トレセン学園であった怖い話   作:塩化プラス

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【第四話】マチカネフクキタル/A2~分岐orNEXT

………………はれ?

今、なんと…………?

 

……………………。

……………………む………………。

…………ん……?

 

はっ……え、えええええっっっ!?

ここまで……ここまで、丁寧丁寧丁寧に説明を重ねたのにですかぁ?!

 

しょんなあ~……ま、まあいいでしょう。スズカさんのことですから、さぱっとそういうことを仰る可能性もあるかも、と。割と考慮しておりましたからね、私は!

で、あれば。

持ってきたものがぱぁになってしまうのは些か切ないところもありまずが……。

ここは心機一転!

別のお話をすることに致しましょう!

 

さて、スズカさん。

それでは聞きますよぉっ!

スズカさんが聞きたいのはどんな話なんですかっ?!

 

 

1・怖い話

2・怖くない話

3・フクキタルの話

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

よぉし、怖い話ですね!

わっかりましたぁ、スズカさん!

 

ではではっ。

これは今年の春ごろ。

私が学園で体験した、身の毛もよだつような話なんですがね……

 

結構遅くまでトレーニングに励んで、ようやく終わって。

あ~今日も疲れたなあ~晩ご飯は何を食べようかなあ~なんて考えながら、トレーナー室で用具やらの片づけをトレーナーさんと一緒にしていたとき。私はね……声を掛けられたんですよ。

 

「フクキタル。この荷物、物置の棚に置いてきて貰えるか?」

 

そんな感じでねトレーナーさんからね……

トレーナーさんが指さしたのは、床に置いてあった段ボール箱。断る理由なんてありませんし、私は二つ返事でそのお願いに頷きました。

まあほんとこれぐらいは普通のことですよね。だって私たちの方が筋肉ありますから。あとトレーナーさん、私をあごで使うので。むむむむぅっ……ここだけはどうにか変わらないものでしょうか、私の地位向上に一声上げたいところです……!

 

ごっほん。閑話休題ということで。

トレーニング用の道具でがしゃがしゃ鳴る箱を抱えて、私は物置へと入りました。

さて、みなさん。物置というのがどこか気になりますよね?

 

トレーナー室って各階層に分かれて割とずらっと並んでる感じじゃないですか。その大体突き当りぐらいに共用のトレーニング器具を置いておく物置があるんですよ。

私はそこに物を置いてくるように言われたわけです。

 

よいしょっと持って、トレーナーさんにドア開けて貰って。

私は物置に向けて歩き始めました。

ひたり、ひたり。壁に肩を沿わせながら。

そりゃあそうですよね。最初にお伝えした通り、もう随分と遅い時間。

既に消灯されてますから、僅かな月明かりでしか周囲を窺えないんです。

その日は天気も悪く、私のスマホも充電切れを起こしてましたので、ひぃひぃ言いながら歩きましたよ。

 

となるとまあ思うわけですよ、こわいな~こわいな~って。

怖くなると自然と足早になるじゃないですか。

するとまあ何もかもが恐怖の源泉のように思えてくるんですね。

 

いざやいざ、入ッ室!

するとですね、もーお電気がどこか分かりません。

なんでかってそんなの、とにもかくにも暗すぎて。

だからもう抜き足差し足忍び足というか。

慎重に慎重をかさねた感じで一歩、また一歩。

歩を進めて、段ボールを置くところにまでやってきて。

でね、ここで……

ぎゃあああーっ!

 

 

……なんて。展開にはならずにですね。

私は持ってきた荷物をあっさりと置くことが出来たんですよ。

それでまあホッとしてですね。言葉通りに胸を撫でおろしました。

 

その時。

ぴちゃり。

ほっぺたよりももっと後ろ側、ほぼうなじの辺りに。

なにやら水っぽいものの感触が、突然やってきたんです。

 

……悲鳴はね、出ませんでした。

あげても仕方ない、そう思っていたのかもしれませんね。

ただね、背筋にはちゃあんと怖気が走りましたよ。ぞくぞくぞく、腕にもにわかに痺れが走りまして。恐る恐る触ると、明らかに浮いてます、さぶいぼが。

そうしてね、最後に。一番気になってるとこを、おっかなびっくり触るんです。

なんだろな~、なんだろな~、ほんと怖いな、怖いなあ……って。

するとですね、水は水のようなんですけど何かこう、ぬるりとした感じで……!

 

「ふんぎゃあああああああ!」

「フクキタル、どうした!?」

 

叫びを聞いて駆けつけてきてくれるトレーナーさん。

彼の手によって電気も点けられ、物置の中がパアっと明るくなります。

 

「なんだよ、これ……」

 

震える私の背後に手をやり、トレーナーさんはわなわなと呟きました。

そして、その正体を私に見せてくれます……慄きながら。

ハッとしましたよ、いえ、ウソッ……って感じでしたね……

だって、闇夜に隠されたそれは……!

ただの黒こんにゃくだったんですから……!

 

 

「……は?」

 

誰かが、割と本気めに戸惑う声を出している。

いや、かくいう私もそうなのだけど。

え?

この子なんて言った?

黒こんにゃく?

鍋かおでんの話じゃないわよね?

 

あれ、何この雰囲気。

あ。気づきたくないけど。

私、もしかして。

とてつもなくチープなおばけ屋敷の話でも聞かされていたのかしら。

 

「あの……これで終わりなの?」

 

そう問いかけると、フクキタルはとても意外そうに首をかしげた。愕然だわ。

 

え?

もしかして怖くないとかですか……?

またまた~、コレ嘘でしょとかならないですよ~。

 

そうですね、これも伝えておきましょうか。

実はこの話には隠された真実がありまして。

普通考えるじゃないですか、こんにゃくを設置した人物について。

で、一番ありえそうだと思って疑える相手ってトレーナーさんじゃないですか。

でもですね、トレーナーさんは何も知らないとのこと。

となると一体誰が置いたのか?

トレーナーさんいわく、器具を取りに来たときにはこんにゃくなんて吊り下がってなかったらしいんですよ。

それに春ごろとは言いましたが、随分とあったかくなってきたような時期でしたから。こんにゃくだって傷んで生臭くなっててもおかしくないじゃないですか。

なのにこんにゃくは今冷蔵庫から出してきたみたいに冷え切っていて、傷んだような匂いすらもしないんですよ。

だからアレは何かしらの力で現れたとしか私には思えないんです……

 

 

そこまで言い終わるとフクキタルは腕を組んで頷くだけになってしまった。

説明に悩んでいる姿を見るに、恐らくこの子は本気でこの顔をしているんだろう。

 

……いや、にしても。

ちょっと茶化し過ぎなんじゃない……?

私がそう思うのと同じタイミングで、フクキタルは窓の方へ耳を傾けた。

 

「ああ、ようやく来ましたね」

 

言うが早いか。窓がかたかたと揺れる音が聞こえた。

部屋全体がきしんでいるような、泣いているような。きしぎし、なんて音も聞こえる。

 

「ふむ。これはラップ音ですね。ほら、どうですスズカさん。流石にここまで来ればわかっちゃうのでは? 何かが凝り固まってきたような、不穏な気配を感じませんか?」

 

いや、そんなこと言われても……

ただの自然現象でしょ?

自信満々に言われても……軌道修正できないわよ、ここからなんて。

ここまで空気が緩んでしまうと、どうにも話を切り出しづらくて、脳内にさらさらと浮かんでくる言葉の数々を吐き出してしまいたくなった。

 

「むっ! 更に来てくれましたよ!」

 

断続的に鳴っていた窓の音が止む。

そして、突然。

 

「あの子と仲良くしてくれてありがとう」

 

びくんとなって後ろを振り向く。

それ以上には何も聞こえない。

 

「へ……そんな顔してどうしました?」

 

咄嗟に口元を手で覆って、驚いている姿をなるべく隠す。

何故隠そうと思ったのかは分からない。

ただなんとなく、フクキタルに。

今の幻聴らしきものを伝えることをためらっただけだと思う。

 

とにもかくにも……聞いてみよう。

あなたって、実は霊感……あるの?

 

「ふむ……さてまあ霊感ですか。はてなあ、あるようなないような。そこはスズカさんの解釈次第、ということでひとつお願いしたく……ささっ、お次はどなたのお話を聞くことが出来るのでしょうか!」

 

そういってフクキタルは私にバチっとウインクを投げかけ、次の話を聞くように促す。

 

「そ、そうね。それじゃあ次の人へ……」

 

つうっ、と。

額から垂れてきた冷や汗を拭いながら、私は言った。

それにしても、さっき聞こえた声は一体?

もう少し訊ねたかったが、次の話を促してしまった手前、引き留めることはかなわない。

謎は謎のまま、私たちは次の話を聞くことになった。

次はどんな話になるんだろう……

 




休憩しますか?

1・はい

2・いいえ(投稿するまでまっててね)
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