決まれば、決まってしまったのなら、僕自身はこの世界の主人公工藤新一くん、もとい江戸川コナンくんの越えるべき壁となりたいと考えてしまったんだ。明確にこの世界に主人公が存在して、その事実について自分しか知らないとわかったなら、乗り越えるべき壁…と言うのは烏滸がましいね。踏み台と言った方が適切かな?
だから僕は僕ができる範囲内で、彼の踏み台となろう。主人公はより強く輝いてこそ、その光を増してこそ主人公を主人公たらしめるだろう
そのためなら僕自身が被害者となることは些細な問題でしかない。僕という屍を超えて少しでも強く希望という光を示してくれるなら、この世界に来た意味も少しはあるということだろう。
ただ、
◆◆◆
俺たちは小五郎のおっちゃんが福引で当てた旅行のチケットを使い、蘭とおっちゃんと一緒に温泉旅館に泊まっていた
しかしこの旅館でここのオーナーが死体で発見されら事件が発生した。
第一発見者は複数人いる。俺と、小五郎のおっちゃんと、オーナーを探していた受付のお姉さんと、そして偶然近くを通りかかった真っ白な髪とモスグリーンのフードがついた上着が目立つ狛枝凪斗という大学生の青年だった
狛枝に関していえば少しだけ顔見知りだったりする。彼は俺たちが旅館に荷物を預けに来た直後、どこの温泉地に行こうか迷っていた時、偶然にも通りかかった狛枝に話しかけられ、この付近を点々と連泊しているらしい彼のオススメの温泉を教えてもらったことから接点が生まれ、オーナーを探していた受付のお姉さんが、鍵はついていないが開かなくなった倉庫に悪戦苦闘していたところに彼と鉢合わせ、現在に至る。
死体で発見された旅館のオーナーは六十代の女性であり、窓のない五畳程の広さの倉庫の正面の壁に固定された本棚に首を吊って亡くなっていた。本棚の高さはそこまで高くなく、オーナーが首を吊った時は床に本二冊分の隙間しかない。
鍵がかかっていなかった倉庫の扉は、扉の左右に配置された木製の本棚の足が片方壊れており、内開きの扉を堰き止める形に倒れていてこの部屋は事実上の密室となっていた
普通に考えるなら密室で首を吊ったオーナーの自殺となるが、不思議なことに書き置きも遺言らしき物も何も見つかっていない上に、首全体を覆うほどの縄で首を吊っていて、明らかに不自然であった
そしてこの事件が自殺ではなく、他殺である決定的な証拠があった。それは現場検証をしていた警察が発見した被害者の手首に重い物で押さえつけたようなアザと、小指のマニキュアに擦れた跡があったことだ。
小五郎のおっちゃんは自殺だと決めつけていたが、俺は被害者の両手首につけられたアザから自殺に見せかけた密室殺人であると考えた。
「毛利さんは自殺って推理してるけど、君はどうやら納得していないようだね、コナンくん」
顎に手を当て考えていた俺に、狛枝は膝を折って目線を合わさせながら聞いてきた
目撃証言の時間から事件発生前であり、事件との関連性は薄いが現場である旅館内の倉庫近くを通りかかる狛枝の目撃証言から俺は容疑者とは言わないが怪しいとも考えていた。
「あはは、狛枝にいちゃん、そんなことないよ」
「ふーん、まぁそうだよね。現場は密室で被害者のオーナーの死因は窒息死、どう考えても自殺にしか見えないもんねー」
手を広げながらやれやれとわざとらしく首を振る狛枝はどうにも胡散臭く映る。
「もしこの事件が他殺であるとするなら、この密室はなんらかのトリックがあって作られた物だろうけど、書類と本棚しかない五畳ほどの広さのこの部屋ではそれも難しい。考えれば考えるほど自殺に思えてくるね?」
そう、狛枝が言っていることは最もだ。犯人の目星は付いているが、この密室トリックが解けないことには犯人に言い逃れてしまう
しかしこの密室はかなり妙だ。俺の推理から事件そのものは突発的に起こったもので犯人はかなり焦っていて杜撰なのに、密室トリックそのものはあらかじめ用意されていたかのように周到な物となっている。まるで殺人を犯した人物と、この密室を作った人物が別人であるかのようだった。
「あちゃーアリが集ってるよ。白アリか?」
小五郎のおっちゃんが入り口付近に集まっていたアリを見て呟いていた。集まっていたのは普通の黒アリだったが、入り口を塞いでいた本棚が撤去されて残った書類の束の一つにアリが群がっていることに疑問を覚えた俺は、特にアリが集中している書類に近づいた。
(コレは!?…読めたぜ、この密室のトリックが!…でもそれなら、やはりこの密室を作った人物とオーナーを殺害した人物は別人…ならば誰がこの密室を…待てよ?あの人はなんて言っていただろうか?そうだ、確かにあの人はあの事にも触れている。でもあの人は明確なアリバイがあるし、この密室を作る意味がない…まさか本当に意味がない?というよりはこの密室が偶然でできたという方がしっくりくる。)
◆◆◆
「この事件、自殺で決まりですな」
この事件を担当していた刑事の一人に名探偵であり、この事件に関わっている毛利小五郎が話していたところ、小五郎ガクリと体制を崩し、壁に背を預けズルズルと滑るようにして床にまるで
『そう、一見自殺に見える事件…コレはれっきとした殺人事件です』
「殺人事件!?」
時間に関わった刑事達と、旅館関係者は自然と集まっていたラウンジの中で一斉に声を揃えてあげた。事件に関係したたった一人の人物を除いて。
「でもそれっておかしくないかな?」
ワナワナと驚いていたラウンジの一同の中で一人が手を上げて発言した。狛枝凪斗である。
「すいません推理の邪魔をしてしまって、でもちょっと気になっちゃって。現場は密室だった、それは第一発見者の毛利さんもわかってたはずですよ?大人3人でようやく開けられたような重さで塞がれていた扉しか出入り口がない部屋で、殺人事件であったなら犯人はどうやってあの部屋を出入りしたのでしょうか?」
ラウンジに集まっている刑事たちと、事件を聞かされていた旅館関係者は確かにとウンウン頷く。
『そう、その密室ですがね、私も頭を悩ませました。まさか偶然出来たものであったのですから』
『偶然の産物であった』その言葉が全員の意表を突いた。突拍子のない推理から順調に犯人を追い詰めていき、最終的にはオーナーの旦那の膝裏に付着していた乾く前のマニキュアが決定打となり、事件は解決した。
犯人が見つかった安心感からラウンジに集まった全員が自分の持ち場か部屋に戻ろうと自然と解散することになった時、コナンは狛枝の裾を掴む
「おや?どうしたんだい、コナンくん?」
「狛枝にいちゃん、今回の事件の前どこに行ってたの?」
「どこ?って…どこでもいいでしょ?もう事件は解決したんだし」
狛枝は膝を折りコナンの肩に手を置こうとするとコナンは話を続ける。
「オーナーが殺される前にあの倉庫に行ってたんじゃない?」
その言葉を聞いて狛枝はピタリとその手を止めた。
「どうしてそう思ったのかな?」
「狛枝にいちゃん、あの倉庫の近くで目撃証言があったし、何より本棚に置かれていた物、普通は本って言うところを狛枝にいちゃんは書類って言ってたよね?もしかして予め現場に来ていて、何か細工してたんじゃない?例えば…本棚の足を壊して水で濡らした書類の束と角砂糖で足を支えて時間が来ると本棚が倒れるようになるトリックとか?」
目を鋭く睨ませたコナンを見て狛枝は、フッと笑うとこう口にした。
「あはははッ!」
狛枝の目は正気を帯びた人間と自殺寸前の人間が持つ目の色をぐちゃぐちゃに混ぜ合わせて黒が勝り、よりその黒がさらに黒くなることで逆に光を発しているかのように禍々しいほどの瞳を見せる。その瞳は数々の凶悪犯を見てきたコナン、もとい工藤新一ですらたじろぐ程の狂気に満ちていた。
「
そう言って狛枝はコナンに手を振って去って行こうとするが、その背中にコナンが言う。
「狛枝!俺がいつかお前の手口を暴いて警察に突き出してやる!」
そして狛枝は旅館を後にしながら小さく呟く。
「僕なんて障害を簡単に乗り越えられると信じているよ、小さな名探偵くん」
お疲れ様でした
今回のトリックは昔あった[古畑任三郎]シリーズの完全犯罪をやってたオマージュです。
一話完結にしたかったので狛枝とコナンくんの周りの人達のあれこれは端折りました。好評のようでしたら続くかもしれません。