遠山キンジの独白 作:緋色
実家はJR巣鴨駅から少し離れた住宅街なので散歩がてら近所を見回りながら帰る事にする。
古い一戸建てが多い地域なのでギラギラしたクソみたいな都会の闇からの落差で懐かしい気持ちになる。
……やっぱクロメーテルやってた時の悪影響出てんだなぁ。クロメーテルやってる時の抑圧大きいから発散できそうなときの爆発がヤバい。
実家帰る前に大きく回り道してよかったな。メンタル微妙に不安定とか爺ちゃんは兎も角婆ちゃんに悟られたら気遣われて居心地悪くなりそうだし。いつもだったらストレス発散として白雪か
そんなこんなで結構歩いた先の日本家屋――実家に向かうと
「おいジジイ。道の掃除が終わったぞ。
と、ロック歌手みたいな服装の男が我が家に入っていく――うん。ジーサードみたいに見えたけどきのせいだなたぶ「お前は近所づきあいってモノが分かっとらーんッ!向こう三軒両隣の前も掃除せんか! 次は鉄拳制裁じゃぞ!」
っと、着流しに半纏を重ね着した俺の爺ちゃん―遠山鐵が、ぱかーん! 下駄でジーサードの頭を叩いて道に戻しながら出てきた。
……気のせいじゃなかったようである。
舌打ちしつつも、あのジーサードがちゃんと従って箒を持ち直してる。さらによく見ると、塀にまたがって庭の柿の木に棒を伸ばしてるのは武偵高のセーラー服姿のかなめだ。
「いいキャラメル色の柿だぁー」
柿ってキャラメル色か?
いやそれはどうでもいいとして――どういう状況だこれは?
「……なんでいるんだお前ら」
「――おう、兄貴じゃねえか。そりゃこっちのセリフだぜ。俺はホームステイだ」
お前、ビデオレターで再戦仄めかしてたのによく言えたな。アメリカ出身だし
「お兄ちゃん非合理的ぃー。孫がお爺ちゃんの家にいちゃいけないの?あっ、でも安心して。アリアたちには何も言ってないから。家族の団欒をジャマされたくないからねぇ」
なぜそこでアリアの名前が出るのだろうか?
「爺ちゃんが孫扱いしてるなら俺はもうなんも言わねえよ。というか受け入れられてるのか。どう説明するか気を回してた俺の苦労は一体……」
「堂々としてればなんとかなるもんだよ」
「
「そこは話してないよ」
「おい」
頭痛くなってきた。
「お兄ちゃん頭痛いの?すぐに治療してあげるね♡」
塀から降りたかなめがぐいぐいと引っ張ってくるが――背中の手榴弾の怪我を見抜かれてるのかそこが痛まないよう気を使われてる様だ。
振り払うわけにもいかず実家の門をくぐる。
「……ただいま」
「ん、よく帰った」
爺ちゃんは……嬉しそうに笑ってくれた。
とりあえず家では問題ないっぽい。ならいいか。
「おやキンジ、おかえり。救急箱は棚の上にあるよ」
「ただいま。婆ちゃん。いや自分でざっくり治療はしたけど」
「ちゃんとした治療はしときなさい。そこの爺さんは破傷風で散々苦しんだんだからね。甘く見ちゃあダメよ」
婆ちゃん――遠山セツが遠い目で大変だったと思いだしてる内容は知らないが――世界大戦経験者の戦闘機乗りだった爺ちゃんが苦しんだとなるとホントにヤバかったんだろうな。
「そうだよ。戦場医療の成績も高かったし安心して。可愛い妹が隅から隅まで治療するからね」
「何も問題ないはずだけど、なんか不安を感じる言い回しなんだ?」
なお、何も問題なく治療はしっかりされた。
その肌色面積の多い女医の衣装はどっから出した?
治療中の雑談で学校で俺がクロメーテルと駆け落ちしたことになっていると詰められて誤魔化すのが面倒くさかったが誤魔化しきって、ジーサードも巻き込んで家族写真を撮って、白雪に『実家なう。弟妹が馴染んだらそっちに戻る』と写メを送り、ついでに兄さんには『はよパトラ連れて帰ってこい。婆ちゃんが嫁の事気にしてたぞ』と送っておく。
直後になんか言い訳がましいメールが入っていたが黙殺する。
「いやー、
「隠し子というか隠された子だけど。父さんも知らないんじゃないかな?知ってたらキレそうだし。これで4人兄弟になったわけだ」
まだ他に居てもおかしくないが……ジーサードとかなめは知らないらしいし多分いないだろう。たぶん。
炬燵で豆菓子を食べつつ爺ちゃんと話す。
「ジーサードとかなめはいつからいるんだ?ヘタレ兄さんが逃げ回ってるから俺が仲介するつもりだったんだけど」
「今日の朝じゃの。昼にはキンジが帰ってくるのは知っとったらしく先回りしたようじゃ」
クロメーテルで出国した関係上、入出国の辻褄合わせで時間くったからそれくらいに実家に帰ると連絡したが――通話をどっかで傍受しやがったな?それで先回りしていたとジーサードの意図はわからんが。
かなめ経由で爺ちゃんに紹介する的なこと言ったから反発したのかな?
……しっくりこないが別に敵意はなさそうなのでほっとくか。割と家族関係に飢えてたっぽいから結構満足してそうだし。
「数日はこっちで過ごすつもりだけど。なんか予定あったりする?旅行とか」
「気ぃ使わんでええ。どれくらいいても構わん。疲れが癒えるまで好きにせい。――お節介は気が済むまでやめんのじゃろ」
バレテーラ
「俺は悪くねえけど放置してたせいではあるからねえ。いや俺は悪くないけど。姿消したらあいつが悪いけど。でも気になるし」
「……遠山の男じゃ。多くは聞かんが義は定めとけ」
「それは問題ない。やる事はほとんど決まってるし恨まれるだろうし」
「そうかの」
まあ恨まれるだろうな。
話の内容的にサードとかなめが実家にいるの一日も経ってないと判断しました
あと祖父母の度量広いなぁ