とある魔術の禁書目録外伝IF〜とあるフレンダの救済計画〜 作:死徒
「甘ぇぞオビト! もうそいつは儂に通用しねぇ!」
九喇嘛は尾に絡まる木龍を力技で無理矢理振り払い、更にはよろめいた木龍の隙をつき両腕でその頭部を粉砕、解放された九つの尾で頭部を失った木龍を追撃、木龍は身体をボロボロに破壊され力無く地上へと沈んだ…
木龍を撃破した九喇嘛は再び俺に攻撃を仕掛けてくる。
俺は九喇嘛の雄叫びを真正面から浴びながら、ゆっくりと息を整えた。
精神世界の白い水面は、まだ激しい戦いの余波で波立っている。
足元には無惨に打ち捨てられた二体の木龍の残骸が横たわっていた。
頭部が粉々に砕け散り、鱗のような木の表皮が剥がれ、胴体はねじ曲がって引き裂かれている。
戦闘の直後、九喇嘛に一度木龍を破壊された後、俺は再度印を組み、もう一度木龍を発現するがそれはまたしても九喇嘛に潰された。
それも最初よりも短時間でだ…
真っ向からぶつかり合うだけじゃ木龍はもう通用しないと俺は判断する。
「……九喇嘛。 俺はフレンダと猟虎…大切な者達を守る為に更なる力が欲しい…その為にお前を必ず倒し、屈服させる!」
俺は両目を写輪眼から万華鏡写輪眼へと変える。
それを確認した九喇嘛の黄金の毛並みが炎のように揺らめき、九本の尾がゆっくりと構えを取る。
「万華鏡写輪眼か…ようやくやる気を見せてきたなオビト。 儂を倒せるものなら倒してみやがれ!」
九喇嘛の好戦的だが、どこか楽しげな声が周囲に響いた。
瞬間、九喇嘛が跳躍した。
巨大な爪が弧を描き、俺の頭上から叩きつけられる。空気が爆ぜ、水面が壁のように飛び散る。
俺は左目の万華鏡写輪眼を回転させ、神威を発動。
空間が歪み、爪の攻撃を虚空へ逸らした。だが九喇嘛は予測済みとばかりに尾を連打してくる。
ここで木龍をもう一度出すのは愚策だ。
九喇嘛は恐らくそれを狙っている筈…ならば…
俺はチャクラを極限まで高め、両手で印を結び構える。
「火遁・爆風乱舞!」
左目の神威で空間を大きく歪ませ、渦巻状の暴風を発生させる。
更に写輪眼の精密制御で、ねじれた虚空が強烈な旋風を生み出す。
そこへ、俺の口から火遁のチャクラを回転する炎として吐き出した。
炎が暴風に巻き込まれ、巨大な螺旋状の回転炎渦が一瞬で完成する。
迫り来る広範囲の爆炎の竜巻を九喇嘛は回避しようとするが、その巨体ゆえに避けきれず飲み込まれる。
何とかチャクラの衣で完全防御態勢に移ることでダメージを最小限に抑えたようだが、それでも灼熱の螺旋は九喇嘛の黄金の体毛を焼き焦がし、九本の尾を絡め取りながら連続爆裂した影響で彼の肉体は少なくない打撃を受けたようだ。
神威の空間操作と火遁の回転炎が完全に融合した併せ技。
ナルト原作であのうちはマダラの火遁…豪火滅却に勝るとも劣らない威力を見せていた術だ。
通用してもらわなければ困る。
「ぐ、ぐっ……この熱さ…この痛み…フン…やるじゃねぇか…だがな…」
九喇嘛が全身のチャクラを爆発させ、爆風乱舞を吹き飛ばす。
焦げた毛並みから煙が立ちのぼるが、その瞳からは強く鋭い眼光が輝いており、九喇嘛からは見えない闘気が発せられているようだった。
「まだまだだ!」
九喇嘛が突進してくる。
「神威!」
俺は神威を使用し、九喇嘛の突進をすり抜けその背後に転移。
「オラァ!!」
「!? ぐっ!?」
すぐに反撃に移る為に素早く印を結ぼうと動くが、九喇嘛の尾が即座に反応して俺を薙ぎ払う。
俺は神威が間に合わず、ミシリ…という嫌な音と共に身体が吹き飛び、水面に激突した。
俺は水面に蹲りながら身体の状態を確認する。
尾が叩きつけられた際、防御に使った左腕の骨が軋む感じがする。
これは折れたか良くても確実に罅が入っているな…
精神世界ではあるが、感じられるその痛みは紛れもなく本物だった。
俺は立ち上がりながら、掌仙術で左腕を治療する。
それにより左腕は柱間細胞の特性もあり、直ぐさま治癒された。
左腕を治療した俺は九喇嘛を再び見据えると、九喇嘛はその巨大な口を開けて、莫大なチャクラの塊を収束している最中であった。
あれは…尾獣玉か!?
それを見た俺は放たれる技の威力、範囲に危機感を覚えると共に木遁の印を結ぶと次の手を繰り出した。
「木遁・樹界降誕!」
先程の木龍とは違う。
学園都市の空港施設でも使用し、アレイスターからの追手部隊を壊滅させた木遁…大地全体を揺るがす程の規模の樹木が爆発的に生い茂る。
根と枝が瞬時に九喇嘛の四肢を絡め取り、胴体、尾と最後に頭を締め上げる。
「ガッ…グオッ!? ぐっ、くっ…それが…どうした!! この程度で儂を縛れると思うなよ…オビト!!」
締め上げられた痛みに九喇嘛は驚愕と共に声を漏らす。
そんな中でも尾獣玉を未だに放とうと収束する様は凄まじい執念を感じる。
九喇嘛が全身の毛を逆立て、全身を震わせた。
…どうやら尾獣玉が完成したらしいな…
「ウオオオオオッ!!」
九喇嘛はその口から完全に収束し、巨大で莫大な威力となった尾獣玉を雄叫びの直後、遂に解き放つ。
直撃すればただでは済まない…万華鏡写輪眼を輪廻眼に変えて餓鬼道で吸収するか、或いは天道の神羅天征で弾くか?
いや、餓鬼道では全てを吸えるか分からないし、天道の神羅天征にしてもあれだけの莫大な破壊力を全て弾けるか不明だ。
ならば神威のすり抜けで…ダメだな、あのレベルに収束させた尾獣玉だ…着弾後、恐らく神威の弱点 ➖5分間以上連続ですり抜けられない➖ を超えて炸裂し続けることだろう…そうなればこちらの詰みだ…
こうなれば取れる手段は1つか…ぶっつけ本番だが仕方ないな…
俺は迫り来る特大尾獣玉を前に覚悟を決め、両目の万華鏡写輪眼にチャクラを一気に込めていく。
すると俺の身体に水色を基調とした骨のようなものが纏われ、それはどんどん肉体、鎧のようなものと徐々に形を変え、上半身の形成が終わると次は下半身が形成され始め、巨大に変化していく。
そしてそれは最終的には鼻の高い天狗のような面構えと背中に大きな翼があるのが特徴的な巨大な鎧武者となる。
そう…万華鏡写輪眼を両目に宿した者が両目の固有術を開眼した後、更にその力を高めることが条件で解放される万華鏡写輪眼の奥の手…須佐能乎。
それを永遠の万華鏡写輪眼に至った者が更に強化させた奥義ともいえる瞳術…完全体須佐能乎だ。
発現した俺の完全体須佐能乎はナルト原作のカグヤ戦でカカシが使っていたものとほぼ同じだが、違いがあるとすればその左目付近に傷があるか無いかの違いだろう。
俺に完全体須佐能乎が完全に纏わった直後、九喇嘛の特大尾獣玉が完全体須佐能乎に炸裂した。
九喇嘛の尾獣玉が完全体須佐能乎の装甲を徐々に抉っていくが、その堅牢な防御力は正に圧巻…これは防ぎきれる!
初めは途轍もない衝撃で突き進んでいた尾獣玉だったが、次第に勢いを無くしていく。
それを確認した俺は完全体須佐能乎で尾獣玉を両腕で握りしめる。
すると尾獣玉は圧迫感に耐えきれず爆発し、消滅した。
俺と九喇嘛は再び対峙するが、どちらもチャクラ消耗により息を切らしていた…
「…ハァ…ハァ……チッ…須佐能乎…しかもマダラのヤツが使っていた完全体とかいうヤツか……あの尾獣玉を防ぐとはな…」
「…はぁ、はぁ……九喇嘛。 流石だな…やっぱりお前は強いよ。 まさか須佐能乎を…それも完全体をぶっつけ本番で使うことになるなんてな……正直危なかった…」
「…フン! 容易く防いどいて良く言うぜ…まあ良い……オビト、てめぇの勝ちだ。 てめぇを…相棒として改めて認めてやる」
「!? 良いのか九喇嘛? 俺はまだお前を打ち負かしていないぞ!?」
「…このまま戦ったところで消耗した儂と消耗しているとはいえ、柱間細胞を持ったてめぇとじゃ結果は見えてんだろ? こんな状態まで追い込まれたらやるだけ無駄だ」
俺の発言に何言ってんだてめぇと呆れた目を向けてそう言い放つ九喇嘛。
確かに柱間細胞を持つ俺が有利なのは理解出来るが、そうだとしても何故そんなバカを見るような目で俺を見るんだ九喇嘛…
泣きたくなってくるんだが…
「…兎に角、この戦いはオビト、てめぇの勝ちだ。 これからはこの儂が直々に手を貸してやるんだ…絶対に負けは許さねぇぞ」
「分かっているさ、尾獣最強のお前が手を貸してくれる…本当に心強い。 そんな状態で負ける筈がないだろ?」
「…ケッ…煽てても何も出ねぇぞ?」
俺の言葉にソッポを向く九喇嘛。
その顔は多少赤くなっているようにも見える。
「煽ててないよ、本心だ」
「……バカ言ってねぇでさっさと現実世界へ戻りやがれ。 そろそろ仮眠時間も終わりだろうが?」
「ああ、そうだな。 ありがとう九喇嘛。 これからもよろしく頼む」
「フン!……じゃあな…また会おうぜ相棒…」
ー
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精神世界での九喇嘛との対話と戦闘を終えた俺はゆっくりと目を開けた。
そこは仮眠前と同じ貨物機の仮眠室。
夢だったのかと一瞬思ったが、体中が汗だくであり、更には仮眠前より力が身体の奥深くから満ち溢れてくる感覚があり、あれが夢ではないと瞬時に理解した。
試しにチャクラをコントロールすると黄色の衣が身体に纏わる九尾チャクラモードが発現、更にチャクラを込めていくと色が黄色から黄金色になり、形状が変化、九喇嘛と完璧に共鳴し制御された完全な九尾の人柱力の姿…九喇嘛チャクラモードの完成である。
凄まじい力だ……
この状態で万華鏡、更には輪廻眼も用いれば別次元の相手にも太刀打ち出来るかもしれないな。
俺は九喇嘛チャクラモードを解くと、汗を流すべくシャワーを浴びにいき、服を着替え、身なりを整える。
そしてフレンダと猟虎と交代するべく、彼女達の居るコクピットへと向かう。
これで……もっと強くなれた…ありがとう九喇嘛。
フレンダ、猟虎…これから先も絶対に君達を守り抜いてみせる。
心から愛する2人の待つコクピットへ向かいながら、俺は無意識に小さく微笑むのだった。
と言う訳で九喇嘛との戦いでした。
上手く描けているか不安ですが、どうでしょうか?
九喇嘛を屈服させ、晴れて互いに相棒となったオビトと九喇嘛。
これによりオビトは九喇嘛チャクラモード+万華鏡写輪眼、又は輪廻眼が使用可能となり、更に別次元の相手と戦えるよう強化されました。
今後どうなるか気長にお待ちください。