前世で好きだったゲーム【レギオンロード】に酷似した世界にアムドゥキアス伯爵家の息子として転生した主人公。前世には無かった魔法を頑張ったら強くなった息子を恐れた父に家から追放される!

 その後、色々と頑張って王国の姫様と仲良くなるファンタジーバトル系ラノベ!

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 こんにちは、抹茶です。Youtubeで配信しながら書いてます!初投稿なので拙いかもですが、楽しんでくれたら幸いです。
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【レギオンロード】~転生したら王子様みたいな姫様と仲良くなりました!?~

 普通の日常は酷く退屈である。だけど、失ってしまえばその大切さに気付くだろう。オレはそうだった。

 流れる血、感覚の無い身体、鈍い痛みと遠くから聞こえる声。激しくブレる視界に映った現実は交通事故だとオレに教えていた。

 

 野次馬の声が遠くなるのを感じながらオレの意識は暗いところに堕ちていった。

 

 

 

 次に目が覚めた時、真っ先に目に入ったのは病室・・・ではなく、知らない天井とやたら豪華なベットだった。

 ふわふわのベットから身体を起こしてみるとメイド服を着た少女を見つけた。

 

 部屋の花瓶を置いて、こちらを振り返るメイドと目が合う。お互いに数秒、見つめ合う。

 こちらが声を掛けようとした瞬間、メイドは大声で叫んだ。

 

 「坊ちゃまがお目覚めになりました~!」

 

 思わず、耳をふさぐ。甲高い女性の声は頭に響くものがあった。彼女の声を聞いたのか、騒がしくなる部屋の外。

 泣いてるメイドをよそに扉が勢いよく開かれ、豪華な服を着た男女が入ってくる。

 

 「おぉ!目覚めたか!気分はどうだ?馬車が事故に遭い、お前が目覚めないと聞いた時は生きた心地がしなかったぞ!」

 

 「大丈夫?ザック、辛くない?」

 

 見知らぬ人が二人。まるで家族に話しかけるような態度。明らかに現代でない服装。それらから導き出される答えは一つ。

 

 (わぁお。異世界転生だぁ・・・)

 

 オレは、考えることを、やめた。

 

 

 


 

 

 

 あの後、転生のことを隠しながら現状把握に努め、三年が経った。

 その結果、前世で好きだったゲーム【レギオンロード】の世界だと分かった。

 

 より正確には()()()()()()世界なのだが、ゲーム時代にもあった魔法にオレは魅せられた。

 前世には無かった超常の力。それがオレの興味を引くのは当たり前だった。

 

 屋敷の図書室に貯蔵されている魔法の関連書物を読み漁り、実戦する。すると、多少の失敗はあったものの、すんなり修得できた。

 徐々に難しい魔法に手を出していくが、詰まるような事は無く、むしろ()()()()()()()かのように覚えていった。

 

 

 

 どうやら、魔法の勉強(それ)を両親に見られたようで冒険者の家庭教師が家に来た。

 

 「私はイブリース。冒険者をやってる魔術師。キミの家庭教師に来た。よろしく。」

 

 「ザッハーク・アムドゥキアスです。イブリースさん、よろしくお願いします。」

 

 イブリースという竜人の女は、魔法を本職とする魔術師らしく、博識だった。

 おまけにモノを教えるのが上手く、イブリースの的確な指導の下、どんどん魔法が上達していった。

 

 二年も経てば最上位の魔法すら使えるようになり、全ての属性に適性を持つオレは魔法に関して師匠(イブリース)を超えたとも言えるだろう。

 その成果を両親に見せると()()とても喜んでいた。父はあまり表情が変わらなかった。

 

 感情表現が乏しい訳でもない父が無表情なのに違和感を覚えたオレは魔法で父の心を読んだ。

 

 (たった6才で最上位の魔法、しかも全ての属性だと?あの力が我が領に向けられたら・・・

 ザッハークには悪いが、仕方あるまい。我らの手に余る。追放・・・あるいは絶縁か。)

 

 思わず、身体が固まる。即座に誤魔化したので気付かれなかったが、マルダス()がオレをアムドゥキアス領から追い出そうと思っていることに気付けた。

 とりあえず、今すぐでない事に安堵した。ただ、いつ追放されるか分からない以上、追放されても生きれるよう、対策を取るのは必須だった。

 

 真っ先に思い付いたのは冒険者。イブリースに連絡を取り、魔法で変装した姿で冒険者のノウハウを教えてもらった。

 薬草の見分け方、魔物を追跡する方法など基礎的な事から魔物の習性や弱点も実戦で教わった。

 

 そもそも命を奪えるのか、という問題は魔法を使うことで解決した。ゲーム感覚で倒せたからだ。

 元々、貴族の嗜みとして学んだ剣術と併せればB級程度なら楽勝とお墨付きを貰う事が出来た。

 

 

 

 とんとん拍子で冒険者として名を上げ始めた頃、オレはマルダスから呼び出され、書斎に向かっていた。

 この時、既にイヤな予感がしており、書斎に向かう足取りが重かったが、何とか部屋に着き、ノックする。

 

 「ザッハークです。父上に会いに来ました。」

 

 「入りなさい。」

 

 扉を開けて入室する。マルダスは仕事中であったが、ソファに座るよう促されたので大人しく座って待つ。

 五分ほど待った後、仕事が一段落したマルダスはオレの正面に座って話し始めた。

 

 「最近、屋敷に居ない日があるそうだな?」

 

 「・・・そんなことは」

 

 「白を切るなら、それでもいい。だが、今日でアムドゥキアス家から出て行ってもらう。」

 

 冒険者としての活動までバレているかは分からないが、勘当するには余りにも理由が弱かった。

 例え、バレていても勘当するほどの行動ではない。精々、厳重注意ほどだ。

 

 「な、何故です!?この程度、勘当される程のことではないはず!」

 

 「これは決定事項だ。お前に口出しする権利は無い。・・・明日までに荷物を纏めて出ていくんだな。」

 

 「なっ・・・!?」

 

 「あぁ、それと。挨拶は要らん。ジュデル*1にもな。静かに出ていくといい。」

 

 この時点で母に内緒で勘当したことは想像できたが、貴族家当主の決定事項に逆らうことは当主の妻でも出来ない。

 オレはマルダスの言う通り、静かに荷物を纏めてアムドゥキアス家から出て行った。

 

 

 

 


 

 

 

 アムドゥキアス家を勘当されたオレは出ていく時に渡された手切れ金で王都に向かった。

 そのまま冒険者として本格的に活動し始めた。王都周辺は弱い魔物しか居らず、ランクを上げるために遠征を繰り返した。

 

 四年も経てばAランクになり、貴族ほどではないが、それなりの暮らしが出来るようになっていた。

 年齢的にちょうどタイミングが良く、魔導学園に貯蔵されている魔導書を読むために試験を受けた。

 

 平民枠での受験だったが、受けているのはほとんどが実家の手伝いで最弱と言われる魔物を倒したことがある程度の子供たちだった。

 Aランクになったほど実戦で鍛えられたオレにとって試験内容は簡単だった。

 

 筆記試験もあったが、貴族なら誰でも答えられるような問題であり、アムドゥキアス家出身のオレも苦労せず解けるものだった。

 

 結果発表の日、簡単な依頼を終わらせてきたオレは学園に張り出された結果を確認した。

 合格表には合格者の名前が成績順に並べられていた。オレの名前は上から二番目、次席だった。

 

 Aランクのオレより成績が良かった人物は誰だと思って見てみれば書いてあるのは【アルトリウス・スレイマン】という名前。

 それを見て納得する。その名前は、この王国で最も貴い血。王族に連なる姫様の名前だった。

 

 

 


 

 

 

 『学ぶ意欲のある者は貴賤を問わず、平等である』という理念を基に創られたのが、この【ソフィア高等魔導学園】だ。

 しかし、その反面、実力主義的なところもあり、クラス分けは顕著だろう。

 

 上位10名はSクラスとして学費など、様々な面で優遇される。そこに平民や貴族の区別は無いのでオレは姫様と同じクラスになった。

 オレは自己紹介を適当にやり過ごし、姫様の自己紹介の番となる。

 

 「私はアルトリウス・スレイマン。一介の騎士だ。王家に連なる者でもあるが、同じ学び舎で学ぶ生徒同士、気にせず仲良くしてくれると嬉しいな。」

 

 瞬く間に鳴る拍手。耳障りなほど、うるさいそれに姫様は苦笑いを浮かべていた。

 

 

 

 自由時間になった瞬間、オレは姫様に近づく。周りの視線が鬱陶しいが、それは無視した。

 姫様に話しかけ、間近で観察する。大抵の学園生よりは鍛えられているが、オレが負ける程ではない。

 

 つまり、学園側の忖度があったと見るべきだろう。それが分かってスッキリした。

 噂の姫騎士がどれだけ強いのか、興味があったが遠目では実力を測ることは出来ない。近くで観察する機会が出来て良かったと思った。

 

 だが、それは相手にも実力を測る機会を与えるも同じ。姫様はオレに模擬戦を挑んできた。下手に勝つと面倒だ。と感じたオレは断ろうとした。

 だが、自己紹介で学園に来た目的を言ったために王家貯蔵の魔導書をエサにされ、思わず受けてしまった。

 

 入学初日で模擬戦を行うことは学園中にすぐ広まった。訓練場は観客気分の野次馬が揃っており、やる気を削がれる。

 姫様は元より見られることに慣れているのだろう。野次馬共に手を振る余裕があった。

 

 「ごめんね・・・こんなにギャラリーが多くなるとは思わなくて・・・」

 

 「いえ、姫様の人気があれば当然なんじゃないですかね。」

 

 そう返せば何故か怒ったような顔を見せる姫様。どうやら理由は姫様呼びにあったらしい。

 模擬戦に姫様呼びを止めるというチップが追加された。別にどんな呼び方でもいいのでオレに得しかない勝負だ。

 

 

 

 模擬戦が始まり、先手を譲る。姫様はそれに気付き、少し顔をしかめながらも両手剣で突貫してくる。

 華奢な見た目に反してパワータイプの姫様は豪快に剣を振るうが、それを受け流し、相手の懐に手を添えて暴風で吹き飛ばす。

 

 空中で体勢を立て直し、空気を蹴って姫様は再び突っ込んでくる。ただし、今度は姫様が得意な雷の魔法で牽制してきた。

 こちらは火の魔法で迎撃し、剣を手放して姫様の剣を白羽取りする。

 

 魔力で肉体を強化している姫様でも同じように強化した相手では素の肉体性能がものを言う。

 そうすれば有利なのはオレだ。剣を奪おうとした瞬間、剣を引っ張る力が抜けて脇腹に衝撃が来る。

 

 咄嗟に捕まえようとするが、避けられてしまい、自分の剣を拾いながら距離を取った。

 二回目の衝突はオレから動いた。時間差で発動させる魔法を仕込み、突撃する。

 

 魔法による牽制を躱せば仕込んだ魔法が姫様の足元にある土を僅かに隆起させた。それによって姫様は体勢を崩し、致命的な隙を見せる。

 当然、その隙を突き、姫様の首に剣を添えれば審判から決着の号令が聞こえた。剣を納めて姫様に手を差し伸べた。

 

 姫様はオレの手を取り、握手をすると静まっていたギャラリーから歓声が巻き起こる。

 その中にオレへの言葉は罵倒しかなく、余りの姫様人気に立ち回りをミスったかもしれないと思った。

 

 

 

 後日、王家の魔導書閲覧は色々と手続きが必要との事で保留となったが、姫様が弟子入りを志願してきた。

 恐れ多いどころか、模擬戦でのことを思い出せば面倒事にしかならないことが目に見えていた。

 

 しかし、丸一日も張りつかれていたら嫌でも気にせざるを得ない。姫様の態度から一日じゃ収まらないと悟ったオレは受け入れるしかなかった。

 

 

 

 姫様が弟子になったので放課後は郊外に出て魔物狩りを教えた。元々、オレの戦い方は対人戦には向いていない。

 とはいえ、生死を賭けるという意味では魔物の方が純粋だろう。文字通り、生きるか死ぬかなのだから。

 

 技術も教えるが、そのほとんどは実戦の中で教えた。訓練で出来ていても本番で出来ないようじゃ意味が無いから。

 オレでさえ過酷な修行だと思っているコレを姫様は文句一つ言わずに付いてきた。

 

 そのおかげと言うか何と言うか・・・姫様はメキメキと成長し、たった一ヶ月で所属する騎士団の団長に勝ってしまったそうだ。

 オレが姫様の成長速度にドン引きしていた、そんなある日。突如として人型の魔物、魔族が学園を襲ってきた。

 

 

 

 魔族襲来にオレですら気付かなかった理由は簡単。隠れるのが得意な魔族が密かに学園に潜入していた。

 そして、その魔族が自分の命を使って大量の魔族を呼び寄せたからだ。

 

 いきなりテリトリー内に入ってきた魔族に大混乱の学園。オレは魔族たち単体の力はそこまでではないと判断し、姫様と二手に別れて防衛することにした。

 生徒や先生が何とか抵抗しているおかげで避難誘導と魔族殲滅を思ったより速く終わらせたオレは姫様に任せた方に向かった。

 

 そこで見たのは折れた剣で戦う姫様と嗤いながら魔法を放つ強い魔族。そして姫様の後ろに足を怪我している女子生徒が居た。

 即座に魔族へ全力ではないが致命的な威力の魔法を牽制として放ち、姫様の傍に寄る。

 

 「だいぶやられてるみたいだな。」

 

 「まぁね・・・剣は折れてるし、魔力もギリギリ。一応、対処は出来てたけどジリ貧だったね。」

 

 「そうか・・・なら一旦、その子を連れて避難しろ。ポーションでも飲んで戻ってこい。」

 

 「・・・分かったよ、師匠くん。」

 

 姫様に戻ってこいと言ったのは何も魔族を倒せないからではない。

 オレ一人でも倒すのは可能だが、疲労している今の状態では致命傷を受けてもおかしくないからだ。

 

 そして姫様が生徒を連れて撤退すると慌てて魔法を放つ魔族を見て確信する。こいつらの狙いは姫様だと。

 理由こそ分からないが、ターゲットが分かれば後は徹底的に邪魔するだけ。全力で魔族たちに嫌がらせをした。

 

 

 

 どのくらい経ったかは不明だが、鍛えた魔力の底が見え始めた頃、姫様は戻ってきた。しかし、姫様は武器を持っていない。

 問いただせば、避難所兼防衛拠点になってる砦で貯蔵された剣は騎士団の分で既に尽きており、予備が無かったとの事。

 

 大変、困ったことになったが、ふと天啓が降りてくる。姫様の修行中に聞いた噂話。学園の郊外にある試しの岩に刺さった剣。

 付属する噂は決して抜けないとか、選ばれた人にしか抜けないとか色々あるが選り好みは出来ない。

 

 気まぐれに図書室で調べた時には古い噂として紹介されていたから剣も頑丈だろうと信じて姫様に伝える。

 姫様も覚悟を決めたみたいだった。オレたちはわざと魔法を不発させ、焦った演技をしながら試しの岩がある方角に退いた。

 

 道端の石や枝で牽制することで苦し紛れと思わせながら魔族たちを引き付ける。

 試しの岩がある洞窟に潜り込み、試しの岩まで全速力で近づいた。岩の影に姫様を潜ませ、オレは剣を抜いて魔族と戦いながら姫様の様子を見る。

 

 姫様には戦えないふりをさせ、魔族たちの意識から外している。その間に剣を抜ければいいと思っていた。

 しかし、戦闘中の考え事は隙となる。気付けば敵の魔法が間近に迫っていた。ここまでか、と思った瞬間、眩しい光が視界を消した。

 

 光は目の前の魔族を呑み込み、跡形も残さずに消し飛ばした。光が飛んできた方を見れば、そこには神々しく輝く剣を持った姫様がいた。

 魔族を倒した光を放ったであろう姫様も呆然としており、オレも数秒は硬直していたと思う。

 

 その後は簡単だった。強力な武器を持つ姫様が魔族を一掃し、オレが打ち漏らしを始末する。

 たったそれだけで魔族は全滅した。しかし、後の調べでも魔族たちの目的は姫様であること以外、何も分からなかった。

 

 オレと姫様は国王から表彰され、王国の英雄として民衆にも知られるようになった。

 一応、学園には在学し続けているが、学園でも大勢の人に囲まれる。姫様は丁寧に応対しているが、オレは気配を消すことで逃げた。

 

 それ以降も姫様とは縁があり、学園にいる間にアムドゥキアス家との確執や折れた聖剣を直しに行くなど、沢山の問題を一緒に解決したりする。

 

 

 

 

・・・だが、それはまた別のお話。

 

*1
ザッハークの母


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